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【Game Developers Conference 2008 現地レポート】

GDC Expo会場レポート
ハードメーカーから日本の出展社、GDCならではの“変わり種”まで

2月18~22日(現地時間) 開催

会場:Moscone Center

 ゲーム開発者向けのセッションが行われるGDCでは、それに合わせて会場内でGDC Expoというイベントが毎年開催されている。広いスペースに各社がブースを設けて展示やプレゼンテーションを行なうというもので、一見するとゲームショーのように見えるが、あくまで開発者向けということで、開発ツールやミドルウェア、最新テクノロジーのデモなどが中心となっている。

 全てのブースをレポートするには広すぎるので、今回はその中から、いくつかの気になったブースや商品を紹介していく。



■ コンシューマハードメーカー

 今回はNintendo of Americaと、Sony Computer Entertainment Americaがブースを出展。Microsoftは別に用意された商談スペースでかなり広い場所をとっていたが、一般向けには公開されないクローズドブースとなっていた。

 まずNintendo of Americaでは、Wiiの最新作となる「Wii Fit」と、「Super Smash Bros. Brawl (大乱闘スマッシュブラザーズX)」を並べて展開。いずれも北米ではまだ発売されていないため、常に誰かがプレイしていた。特に「Super Smash Bros. Brawl」は、4人同時プレイの場所を3倍くらいの人が囲むという人気ぶり。開発者もやはりゲーム好きだけあって、かなり楽しんでいる様子だった。

 その横にはニンテンドーDSも設置。こちらはPC版の発売日がついに決まった「Spore」のDS版、「Spore Creatures」の試遊台が置かれていた。PC版と連携はしないが、DS版同士でクリーチャーの交換ができるなど、PC版抜きの単品で遊べるデザインになっている。クリーチャーのデザインはPC版にかなり近づけており、「Spore」待ちの人にはこちらも期待が持てそうだ。

「Super Smash Bros. Brawl」が常に大混雑だったNintendo of America。こっそりと「Spore Creatures」が置かれていたが、2日目からは存在が知れてきたのか、人だかりができていた


 Sony Computer Entertainment Americaブースでは、「echochlome (無限回廊)」や「PAIN」などのPLAYSTATION 3用ダウンロードコンテンツの試遊台と、PSPを展開。PSPでは「Warriors Orochi (無双OROCHI)」や、「God of War: Chains of Olympus」、英語版「PATAPON」といった発売直前のタイトルも展示されていた。

 さらに脇を見ると、PS3用「グランツーリスモ5 プロローグ」を豪華なシートで遊べるものや、CellのSPUを使った物理演算シミュレーションなど、多方面に趣向を凝らして出展。ブース全体にまたがるような大型スクリーンも用意し、GDC Expoの入り口正面という絶好のポジションで、強く存在感をアピールしていた。

PSPでいくつかの新作が並んでいた。ほかにもSPUを使った技術デモなども行なうなど、ハードメーカーにしてはGDCっぽい出展になっていた




■ 日本からの出展

 ミドルウェアメーカーのCRI・ミドルウェアは、自社でブースを出展。GDC Expoへの出展は今年で5年目になるそうだ。ちなみに同社はサンフランシスコにもオフィスを持っている。

 今回はニンテンドーDS向けのいくつかのミドルウェアのデモを行なっていた。その中のDS向けのムービー再生システム「CRI Movie」は、今回のイベントで初公開となったもの。日本では「CRI Sofdec」や「シネマスタジオ」として提供されているもので、そのDS版が初めて公開された。

 この処理には、DCT演算が使われている。処理が重いため、これまではDSの処理能力では難しいとされていたが、軽量化のチューニングを進めることでDSでの動作を可能にしたという。デモでは約700kbpsで15fpsの動画を再生しており、全くノイズが見られない高画質さをアピールしていた。さらにビットレートを下げ、100kbps台にしても、見られるレベルを確保しているという。

 ほかには、声質を買えずに再生速度を変える「C-TST」と、高音質の音声再生システム「CRI Vibe(救声主)」の実演デモも行なっていた。

ミドルウェアは見せ方が難しいものだが、今回はDSでムービーを扱う製品ができあがったということで、実機で再生してその性能をアピールしていた


 Nokiaブースでは、SNAP Mobileコーナーが用意されており、D3パブリッシャーとジー・モードがSNAP Mobile対応タイトルを出展している。

2Dグラフィックスながら、FPS風のアクションが爽快な「Earth Defence Force」
 D3パブリッシャーは、先日の記事でセッションレポートをお届けした「Earth Defence Force (地球防衛軍)」を出展した。日本で配信されていないオリジナル作品で、「地球防衛軍2」の世界観を踏襲したものだ。

 2Dグラフィックスだが、拡大・縮小とアニメーションをうまく組み合わせて滑らかに動かしており、ゲームをプレイしている最中は古臭さを感じない。操作は照準を方向キーで動かし、中央のボタンを押して射撃。敵も時々弾を飛ばして攻撃してくるが、壁に隠れてやり過ごすという動きも可能。

 武器は2種類を持ち込め、ボタン1つでいつでも切り替え可能。またゲームをプレイするとたまるポイントで武器を入手できる。強力な武器を装備すれば、難しい難易度も攻略しやすくなるという仕組みで、繰り返し遊べるよう配慮されている。

 ゲームの制作は、基本部分を日本で行ない、Snap Mobileによる通信周りを海外で実装するという流れで行なっているという。Nokia Series 60の端末向けに作られており、iモード端末でいえば504iと505iの間くらいのレベル。同時発音数が1つなので、BGMとSEが同時に再生できないというつらさもあるのだそうだ。

 端末性能的にはオンラインの機能を別にすれば日本でも出せそうだが、もし出すならば、ステージや武器、ゲームモードの追加など、もう少しゲームとしての作りこみをしないといけないという話になっているとか。今でも面白くできているとは思うが、内容的にはまだミニゲームの域なので、オンライン機能を抜いて単品配信するなら、もう少し要素を追加する必要はありそうだ。

非同期のオンライン対戦を8面同時に行なえる「Chess a moment」
 ジー・モードは、チェス「Chess a moment」と、カードゲーム「heart Spade 2in1」の2タイトルを出展。「Chess a moment」は日本で配信されている「対戦チェス倶楽部」を踏襲しているが、NokiaのSeries 40向けに新規に制作されたもの。

 SNAP Mobileの通信機能を搭載し、世界各国のプレーヤーを相手に8人同時対戦(8面打ち)ができる。1手に30時間の猶予があり、1手動かしたら相手が動かすまでオフラインにしていてもいいという、非リアルタイムでの通信プレイができる。1対1でこの仕組みは少々退屈かもしれないが、プレイ頻度に合わせて対戦相手を増やしていけば、誰でも適当な量で遊べるのが魅力。

 自分が1手動かす際、定型メッセージを付けて送信できる。「渾身の1手だ!」といったプレイ内容を指したものから、世界各地で展開されることを考えて「おはよう」といった挨拶も用意。5カ国語に対応しており、メッセージは受けて側の設定言語に合わせて表示される。

 またSNAP Mobileに用意されているフレンドリスト機能で、フレンドのオンライン/オフラインの状態を確認できる。オンラインのユーザーには、リアルタイムにフリーワードでメッセージを送れる機能も搭載されている。

 ゲームはNokia端末に用意される専用のカタログからダウンロードし、クレジットカード決済で購入する。日本ではあまりなじみのない仕組みで、Nokia端末に限定されるということもあり、日本ではキャリア経由以外での課金形態はなかなか認められず(勝手サイトならともかく、端末に標準搭載されるものでは難しいのだそうだ)、またフリーワードでのメッセージ送信も原則禁止(全てのメッセージをチェックする場合は可能だが、世界中のユーザーとやり取りする以上は現実的な方法ではない)なので、展開は難しそう。同社の担当者は「近いうちに何とかできるように頑張っている」とも話していたので、今後の展開を見守りたい。



【その他の出展ブース】
Intelは、「Farcry2」や「BIONIC COMMANDO」といった最新のPCゲームを展開。いずれもプレイアブルな状態で、足を止めて見ていく来場者が多かった
AMDブースでは、Radeon HD 3870 X2を搭載したPCのデモのほか、ATI製ビデオチップを搭載したWiiとXbox 360も設置 Microsoftは今年はクローズドブースのみ。ただし広さは出展社中で最大 S3ブースでは、MultiChromeを使った3面モニタ環境のデモを実施。土台のシートは画面に合わせて動くという凝ったつくり
Logitech(日本ではロジクール)はWii用マイクを展示。このほかにも「グランツーリスモ5 プロローグ」を載せた筐体も用意していた Lenovoブースでは、同社がスポンサーになっているウィリアムズのF1マシンを展示……と思いきや、スクリーンがついていてレースゲームを遊べる
昨年同様、モーションキャプチャシステムがいくつも出展されている。いずれもリアルタイムで3Dモデルに動きを反映させるというデモを行ない、派手な動きでキャプチャの正確さを競っていた。中には「5K (5,000ドル)」と安さをアピールするところもあり、性能だけでなく価格でも熾烈な競争が繰り広げられているようだ
各国のパビリオン的なブースも出展されている。日本からはJETRO(日本貿易振興機構)が出展しており、シンプルにいくつかのスペースが設けられていた
“You are the Interface”というキャッチコピーで、カメラの映像をインターフェイスとして扱うシステムを展開している3DV Systems。ボクシングゲームがわかりやすく、夢中になって遊んでしまう面白さがある 半球面ディスプレイ「Z-Dome」。後方からプロジェクタで映像を当てている。周辺の光度がやや落ちているのが気になるが、間近に立つとかなり没入感がある
HPのゲーマーブランド「Voodoo」の製品として販売されている「DBOX」。シートの下にあるサスペンションがゲームの動きに合わせて伸縮し、割と派手に、かつリアルに動く。値段を聞いたら「5,000ドル (約55万円)」と苦笑いで答えてくれた なぜかNASAもブースを出展しており、宇宙服の置物があった。彼と握手すれば、大ヒットゲームを作って宇宙旅行に行くという夢が叶えられる、のだろうか……?


□Game Developers Conferece 2008のホームページ
http://japan.gdconf.com/
□関連情報
Game Developers Conference 2008 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080221/gdclink.htm

(2008年2月22日)

[Reported by 石田賀津男]



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