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発表会では最初に、ブログウォッチャー代表取締役社長の羽野仁彦氏が、「プロファイルパスポート」の概要について説明。基本的な部分は以前の発表会において説明されたものと同様で、ユーザーがブログやSNSなどで明示的に示す情報や、携帯電話の写真やカードの利用履歴などの暗黙的な情報を、データベース化して一括管理する。その情報を分析し、ユーザーの嗜好性に合った情報や広告を提供しようというもの。 情報収集には、SNS「Shooti Town」と、株式会社KDDI研究所が開発している携帯電話を用いた情報蓄積サービス「ケータイdeライフログ」を使用し、SNSに書き込まれた日記などのCGM(消費者生成メディア)と、ユーザーの行動情報を関連付けて蓄積する。さらにこれに加えて、「Game0.1a Wyrd」を使って、ユーザーの嗜好を読み取る。 技術的に詳しい解説もあったが、ゲームユーザーにわかりやすく理解してもらうため、先に「Game0.1a Wyrd」について、会場で実際に触ってみた感想を交えて説明していく。プレーヤーは、とある世界に猫の姿で呼び出され、その世界にいる少女とともに行動して、クエストなどを攻略していく。猫だけではNPCと会話もできないので、基本的にはこの少女を操作するような感覚でプレイすることになる。 ゲームの基本システムはRPGとして作られており、街(初期は「陽炎町」という街にいる)のNPCと会話しながら、「マール」という男からクエストを受けて、順に達成していくことでストーリーが展開していく。街には稀にモンスターが現われ、少女が魔法などを使って戦う。モンスターを倒せば経験値が得られてレベルが上がっていくという、スタンダードな仕組みになっている。他にも、衣装やアクセサリを付け替えて、アバター的に楽しめる要素もある。 ただ、「Game0.1a Wyrd」の本質はここではなく、他のNPCとの会話にある。例えば、あるNPCは服飾雑貨のユニクロについての話題を出し、「最近何を買ったか」と尋ねてくる。これに答えることで、ユーザーがユニクロで何を買ったか、という情報が「プロファイルパスポート」のユーザー個人情報として蓄積される。他にも、深層心理診断などとして、ユーザーにいくつかの設問を投げかけ、その中にデータとして使える質問を混ぜておく、といった仕組みも考えられている。 ゲームを楽しむという形をとることで、ユーザーが継続して使うためのモチベーションを高めることを狙っている。また「Shooti Town」とも連携しており、SNSであるイタリア料理店のレビューを書くと、「Game0.1a Wyrd」で空き地だった場所に、イタリア料理店が出店したりもする。またゲームのクエストのクリア報酬などで、自分の趣向や所在地に合った店のクーポンがプレゼントされたりもする。こうしてゲームとSNS、現実世界が相互に係わり合いながら、利用者のモチベーションを高めることを狙っている。 ゲームで得られた情報は「プロファイルパスポート」に送信されることになるが、ゲーム自体は1人用のRPGとなっている。ただ現時点では「プロファイルパスポート」の実証実験という段階なので、今後さらに色々な実験的要素が加えられることと思われる。 「Game0.1a Wyrd」のプラットフォームはWiiとPC。FlashとXMLを使用して作られており、ブラウザ用のコンテンツとして動作する。特にWiiにマッチするよう、ボタンを大きめにするなどの配慮もなされている。プレイステーション 3やニンテンドーDSなどのブラウザでの動作については、「動作する可能性はあるが、現時点では動作検証をしていない。今後は他のゲーム機でも動作検証を進めていく」としている。 「Shooti Town」と「ケータイdeライフログ」については、PCや携帯電話、PDAなど、幅広い端末から利用することを前提として作られている。ユーザーの位置情報の獲得には、携帯電話のGPS機能や、無線LAN(Wi-Fi)の電波状況で現在位置を知るシステム「PlaceEngine」を利用。ユーザーの位置情報をリアルタイムに取得する仕組みも取り入れている。 さらにSNSに日記などを書き込むと、その内容が解析され、ユーザーの行動や思考を分析。前述の位置情報と総合して、ユーザーに反映する。具体例を挙げると、北海道のユーザーが「東京に出張する」とSNSに書き込むと、そのユーザーの趣向に合った居酒屋のクーポンが「Shooti Town」の広告や「Game0.1a Wyrd」のゲーム報酬として提示される……といった具合だ。 こういったシステムにおいて、ユーザー情報がどのように管理・運用されるのかが気になるところ。ユーザーの情報は、メールアドレスを不可逆暗号化によりコード化された「PPID」を付加して送信される。個人情報を蓄積している「プロファイルパスポート」には、ユーザーを管理する「PPID」は渡されるが、不可逆な暗号なので、そのユーザーが誰なのかは特定できない。よって、これらの情報をショップなどに提供しても、あくまで見えるのは「PPID」とそのユーザーの嗜好性や行動履歴だけで、個人の特定には至らないという仕組みになっている。 羽野氏は、「通販サイトなどで、1つのサイトで得られる情報は限られており、ユーザーのライフスタイルに合った提案ができない。『プロファイルパスポート』を利用すれば、会員画面やメルマガなどに、ユーザーの嗜好に合った広告や情報を配信できる。これらの情報を活用するビジネスを探る」と、サービスの方向性と優位性を語った。
「Shooti Town」は、本日から実証実験が始まっており、現在は新規ユーザー登録を受け付けている。「Game0.1a Wyrd」は、「Shooti Town」のトップページからのリンクという形で公開され、こちらも同時に実証実験が行なわれている。ただしサーバー負荷などを考慮し、募集は一定人数で打ち切られる。先着順での受付となっているので、試してみたい人は早めに登録しておくといいだろう。
□ブログウォッチャーのホームページ http://www.blogwatcher.co.jp/ □「情報大航海プロジェクト」のページ http://www.igvpj.jp/ □「Shooti Town」のページ https://town.shooti.jp/ □関連情報 【2007年10月5日】ブログウォッチャー、Wii/WIN「チアフルタウン・オンライン」発表 「プロファイルパスポート事業」の情報収集モデルとして展開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071005/blow.htm (2007年3月11日) [Reported by 石田賀津男]
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