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【Game Developers Conference 2008 現地レポート】

MicrosoftのAustin氏によるXbox Live Arcadeガイドセッション
体験版の重要性を強調。ただし“遊ばせすぎ”も禁物

2月18~22日(現地時間) 開催

会場:Moscone Center

 MicrosoftのScott Austin氏によるセッション「Taking Xbox Live Arcade Games to the Next Level」では、Xbox Live Arcadeの現状と、開発の取り組み方についての紹介が行なわれた。



Xbox Live Arcadeの北米のページ
 Xbox Live Arcadeとは、Xbox 360で比較的カジュアルなゲームをオンライン配信するシステムで、既に世界各国から多数のタイトルが配信されている。北米での人気ランキングを見ると、カードゲームやシンプルな対戦型アクションなどのカジュアルゲームはやはり人気がある。またその中には、「Rez HD」や「Bomberman LIVE」といった日本産のタイトルもいくつかランクインしている。

 セッションではまず前半に、体験版の重要性と、体験版を配信する際の注意点について述べられた。「体験版で遊ばせすぎるな!」など、ちょっと面白い話がいくつか飛び出したので、その様子を紹介しておきたい。



■ 体験版の作りで、製品版の売れ行きは大きく変わる

体験版の内容によって、販売数は大きく左右される。Xbox Live Arcadeにおいて、最も重要な要素といってもいい
 Austin氏は最初に、体験版の重要性を説明。製品版の販売数は、体験版のダウンロード数×コンバージョンレート(製品版購入率)で決まる。ダウンロード数はマーケティングやPRによって増やせるが、コンバージョンレートは、体験版の内容によってのみ左右される。遊んでみて面白ければ買うし、つまらなければ買わないという、シンプルな話だ。

 ただ、製品版が面白いからといって、体験版も面白いとは限らない。Austin氏は次に、体験版に必要な要素や、注意すべきポイントについて順に述べた。

 まず1つ目は、プレーヤーにゲームの面白さを経験させること。ゲームの最もいい部分がどこかを見極め、それを体験版で確実にユーザーに届けるのが大切だと説明した。それは必ずしもゲームのスタートから数分という仕切りではない。

 2つ目は、遊び方を教えること。Xbox Live Arcadeはパッケージタイトルとは違い、マニュアルがユーザーの手元にないため、遊び方を教えることはとても重要になる。特にオリジナル作品や複雑なゲームでは最も重要なことである。また説明は、適時出すことも勧めている。一度の説明で全てを教え、覚えてもらうのは難しいからだ。

 3つ目は、ゲームクリアのゴールを作ること。ユーザーから頻繁に寄せられる苦情は、ユーザーが自分のプレイしている内容や、理由が理解できないというものだという。目的や目標を明確にしないと、何をすべきかわからないままで面白くない。

 4つ目は、達成感を与えること。プレーヤーがゲームが進展していることを感じられないと面白くない。Xbox Live Arcadeでは、プレイ内容によってポイントを与える実績機能が使えるので、それを明確に示すことでも目標や達成感が与えられる。

 5つ目は、ローカルでのマルチプレイに対応させること。友人とのプレイは、購入にも強い動機を与えられる。またこのときのゲーム内容は、対戦よりも協力プレイのほうが望ましいという。

 6つ目は、プレーヤーが必要とするものを与えること。ゲームの面白さを示すことは大切だが、延々と遊べる場所を作るのはよくないので、スムーズに適切な場所で終わらせるようにすべきだという。もし無料の体験版が何度も繰り返し遊ばれるようなら、それはゲーム内容を与えすぎている証拠といえる。

 7つ目は、アップセル(上位の商品を勧める)は重要だということ。Xbox Live Arcadeにおけるアップセルというのは、無料体験版から有料の製品版へユーザーを誘導するということ。製品版ではゲームがどうなるのかは、明確に示さなければならないと説明された。またこれらの内容を示すための創造的な方法も見つけるべきだとした。

 体験版の中で、遊び方やゲームの面白いところ、目的を教えておかないと、ユーザーは体験版で見切りをつけてしまう。しかし無闇に要素を詰め込んだ体験版は、それ自体で遊べてしまうため、今度は製品版が要らなくなってしまう。ここのさじ加減を綿密に練りつつ、製品版の魅力をきちんとユーザーに伝えることが、Xbox Live Arcadeの体験版には求められるのだという。

「ゲームの持つ面白さをきちんと伝えなければならない」と語った次には、「体験版で遊べ過ぎてもいけない」というAustin氏。なるほど納得の内容なのだが、実際のバランス取りにはかなり苦心しそうだ




 体験版のガイドに続いては、Xbox Live Arcadeで何ができるかという説明をするため、既存のタイトルを紹介しながら、それぞれのユニークな遊び方を説明していった。スライドを交えながら順に紹介していくので、興味があればご覧いただくか、Xbox Live Arcadeで体験版を試してみていただきたい。

「Chessmaster Live」。オンラインでのメッセージチェスモードを搭載。毎日1手ずつ進められる、非リアルタイム型の遊び方 「Poker Smash」。ゲームデータを記録してアップロードでき、上級プレーヤーのプレイを見られる。また音楽やグラフィックスを変えるテーマも販売されている 「Heavy Weapon」。4人同時プレイも可能な派手なアクションゲームで、協力・対戦の両方のモードを備えている
「N+」。忍者を操ってトラップを潜り抜けゴールを目指すアクション型パズルゲーム。マップエディット機能も用意されているようだ 「Pinball FX」。カメラを使って手を写し、その動きをXbox 360が認識することで操作する 「Spyglass Boardgame」。相手の顔を見ながらプレイできるチェス。カメラの映像は加工もできる
「Rez HD」。独特なグラフィックスが注目されているが、複数のコントローラもバイブレーションさせるという機能もある 「Geometry Wars」。60秒生き残るだけというシンプルな実績が用意されており、プレイ目標を見出しやすい 「Tetris Splash」。ある実績が解除されると、背景で泳いでる魚の数が増えていく
「Small Arms」オンラインプレイのあるゲームモードをプレイするだけ、という実績があり、製品版を買えばすぐ手に入れられる 「Braid」。GDC2008で発表され、今春配信予定。「時間の操作に関するすべてのルールをねじ曲げる」という 「斑鳩」。機体の属性を任意に変えられ、同じ属性の敵の攻撃を吸収するという要素を備えたシューティング
「Every Extend Extra Extreme」。自分の好きな音楽トラックを選んでゲームをプレイできる 「Texas Hold'em」。自分のこれまでの各種プレイデータを確認できる
「Undertow」。Xbox Live Arcadeの中では、格別に美麗なグラフィックスを有する 「ダブルドラゴン」。アーケード版当時のインストラクションカードが見られるなど、貴重なデータを収録している


□Game Developers Conferece 2008のホームページ
http://japan.gdconf.com/
□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□「Xbox Live Arcade」のページ
http://www.xbox.com/ja-JP/livearcade/
□関連情報
Game Developers Conference 2008 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080221/gdclink.htm

(2008年2月25日)

[Reported by 石田賀津男]



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