【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】
← 前回分 【バックナンバー】

【連載第28回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

インディ映画3部作をLEGOで再現するとこうなる!
レゴブロックまみれの愉快な良質アクションゲーム

「LEGO Indiana Jones:
The Original Adventures」

  • ジャンル:アクション
  • デベロッパー:Traveller's Tales
  • パブリッシャー:LucasArts
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360 / Wii / PC
  • 価格:59.99ドル(北米版)
  • レーティング:ESRB:Everyone 10+ (10歳以上推奨)
  • 発売日:2008年6月3日(発売中)


 劇場最新作「クリスタルスカルの王国」が公開され、今再び脚光を浴びている冒険映画の名作「インディー・ジョーンズ」シリーズと人気玩具「LEGO」が合体してできたゲーム、それが今回紹介する「LEGO Indiana Jones: The Original Adventures」だ。原作の世界観をLEGOで再現し、ゲームならではのコミカルさがウリの本作は、映画やLEGOファンだけでなく幅広い年齢層のゲーマーが楽しめる万人向けの秀作アクションゲームだ。

 過去に公開された映画3部作を題材に、LEGOでつくられた世界とインディたちおなじみの登場人物が暴れまわる。見た目とは裏腹に、バランスの良いゲームデザイン、LEGOと映画の世界が完璧に融合した手抜き無しのビジュアルセンスは子供だけではなく大人までも夢中にさせてくれる。

 本作は日本版の発売がアナウンスされており、今夏中には日本語化されたパッケージがアクティビジョンより入手できるようになる見込みだが、今回は一足先に英語版を使ってレポートをしていきたい。

「LEGO」フランチャイズはまだまだ続く。現在開発中の「LEGO Batman」も面白そうだ。プロモーションムービーがゲームに収録されているので、ぜひチェックしてみて欲しい

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ Legoと名作映画が合体した人気コミカルアクションシリーズの最新作

 デンマークの玩具メーカー、LEGOが発売する組み立てブロック「LEGO」は幅広い年齢層に支持をされている。宇宙、城、街など様々なテーマを題材にシリーズ化されている同製品は「スター・ウォーズ」を題材にしたシリーズが発売され、子供はもとより大人にも好評を博した。これをベースにゲーム化されたのが、ルーカスアーツから2005年3月に発売された「LEGO StarWars」だ。ベースとなった劇場版のストーリーを忠実になぞりつつ、世界観は全てLEGOで構築されているのが特徴だ。

 「LEGO Indiana Jones」は、人気冒険映画「インディ・ジョーンズ」の最新作「クリスタルスカルの王国」公開に伴い新しく展開されたLEGOシリーズを題材にしたゲームソフト。「LEGO StarWars」シリーズで培われた原作の雰囲気を壊さずにLEGOブロックで表現されたビジュアルと、コミカルさを盛り込んだ軽快なアクションが本作にそのまま受け継がれている。

 ゲームの開発はシリーズ一貫して英国のTraveller's Talesが行なっており、古くはAMIGAやSEGA GENESISなど欧州で普及したハードウェアで多数のタイトルを開発した実績を持つ古参のスタジオだ。近年では同シリーズ以外に「ナルニア国物語」や「トランスフォーマー」など版権物ゲームの開発が多い。なおLEGOシリーズはDCコミックの有名作品「バットマン」での展開も控えており、こちらもファンからの期待が高い。

インディの男前っぷりもLEGOで忠実に再現されている!? 映画3作のストーリーの見せ場を再現
昔ながらのスクロールアクションゲームに仕上がっている インディ・ジョーンズらしいアクションも見ものだ



■ 3エピソードのつまみ食いもOK! 1ステージ単位で世界中を冒険

アークを巡る争奪戦が展開されるエピソード1
設定上の年代は前後するが上海から始まるエピソード2
 「LEGO Indiana Jones」は、3D化はされているものの、昔ながらのオーソドックスなアクションゲームのデザインがベースになっている。全3エピソードに分かれていて、それぞれは既存の映画3作のストーリーに沿って展開される。即ち、下記の3作だ。

    ・「レイダース・失われたアーク」(1981年公開)
    ・「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年公開)
    ・「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(1989年公開)

 1エピソードは数ステージにわけられており、ステージの間にはストーリーを補完するためのムービーが挿入されている。ただし、「LEGOの世界」なので会話やメッセージの類が一切ない。従って、ベースとなった映画3作を知らないとストーリーやキャラクタに関する把握がほとんどできない。「インディ・ジョーンズ」ほどのメジャー映画だからこそ可能なゲームのつくりと言える。

 エピソード1「失われたアーク」クリア以降は、主人公インディが教鞭を振るう大学内から自由に、プレイするエピソード、ステージを選択することができる。もちろん、頭から通しでプレイしてもいいし、特定のエピソードの特定のステージだけプレイしてもいい。本作は正当派の原作物でありながらストーリーをあまり強調しない点、各ステージごとに盛り込まれた様々なフィーチャーで魅せるという、アクションゲームの原点を忘れない作りは評価したい。

 1度クリアしたステージはフリープレイという形でいつでも再チャレンジが可能になっている。フリープレイではゲーム中に登場する様々なキャラクタにゲーム中いつでも切り替えることが可能で、例えばインディ以外のヒロインや脇役、敵役のキャラクタで冒険といったシチュエーションも楽しめる。

 ちなみに画面内のテーブルやイスなどのオブジェクトはほとんど破壊することが可能で、「インディ・ジョーンズ」らしからぬ派手さがビジュアルのギャップとあいまって面白い。物を壊したりすることで出現するトレジャーと呼ばれるコインのようなものは、大学に戻った際に使うことになるため、しっかり貯めておこう。

映画ではショーン・コネリー扮する父親が印象的なエピソード3 大学の構内から好きなエピソードをつまみ食い感覚でプレイできる
たいていのオブジェクトは破壊可能だ 大学構内には、やり込み要素につながる様々な施設が揃う
乗り物も用意されており、バイクやボートを駆使するステージも 1度クリアしたステージはフリープレイでキャラクタを変えて遊べる



■ オーソドックスなアクションに絶妙なゲームバランスが冴える!

インディご自慢のムチを使いこなすシーンも登場
キャラクタは状況に応じて切り替えていく
 ゲームの基本的な流れは、ジャンプと攻撃アクションを駆使するスクロールアクション。途中セーブはない。ほとんどのプレーヤーは操作の複雑さに気にせず、すんなりルールを把握することができる。操作形態も今時のアクションゲームとしては非常にシンプルで使用するボタンも少なく設計されているのが特徴だ。

 各ステージはインディのほかに、1名ないしは2名のお供がつく。例えば「最後の聖戦」冒頭のエピソード、ベニスの地下にあるカタコンベを捜索するステージでは、インディとマーカス(インディが勤める大学の学部長)とエルザの3人組という具合。ストーリーに沿ってお供の組み合わせが変わるようになっている。ゲーム中に流れるBGMは全て映画のサントラに収録されたおなじみの曲ばかりで、雰囲気はバッチリだ。

 アクションゲーム部分はジャンプと殴り、あるいは武器での攻撃というシンプルな組み合わせに加えて、インディのみムチを使って敵を翻弄させたり、フックにムチを巻きつけてジャンプをしたりする技が使える。他のキャラクタにも特性があり、例えば高くジャンプできる、甲高い声でガラスを割る、大人では無理な小さいドアをくぐれる等、これらの特性を活かしてゲームを進めていく。

 蛇足ではあるが、ストーリーモードを普通にプレイしても行けないような場所が多々あるが、これはクリア後フリープレイで再チャレンジした際、対応したキャラクタを使って攻略するポイントなので、通常プレイ時はあまり深く考えずに先に進んだ方がストレスがたまらなくて良いだろう。

 いかにもLEGOの世界らしい特徴としては、見た目だけではなく落ちてるLEGOブロックを使って様々な物をつくり、難所を切り抜ける点だ。例えばつり橋を組み立てて崖を渡ったり、バイクを組み立てて敵の城から脱出するなど、映画の1シーンにも何らかの関連性があるような場所で、このようなフィーチャーが随所に登場する。これは「LEGO StarWars」でもあった要素だが、LEGO化されたキャラクタがチャカチャカとブロックを組み立てていく様子は何とも言えずキュートで、ゲームをより楽しくさせる絶好の味付けと言える。

 ゲームにはパズル要素も盛り込まれている。土に埋まった物をシャベルで掘り起こしたり、石版を解読したり、2人同時にツタを引っ張ったり栓をまわしたりと、アイテムの切り替えとお供との協力がパズルを解く重要な要素で、中にはちょっと考えないとわからない物もあるが、大概はその画面内にあるものだけで解決できるように考えられている。詰まったらじっくり考えれば解決できるものが多い。

 アイテムに関しては1人1つまで持つことができる。武器系は戦闘に使うからOKとして、スパナは壊れた物の修理に、シャベルは埋まっている物を掘り返すなど用途に応じて切り替える必要があるので、適宜拾いなおしていけばOK。

 乗り物も用意されており、バイクやボートを駆使して敵と戦うシーンも用意されている。もちろん乗り物も全てブロックでできており、その気になれば各ステージのシーンはLEGOブロックで再現することができそうだ。

 プレイ中はいつでもインディの職場、大学に戻ることができる。構内ではインディの部屋、図書館、メールルームなどの施設があり、ゲーム中に入手したアイテムや一度観たムービーを鑑賞するなどのやり込みや、登場キャラクタをカスタマイズしてフリープレイで使用するなど、LEGOブロックという持ち味を存分に活かした要素が充実している。

 各要素のアンロックなどに必要なトレジャーは、この大学内の各施設で使うため、ガツガツとストーリーを進めず、定期的に構内をまわってゲーム内容を自分で豊かにしていくのが、本作の楽しい遊び方だ。

地面に埋まっている物はシャベルで掘り起こせる 石版の絵文字を解読するには本を持っておく必要あり
花柄の印はジャンプ力に優れた女性の出番をあらわしている レゴのパーツで様々なものを作り出す。このゲームの見せ場だ
危難も仲間と協力すれば、なんなく乗り越えられるのだ 大岩がインディ達に迫る! 映画で有名なシーンも次々登場する




■ このゲームのウリはコアからライトユーザーまで誰にでもオススメできること

シリーズ最大の悪女!?エルザ。味方のようで実は……
ヴェニスでインディ達にアピールするエルザ
 1ステージあたりのプレイ時間は、20分程度。全ステージをぶっ通しで遊ぶと順調にいけば5時間程度で終わる内容だ。全年齢対象のゲームで、内容的に小さい子も遊ぶことを考えると、適切なボリュームではないだろうか。

 各ステージには「アーティファクト」と呼ばれる宝物が全部で10個のパーツに分かれて隠されている。これを全部回収するには1回のプレイでは難しい、というか物理的に無理な場合もある。必然的にフリープレイで何回か捜索することになるため、やり込み要素も考慮に入れるとバランスは良く練られていると感じた。好きな時に好きなだけ遊べばいいじゃない? という制作側の意思がよく伝わってくる。

 デザインやビジュアルにビッグタイトル級のこだわりやテクノロジーが備わっている訳ではないが、ゲームとしての遊びやすさと親しみやすさは格別のものがあり、数少ない、誰にでもオススメできる海外ゲームとして「LEGO Indiana Jones」は貴重な存在だ。

 よくオススメのしかたの定番な言い回しとして「鉄板」という表現があるが、本作はまさにその表現が相応しい。突出したものはないがプレイした人全員がゲームを楽しめる抜群のバランスを持っている。海外でもそこそこ高い評価を得ているが、「ゲームとしての基本的な楽しさ」をしっかりとおさえている同作を、スコアとはまた違った視点でもっと評価して良いのではないだろうか。

 ゲーマー視点からいくつか気になった点としては、ムービーが途中で飛ばせないため、うっとおしくなることがあるのが1点、カメラワークがたまに凶悪でキャラクタの立ち位置がうまく把握できなくなる場面が、ごくわずかながらある点を挙げておく。

 お供キャラクタがいるため、最大2名までの協力プレイが用意されており、オフラインのみでゲーム本編をプレイしていればいつでも参加可能なアーケードゲームスタイルをとっている。その他ひっくるめて、オンライン機能は一切使わないが、ゲーム内容的に必要性を感じないため、あまり気にするようなことでもない。バグなどもプレイした限りでは特に見当たらなく、お供のAIも至極まっとうに機能していた。

 戦闘に関しては敵の数が増えたりすると、どう考えても攻撃が避けられずにやられてしまうのと、LEGOキャラの短い手足では殴ったり蹴ったりしても今ひとつプレーヤー側の視認性がよろしくなかったり、戦ってる気がしなかったりすることもあるが、この間の抜け方も「LEGOワールド」独特の味として解釈すれば問題ない。

 キャラクタがやられてしまうと、バラバラになってしまうが、もともとブロックで作られているのでバラバラになって当たり前、むしろやられ方によっては笑いも取れる、という訳でこの点も敵にやられても大して苦にならないのは「LEGO」ならではのメリットだ。何度やられてもゲームオーバーにはならないが、(何せLEGOだし)1回1,000のトレジャーが失われるので、頻繁にやられるとトレジャーを集めなおすのが大変になる。

 日本での発売もアナウンスされているが、このタイトルであれば「言葉の壁」はほとんど意識せずに済むため、日本版を待っても良いし、並行輸入版で一足先に体験するのも選択肢としてはありだろう。PC版の日本語化は今のところアナウンスされていないため、PCユーザーで本作をプレイしたいという場合は輸入版の一択しかない。

 体験版もXbox 360等、一部機種でリリースされている。まずはお試しでプレイしてみるのも良いだろう。ただし実質ほんの1シーンしか遊べないためゲーム全体の感触をつかむにはやや物足りない。オールラウンドなアクションゲームファン、最近の凝った作りのゲームに疲れたオールドゲーマーには特にオススメしたい本作、親子で協力プレイも楽しそうだ。マイペースで、のんびり・じっくり楽しんでいただきたい。

インディはエルザにメロメロだ!! 映画と同じくゲーム中でもインディは蛇、エルザはネズミが苦手
父親を救出するために城に乗り込んだ。待ち受けているのは…… 小さい扉も子供なら楽々通り抜けることができる
3人で行動してもAIの動きは的確 象に乗って移動するシーンではうっかり降りると底なし沼にはまることもある
船のスクリューに巻き込まれてしまう危機一髪のシーンもLEGOで再現 ボート同士の戦闘はまさにおもちゃ感覚で楽しめる


LucasArts and the LucasArts logo are registered trademarks of Lucasfilm Ltd. (C) 2008 Lucasfilm Entertainment Company Ltd. or Lucasfilm Ltd. & (C) or TM as indicated. All rights reserved. LEGO, the LEGO logo and the Minifigure are trademarks of The LEGO Group. (C) 2008 The LEGO Group. All rights reserved.

□「LEGO Indiana Jones: The Original Adventures」公式ホームページ(英語)
http://www.lucasarts.com/games/legoindianajones/

(2008年7月7日)

[Reported by Game Dude]



当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.