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★Wiiゲームレビュー★
「ウイニングイレブン プレーメーカー 2008」は、TVCMでの「フィールド上のすべての選手を思うがままに動かせる」というフレーズが印象的な、Wiiで初めてリリースされる「ウイニングイレブン(ウイイレ)」シリーズ。今作の特徴はなんといっても、Wiiリモコンとヌンチャクを使って選手を操作すること。 Wiiリモコンとヌンチャクを使って選手を操作するといっても、これまでのシリーズをプレイしたことのある「ウイイレ」ファンにとっては、プレイステーション、PS2、PS3版などでコントローラのすべてのボタンを駆使して操作していたことを、明らかにボタンの数の少ないWiiリモコンでどうやって? と、あまりピンとこない人も多いはず。かくいう筆者もその1人だった。 ゲームのほうは、「ウイイレ」シリーズは6作目くらいで一度挫折。個人的に大好きなサッカー選手の1人である中村俊輔選手がパッケージに起用された「ワールドサッカー ウイニングイレブン10(ウイイレ10)」で復帰するも、CPUのあまりの強さに心がポッキリ折れてしまい、それ以降のシリーズはまったく触れていない程度のレベル。 リアルサッカーの知識のほうは、日本代表の試合や日本人選手が出場する欧州リーグの試合を、TVの正面にドカッと座り込んでビール片手に観戦するレベルで知りえる情報が頭の中に入っている程度。「今の逆サイドフリーだろ~」とか、ペナルティエリア付近でディフェンス(DF)のプレッシャーを受けていないのに味方へのパスを選択し、それが繋がらなかった様を見て「なんでシュートしねぇんだよ!」とボヤくのが得意なただのオヤジです。 さて、「ウイイレ」シリーズの知識も、リアルサッカーの知識も中途半端な筆者がお届けする「ウイニングイレブン プレーメーカー 2008」のレビュー。プラットフォームがWiiになったことで、選手の操作法がガラリと変わった本作の魅力を、Wiiリモコンとヌンチャクを使った操作法とその感触をメインにお届けする。「Wiiで『ウイイレ』?」と疑問に思っている人の参考になれば幸いだ。
■ 直感的でわかりやすくなった選手の操作。だが試合の流れの中で実践するのは難しい
Wiiリモコンとヌンチャクを使った操作法は、パッケージに付属されている取扱説明書で、図解入りとはいえ、全65ページ中18ページにも渡って解説されている。さらに、KONAMIと任天堂の本作のサイトでは、基本・応用操作を動画で紹介。動画では、ポインターや各種ボタンを操作するタイミングを確認することもできるので、「どうやって操作するの?」と疑問に思っていた人は、ぜひ一度各サイトを訪れてみて欲しい。実際に選手やポインターの動きを見ながら操作法を確認できるので、どんなゲームなのかを頭の中でイメージしやすいはずだ。
Wiiリモコンやヌンチャクを使ったすべての操作法を細かく説明するとかえって混乱を招く可能性もあるので、ここでは「どんなゲームなのか」をイメージしやすいようにあえて、ポインターや各種ボタンの果たす基本的な役割のみに絞って紹介する。まずは、Wiiリモコンとヌンチャクで行なう選手の操作は、ドリブルにしろ、パスにしろ、すべての行動に対するアプローチの仕方がこれまでのシリーズとはまったく異なるということを覚えておいていただきたい。
【Wiiリモコン】
・ポインター
・Aボタン ボールを持っていない選手をスペースに走りこませる場合は、選手をポイントしたらAボタンを押したままの状態をキープして、その選手をどこに走りこませるのかを決めなければならない。Aボタンを押したままの状態でポインターを動かして、行き先を決めてからAボタンを放す、という操作をする必要がある。
・Bボタン
・十字ボタン
・振る オフサイドトラップとは、ゴールキーパー(GK)とDFの最終ラインの間にいる選手にパスを出してはならない(パスを出した瞬間にオフサイドの反則となる)、というサッカーのルールを利用したディフェンス側の戦術で、DFラインとGKの間を狙っている選手にパスが出されそうなときに、DFがわざとラインを押し上げてその選手とGKが1対1になる状況を作り出すというもの。もちろんタイミングが少しでも遅れれば、オフサイドにはならず、GKと相手選手が1対1になるという非常に危険な状況に陥る。
【ヌンチャク】
・コントロールスティック ちなみに本作のコントロールドリブルは、あくまでもボールをキープするために設定されており、いわゆる「ダッシュドリブル」はリモコンで操作することになる。
・Cボタン
・Zボタン
・振る
上記のように、Wiiリモコンとヌンチャクを使った選手の操作は、操作するボタンの数自体が減ったこともあり、これまでのシリーズとは比較にならないほど単純になった。特にパスに関しては、パスしたい相手・スペースをポインターで直接ポイントすることができるので、視覚的にもわかりやすいし安心感もある。 ただしこれらの操作を、CPU(プレーヤー)との試合で実践するとなると、途端にハードルが高くなる。なぜなら試合中は相手の選手が、こちらのボールを持っている選手に対してプレッシャーをかけてきたり、パスの対象となる選手のマークについたりするから。つまり、パスを出すにしても、ドリブルで突破するにしても、できる限り短い時間で判断を下して行動に移さなければならない。 味方へのパスを例にとって見ると、「パスを受けさせる選手をポイントしてBボタン」というように操作法自体は直感的でわかりやすい。しかし試合中に、敵と味方が入り乱れる画面の中で、相手選手の守備のプレッシャーを受けながら、(相手とかぶっていることもある)味方選手をできる限り素早く正確にポイントしてパスを出すとなると、一気に難しくなる。筆者にいたっては、操作法もろくに覚えていない状態でゲームを始めたため、最初のうちはボールを持っている選手と、その周りにいる1、2名の選手だけしか認識できず、まともにパスの受け渡しをすることができなかった。 それが、ゲーム中のチュートリアルや取扱説明書で操作法を覚え、徐々に操作にも慣れ、画面下にあるピッチ上の選手の位置を示すレーダーやボールを持っていない選手を見るタイミングがわかってきてから、プレイスタイルが大きく変わり始める。少しずつではあるが、ピッチ上の空いているスペースに選手を走りこませたり、相手のプレッシャーを受けていない逆サイドの選手にパスを出すなどして攻撃を組み立てることができるようになっていた。 ここで初めて、TVCMでの「フィールド上のすべての選手を思うがままに動かせる」というフレーズが現実味を帯びてくる。ピッチを広く見渡せるようになってはじめて、指示を出せる選手の選択肢が増え、さまざまな攻撃パターンを頭の中でイメージできるようになってくる。スポーツニュースも含め、最近の日本代表の試合をTVで見ているとよく耳にする「人もボールも動くサッカー」を、ゲームの中で実践することも理論的には可能なのだ。
■ 「チャンピオンズロード」や「Wi-Fi」など豊富なゲームモードで特訓の成果を試す 本作には、好きなチームを選択して試合を行なう「マッチ」、参加したリーグでスケジュールに従って試合を行なう「リーグ」、作成したチームで各地のリーグに参加する「チャンピオンズロード」、地域ごとに開催されるカップ戦を楽しむ「カップ」、基本操作を学べる「トレーニング」、選手やクラブチームの名前のほか、日本代表のメンバーを自由に選出できる「エディット」、Wi-Fi通信を利用して全国のプレーヤーと対戦できる「Wi-Fi」、Wiiリモコンに保存した選手をWiiリモコン同士で交換できる「トレード」の8種類のモードが用意されている。 この中で1人用のメインモードとなるのは、やはり「チャンピオンズロード」だろう。モード開始時に作成したオリジナルチームで、「大西洋リーグ」や「北ヨーロッパリーグ」などのリーグに参戦し、各リーグに所属するチームと対戦する。登場する選手のレベルは、「★」から「★★★★★」までの5段階。 このモードでは、試合終了後、試合に出場した選手を育成できるほか、新たな選手を獲得することもできる。選手は、試合後に「オフェンス」、「ディフェンス」、「スタミナ」、「スピード」、「パワー」、「テクニック」の各項目に自動的に割り振られる経験値を溜めることによって成長する。獲得できる経験値は、試合での活躍度によって変化。各項目のゲージがMAXになるごとに、基礎能力を上昇させたり、特殊スキルを習得させることが可能となる。習得できる特殊スキルは、無回転シュートを打てるようになる「ミドルシュート」や、おとりとなって相手選手のマークをひきつける「デコイ」など、選手のポジションによって多種多様なスキルが用意されている。 新たな選手は、試合終了後に画面上に並べられるカードを引くことで獲得する。画面上に並べられるのは対戦したチームに所属する選手で、カードは裏向きに表示されている。カードを引くまではどの選手なのかを正確に判別することはできないが、カードをポイントしたときに表示されるメッセージによって、ポジションなどをある程度予想することはできる。例えば「サイドのスペースを使おう」なら、WGやSMFなどの選手という具合。 「Wi-Fi」モードでは、フレンドリストから相手を選ぶ「フレンドマッチ」と、対戦相手をランダムで選ぶ「フリーマッチ」で対戦を楽しむことができる。 またフリーマッチで対戦相手を探すときの、検索条件や通信するデータの量をオプションで設定可能。検索条件では、通信状況の良好さを優先するぶん相手が見つかりにくくなる「レスポンス優先」、対戦相手を探すことを優先するぶん試合中の操作に対する遅延が発生する可能性もある「マッチメイク優先」、レスポンス優先とマッチメイク優先の間をとる「中間設定」の3タイプが用意されている。 通信対戦で緊張感のある面白い試合を望む人は、友人を登録しておくだけでなく、フリーマッチで対戦した実力の拮抗したプレーヤーをフレンド登録するよう心がけるといいだろう。常に互角の勝負を楽しめるため、お互いのスキルアップにつながる。
■ 攻撃面では若干弱体化したCPU。守備力と操作の自由度が高まり戦略性は向上 「ウイイレ10」を初めてプレイする時に、0-4くらいでCPUに負けた筆者としては、本作のレビューを担当することになったとき、操作法の次にCPUの強さが気になった。結論から書くと、初戦は前後半が終わって0-0、延長戦でも決着がつかず、PK戦で4-3の勝利。 前後半では得点が奪えず、勝ったとはいえ決して納得できる結果ではなかったが、「ウイイレ10」で大敗した筆者が負けなかったのは、CPUが多少弱くなっていることのほかに、AIの守備が賢くなったことも要因の1つとして挙げられる。 基本的には、攻め込んできた相手選手を適当にポイントしてAボタンを押すだけで、ボールを持っている選手にはプレスを仕掛け、ボールを持っていない選手はマークしてくれる。このときの味方選手の動きが予想以上に優秀で、ボールを持っている選手に対して2人でプレスを仕掛ければ、高い確率でボールを奪ってくれる。おかげで、「ウイイレ10」のときのような悔しい思いをせずに済んだ。 AIによる守備が賢くなったことで、CPU戦にしろ、対人戦にしろ、従来の「ウイイレ」シリーズよりも相手の守備を崩すための戦術を考えることが重要なゲームになっている。Wiiリモコンによる操作で、画面上の選手を自在に操れるようになったことを最大限に活かし、相手を騙すずる賢さが求められるのだ。 例えば、相手にマークされている選手をその後のプレイとは関係のないところに動かしてディフェンスをおびき出してスペースを作り、そこに別の選手を走りこませて攻撃を展開していくといった要領で、相手の守備陣を翻弄していく。このような戦術に関しては、取扱説明書にいくつか例が挙げられているので、それをヒントにして独自の戦い方を練るといいだろう。
実際のサッカーでも、“視野が広い”と言われる選手ほど、守備陣のプレッシャーをあまり受けていない状況では足元のボールを見ていない。試合の流れの中で、味方選手と相手選手の位置関係をいち早く把握して、よりよい選手・スペースにパスを送る。このとき、ボールを持っていない選手は、パスを受けたり、スペースを空けたりするためにピッチ上を動き回る。 本作でもそれは同じで、ロングパスが味方の足元に収まるまでの間やコントロールスティックで相手ディフェンスのいないところにドリブルする間など、ボールの行方を目で追い続ける必要のないときにできる限り多くの情報を集め、その後の展開を頭の中である程度イメージしておくことが重要となる。ボールを持っている選手が相手ディフェンスに厳しくプレッシャーをかけられる前に、次のパスを出すところを見つけたり、マークされている選手を空いているスペースに走らせてパスを出す場所を作り出したりすることが大切なのだ。
このように本作は、ボールを持っている選手をフェイントなどを駆使して華麗に動かすことよりも、相手の守備陣を崩すための方法を構築することが面白いサッカーゲームとなっている。最初は、選手が激しく動かないフリーキックやコーナーキックで、相手のDFをおびきだしてスペースを作る動きを覚え、最終的にはその動きを試合の流れの中で実践できるようにする。1人で複数の選手を操作するためどうしても限界はあるが、こちらの思惑通りに守備陣を翻弄して得点できたときの気分は最高だ。
□KONAMIのホームページ (2008年3月6日) [Reported by 中野信二]
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