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ゼニマックス・アジア、新作タイトル発表会を開催
今年の目玉はポスト「オブリビオン」の大本命「FALLOUT 3」!!

4月24日開催

会場:秋葉原UDX

 ゼニマックス・アジア株式会社は4月24日、秋葉原UDXビルディングにてプレス向け発表会を開催した。ゼニマックス・アジアは、「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」を開発したゲームデベロッパー米Bethesda Softworksの親会社ZeniMax Mediaが100%出資する日本法人で、今年3月に設立されたばかりのゲームパブリッシャーである。

 今回の発表会は、ゼニマックス・アジアおよびBethesda Softworks Asiaの立ち上げにあたり、2008年にリリースする主力タイトルを披露した。初年度の目標を10タイトルとし、そのうちの家庭用ゲーム機向けローカライズタイトル4本が紹介され、次いで今期最大の目玉となるBethesdaの新作RPG「FALLOUT 3」のゲーム内容が公開された。

 今回の発表会で特徴的であったのが、ゼニマックス・アジアのゲームパブリッシャーとしての姿勢だ。同社は米Bethesdaとの繋がりが極めて強い企業とはいえ、国内市場向けにBethesda作品だけでなく優秀な他社の海外製品も手広く取り扱っていく方針を明らかにし、単なる日本法人ではなく、独自色の強い事業を展開していくという。それを反映して、今回紹介されたタイトルには、米RockStar Gamesや米2K Gamesといった大手デベロッパーの作品も含まれるなど、初回から大きな存在感を示してくれた。


■ ゼニマックス・アジアは国内と海外を繋ぐゲームバブリッシャーとして全方位に展開
 2008年の発売タイトルラインナップはRTSからスポーツ、アドベンチャーまで幅広く取り揃える

ゼニマックス・アジア立ち上げのローンチタイトル4本を紹介したBethesda SOFTWORKS Asiaのゼネラルマネージャー・高橋徹氏
 国内向けゲームパブリッシャーとしてスタートを切ったゼニマックス・アジアが2008年にリリースするタイトルは、いずれも海外の優秀な作品をローカライズしたものだ。ラインナップの紹介を行なったのは、同社の立ち上げにあたりゼネラルマネージャーに就任した高橋徹氏。高橋氏は2007年7月26日に発売された「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」のローカライズとパブリッシングをスパイク時代に手がけた人物であり、今回の設立の最大のキーマンだ。

 タイトルラインナップの紹介に先立ち、高橋氏はBethesda Softworks Asiaが目指す事業の方向性として、自社タイトルだけでなく、他社製品でも優秀な作品は積極的に扱うという姿勢を強調。将来的には国内デベロッパーと提携して国内向けタイトルの開発も手がけ、さらに海外タイトルを国内向けに紹介するだけでなく、自社タイトルをアジア各国向けにライセンシングすることや、国内開発ゲームの欧米向け版権を取得するなど、国内・海外を繋ぐ双方向のパブリッシャーとして全方位に事業を展開していく姿勢を明らかにした。

2008年の発売予定タイトルは10タイトル前後。発表会ではそのうち4タイトルが公開された
 タイトルラインナップも、RTSからスポーツ、アドベンチャーまで幅広く取りそろえる。そのうちの2本の題材は、日本でも根強いファンが存在するSFドラマ「スタートレック」。プレイステーション 2用のストラテジーゲーム「スタートレック:コンクエスト」とXbox 360向けのリアルタイムアクションストラテジーゲーム「スタートレック:レガシー」だ。

 「スタートレック:コンクエスト」は、「Star Trek: The Next Generation」および「Star Trek: Deep Space Nine」の2シリーズを題材にしたBethesda Game Studiosによる作品で、2008年内にプレイステーション 2向けにリリースされる。「スタートレック:レガシー」は過去5つのテレビドラマシリーズで艦長役を務めた俳優一同が全員登場するという、「トレッキーなら見逃せないマスト・アイテム」だと紹介された。こちらはXbox 360向けにリリースされ、Xbox Liveを通して最大4人の対戦が可能となる。家庭用ゲーム機向けのストラテジーゲームは決して一般的なジャンルとは言えないが、これを事業立ち上げのローンチタイトルに持ってくるあたり、コアなゲームファンの心理をくすぐる展開と言えるだろう。

【スタートレック:コンクエスト】
こちらはプレイステーション 2向けに提供されるストラテジーゲーム。「スタートレック」ファンなら気になる1本だろう

【スタートレック:レガシー】
過去放送された5シーズンの艦長達が総出演するという、「トレッキー」なファンにはたまらない「スタートレック・レガシー」。Xbox Liveを通じた4人対戦も可能であるとのことで、Xbox 360でプレイするストラテジーならではのゲーム性も気になるところだ。

 他社作品のパブリッシングタイトルとしては、まず2K Gamesの「メージャーリーグベースボール 2K8」が紹介された。こちらはタイトル通りメジャーリーグを題材とする野球ゲームで、極めてリアルなグラフィックスと、MLB登録選手を網羅した膨大な選手データがウリの作品だ。もちろんメジャーで活躍する日本人選手も多数登場する。対応プラットフォームはプレイステーション 3、プレイステーション2、Xbox 360、PSPと現行世代の家庭用ゲームプラットフォームをほぼ網羅する。発売時期は2008年夏頃を予定。

【メージャーリーグベースボール 2K8】
2K Sports開発スタジオによる野球ゲームだ。MLB登録選手を全て網羅するという膨大なデータとリアルなグラフィックスがウリの本作だけに、有名日本人選手所属のチームをプレイしてみるのも楽しそうである

 ローカライズタイトルとしてはひとつ目玉となりそうなのが最後に紹介された「BULLY(ブリー)」だ。開発元は「Grand Theft Auto」シリーズで世界的に有名な米Rockstar Games。全寮制学校のガキ大将となってドラマチックな学園生活を展開していくアクションアドベンチャーゲームだ。英語版オリジナルは2006年10月にプレイステーション 2向けにリリースされたもので、米国では「いじめっこ、悪ガキ」を意味する安直なタイトルと、“いじめ”というシリアスなテーマを題材にしていることから、販売差し止め騒動も巻き起こったといういわくつきのタイトルだ。

 今回ゼニマックスがリリースするバージョンは、日本向けにローカライズされたものになるが、CESAのレーティングを経て、ゲーム内容に変化が出るのかどうかが気になるところだ。また、今回のリリースではプレイステーション 2のほかXbox 360版も用意されており、Xbox 360版ではオリジナル版よりワンランク上の映像で楽しむことができる。米国では大きな話題を呼んだ作品であるだけに、国内ゲームファンからの熱い期待が注がれそうだ。発売は2008年夏を予定している。

【BULLY (プレイステーション 2)】
アメリカでも物議を醸したというタイトルと内容であるだけに、日本のレーティング基準でどのように評されるかがまた話題となりそうだ。プレイステーション 2版は2008年夏発売予定で、価格は4,800円を予定している

【BULLY (Xbox 360)】
今回はXbox 360版も登場となる。グラフィックスが向上し、Rockstar Gamesのファンなら是非プレイしたい1本となりそうだ。こちらも2008年夏の発売を予定しており、予価は6,800円


■ 真のポスト「オブリビオン」、オープンワールド3DRPG「FALLOUT 3」の実機デモを公開

「FALLOUT 3」は「オブリビオン」に次ぐBethesdaの看板タイトルになる可能性を秘めたアクションRPGだ
 さて、なんと言っても今回の発表会で最大の注目作となったのが、Bethesda Softworksの新作アクションRPG「FALLOUT 3」だ。「FALLOUT」は、米中間で発生した全面核戦争後の荒廃した世界を舞台とするRPGシリーズである。PCのみで展開されていたため日本ではあまり知られていないものの、'97年にリリースされた初代作は、その年のベストRPG賞を獲得したほどの傑作である。

 その後、「FALLOUT 2」までは米Interplayからリリースされ、2007年にBethesda Softworksが版権を獲得。同社で開発が進められている「FALLOUT 3」は、「オブリビオン」を制作したチームが開発を手がけており、ターゲットプラットフォームは、プレイステーション 3、Xbox 360、そしてPC。Bethesdaの新たな看板RPGとして大きな期待が寄せられている作品だ。

 発表会の後半は全て「FALLOUT 3」のデモンストレーションにあてられ、ゼニマックス・アジアが本タイトルに掛ける意気込みの大きさを感じることができた。このデモンストレーションは実機でプレイを進めるという形式で、ローカライズディレクターの岩谷けい氏が解説を担当。「オブリビオン」のゲームシステムを大枠では継承しつつ、核戦争後の荒廃した近未来世界ならではの仕掛けが満載されている「FALLOUT 3」のプレイ内容が披露された。なおプレイ中の写真撮影は禁止されていたため、ゲーム内の映像をご紹介できない点をご了承いただきたい。


・3DRPGとしての基本は「オブリビオン」ライク。核戦争で荒廃した世界を舞台に孤独な冒険が展開する

「FALLOUT 3」トレイラームービーからの1ショット。核戦争で崩壊した世界が冒険の舞台となる
 「FALLOUT 3」の世界は2277年のワシントン。アメリカと中国の間に全面核戦争が勃発し、地上が完全に破壊されてしまった後の世界が冒険の舞台だ。生き残った人類の一部は巨大な核シェルターに籠もって生活を続けており、主人公はそのうちのひとつ「Vault101」に生まれた青年としてスタートする。シェルターの中は人々が数世代に渡って生存できるだけの設備が整えられており、通常その中で生まれた者はその中で生を終える。しかし主人公は父親の失踪をきっかけに「外の世界」へ旅立つ、というのが序盤のストーリーとなる。

 「オブリビオン」と同じく、画面の視点はファーストパーソンとサードパーソンを任意で切り替えられるようになっており、基本操作はFPSライクである。主人公のパラメータは、力、直感力、賢さ、といった基礎能力と、銃、重火器、会話、商売といったスキルベースの能力で構成され、RPG的な構造も「オブリビオン」に近い。スタート地点となるシェルター内にはプレイ開始後にキャラクタの「職業」を決めるイベントがあり、ゲーム序盤はキャラクタメイキングも兼ねる仕組みになっているようだ。

ほとんど人の居ない荒野は、気が遠くなるほどの遠方までが描写される。「オブリビオン」譲りの表現力だ
 ダンジョン的なシェルターを抜けて外に出ると、崩壊した建物が点在する広大な大地が目の前に広がる。風景は気が遠くなるほど遠方まで描写されており、「オブリビオン」と同じか、それ以上のスケールを感じる。ディティールもしっかり作りこまれており、グラフィックス面では間違いなく最高峰の部類に属するクオリティだ。見た目だけでなく、フィールドの上のオブジェクトには意味のあるものが多く、例えば廃屋を漁ればアイテムを拾えるかもしれないし、消火栓からは水を得ることができる。ただしそこから得られる水は放射能で汚染されており、多量に摂取すれば生命の危険があるようだ。そういったサバイバル要素が本作の大きな軸となるようである。

 デモプレイではシェルターを出てこの大地をしばらく歩き、瓦礫や廃材を集めて作られた「町」に入っていった。町に住むNPCは「オブリビオン」で採用されていた「Radiant AI」をさらに強化したAIエンジンによって制御されており、時間に合わせてリアルな行動を取るという。朝になれば起き出して来て、腹が減れば食堂で食事をし、悪漢であれば食い逃げをしてしまうこともあるという。生活臭の漂うAIは「オブリビオン」で高く評価されていた部分だけに、「FALLOUT 3」の出来映えが楽しみだ。

 デモの途中には、外敵の侵入を防ぐために廃材で周囲を覆った街を見ることができた。街の中心には不発に終わったままの核爆弾が放棄されており、一部のNPCはこれを崇拝の対象にしているのか、側に立って訳のわからない言葉を延々と繰り返している。デモプレイではこの不発弾に主人公が起爆装置をつける様子を見ることができた。爆破すれば街そのものが消滅してしまうだろう。残念ながらその結末までは見ることができなかったが、本作では世界観を反映した放射能がらみのエピソードや、核爆弾にまつわるダイナミックな展開が期待できる。


・疑似ターン性とでも言うべきユニークな戦闘システムを搭載。ガンシューティングに戦略性を加味

「FALLOUT 3」の解説を行なったディレクターの岩谷けい氏。「FALLOUT 3」への意気込みは相当大きなものがありそうだ
 フィールドを歩いたり町で会話したりといったRPG的なシーンは「オブリビオン」の雰囲気にかなり近い本作ではあるが、戦闘に関してはかなり毛色の異なるものになっていた。まず、キャラクタの使う武器は基本的に銃である。リアルタイムで全てが進行する場合、戦闘の内容はかなりFPSライクなものになりそうだ。しかし、本作ではそのリアルタイム性を一部否定することで、銃撃戦シーンにRPG的な複雑な意志決定を持ち込む試みがなされていた。

 そのシステムとは、時間を止めて敵の特定部位を射撃の対象として選択できるというものだ。戦闘時、プレーヤーには「アクションポイント(AP)」と呼ばれるパラメータがあり、これを使用すると全ての時間が止まり、画面が敵キャラクタにフォーカスする。このとき敵キャラクタには、人間型の場合には頭、腕、脚、胴体、武器といったブロックが図示され、プレーヤーは「どの部位を狙って射撃するか」を、止まった時間の中で選択することができる。各部位にはきちんと意味づけがされており、たとえば腕を選んで命中すればその敵の武器命中率が下がり、頭を狙って命中すれば1撃で倒せてしまったり、といった現象が起こる。もちろん、部位によって異なる命中率が設定されている。

 デモの中で面白かったのは、巨大なアリ型のクリーチャーと対峙したときに、このシステムを使って「触覚」を射撃したところだ。触覚が破壊された敵は目を奪われたも同様の状態となり、動くもの全てに無差別攻撃、同士討ちを始めた。うまく立ち回って敵の弱点を破壊できれば戦闘を一気に有利に持っていけるという格好の例だろう。

 このような戦い方を可能にする「AP」は、一度使ってしまっても自動的に回復する仕組みになっており、これがまるでターン制のゲームのようなプレイ感覚をもたらしている。使っている最中は時間が完全に停止し、攻撃部位の選択が完了すれば再び通常の時間の流れに戻るという、リアルタイムでありながら熟考しならのプレイも可能なハイブリッド的仕様である。この機能があるおかげでFPS系のゲームが苦手な人が不利になることはなさそうだし、戦略性の高いプレイが楽しめそうだ。

 また今回のデモンストレーションでは、本作の武器である銃はパーツで構成されているため、同系統の武器を集めて状態のいいパーツを寄り集めることで高性能な銃が作れる、という様子を見ることができた。「オブリビオン」では最強クラスの剣を手に入れればそれで満足できたものだが、「FALLOUT 3」では最高の銃を手にしたとしても、定期的にパーツを取り替えてメンテナンスする必要があるという。ここにも本作ならではの戦略性が隠れていそうである。

 今回のデモンストレーションに使われたゲームバージョンはまだまだ開発中のものであり各所に荒削りな部分も目に付いたが、ゲームシステムにちりばめられた仕組みは魅力的で、ポスト「オブリビオン」として十二分に期待できるポテンシャルを感じることができた。デモンストレーションの最後には質疑応答の時間が設けられ、その中で、本作のゲームフィールドが「オブリビオン」と同じかそれよりも広いということが明かされている。ゲームのボリュームにも大きな期待ができそうだ。

 なお、本作のプラットフォームはXbox 360およびプレイステーション 3が予定されており、PC版についてはローカライズを行なうかどうか検討中であるそうだ。発売時期は2008年中を目指しているとのこと。間違いなく今年最大のアクションRPGタイトルとして注目される作品であるだけに、今後の続報に注目したい。

【FALLOUT 3】
今回は会場内での撮影が禁止されていたため、多くの画像をご紹介することができなかった。まだまだ謎の多い「FALLOUT 3」だが、今回見えたゲームコンセプトには大きな期待が持てる。今後の続報を待ちたい


□ZeniMax Mediaのホームページ
http://www.zenimax.com/
□Bethesda Softworksのホームページ
http://www.bethsoft.com/

(2008年4月24日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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