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会場:六本木アカデミーヒルズ
■ 韓国最大手のセキュリティベンダーによるオンラインゲームに特化したトータルセキュリティサービス
一方、韓国では大手企業や官公庁への独占的導入を軸に、あらゆる業種で圧倒的なシェアを誇っている。その中で唯一、韓国でシェアを奪われている分野が、韓国のメジャーな輸出産業のひとつであるオンラインゲームである。この分野では同じく韓国のINCA Internetの「nProtect GameGuard」がトップシェアを維持し続けている。日本でもテクノブラッドを代理店に、多くのオンラインゲームパブリッシャーが導入している。 日本では、サードパーティー製のセキュリティソリューションの導入そのものが、発展途上の段階にあるものの、導入事例の中では「nProtect GameGuard」の寡占状態にある。しかし、「nProtect GameGuard」導入直後にサーバー遅延やログイントラブルが複数のタイトルで頻発し、メーカーにとっては、セキュリティが強化された一方で、新たな運営リスクを抱え込む結果となった。メジャータイトルでは「ラグナロクオンライン」が導入時にずいぶん苦しんだことが記憶に新しい。 今回、アンラボが発表した「オンラインゲームトータルセキュリティサービス事業」は、そうした背景を踏まえてのもので、「nProtect GameGuard」の寡占状態だった日本のオンラインゲーム市場に強力な競合メーカーが参入したことになる。「nProtect GameGuard」に対抗するアンラボのソリューションとしては「HackShield Pro」があるが、これは単体ですでに複数のメーカーが導入している。具体的な導入例としては、ゲームオンの「RF Online」、JC Grobalの「フリスタ」、そして現在、再開発しているガンホーの「ラグナロクオンライン II」などが挙げられる。 アンラボの「オンラインゲームトータルセキュリティサービス事業」は、ゲームクライアントをハッキングから守る「HackShield Pro」に加えて、ゲームクライアントを導入したエンドユーザーのPCに自動的にアンチウィルスソフトを組み込む「My SaaS」、運営内部の監視や管理者権限を制御する「White Shield」、スタッフのPCのセキュリティを守る「V3 ウィルスブロック」、アンラボによるネットワークセキュリティ監視サービスなどを組み合わせたトータルサービスとなる。 これにより防げる不正行為としては、オートプレイ(オートマクロ)、スピードハック、ファイル変更MOD、メモリ変更MOD、パケット変更MOD、BOT、ノンクライアントBOTなど。もちろん、常に新種が登場するため、完全に対応しきれるわけではないが、新種に対応したソリューションの提供が随時受けられる。逆にサポートしないものとしては、IDとパスワードを盗むキーロガーの類。これは別途、ユーザーが自己責任でウィルス対策ソフトを導入して自衛する必要がある。 導入メリットとしては、個々にセキュリティソリューションを導入するよりコストが安く済み、年間契約という業界の慣例を破って月間契約とすることで、オンラインゲームではありがちな不意のサービス終了でも、終了以降の無駄なコスト発生を抑えられる。といっても、アンラボのあらゆるノウハウを詰め込んだトータルサービスとなるため、月間あたり数百万単位のコストが発生することは避けられない。一発ですべて揃うというサービスは、これから本格的にオンラインゲームビジネスを開始しようというメーカーにとってはありがたいソリューションとなるが、まずは部分部分での導入という流れとなりそうだ。
同社では今回の発表に前後して、水面下で営業活動を行なっており、大手各社から良い手応えが得られているという。アンラボの発表によれば、新種のコンピュータウィルスの約2割が、オンラインゲームユーザーのみをターゲットにしたものだという。この事実をオンラインゲーム各社は重くとらえ、ユーザー保護の観点から、セキュリティソリューションの導入が恒常化する流れになることを願いたい。
□アンラボのホームページ (2008年5月15日) [Reported by 中村聖司]
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