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★PS3 / Xbox 360ゲームレビュー★

敵の心臓を食らって強くなれ!
闇の力で悪を撃つダークヒーロー誕生

「ザ・ダークネス(The Darkness)」

  • ジャンル:ホラーアクション
  • 開発元:Starbreeze Studios
  • 発売元:スパイク
  • 対応プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
  • 価格:7,140円
  • レーティング:CERO:Z(18歳以上対象)
  • 発売日:5月15日(Xbox 360版)、6月26日発売予定(PS3版)



 スパイクが5月15日に発売した「The Darkness(ザ・ダークネス)」は、米TOP COWのコミック「Darkness」をモチーフに、CEROレーティングでZ指定(18歳以上対象)の過激な表現を特徴としたFPSである。今回発売されたのはXbox 360版で、PS3版も6月26日に予定されている。北米では米2KGamesより発売され、開発は米Starbreeze Studiosが行なっている。

 「The Darkness」はダークネスと呼ばれる“闇の力”に憑依されたジャッキーが主人公となる。闇の力を使うジャッキーは、蛇のような触手で敵の心臓をむさぼり食い、様々な小悪魔を召喚し敵を襲わせる。ゲームが進めばブラックホールを出し、そこに敵を吸い込ませるような強大な力も発揮できる。残酷な描写が多用されるため万人にお勧めできるタイトルではないが、ダークヒーローの気分を満喫できる作品である。

 ゲームの舞台は夜のニューヨークだ。本作に登場する街は観光ガイドに載るような華やかな場所ではなく、路地裏や地下鉄の駅など、薄汚れた、だからこそリアリティのある世界が、美しいグラフィックスで精密に再現されている。大人だからこそ楽しめるリアルな雰囲気を持った世界に、「魔界」が入り込んでいるのが楽しい。本作の魅力をたっぷり紹介しよう。


■ 容赦なく迫る刺客に、残酷な死を与えるダークネスの力。殺伐とした明日なき戦いの行方は?

主人公ジャッキー。21歳の誕生日に育ての親であるポーリーに命を狙われ、闇の力ダークネスに選ばれる
ジャッキーに突然憑依する闇の力。その圧倒的な力は、ジャッキーの命を狙うマフィアの刺客達を残酷な方法で倒していく
ゲームのオープニング。2人の仲間とともに、ターゲットを始末にいく途中で、警察との銃撃戦に。ジャッキーの“日常”がわかるシーンだ
 「The Darkness」の主人公ジャッキーは、マフィアの殺し屋である。ジャッキーは組織から裏切られ、その存在を消されそうになるが、ダークネスと呼ばれる“闇の力”に選ばれ絶体絶命の危機を脱する。執拗に命を狙ってくる組織に対してジャッキーは闇の力で立ち向かう。

 本作はいきなり猛スピードで走る車の中からスタートする。上納金を回収できなかったことを愚痴る仲間の話を聞きながら、ハイウェイをオープンカーでぶっ飛ばす。目的は工事現場の監督の暗殺だ。しかし、どこでその情報が漏れたのか、パトカーがジャッキー達を見つけ追ってくる。他の車にガンガン当たりながら、パトカーとの銃撃戦になる。

 体を乗り出していた仲間の一人が、対向車にぶち当たってぐったりとしてしまう。ジャッキーは、その仲間の体を路上に蹴り捨てて、助手席に立ちショットガンを乱射する。悪態をつきながらの銃の乱射、仲間の死(?)に対する無関心さ、「うわ」と思わず口に出してしまう、殺伐としたシーンが連続する。これこそがジャッキーの「日常」なのだろう。本作がZレーティングのタイトルであることを思い知らされるオープニングである。

 情報は工事現場にも筒抜けだった。迎撃をくらい、横転する車。もう1人の仲間も虫の息となってしまう。「ひでえ21歳の誕生日だな。プレゼントがある、ほらよ」。ジャッキーは仲間から2丁のオートマチックをもらう。今日はジャッキーの21歳の誕生日なのだ。銃を渡した仲間は、そのまま絶命してしまう。工事現場で待ち伏せする敵を銃で倒し、前に進むジャッキー。ターゲットである現場監督のオフィスにたどり着く。

 ジャッキーが部屋に入ったとき、いきなりテレビが付く。画面一杯に写っているのは、ジャッキーの所属するマフィアのドンであり、叔父のポーリーだ。テレビの中のポーリーはジャッキーに憎々しげに悪態をつく。「てめえは最初から目障りだった、ファミリーを誰が仕切ってるのか教えてやる!」。現場監督のオフィスには監督の死体とともに爆弾が仕掛けてあった。逃げようとするジャッキーの背後で爆弾が爆発する。

 傷だらけになりながらも生き延びたジャッキーに、さらにポーリーからの追っ手がかかる。ジャッキーは墓地に追いつめられ、トイレに逃げ込む。決死の脱出をはかって再びトイレの出口に立った時、ジャッキーの頭の中に“声”が響く。「お前を通し、我の力を示そう」。突然ジャッキーの体を黒い何かが包み込む。その黒い物体は、大蛇のような2本の首と、無数の触手の形に固着する。ジャッキーの体を包み込む怪物は、巨大な触手でマフィア達を串刺しにし、蛇の首で喉を噛み千切り、そして死体から心臓を引き抜き、むさぼり食い始めた。

 殺戮が終わった時、ジャッキーは体の中に潜む力を、ある程度自分の意志で使うことができることに気がつく。ジャッキーは執拗に命を狙うポーリーの手下を銃と闇の力でもって倒していく。ダークネスは刺客の心臓をむさぼることでより強大になる。ジャッキーの戦いはやがてマフィア全体の抗争へ発展していく。その戦いの中でジャッキーは己の運命と直面することになる……。

 ジャッキーは両親を失い、孤児院で育った経験を持つ。彼は子供の時に叔父のポーリーに引き取られた。ポーリーは愛情で彼を引き取ったのではなく、彼を殺し屋へと育て上げるために引き取ったのだ。ジャッキーはその若さと力で一流の殺し屋へと成長していく。

 ポーリーは野球に関する諍いで部下の足を切断したり、浮気をした妻を拷問してから殺したりと、その残酷さと恐怖でマフィアのドンとなった。ポーリーは警察署長のエディとも繋がり、更にシカゴのマフィアとも仕事を始めていた。しかし、ポーリーが勢力を拡大する一方で、現役を引退したマフィアの老人達はポーリーの暴走を危険視していた。反面、ジャッキーは老人達に敬意を払い、認められていた。いつしかポーリーにとってジャッキーは自分の地位を脅かす危険な存在となっていたのだ。

 死地を脱したジャッキーは闇の力で復讐を開始する。ポーリーの拠点を襲い、手下を殺し、襲いかかる刺客を次々と撃退していく。ポーリーは恐怖から更に暴走し、ジャッキーが育った孤児院を爆破する。ジャッキーとポーリーの戦いは激化していく。ポーリーの悪行、刺客との壮絶な戦い、動き始めるマフィアの老人達と、速いテンポで展開するストーリーはグッと引き込まれる魅力がある。

 殺伐としたストーリー展開の中で、ひとときの安らぎとなるのがジャッキーの恋人、ジェニーの存在だ。彼女は孤児院でともに育った幼なじみだ。ジェニーは現代的なすっきりとした美しさを持つ女性だが、リングピアスをつけた唇の近くには傷跡があり、彼女の人生もまた幸せだけではないことを物語っている。それでも彼女はジャッキーを優しさで包み込んでくれる。彼女との時間に安らぎを感じる一方で、ジャッキーは自分が殺し屋であることを言い出せないでいる。

 本作は戦いがメインのゲームであるが、地下鉄や街で垣間見える人々の“街の生活の息吹”にも注目するべきものがある。特に、誕生日を祝ってくれるジェニーとのひとときは、プレーヤーの中にも甘い感情を抱かせるかけがえのない時間だ。その演出の細やかさが本作に独特の魅力を加えている。この幸せな時間をジャッキーは守ることができるだろうか。

ジャッキーを殺し屋に育て上げたマフィアのボスであり、叔父のポーリー 孤児院でともに育った恋人のジェニー。ジャッキーは彼女に自分が殺し屋であることを告げられずにいる 前のボスの妻のサラ。現在は引退したマフィアの老人達の1人であり、ジャッキーを優しく見守ってくれる女性
街の荒んだ雰囲気をリアルに表現したグラフィックス。フィールドそのものはそれほど広くはないが、細かい作り込みに驚かされる
ジャッキーの闇の力は倒した敵の心臓を食うことでパワーアップする。戦いはゲームが進むごとにどんどん凄惨になっていく
ジャッキーがポーリーの金を燃やせば、ポーリーはジャッキーとジェニーが育った孤児院を爆破する。ジャッキーとポーリーの戦いはエスカレートしていく。右は破壊された孤児院でジャッキーが見る、幼いジャッキーとジェニーの思い出
ジャッキーの安らぎとなる、ジェニーとの大切な時間。ジェニーはケーキでジャッキーの誕生日を祝ってくれる


■ 闇の力とガンアクションで敵をなぎ倒す爽快感。最大の敵は“光”

敵の心臓を食らうことでダークネスはパワーアップしていく。生け贄の力で、ジャッキーはより強大な力を発揮することができるのだ
敵の至近距離で行なうことができる処刑アクション。ジャッキーの殺し屋としての力が発揮される
 主人公の操作はコンシューマ向けFPSに準じた内容になっている。Xbox 360版では左のスティックで移動、右のスティックで視点移動、左右のトリガーでそれぞれの武器を扱える。360ユーザーならばすんなりとプレイできるだろう。

 LBボタンでダークネスを呼びだし、RBボタンでダークネスのパワーを使う。十字キーでダークネスパワーや武器の選択、Yボタンでジャンプ、Bボタンでリロード、Aボタンで様々なアクションを行なう。左のスティックを押し込むとしゃがみ、右のスティックを押し込むと狙撃モードになる。

 「The Darkness」では「イージー」、「ノーマル」、「ハード」の3つの難易度が選択できる。FPS初心者やとにかくストーリーを進めたいプレーヤーにはイージーがおすすめだ。留意しておきたいのは、本作の敵はイージーでもなかなか倒れないということ。腹に弾丸を受けてうずくまっても、少ししたら起きあがってくる。倒れている敵にも弾を撃ち込むような“非情さ”もこのゲームでは必要だ。

 ジャッキーは様々な特殊能力を持っている。通常武器でユニークなのが「Execution Kills」だ。ジャッキーは至近距離の敵に対して「処刑アクション」を行なうことができる。敵の顎に銃を突きつけそのまま撃ち抜いたり、足を打ちうずくまった後頭部を撃ったりと、パワフルで残虐なアクションで敵を倒すことができる。時には撃たれる危険を冒してでも、Execution Killsを使った方が短時間で敵を倒せる場合もある。描写的には残酷すぎる一面もあるが、決まると爽快なアクションである。

 LBを押すことで視界の周りに黒い怪物が現われる。ダークネスを呼びだしている間は、ジャッキーの防御力は増す。また、ダークリングと呼ばれる小悪魔が召喚できる「ダークリング・ゲートウェイ」を見つけることも可能になる。戦闘中はダークネスを召喚している方が格段に有利になる。

 気をつけたいのは、ダークネスは“光”に弱いという弱点を持っているということだ。蛍光灯や街灯、車のヘッドランプなど、ジャッキーが光に照らされているとダークネスは力を失い、呼びだすこともパワーを使うこともできなくなってしまう。ゲームではまずこの「光源」をつぶすことが攻略の鍵となる。銃でライトを撃ち抜きながら進むことになるだろう。

 ダークネスのパワーは「クリーピングダークコントロール」、「デーモンアーム」、「エンシェントウエポン」、「ブラックホール」の4つがある。クリーピングダークコントロールは自らの意識を頭を持つ触手の1本に移し、操る技。換気口などに体を潜り込ませ、部屋の中の人間を殺したり、閉じられていた鍵を開けたりすることができる。

 この技が発動しているときは、蛇の触手の視点となり、ホラー映画のモンスターになったような気分が味わえる。床や天上を這うことになるので操作には慣れが必要だが、壁の向こうの敵を倒したり、パニックを起こす敵を引き倒し、心臓を引きずり出すなど、独特のプレイが魅力だ。

 デーモンアームは触手を伸ばし敵やものを串刺しにする技。車や巨大な箱なども持ち上げる事ができる。エンシェントウエポンは闇の力を弾丸に変え発射することができる。通常の武器と違い残弾数を気にせず使えるが、明るい場所ではダークネスの力を失ってしまうため注意が必要だ。ブラックホールはその名の通り小さなブラックホールを呼びだす大技で、敵をまとめて倒すことができる。この技は著しくダークネスの力を使う。

 小悪魔は「バーサーカー」、「ガンナー」、「ライトキラー」、「カミカゼ」の4種類がある。バーサーカーは接近戦を得意とする小悪魔。ガンナーはガトリングガンを発射し、ライトキラーは放電攻撃で近くのライトを破壊する、カミカゼは自爆攻撃を得意とする小悪魔だ。ゲームが進めば複数の小悪魔を召喚することができ、彼等を従えて敵と戦うことができる。

 小悪魔は呼びだして、Xボタンを押すことで進む方向を指示できる。小悪魔は倒されてもダークリング・ゲートウェイから何度でも呼びだすことが可能で、敵の攻撃を引き付ける盾としても使える。ガンナーは砲台として敵を一掃してくれるなど、うまく使えばかなりの戦力になる。ただし、小悪魔もダークネス同様光に弱く、ライトのある場所では簡単に倒されてしまう。前もって光をつぶしておきたいところだ。

 ダークネスのパワーは暗闇にいることで急速にたまる。場所を確保しておけば小悪魔と連携して有利に戦うことができるが、小悪魔のAIに関しては練り込みがもう一つという印象がある。地形に引っかかったり、うまく動かない場面もあった。ライトキラーは本来光源を積極的につぶしてくれる存在のはずだが、この機能もいまいちというところだ。

 ダークネスと最強の殺し屋であるジャッキーのコンビなのだから、設定上は無敵といってもいい強さを発揮できるはずなのだが、実際は光に照らされている場所が多く、かなり神経質に光源をつぶしながら進むというプレイになる。設定的にはライトキラーか、ダークネスの力で次々と光が消され、それが死の前ぶれのように刺客達に恐怖を与える、という展開になっても良いはずである。1つ1つ銃や触手でつぶして進むのではなく、もっと「魔界的」な派手さが欲しかった。

 また、本作の照準はとても小さな赤いポインターとなっていて、自動補正はあるものの、肝心なところで自動補正が効かなかったりして、遠距離からの光源や、動く敵を狙いづらい。全体的にはそれほど支障がないが、細かいところで、360のコントローラでの照準に関するストレスを感じる場面もあった。プレーヤーが有利すぎても面白くないかもしれないが、本作ならではの戦いを、あともう少しだけ練り込んで欲しいと感じた。

蛇のような触手を操り、狭いところを移動し敵を襲う、クリーピングダークコントロール デーモンアームは触手を突き刺し、車や巨大な物体を動かすことができる ダークネスの力を弾丸として発射できるエンシェントウエポン
ブラックホールはその名の通り超重力の穴を造り出し、敵を吸い込ませることができる ダークリング・ゲートウェイから小悪魔を召喚。接近戦の得意なバーサーカー こちらはガンナー。ガトリングガンでジャッキーを援護する
稲妻の力でライトを破壊するライトキラー 自爆攻撃をするカミカゼ。ホールの近くにいれば、代わりを呼びだし何匹も自爆させることも可能だ ゲーム中盤からは複数の小悪魔を呼び出せる。ジャッキーは光源をつぶす援護に回る場面も


■ 地獄のような異世界、サブミッションで語られるニューヨークの息吹……世界に没入していく楽しさ

巨大な列車砲。ニューヨークとはかけ離れたイメージの異世界にあるオブジェクト
ニューヨークの地図。2つの駅の周辺にフィールドが広がっている
 ジャッキーはポーリーとの戦いの中で自分の運命とも向き合うことになる。なぜ自分はダークネスに見出されたのか、ダークネスの目的は何なのか、その問いの中でジャッキーは“地獄”のような異世界に迷い込む。

 その世界は終わることのない戦いの世界。ノルマンディーの戦いなのか、塹壕と廃墟が広がる異世界では、たとえ倒れても数分で起きあがる不死の軍人達が、終わらない戦いを続けている。現実からかけ離れた異世界をジャッキーはさまよう。人々はどうやらドイツ軍と連合軍にわかれて戦っているようで、ドイツ軍はジャッキーに対して問答無用で攻撃してくる。

 彼等は不死であり、銃で打ち倒しても起きあがってくる。動きを止めるにはダークネスで彼らの心臓を抜き取る以外にない。この凄惨な戦いは、マフィアとの戦いとはひと味違う、「完全にとどめを刺す」戦いを強いられる。この異世界はゲームの展開に合わせて何回か訪れることになるが、巨大な列車砲を動かしたり、戦車に乗って戦場を移動したり、ゲーム的にも面白い仕掛けが用意されている。

 現実世界であるニューヨークでは、ゲーム中盤からは自由に動き回り、メインミッションだけでなく、サブミッションも受けられるようになる。マフィアの老人達の指示に従い、ポーリーの手下を殺したり、財産を燃やしたりなど、彼の足を引っ張るようなミッションを始めとして、駅のハーモニカ吹きに絡む不良をたたきのめしたり、女のアパートに強引に居座る男を追い出したりというミッションもある。

 この男に部屋を取られたという女性は今は地下鉄に寝泊まりしている。その女性のアパートに行ってみると、部屋はコンクリート打ちっ放しで、テレビとマットが置いてあるだけの殺風景なもので、彼女の荒んだ生活を感じさせる。顔をしかめたくなるような暗さと、リアリティがある描写だ。

 この他にも、夫の形見のブレスネットをなくした老婆もいれば、「賭をしない?」と、線路にコインをばらまき「電車が来るまでに拾えばあなたの勝ち」と、とんでもない申し出をしてくる人物もいる。もちろん誇大な表現になっているとは思うが、観光ではとても触れることのできないニューヨークの姿をうまく表現しているな、と感じさせる演出である。また、ロード画面ではジャッキーの独白が楽しめるのだが、彼の子供時代や、初めての恋人など、ジャッキーの人物像を掘り下げるような話も聞くことができるのが楽しい。

 サブミッション以外にも、やりこみ要素として様々な場所に落ちているメモを集めるというものがある。このメモには電話番号が書かれていて、公衆電話でかけることができる。電話をかけたことでコンテンツがアンロックし、イラストなどを見ることができるのだが、電話の会話が短いながら楽しい。ハイテンションなセールスから、怪しい取引、さらにはこちらの事情を知っているかのような謎めいた言葉をかけてくる相手もいる。

 「The Darkness」のニューヨークのフィールドは地下鉄で繋がれた2つの駅と周辺という構成になっており、それほど広くはない。ずっと深夜という設定なため、全ての店は閉まっていて、探索できる場所も限られている。しかしNPCが限りなくバカっぽい雑談をしていたり、テレビのチャンネルが変えられたり、怪しい人がうろついていたりと、細かい部分の作り込みが楽しい。ゲームをクリアした後も街を歩いてチェックしたくなる仕掛けがたくさん用意されている。

地獄のような異世界。ジャッキーは何故この世界に来たか、この世界は何なのか、ゲームが進むことでその意味が明らかになっていく
依頼してくる地下鉄の駅の人々。困っている人やとんでもないことを提案してくる人など様々だ
色々な場所に落ちているメモ。書かれている番号に電話することで、イメージイラストなどのコンテンツを見ることができるように。電話の相手の反応にも注目だ
左はロード中のジャッキーの独白。NPCの会話にもとんでもない内容のものがあったり、ユーモアもたっぷりだ。大概ブラックな味が含まれているが……


■ 人間と小悪魔の2つの姿で戦うオンライン対戦、競技人口が少ないのが玉に瑕

小悪魔に変身して対戦フィールドを疾走する。小悪魔は移動能力は高いが、攻撃能力は低めだ
マップやルールを設定してプレーヤーを募る。クイックジョインで立ち上げているプレーヤーを検索することも、ランキングマッチも可能
 最近のXbox 360のタイトルはオンライン要素として協力プレイ(CO-OP)が入っているタイトルが多いが、「The Darkness」のオンラインコンテンツは対戦のみになっている。1人が人間でもう1人がダークネス、もしくは小悪魔で援護、といった協力要素も欲しかったところだ。

 「The Darkness」での対戦は2~8人で可能で、全ての人が敵になる「デスマッチ」、2チームで戦う「チームデスマッチ」、そして「キャプチャー ザ フラッグ」、「サバイバル」の4種類がある。複数のマップが用意されていて、プレーヤーキャラクタの容姿なども設定することも可能だ。

 「The Darkness」の対戦の楽しさは、プレーヤーが人間と小悪魔の姿に瞬時に変わることができるところだ。LBボタンを押すことで、プレーヤーは黒煙と共に小悪魔に変身する。小悪魔は高速で移動することができ、またジャンプで大きく飛び上がることもできる。四つんばいで移動するためカメラは人間の時より低くなり、敵を追いつめるときはホラー映画の怪物気分を味わえる。

 小悪魔時の攻撃方法はかぎ爪である。小悪魔は移動速度は早いものの、攻撃は様々な武器を使える人間が有利だ。フィールドには様々な武器が落ちている。まず人間で強力な武器を持った後、小悪魔に変身し移動して敵を発見し、人間に戻って仕留める、という作戦も有効だと感じた。

 ただ、「The Darkness」のオンラインコンテンツは、小悪魔と人間というアイデアはあるものの、他のゲームに比べて際立った特徴があるとは言えないのが現状だ。日本のコアタイムでも他プレーヤーが対戦していない、ということも多く、対戦相手が見つからない日もあった。「The Darkness」の魅力はやはりシングルプレイ、という印象である。

 ゲームの出来とは別なところで気になっている点がある。「ゲーム中いきなりフリーズする」というものだ。筆者の環境でも数回ゲームが止まることがあった。筆者の場合はプレイに影響するほどの頻度では起こらなかったが、ユーザーの間でも本体の問題か、ソフトの問題かで議論が続けられている。

 Xbox 360は初期の本体不具合も含めて、トラブルが普及の障害になっている印象がある。「The Darkness」は独特な魅力があるゲームだけに、不具合の声が上がっているのは残念だ。スパイクとマイクロソフトの早急な対応に期待したい。

 「The Darkness」はやはりジャッキーの“戦い”がカッコイイ。闇の力を使い、心臓を食らい、小悪魔を従えて暗闇の中を進む。「なんだあれは?」、「ありえねえ」といった敵マフィアの狼狽の声を聞きながら、敵を圧倒していくのは他のゲームでは味わえない、自分がモンスターになった“愉悦”を体験できる。

 残酷でエグイ表現もあるが、その表現も日本では、青年コミックスや、小説、ホラー映画などとそれほど変わらないと感じた。残酷描写ばかりをセールスポイントにした作品ではないことは断言しておきたい。ダークな雰囲気に魅力を感じるユーザーはぜひ手にとって欲しい。

「The Darkness」のオンライン対戦はFPSの対戦としてとオーソドックスな印象は否めない。小悪魔の力をどう活用するかが鍵になりそうだ

The Darkness is (C) 2006 Top Cow Productions, Inc. “The Darkness,” the Darkness logos, and the likeness of all featured characters are trademarks and/or registered trademarks of Top Cow Productions, Inc. 2K Games, the 2K logo, and Take-Two Interactive Software are all trademarks and/or registered trademarks of Take-Two Interactive Software. All rights reserved.

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□「The Darkness」のページ
http://www.spike.co.jp/darkness/
□関連情報
【3月5日】スパイク、新作2タイトルのリリース決定
PS3/Xbox 360「The Darkness」、「KANE&LYNCH:DEAD MEN」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080305/spike.htm

(2008年5月28日)

[Reported by 勝田哲也]



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