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★PS3ゲームレビュー★

「NFS」シリーズ初のクラッシュモデル搭載!!
スピードとリアリティを更に追求したシリーズ最新作

ニード・フォー・スピード
プロストリート



 コンスタントに続編をリリースしている人気レーシングゲームフランチャイズ「ニード・フォー・スピード(以下NFS)」の最新作が今年も登場、前作までの公道レース(ストリートレース)の追求を更に押し進め、改造車・公道レースファンの期待を裏切らない内容に仕上がっている。ビジュアル面の底上げも図られ、演出もレーシングゲームとしては異色の充実度を誇る今作「ニード・フォー・スピード プロストリート(以下NFSPS)」を早速プレイしてみた。


■ シリーズ最新作はよりストリートレースの世界を濃厚に追求

 本作はEAの人気フランチャイズだけあって、最新作となる「NFSPS」は何と7プラットフォームにリリースされる。日本でもニンテンドーDS版を除く6プラットフォーム向けに発売される予定で、その中でトップバッターを切るのがPS3版だ。PS3版はPLAYSTATION Networkに対応し、最大8人までのオンライン対戦をサポートしている。解像度は720pまでで、DUALSHOCK3にも残念ながら対応していないが、ロジクールのステアリングコントローラ「GT Force Pro」と「G25 Racing Wheel」をサポートしているのが特徴だ。

 毎年恒例の「NFS」シリーズも細かい外伝的タイトルや関連性のあるものを除けば本作「NFSPS」で12作目となる。「Road & Track」という米国で有名なクルマ雑誌の名前を冠していた初代「NFS」は、米国生まれのゲームプラットフォーム「3DO」で発売された。あっという間に消えた3DOだったが、中でも「NFS」は数少ない名作のひとつとして認知されており、約1年後の'95年にプレイステーションとセガ・サターン、そしてPC(当時はDOSだった)に移植され、以降フランチャイズとして本格的な成長を遂げていく。

 「NFS」シリーズの開発は一部携帯機用を除いてカナダのEA Blackboxが担当している。現在ではEA Canadaの一翼を担う重要な存在となっているが、2002年6月にEAに買収されるまでは独立系のスタジオとして、様々なプラットフォームに向けて「NHL」シリーズや「NASCAR 2001」などのスポーツゲームを手がけていた。最近ではNFSシリーズ以外にはスケボーゲーム「Skate」の存在が記憶に新しい。

 今回紹介する最新作「NFSPS」は、前作までのスポコン・ストリートレース路線を一層押し進めたものになっており、1つの街を自由に走り回れた前作までのゲームデザインに大掛かりな手が加えられた点と、ダメージ制度が厳密化されて、今回は車体が壊れれば修理が必要になり、更には修理にはお金がかかるようになった点が目新しい。

 ちなみにスポコン(=スポーツ・コンパクト)とは小型乗用車を改造したチューニングカーのことで、アメリカ西海岸が発祥の地とされている。使われるクルマも日本車が多いが、今作ではスポコンの範疇に含めていいのかわからない排気量の大きいクルマ、いわゆるマッスルカーも登場するため、扱われる車種は幅広い。

 ゲームはキャリアーモードがメインとなっており、プレーヤーは公道レースでならしたドライバー「ライアン・クーパー」となり、全米各地で開催されるバトルイベントにチャレンジしていく。

 キャリアーモード以外ではフリーバトルとクイックバトル2つのゲームモードが用意されているが、こちらはオンライン対戦もしくは画面分割による対戦モードとなっている。

初代発売から13年目を迎え安定した人気を誇る「NFS」シリーズ。今作もスポコンと公道レース路線をひた走る。フランチャイズモードはストーリー性が強くなり遂に主人公にも固定の名前がついた


■ NFSだからこそできた!? 登場する実車全てが壊れてしまう緊迫感を体験

国内外の有名・人気車種が多数収録されている
ランサー エボリューションなど走り屋御用達車もある
 「NFS」シリーズは、2003年11月に発売された「NFS Underground」以降はオープンワールド=箱庭の街をプレーヤーカーが自由に移動してレースをしていくシステムを採用してきた。今作「NFSPS」からはスポコン・公道レース路線は継承しつつ、封鎖された公道ないしはレース専用コース、特設コースなど限定された環境下でのレースに特化された形に戻されている。

 これは今までは違法な公道レーサーが街でライバルや仲間達と勝手にレースをしていた設定だったが、本作「NFSPS」では公道レーサーあがりの主人公(=プレーヤー)が、全米各地で開催されるバトルイベントに参加し、賞金を稼いで自分のクルマを強化してショウダウンキングと呼ばれるスゴ腕ドライバー「リョウ・ワタナベ」に挑戦し、公道レーサーの頂点・ストリートキングを目指すという明確な設定が付与されている。前作「Carbon」でも様々な登場人物が現れたが、本作ではもう一歩踏み込んでストーリー性を強調している点が特徴的だ。

 ゲーム中に登場するクルマは、トヨタ・ホンダ・日産・三菱・マツダ・スバルなど日本の主要メーカーを含む26社から55種類の車種が登場する。クルマはバトルイベントで得た賞金を使ってディーラーから購入するか、イベント中の勝利アイテムとして入手することができる。チューニング用パーツはクルマごとに購入が必要になるため、せっせとイベントに参加して賞金を貯めていく必要がある。

 「NFSPS」より所有している各クルマのチューニングに新しく「ブループリント」という要素がついた。これは要するにスペック表のようなもので、該当のクルマに積んである各パーツの種類と、チューニング状況、ペイントやバイナルといった装飾の類まで全て込み込みのデータになっている。プレーヤーは各クルマごとのブループリントを基にカスタマイズ・チューニングを進めていく。

 各クルマのブループリントは3種類まで保存しておくことが可能で、状況に応じたカスタマイズ、チューニングを選ぶことができる。オンライン上でブループリントを共有することも可能で、ツワモノのプレーヤーが使っているブループリントを自分のクルマに適用したり、自慢の設定を世界中のプレーヤーに向けて公開することもできる。

 本作は実車登場ゲームとしては大変珍しく、レース中の衝突などで受けたダメージ状況によってクルマが破損する様子が詳細に描かれる。一般的に自動車メーカーがゲームで自社のクルマを登場させる場合、その条件に破損・破壊行為に関する表現の規制がかかることが多い。これは実際の事故を連想させないためのもので、例えゲーム中であっても、実車を売る側の自動車メーカーとしては慎重にならざるを得ない。

 上記の考えは世界中の自動車メーカーでほぼ同じ見識だとは思うが、それを登場する全てのメーカー、新旧あらゆる登場車種に関してパスさせたEAのパワーは正直スゴイ。パブリッシャーの努力やNFSフランチャイズがもたらす影響力の賜物だとは思うが、他のゲームではなかなか実現できないことで、本作の大きな特徴の一つに挙げて良いだろう。

カマロなどスポコンの範疇には入らない車種も選べる カスタマイズマニアにはたまらない要素も盛りだくさんだ



■ 4種類のレースバトルにはそれぞれ専用のクルマを用意するべし!!

グリップレースは通常のレースと同じルール
とにかくライバルカーを追い抜け追い越せだ
ドラッグレースは開始前の準備がかなり重要
スタートとシフトアップのタイミングが勝負を左右する
 レースモードは大きく4つに分類されており、それぞれのジャンルにはいくつかのルールが用意されている。プレーヤーは各レースモードごとに専用のクルマを1台用意しておく必要があり、少なくとも最低4台を管理しなければならない。この点は今までのNFSシリーズにはない新しいシステムだ。

 各レースは本番となるバトルと練習の2つが用意されており、もし自信がない場合は事前にみっちり練習を積んでおくと良いだろう。

グリップ:
 通常のレースにあたるのが、このグリップレースで、全4種類のルールが用意されている。基本的には8台のクルマで順位とタイムを競う。「グリップ」は単純に順位を決めるだけのオーソドックスなレースで1位になれば相応のポイントとキャッシュがもらえる。

 「グリップクラス」は比較的スピードの遅いグループAとそれ以外のグループBと、2つの異なるクラスのクルマ各4台づつが混ざった形で展開するレースで、プレーヤーのクルマはグループAに属している。ルールが変わっているのは自分とは異なるグループに抜かれても勝負には影響がないことで、プレーヤーが純粋に相手にしなければいけないライバルカーは、同じクラスの3台(自分を除く)となる。

 「セクターシュートアウト」は、コースがいくつかのセクター(区画)に区切られており、各セクター間にはポイントが定められており、時間経過と共に減って行く。次のセクターに入るまでにライバルカーよりも大きいポイント数を維持できれば、そのポイントを獲得することができ、規定周回内にいかに多くのポイントを獲得できるかを競う。

 「タイムアタック」は決められた周回を走って最速のタイムラップを記録したドライバーが勝利となる。時間差でライバルカーも同じコースを走ってタイムを競っているため、まずはライバルカーの一群を追い抜くことが勝利の決め手となる。

スピードチャレンジ:
 封鎖された公道でレースをするモードで「スピードチャレンジ」と「トップスピードラン」の2種類がある。前者はグリップと同じ8台によるレースの公道版となる。後者はコース上に複数カ所用意されている速度計測ポイントでの通過速度を競う。ゴール時の順位は勝敗に関係がなく、速度計測の合計が最も高いドライバーの勝利となる。前作「NFS Carbon」にも同じようなレースモードがあったが、本作でも引き続き採用されている。

 その名の通り全レース中最もスピード感溢れるバトルが楽しめるのがこの分野で、馬力とスピードの出るハイグレード車を割り当てて勝負に挑みたいところだ。スピードが出ている状態でクラッシュすると悪夢のような大損害を被ることになるため、的確な運転テクニックも一層求められるレースと言えるだろう。

ドラッグ:
 いわゆる「ゼロヨン」などの呼び名で有名なドラッグレースは、400ないしは800メートルの直線コースの走破タイムを競うのが中心のシンプルながら奥の深いゲームだ。スタート前にタイヤをスピンさせてタイヤのグリップ力を高め、的確なシフトによるスピード確保とエンジンがオーバーヒートさせず無事にゴールさせるバランス読みがゲームの要。3本勝負となり、その中で一番高いスコアが最終スコアとなる。

 ウィリーコンペティションというモードも用意され、こちらは前輪を宙に浮かせたままでどこまで走ることができるかを競う。全般的にクルマのパワーが問われるレースモードで、ライバルカーの速さが実感でき自分のクルマが持つ性能の限界を痛感できるのもドラッグレースの特徴と言えるだろう。

ドリフト:
 改造車の登場するレーシングゲームの定番、ドリフトで得られるスコアをライバルと競う。ドラッグレースと同じように3本勝負で一番高いスコアが最終スコアとなる。ドリフトが続いている間はスコアが入り続けるため、いかに長くドリフトをするかが決め手となる。速いスピードでコーナーに入り、ドリフトを開始したり、長くドリフトが続くと特別ボーナスが入る。スピードとコーナーへの進入角度、そして持続が勝利の鍵となる。

 各バトルイベントは上記レースの複合になっており、プレーヤーのお好みで実際のレースバトルに挑むことが出来る。同じようなレースばかりだとマンネリ感は避けられないがグリップ・ドリフト・ドラッグとルールの異なるレースがうまく混在させているので、飽きずにイベントを進めていくことができるだろう。

 コース中のライン取りは緑色の矢印が表示されるため、この上を踏むように走ればもっとも的確なラインでコーナーを曲がることができる。スピードが出すぎて曲がりきれない場合は矢印が赤くなって知らせてくれるため、無茶なライン取りでコーナーに突っ込むようなことはプレイ中ほとんどないはずだ。

セクターシュートアウトは区間タイムをどれだけ短縮できるかが鍵 ポイントをあげるために最短のラインで走りぬこう


緑の矢印に沿って走れば最適なライン取りができる スピードチャレンジは全レース中もっとも緊迫感がある



■ 目指せストリートキング! キャリアーモードでバトルイベントの頂点に立とう

様々なレースが開催されるバトルイベント会場
レースに華をそえる!? 女性陣、実は実在のモデルさん
公道レースでならした主人公がバトルイベントに初参加
会場とレースを実況で盛り上げるDJも多数登場する
 「NFSPS」のメインモードとなるキャリアーモードは、4つのレベルに別れたキャリアマップをクリアしていき、最終的には各レースモードの頂点に立つ四天王と彼らを束ねる「リョウ・ワタナベ」をレースで破り、ストリートキングの称号を得ることが目的だ。

 各レベルにはいくつかのバトルイベントが用意されている。プレーヤーは各イベントに参加し、レースに勝利していくことでゲームを進めていく。勝者は賞金とポイントを得ることができ、ポイントが規定数に達すると該当イベントを勝利したことになり、賞金・賞品の獲得と更に先のイベントが解除されるようになる。

 勝利ポイントより更にレースを重ねてポイントをためていくと「圧勝」となり、勝利時よりも多くの賞金・賞品をもらえるようになる。各レベルの最後には「ショウダウン」と呼ばれるイベントが用意されており、このショウダウンをクリアしない限り次のレベルに進むことができない。

 ショウダウンイベントには各レベルの勝利数・圧勝数が規定の回数クリアされていないと参加することができない。ショウダウンの解除条件はキャリアマップ上から参照することができるため、苦手なレースが集中したバトルイベントは圧勝を諦めて勝利のみ狙うなどプレーヤーなりの戦略を立てる必要があるだろう。

 各バトルイベントはチャレンジバトルイベント(後述)を除き、レース中に発生した接触や衝突で追ったクルマのダメージはキャッシュもしくはリペアマーカーを使って修理する必要がある。ダメージを負ったまま次のレースには参加することはできないため、イベントを参加する際には必ず修理費をまかなえる程度の余力を残しておくか、もしくはスペアカーを予め設定しておかなければならない。

 例外としてチャレンジバトルイベントというイベントがあり、主催者側から全ての参加者に同じ車種・性能のクルマが支給されレース中に負ったダメージも無償で修理されるという特別ルールが適用される。余計な出費を気にせず賞金を稼げるため資金不足で首がまわらなくなってきた時には重宝するイベントだ。

 クルマのカスタマイズやチューニングはガレージで各レース用ごとに1台づつ行なうことができる。カスタマイズ項目は今回も気合の入った構成で、エンジン・ドライブトレイン・過給器・サスペンション・ブレーキ・タイヤ・N2O・ボディ・ビジュアルの各項目に膨大な数のメーカー製パーツが用意されており、プレーヤーは資金力の範囲内で最適のパーツを組み合わせ、自分だけのチューニングに仕上げることができる。

 ボディとビジュアルに関しては特に凝っており、ボディ用のエアロパーツはホイール・ボディキット・ボンネット・スポイラー・ルーフスクープ・エキゾーストチップ・ロールケージ・レーシングシートと各部位のパーツが更に細分化して提供され、前作「NFS Carbon」から踏襲されている「オートスカルプト」機能によりパーツの幅や高さ角度などを簡単かつ自由に変更することができる。

 ペイントもバイナル・デカール・ペイント・ホイールペイント・スモークフィルムの各部位に細かく手を入れることができる。バイナルやデカールはデフォルトで多数のデータが用意されており、レイヤーを使って重ね貼りをしていくことで、プレーヤー好みのオリジナリティのあるデザインを作り上げることが可能だ。

 ちなみにバイナルとデカールは指定した絵柄の移動・サイズ変更・回転・傾きが、オートスカルプトと同じようにわかりやすくカスタマイズすることが可能になっており、このこだわりっぷりはプレーヤー側としても開発側の並々ならぬ気合を感じた。

 クルマのチューニングはサスペンション・エンジン・ドライブトレイン・ブレーキの4点を調整することが可能で、プレーヤーの好みでクルマの挙動を決めることができ、エアロパーツを取り付けた際に変わってくる横Gや最高速度は、風洞実験をして車体にかかる空気の流れを視覚的に確認・変更ができる。

 以上のように部位ごとにプレーヤーのお好みで手を入れていくカスタムアップグレードが通常のプレイスタイルになるが、手っ取り早くアップグレードしたい、パーツの組み合わせとかあまり考えたくない、という場合はクイックアップグレードという選択肢もある。これならばキャッシュさえあればゲーム側で用意したアップグレードを自動的に適用してくれるが、ゲームの価値観を半減させるに等しい機能でもあり、なるべくカスタムアップグレードを使ってゲームを進めていった方が良いだろう。

 キャリアーモードにおけるクルマのカスタマイズ・チューニング機能はバトルイベントと同じかそれ以上の存在感を持っており、シリーズを重ねるごとに洗練されてきている。自分好みのクルマをつくりあげてレースでマシン性能を実証する、スポーツコンパクトの醍醐味をひしひしと楽しめるのが、このキャリアーモード最大の魅力だ。

ショウダウンキング、リョウ・ワタナベ颯爽と登場!! なぜか主人公についてはそっけないコメントを残すキング


初レースに勝利して大喜びの主人公ライアン・クーパー キングに目をつけられて猛烈に睨まれる。沸点が低いらしくすぐキレる


去る時も赤いスモークは忘れないキング しかしキングも女性と一緒の時は顔がほころぶ


カスタマイズには2種類の方法がある 手早く性能を上げたい場合はクイックアップグレードがオススメ


カスタムアップグレードではあらゆる部位に手を入れることができる 風洞実験で車体にかかる空気の流れを検証


オートスカルプトでパーツの変形・調整も簡単 ボディまわりの装飾も充実


デカールなどは細かい微調整も入れることが可能だ 更にこだわりたい人にはチューニングも用意されている



■ オンラインマルチプレイでは愛車データのブループリントも共有OK!!

チャレンジバトルイベントならクルマが最初から用意されている
ドリフトが大好きなプレーヤーにあたったようだ
 「NFSPS」のオンラインモードは、「NFS」シリーズ中で最も充実した内容に仕上がっている。オンラインに接続している全ユーザーのレース結果は、オンライン上のリーダーボードで常に更新され、世界中の「NFSPS」プレーヤーの中で、誰が最速記録保持者なのかが、イベント・レース単位でチェックすることができる。これはネットワークレディの最新プラットフォームだからこその仕様と言える。

 前述の通り、プレーヤーがカスタマイズ・チューニングしたクルマのブループリントも共有することができるので、今ひとつ自分が所有しているクルマの性能を発揮できていないなと思ったときは、他のプレーヤーのブループリントを参考にするのも面白い。

 オンラインマッチングは「フリーバトル」と「クイックバトル」の2種類が用意されている。自分でバトルイベントを主催したい場合は「フリーバトル」、手っ取り早く他のホストが主催しているバトルイベントに参加したい場合は「クイックバトル」を選ぶと良いだろう。

 プレーヤーによるカスタムバトルイベントは最大5つまでつくることが可能で、各イベントには最大8レースまで用意することができる。オンライン上のユーザーは海外ユーザーがメインになるが、筆者が確認した限りではバトルイベントの選り好みさえしなければ常時対戦に困らない程度のプレーヤーは接続おり、対戦相手に困ることはない。

 実際のマルチプレイ模様だが、対戦相手の接続環境によってはラグが発生することを仕方がないとして、問題なのはプレーヤーが対戦途中でゲームから抜けてしまうことが多く、レースをしても不完全燃焼の状態で終わることが多かったことだ。これは途中抜けしても何らペナルティが課せられないからではないかと思われる。

 これに関してはオンラインユーザー側のマナー向上が求められるところだが、マルチプレイを円滑に進めるため、継続してプレイしたくなるための仕組みをゲーム側でも用意しておいてもよかったのではないか思う。最近プレイしたタイトルの中では「Call of Duty 4」のマルチプレイのように、経験値とレベル、それに伴って様々な特典が得れるような要素があれば積極的なプレイが望めたと思う。次回作では、単なるマッチングサービスだけの提供よりも長くプレーヤー側がゲームを楽しめるよう工夫を凝らした設計を望みたい。

プレーヤーテクニックの差を露骨に見せ付けられる 自分がバトルイベントを主催することもできる



■ 練りこみ不足はあるが、公道レースの醍醐味はこのゲームでしか味わえない

 「NFS」シリーズは、もともと「カーグラTV」のように話題性の高いクルマを見栄えのするコースで走らせる楽しさをウリにしたレースゲームだが、「NFS Underground」の大ヒットでスポコン路線を開花させてからは、一貫して改造車・公道レースを追求していている。

 この路線変更は、初代からのファンである筆者は若干寂しい気もするが、クルマをカスタマイズする楽しさをゲームで理解できたのは、間違いなく本作のおかげだ。今後もこの路線をどんどん極め、このジャンルを完全制覇するまで突き抜けて行って欲しいところだ。

 「NFSPS」では、前作「NFS Carbon」から導入されたストーリー性のあるゲーム展開を引き続き踏襲しており、オープンワールドのシステムを撤廃し、自由度を犠牲にした見返りに最終目標を明確にすることでゲームの敷居を更に下げて、プレイしやすくした点は評価したい。反面、ゲームの面白さを感じる段階に至るまでやや時間を要するのがマイナスポイントだ。

 プレイ開始から数時間は遅いクルマでちまちまと賞金を稼ぐしかなく、飽きっぽい筆者の第一印象は必ずしも良好ではなかった。スピードとスリルを標榜するゲームであれば、初プレイ開始からプレーヤーの度肝を抜かせてくれるような展開を期待したいところだが、この点、若干肩透かしを食らった感がある。

 そういったアグレッシブなゲーム展開は、よりアクション味の強いレーシングゲームは同社のもうひとつのレーシングゲームフランチャイズ「Burnout Paradise」に任せたということなのかもしれない。チューニング志向の「NFS」とアクション志向の「Burnout」は、両最新作とも「破壊」が特徴にはなっているが、ほど良く住み分けがされており、どちらのタイトルも魅力的に映る。

 本作がカスタマイズやチューニングといったマニアックな要素を知識なしに楽しませようとしている点や、賞金を単なるパーツやクルマを買うという手段以外に修理費という用途に使わせるというマネージメント的要素を強化したことで、プレーヤーがゲーム中の主人公への感情移入をしやすくさせている点も、なかなか面白い。

 気になった点としては、最早「NFS」シリーズの悪癖にもなってしまっているが、レース中のフレームレートが安定しないこと、コーナーに差しかかる際やライバルカー達がたくさん表示されるようなシーンで一瞬止まることがあり、稀にレースの重要な局面でこれらが発生すると、気が散ることこの上なく、ファンとしては頭が痛い問題だ。

 ユーザーインターフェイスも今後要改善だろう。毎回レースから戻る際にオートセーブとリーダーズボードの読み込みに時間を食うため長時間プレイするほどストレスを感じてしまう。リーダーズボードの読み込みはキャンセルできるが、オートセーブに関してはオプションで無効にしておいた方が、スッキリとプレイできるはずだ。

 また、キャリアーモードにおける主人公の名前が「ライアン・クーパー」に固定されているのも気になった。DJによる実況などで頻繁に主人公の名前があがるため、ストーリー設定上仕方がないことなのかもしれないが、主人公の名前ぐらいは自由につけさせてもらいたかった。最大のライバル「リョウ・ワタナベ」をはじめ、日本人ドライバーもたくさん出てくるので、クルマ以外の部分も、カスタマイズできる余地があれば、よりゲームにのめり込めたと思う。

 レースのジャンルに関してもメインとなるグリップ系のレースは、結局のところプレーヤーカーがライバルカーより早く走れればいいだけなので、ルールの水増し感が強く物足りなさを感じる。ルール自体はたくさんあった方が必ずしもゲームとして楽しい、という訳でもないので、次回作以降でより練り込みをして欲しい。

 その他キャリアマップがわかりにくいとか、メニューの選択方法がまどろっこしいとか、色々言いたいことはあるが、全般的に重い・遅いのは次回作以降でぜひ改善してもらいたい。反面ガレージモードでクルマをカスタマイズやチューニングをする際のUIはなかなかよくできており、シリーズの積み重ねは伊達ではないなと感心させられる個所も多い。 シミュレーターと名のつかないゲームであれば、クルマの挙動だの運転だのという厳密な部分に関しては「ある程度はどうでもいいかな」と思うのが実際ところで、レーシングゲームとしての面白さを追及するのが大事だと筆者は考えている。

 2年周期くらいでクオリティの浮き沈みが顕著なのがNFSシリーズの特徴なのだが、毎回レーシングゲームとしてはしっかりとした思想とそれに沿った形での進化を遂げており、プレーヤーに期待感と夢を与えてくれているのは間違いない。

 世界中の有名なクルマをプレーヤーの思い通りに改造してレースをする、しかも今回は自分の操作いかんでは壊れてしまうかもしれないという緊迫感までプラスされた本作は、レーシングゲームファンには問題なくオススメできるゲームだ。


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□「ニード・フォー・スピード プロストリート」のページ
http://www.japan.ea.com/nfsps/
□関連情報
【2008年1月31日】EA、PS3/PS2/Wii/WIN「ニード・フォー・スピード プロストリート」発売
PS2版購入者を対象したキャンペーンとゲーム体験イベントを実施
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【2007年11月22日】EA、先着購入特典は「NISSAN GT-R」とのコラボステッカー
PS3/PS2/Wii/Xbox 360/PSP/WIN「ニード・フォー・スピード プロストリート」
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【2007年10月25日】EA、Xbox 360「ニード・フォー・スピード プロストリート」
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http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070817/nfs.htm

(2008年2月13日)

[Reported by GameDude]



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