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会場:天王洲 銀河劇場
今回の会社説明会は、あまり他業種ではみられないであろう演劇形式で行なわれるという、変わった趣向が取り入れられた。同社は、昨年の会社説明会でアメリカザリガニによる「コント」を導入するという思い切った方法を採用したが、今年はさらに押し進めた形となった。 東京会場となったのは天王洲・銀河劇場。2回に分けて行なわれ、第1回目は429名の学生が参加。ほぼ1階がぎっしりと埋まることとなった。さらに1回目が終了し劇場の外を見ると、入場を待つ学生がズラリと外にまで溢れていた。前日の通り、さらに大阪、福岡でも説明会を開催することを考えると、それだけ同社の人気が高いことが伺える。 日野晃博社長は会社説明において「レイトン教授」シリーズの出荷受注本数が約170万本を達成したことを挙げ、昨年から行なっているパブリッシャー事業の拡大が順調に進んでいることをアピール。さらに右肩上がりであることを示した売上実績のグラフを示し、ゲーム会社として安定していると説明した。 ちなみに、日野社長が「レベルファイブをどうやって知ったか?」と学生に問いかけたところ、「ドラゴンクエストVIII」と挙げたのが約半数で、それ以外が約半数となった。「レイトン教授」がヒットしたことや、「イナズマイレブン」、「白騎士物語」などビックタイトルの発表が相次いだこともその一因だろう。 ここで今回の会社説明会の目玉ともいえる舞台劇「ゲーム・クリエイター物語」が上演された。出演はアメリカザリガニの柳原哲也さん、平井善之さん、はなわさん、相沢真紀さん、広瀬美紀さん、沼田由紀子さん、高木稟さん。日野氏によればフィクションではあるが、色々と体験した内容も含まれたストーリーとなっているという。 マスターアップを控えた会社に「ヘッドハンティングしたヒットクリエイターがやってくるらしい……」という噂が駆けめぐる。その噂は現実のものとなり、「ヤジマ ショウ (はなわ)」が出社。チームメンバーと新作の制作に取りかかる。その一方で、最近ヒット作に恵まれないクリエイターの柳原 (柳原哲也) は自信をなくし、会社を辞めると宣言。それを聞いた営業の平井 (平井善之) 、同僚の真紀 (相沢真紀) は「待っている人がいる」と慰留する。真紀は1通のファンレターを柳原に差し出す。手紙にはゲームに励まされたことが綴られ、続編を作って欲しいと書かれていた。黙って聞いていた柳原は、一念発起、現場に復帰。ついにはミリオンセラーのタイトルを作り上げる。 「ゲーム・クリエイター物語」が上演された後は、同社のクリエイターが登壇。広報セクションのチーフを務める丸屋教子氏、第1制作グループマネージャーの赤坂泰洋氏、第2制作グループマネージャーの真島猛氏、第3制作グループマネージャーの楠田芳晃氏、そして日野氏によって、質問形式で会社の雰囲気や考え方などが説明された。 たとえばマスターアップについては赤坂氏が「プログラムを担当しているので、最後のややこしい部分で大変になる先ほどのドラマよりほんのちょっと大変です」と説明。しかし、終わったああとの達成感があるとし、リフレッシュ休暇などを取得することができるといった点についての説明も行なわれた。また、赤坂氏は「視察でチェックしているときに、お客様が買っていくのを見ると、リフレッシュされる」とコメントしていたのが印象的だった。やはりクリエイターとして、楽しんでもらえるというモチベーションが大切と言うことだろう。 このほかでは日野氏が「クリエイターなので、とがっている人が多い」としながらも、「チームで作業を行なうので、コミュニケーションを重視している」と学生に要望としてあげた。ただ、このコミュニケーションは難しい問題で、仕事に没頭すると忘れ去られがちで、軋轢は発生することがあるという。そう言ったときは親身になって聞く事で解決していくのだという。 また「福岡」についてだが、日野氏は「こだわっている」とし、「福岡という街を満喫しながらものつくりを行なってきた。そこでは、東京に行く必要はなかった」という。バランスの良い街で、日野氏曰く「クリエイティブに向いている街」と言うことらしい。これは以前、同じ福岡に居を構える「サイバーコネクトツー」の松山氏も同じ事を口にしていた。そういった魅力が福岡には確かにある。現在発展を続けているレベルファイブはすでに半数は福岡以外の土地から来た人で構成されているのだという。 最後に学生からの質問に答えるコーナーで「ブランドの方向性」について問われた日野氏は、「現在、ゲームは続編が多い。ブランドはタイトルについているからで、ゲームメーカーで選ぶわけではない。これは、ゲームメーカーのカラーが出にくい。我々はひとつひとつのタイトルを丁寧に作っている。たとえばスタジオ ジブリのように、『レベルファイブのゲームだから絶対に面白い』と言われるよう……、そしてそれが世界に通じるようなメーカーとなりたい」と説明。このほかにも株式上場などの質問が飛んだが、この点については「考えていないわけではない。でも今は、会社にスピード感が必要なとき。断定できないが、慎重に判断したいと思う」とコメントするに留めた。 最後に今後の展望について日野氏は「昨年パブリッシャー事業を始め、ゲームの制作から販売まで行なうようになった。『レイトン教授』の2作で約170万本という大きな成功を得て、アニメや映画になっていく。ゲームが起点となり、ゲームだけでなくエンターテイメントな作品を作り上げていくができた。全てのエンターテイメントの起点となる作品を作ることができ、そういった意味でも今後はさらに、(レベルファイブが) エンターテイメントブランドを目指していく」と挨拶し締めくくった。
今回の会社説明会では、会社側の勢いも感じたが、質問などからそこに集まる学生の熱気も感じることができた。そういった意味では人が集まり会社も勢いを増すという、いい循環が形成されつつあるようだ。そういった意味でも、やはり今後も注目のゲームメーカーであることに変わりはないだろう。 □レベルファイブのホームページ http://www.level5.co.jp/ □レベルファイブの新卒採用情報ページ http://www.level5.co.jp/creator/shinsotsu.html (2008年2月8日) [Reported by 船津稔]
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