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★海外ゲームレビュー★

太陽系スケールの壮大な宇宙戦争
新機軸のシステムを搭載した骨太のスペースRTS

「Sins of a Solar Empire」

  • ジャンル:SFリアルタイムストラテジー
  • 開発元:Ironclad Games
  • 発売元:Stardock
  • 価格:49.95ドル(パッケージ版) / 44.95ドル(ダウンロード版)
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:2008年2月4日


 リアルタイムストラテジーは、日本では「Age of Empires」、「Command & Conquer」シリーズなどが有名だが、全体として見るとマイナーなジャンルだ。しかし、欧米では多少事情が違っており、メジャータイトルは毎回ミリオンセラーを記録する定番ジャンルのひとつだ。そのRTS界に、また新たなタイトルが誕生した。

 今回紹介する「Sins of a Solar Empire」は、新進気鋭のデベロッパーIroncradの処女作品で、太陽系を舞台に惑星を奪い合うという壮大なテーマのゲームだ。PCにおけるRTSというジャンルは安定期に入って久しく、最新タイトルには人気シリーズの続編ばかりが目立つというのも一面の事実だが、本作は新機軸のゲームシステムを搭載しており、過去のどの作品にも似ていない、オリジナリティ溢れる骨太のRTSに仕上がっている。本稿では、PCゲームファンならば要チェックの1本である本作を紹介したい。


■ 舞台は未知なる太陽系。開発、戦闘、外交がゲームの3本柱を構成する

本作は太陽系規模で展開する壮大なスケールのRTSだ
 本作の舞台は、遥か遠い未来の宇宙だ。未知なる太陽系を舞台に、複数の勢力が惑星の支配を巡って戦う。シングルプレイ、マルチプレイの両方に対応し、リアルタイムで進行するこのゲームには、ツリー型の技術開発システム、戦争、外交という骨組みがあり、プレーヤーはひとつの勢力の指導者としてこれら全ての指揮を執っていく。まずはゲーム全体を構成するプレイの構造を紹介したい。

 ゲーム開始時、プレーヤーを含む各陣営は、それぞれただひとつの惑星を所有した状態からスタートする。ゲームの舞台となる太陽系には複数の惑星が含まれており、その数はゲームの規模に応じて異なるが、おおよそ陣営数×4~8個程度の惑星数が標準的だ。ただしスタート時点では各陣営の首都星以外の惑星は無人であり、各陣営は首都制の隣の惑星がどこにあるか、という情報しか知っていない。全体の地図を知るためには探索を行なう必要があるのだ。

 各惑星には、隣り合う惑星への交通ルートや、その惑星の種類(地球性惑星、灼熱性惑星、凍土性惑星、小惑星の4タイプがある)といった属性があり、その惑星に船を送り込んだ時点で明らかになる。新たな惑星が視界内に入れば、次なる惑星への通行路も見えてくるので、探索を続けることで太陽系全体の地図を把握できるようになる。したがってゲーム開始時点のプレーヤーは、まず足の速い偵察船を数隻作り、隣り合う惑星に送り込むことからゲームの戦略を組み立てるというわけだ。周辺の状況が判明したら、いよいよ具体的な作戦を組み立てていく。

ゲーム開始時点では主星に隣り合う惑星系までしか見えない。始めに手を付ける作業は、偵察船を作り太陽系全体の地図を把握することだ。ここから全ての作戦が展開していく

惑星を開発し、その重力圏に造船ドックを作る。そしてユニットを繰り出していくという部分はRTSの基本をなぞるシステムだ
 一般的なゲームの流れとしては、最初に与えられた首都星を開発し、偵察船や戦闘船を製造して、周囲の惑星状況を調べ、入植船を作って無人の惑星に入植し、勢力を広げていくという形だ。惑星の数イコール、国力である。勢力を広げていくことによって技術開発をより効率的に進めることができるようになり、また、それによって維持できるユニット数も向上していく。当然のこと、他の勢力も同じように勢力を広げようとしていくため、いずれは互いにぶつかり、戦闘となるわけだ。そのときに十分に技術が進んでいるか、強力な艦船を十分な数保持しているか、戦力を適した場所に投入できているか……そういった戦略的状況がその後のゲーム展開を大きく変えていく。

 戦闘の主軸を構成するユニットは、通常の造船所で製造できる「フリゲート」や「クルーザー」といった一般艦船と、特殊な造船所で製造する「マザーシップ」に分類される。一般艦船は安く大量に製造でき、機動力が優れたものや、攻撃力に特化したもの、あるいは味方の修理などサポート役を果たすタイプのものが取り揃えられている。複数の艦船をひとつのグループにまとめて艦隊を作り、これを1単位として運用することが戦闘の基本だ。

 一方の「マザーシップ」は、他のゲームではヒーローユニットに相当するものだ。タフさと強力な戦闘力を持ち、戦闘経験を積むごとにレベルを上げ、複数の特殊能力を獲得していく。陣営ごとに1隻目の「マザーシップ」は無料で製造することができ、序盤の作戦はこの船を中心に展開していくことになるだろう。2隻目以降の「マザーシップ」は極めて高価なので、これを戦闘で喪失することは惑星を失うほどの痛手だ。もし敵の「マザーシップ」を撃破し、数の上で優勢に立って多方面に作戦を展開できるようになれば、戦いの趨勢はかなりハッキリとしたものになるはずだ。

巨大で強力な「マザーシップ」は惑星攻略の要だ。これを中心に多数の艦艇で大艦隊を組み、敵の戦力を撃破し、陣地を攻略していくことがゲームの最も派手な部分である

各陣営はプレーヤーに「ミッション」を提示してくる。達成すれば外交評価が上がり、同盟を結ぶきっかけとなる
 本作では外交要素も重要なファクターだ。本作では太陽系に含まれる惑星の数や構成に応じて、2陣営から10陣営ほどの勢力がゲームに登場する。1対1で戦う2陣営のゲームの場合は互いに常時戦争することになるが、3陣営以上が登場するゲームの場合、外交のシステムが生きてくる。ゲーム開始時点からのデフォルトで各陣営は互いに戦争状態にあるが、互いに戦闘停止や平和条約を結ぶことによって同盟状態を作ることができるのだ。

 しかし、NPCを相手に戦うシングルプレーヤーモードにおいては、タダで同盟を組ませてもらえるわけではない。各陣営は互いに「ミッション」と呼ばれる依頼を他の陣営に提出しており、これを達成することによって信頼度を上げていく必要があるのだ。「ミッション」の内容は、特定の陣営の艦船を一定数撃破するものや、金銭を援助するというもので、ある陣営からの「ミッション」を達成すれば、結果的に他の陣営との仲が悪くなるというトレードオフになっている。地図を良く見て戦略状況に応じて、どの陣営の味方をするか慎重に決めたいものだ。

 このように、本作ではある陣営に対して戦闘をしない、同盟を結ぶという選択肢をダイナミックに選択できることで、戦力の矛先を他の陣営に集中させたり、安全を確保して内政に励むといった、幅の広いプレイを選択することが可能となっている。このあたり若干ながら「Civilization」シリーズに近い風味があって面白い。

 そして最終的には、各陣営の惑星を占領し、すべての陣営を滅ぼすことがゲームの目標だ。リアルタイムで進行するとはいえ、複数の惑星からなる複雑な構造で世界が作られていることもあり、時間の流れはゆるやかだ。2陣営でプレイする小規模なゲームでは1プレイにつき、およそ2時間から4時間、4陣営以上の大規模なゲームでは6時間以上かかることもある。一方的にゲームが進行すればもっと短くなることもあるが、実力が拮抗して押し合いとなれば、さらに長期戦になることもあるだろう。1プレイあたりの時間は非常に長い部類に属する本作だが、プレイの密度は濃い。「お手軽さ」が微塵も感じられないバランスは対象プレーヤーを厳しく選んでしまいそうだが、PCゲームならではの骨太さを感じることができる。

敵が支配する全ての惑星を奪取すれば勝利だ。ゲーム終了後には各陣営の国力の推移をグラフで確認することができる

・移動を支配する惑星間ジャンプの仕組み。偵察を怠れば不意打ちを受けることも

ジャンプして隣の惑星系へ向かう艦隊。この間一切の操作ができないため、長距離のジャンプを行なう際は要注意だ
 もう少し細かい要素について御紹介していきたい。まずは本作を支配する移動のシステムだ。各惑星は交通可能な線で結ばれており、惑星の重力圏外の宇宙は自由に移動することができないという仕組みになっている。各ユニット(船)が他の星に移動するためには、まず現在属している惑星の重力圏の外に移動する必要がある。ユニットが重力圏を脱出すると惑星間のジャンプ移動が可能となり、超高速航行で次なる惑星に移動するというわけだ。ちなみにジャンプアウトが完了するまで一切の操作ができないため、長距離のジャンプを行なう際は状況の確認が必須だ。

 このように本作の移動システムは非常にユニークなのだが、これがなかなかクセモノなのである。戦闘で有利に活躍するためには、沢山のユニットをグループ化して、いわゆる艦隊を構成する必要があるが、戦闘力の大きい大型船はワープ状態に移行するための準備時間が長く、結果的に戦闘力の充実した大艦隊を他の惑星に移動させるために必要な時間は、小型船の艦隊よりも大きくなる。このため、攻撃にしても防衛にしても、小回りの効く小艦隊のほうが有利に戦えることもあり、単に強力なユニットをそろえればいいという単純なゲームにはなっていないのだ。

 また惑星間ジャンプのシステムから導き出されるもうひとつの特性は、偵察に関するものだ。自陣のユニットが存在しない惑星系の情報は、最後に偵察した時点の情報が得られるのみとなっている。つまり、偵察を怠っていると、隣接する惑星系に敵の主力部隊が存在するような状況を知りえないという場合がよくある。それを放置しておけば、自陣の重要な惑星系に突然敵の大艦隊がワープアウトし、こちらの主力を振り向ける間もなく占領されてしまうこともあるのだ。同じことは敵に対して行なうこともでき、敵の防衛が手薄な惑星系を見つけることが先手を打つ上で重要な戦略となっている。

 上記ふたつの特性を考えたときに、どのような艦隊構成が最適かという問題を解くのはなかなか難しい。大前提となるのは、各惑星の航行ルートの繋がり方だ。複数のルートで敵陣と結ばれているのであれば、動きの重い主力艦隊は決定的な仕事を行なう状況ではない限り、どこにでも展開できる場所に配置しておくことがことが理想であるし、適切な規模の別働隊を作成しておく必要もあるだろう。しかし同時に、2つ以上の艦隊を作るくらいならば、1個の艦隊に全戦力を集中して、敵の主力にぶつけてしまうという選択肢もある。いずれにしても偵察によって敵情を正確に把握しておくことが勝利への一歩となる点で、本作のもつ戦略性は非常に手応えがある。

最大ズーム時は船や惑星の周りに位置する施設のディティールまで確認できる。そこから太陽系全体までのズームアウトは完全にシームレスだ

技術ツリーは惑星や施設を充実させる「民間技術」と、戦闘に関連する「軍事技術」に分類されている。また維持できるユニット数や「マザーシップ」の数を増やすためには「ロジスティクス」のアップグレードが必要だ。どれを特化させるかはプレーヤー次第である


■ 3つの資源が織り成す、ゲーム的なトレードオフの関係

地球型の惑星は人口が増やしやすく、税収に優れる。惑星の周りにある小型の衛星からは金属とクリスタルが採掘されている
 RTSには欠かせない、ゲーム的なトレードオフの関係。本作ではその部分も非常にうまく作られている。プレーヤーが管理する基礎的な資源は、金銭、金属、クリスタルの3種類だ。これらの資源はそれぞれ入手方法が異なっており、金銭は惑星の人口に応じた税収により得られ、金属とクリスタルは、それぞれに対応する衛星から採掘されるという仕組みになっている。これらの資源は、惑星に各種設備を作ったり、ユニットを作成したり、技術開発を行なう為に必要だ。

 例えば技術開発には、多くの場合金銭とクリスタルを必要とする。技術の内容によって金属を利用するものもあるが、金銭が枯渇していると何もできないことが多い。ユニットの作成には金銭と金属が必要だ。クリスタルを必要とするユニットも多いが、必要量は比較的少なめである。また惑星の施設を作成するには、多量の金銭が必要で、3種類の資源の多寡に応じて陣営の取りうる戦略が大きく変化する構造になっているのである。

近傍にあった別の星は灼熱で人口は増やしにくいものの、3つのクリスタル衛星が存在
 大抵の場合、各惑星に存在する金銭、金属、クリスタルの入手性は非常に偏ったものだ。ある惑星は金属質の衛星が3つもあり、代わりにクリスタルが一切入手できない、あるいは地球型の惑星では沢山の人口が養えるため税収が多いものの、衛星がひとつしかなく僅かな鉱物資源しか得られない、というような形だ。ただ漫然と勢力圏を広げていくだけでは、必ず1種類から2種類の資源が枯渇し、特定の生産活動がストップしてしまうような状況に直面してしまう。

 そこで重要になるのが、まずは各惑星系の資源産出状況を良く見て、入植する惑星の優先順位をしっかりと決めることだ。状況によっては、無人の惑星に入植するよりも、敵が所有する惑星に対して攻勢を仕掛けるほうが利益になることもあるだろう。入植したばかりの惑星は開発が全く行なわれておらず、人口を増やす開発を複数段階行なわない限り、税収がむしろマイナスになることもある。そのときに開発に必要な資源が枯渇していれば、目も当てられない状況だ。

足りない資源は「ブラックマーケット」で購入。しかし取引レートは不利だ
 特定の資源が大量に入手できている代わりに他の資源が不足している場合、是非利用したい便利なシステムがある。いつでも呼び出せる「ブラックマーケット」では、金属とクリスタルを金銭で購入したり、売却することができるのだ。金属かクリスタルが不足している場合は、少々高くつくが金銭で購入し、金銭が足りない場合は過剰な鉱石やクリスタルを、かなり安い値段だが売却して補うことができ、短期的な苦境を凌ぐために最適だ。

 しかし、このシステムに長期間頼るような状況は良くない。資源を売買価格の間には3倍ほどの開きがあり、基本的には損をしていることになるためだ。どうしても特定の資源が不足する状況が続くのならば、まずは戦略のほうを組み立てなおすべきだろう。金銭で資源を購入できるとはいえ、金銭そのものが枯渇すると不利なだけでなく、金銭には非常に重要な使い道があるからだ。

・金銭の賢い使い道──敵対勢力に「賞金」をかけ、宇宙海賊をけしかけよう

これが「海賊」の住む惑星系。圏内には大量の戦闘艦がひしめいている
 デフォルトのゲーム設定では、太陽系のどこかに、どの陣営にも属さない「海賊」の惑星系が存在している。海賊は戦闘力に特化した極めて危険な存在で、ゲームに参加しているいずれかの陣営に攻め込もうと、常時虎視眈々と機会を狙っている存在だ。その海賊は、現実時間で10分に一度、自らの母星から艦隊を繰り出し、目を付けた陣営に向かって攻め込んでいく。そのときに、どの陣営を攻めるかを決めるのが、「賞金」なのだ。

 「賞金」は、前述した「ブラックマーケット」と同じUI画面上からアクセスして設定することが可能だ。プレーヤーは、海賊に攻めて欲しい陣営に金銭250単位で首賞金をベットしていく。そして、海賊が出撃するタイミングに最も多額の賞金を賭けられていた陣営がその回の犠牲者に選ばれるという、じつにシンプルな仕組みである。

敵対勢力に「賞金」を賭け、海賊の矛先を向けてやろう
 このシステムもなかなかのクセモノで、本作のプレイに慣れていない段階では、ついつい賞金を賭けておくことを忘れてしまい、プレーヤー自身が海賊の犠牲に選ばれてしまうことがしばしば起こる。このとき海賊の効果をイヤというほど実感することだろう。10隻単位の艦隊で攻めてくる海賊艦隊は、海賊の母星から最も近い位置にあって防御が手薄な惑星に突入するや、全滅するまで惑星を荒らしまわるのだ。これを撃退するにはある程度まとまった戦力が必要で、戦力の整わない序盤の場合は「マザーシップ」の投入が必要になる。戦闘は数分続き、その間失われる資源の損失や、戦略的機会の喪失は大きな痛手だ。

 これに懲りたらしっかりと賞金を他の陣営に賭けておこう。もちろん、自陣営にとって最も危険な相手をターゲットにするのが基本だ。首賞金は250からスタート。安い「フリゲート」を1隻買うほどの値段ではあるが、相手がカウンターで自分に首賞金をかけてきた場合はさらにベットすることになり、この争いがエスカレートすると、賞金をかけるだけで国庫の支出をおおいに苦しめてしまうことになる。金銭的余裕がない場合は、他の陣営同士に賞金争いをやらせるのが吉である。自分がターゲットにならない限りは、手を出さないというのも優れた戦略のひとつだろう。その分の金銭を勢力の拡大に振り向ければよい。

 このシステムに慣れてくれば、戦力を集めてこれから攻め込もうというときに、タイミングを合わせてその対象に海賊をけしかけるようなこともできる。自軍の主力が敵の陣地に突入する直前に海賊が敵陣に到達するようにしておけば、敵の主力が防衛のため前線を離れている間に、有利な戦いを展開することが期待できる。使いようによっては嫌がらせ以上の効果を発揮する「海賊」は、是非とも積極的に活用したいものだ。

「海賊」を放置していたら自分のところにやってきてしまった。撃退するまで「マザーシップ」が釘付けとなり、戦略展開が大幅に制限されてしまう。賞金を賭け忘れないように、「海賊」のインターフェイスはこまめにチェックしておこう


■ キャンペーンモード未搭載は弱点。それでも手応えのある骨太の1本

本作は単体のマップで構成されており、キャンペーンモードに相当する構造がない。1ゲームあたりのプレイ時間が長いので妥当ではあるが、少々もったいない気もする
 これまで紹介したように、本作のゲームシステムは近年のRTSの世界にあって非常にユニークなものだ。ひととおりのプレイ感覚を掴む為にはチュートリアルミッションのプレイが必要になるし、マニュアルもよく読んだほうがいい。このプロセスは既存のゲームに慣れている熟練のPCゲーマーにとっては少々面倒くさい物かもしれないが、本作の戦略的面白さ、手応えの強さは非常に高いレベルにあり、一定の努力を払ってプレイするに値するものだ。

 その本作の大きな弱点と呼べるのは、一般的なRTSでは標準的に搭載されているキャンペーンタイプのゲームモードが存在しないということだ。本作でサポートされているゲームモードは、単体のマップを遊ぶシングルプレイモードと、オンラインで遊ぶマルチプレイモードの2つである。なにぶん1プレイに要する時間が非常に長いため、キャンペーンモードの非搭載はある意味で必然とも言えるかもしれないが、ゲームプレイを段階的に学ぶ構造になっていない点では、あまりにも玄人向けの内容であり、一面では不親切な設計であるとも言える。

 また本作はマップエディタやMODシステムをサポートしており、リプレイ性を高める努力をしているようだ。しかしながら、筆者が本稿を書いた時点での総プレイ時間は30時間ほどで、2陣営のマップを3回、4陣営のマップを2回ほどプレイできたに留まる。本作に同梱されている標準のマップは50近くにも及び、その全てをプレイしきるには到底届いていないため、長期的なリプレイ性の評価をおこなうことは現時点では難しい。購入を検討している読者の方は、今後のユーザー作成MODのリリース状況なども含めて、本作の展開を長期的に眺めてみてもいいかもしれない。

 以上のように弱点もあり全てを評価できるわけではない本作であるが、どのシリーズの続編でもなく新機軸のゲーム性は、RTS界に新たな風を吹き込む力をもっていそうだ。全体的に漂う重々しい雰囲気、重厚な戦略要素は十分な魅力をもっているし、結果的にもたらされている1ゲームあたりの長いプレイ時間は、プレーヤーを心地の良い睡眠不足に誘うことだろう。本作は欧米では既に高い人気を持つゲームタイトルとなっているので、今後は定番のシリーズとなっていくかもしれず、将来性にも期待大だ。骨太のRTSを求めるPCゲームファンには、是非お勧めしておきたい1本である。

【スクリーンショット】
本作は太陽系を舞台にした壮大なスケールのRTSとして、新機軸のゲームプレイを打ち出す。玄人向けの内容ではあるが手応えは抜群だ。RTSを愛するディープなPCゲーマーには是非体験していただきたいタイトルである

(C) 2003-2008 Ironclad Games Corporation Vancouver, BC. All rights reserved. (C) 2006-2008 Stardock Entertainment


    【Sins of a Solar Empire】
  • CPU:1.8GHz以上(推奨:2.2GHz以上のデュアルコアCPU)
  • メインメモリ:512MB以上(推奨:1.0GB以上)
  • HDD:3.0GB以上の空き容量
  • ビデオカード:128MB以上、Direct X9対応(推奨:256MB以上)


□「Sins of a Solar Empire」の製品情報
http://www.sinsofasolarempire.com/
□Ironcradのホームページ
http://www.ironcladgames.com/

□Stardockのホームページ
http://www.stardock.com/

(2008年4月7日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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