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会場:マイクロソフト代田橋オフィス
「スパイク & Xbox 360 ニューイヤーパーティー 2008」は、スパイクとマイクロソフトが合同で開催したユーザー向けのクローズドイベント。スパイクが2月~3月に発売予定のXbox 360用タイトルの紹介およびプレイアブル出展、Xbox LIVE5周年の祝賀、特別ゲストの参加、ゲーマータグ交換会など、立食スタイルのパーティ会場ではさまざまな催しが行なわれた。 バーティの冒頭、マイクロソフト執行役員の泉水 敬氏は挨拶のなかで「Xbox 360ですが、まだまだ“街中の人気者”というところまでにはいたっておりませんが、ゲームのラインナップについては、みなさんに満足いただけるよう頑張っており、徐々に実現できているものと思っております。そのラインナップを支えていただいていますのが、スパイクさんをはじめとするサードパーティの皆さん。なかでも、スパイクさんは一昨年から継続して数多くのタイトルを出していただいています」とコメント。Xbox 360のラインナップを支えるサードパーティ各社に感謝の意をあらわした。 続けて泉水氏は「特に、昨年発売になりました『オブリビオン』、これから発売になる『バイオショック』など、欧米で大ヒットしたゲームを日本のユーザーのみなさんに届けていただくということで。当初、これらのタイトルがヒットしたとき『マイクロソフトは何をしているんだ! あのゲームをもってこないのか、頭が悪いんじゃないか!?』といわれておりましたけど、みなさんご安心ください(笑)。我々が頭が悪くてもですね、サードパーティのみなさんが、こういったゲームを日本にもってきてくれています。我々マイクロソフトも、海外のいいタイトルを日本のみなさんにお届けする体制を整えて、その作業を進めております。これからも日本のメーカーさんが発売されるタイトルを増やすのと同時に、こういった海外ゲームをひろく日本のユーザーにもご紹介していきたいと思います」とコメントした。
正直、クローズドイベントとはいえ自虐的すぎる表現はいかがなものかと思ってしまったが、さりとて(謙虚な氏の人柄からは有り得ないことだが)鷹揚に構えられても居合わせたファンにしてみればたまったものではなく、ある程度は仕方がないのかもしれない。願わくば、来年とは言わす今後のイベントなどで「もっと威勢のいいコメント」が泉水氏の口からユーザーに向けて誇らしく語られることを期待したい。
■ 「Bioshock」 ~ シニアデザイナー「ディーン・テイト」氏インタビュー ~
'46年、大西洋の海中に建設された海底都市「Rapture(ラプチャー)」。そこは、地上世界の法律や規制にとらわれない芸術化の楽園だった。だが、ウミウシの一種から偶然抽出された遺伝子物質ADAM(アダム)が発見されたことから、すべてが狂い始めた。アダムは、人間の肉体を変貌・強化するとともに、その理性を失わせる。アダムを巡る研究開発競争は、やがて武力を用いた抗争へと発展。一般人を巻き込み、ラプチャーは壊滅の道を辿る。プレーヤーは、'60年代に偶然の事故でラプチャーへの入口を発見した人物「ジャック」となり、数々の謎を解き明かしていく。 開発元の2K GAMESは“できるだけ自由奔放なプレイスタイルのゲームを作りたい”との想いから、同社作品「SYSTEM SHOCK2」を元に開発をスタート。当初は「第二次世界大戦中、化学実験が行なわれていた島」を舞台にする予定だったが、その後じっくり時間をかけて練り直した結果、今の世界設定に落ち着いたという。舞台を海底に設定したのは、プレーヤーに疎外感、失望感、絶望感を味わって欲しいからと説明。不可能を可能にしようとする「失敗する男」の話で、肥大化した野望が己の身を滅ぼすという世界観を追求しているという。 2K GAMESの開発チームはボストン、オーストラリア、上海の3カ所があり、それぞれ力を合わせて最終的には期待以上の作品を作り上げることができたという。世界観や重要人物「アンドリュー・ライアン」の過去、自由度の高いゲーム性など、ありとあらゆるところに細心の注意を払って開発を進めたが、なかでも重視したのは「ビック・ダディとリトル・シスターの関係」といい、発売後にプレイされる人は両者の関係から描かれるパートに注目してみてはいかがだろうか。
日本語版は、吹替え・字幕の完全ローカライズを実現。PC版のアップデート内容がすべて盛り込まれているほか、日本語版独自機能として、字幕と吹替えの切り替えが可能となっている。CEROレーティングはD(17歳以上対象)で、ゲーム内における表現などは英語版とまったく同じ。PC版のレビューにもあるとおり、本作は非常にグロテスクな表現が続出するが、そういった部分の改変やスポイルなどはまったくないという。正直「オリジナルと100パーセント同じ内容もそうだけど、よくCEROがDに収まったなぁ……」と感嘆せずにはいられない。2月21日発売予定で、価格は7,329円。
【 シニアデザイナー「ディーン・テイト」氏インタビュー ~】
―― 本作で一番表現したかったところは? ディーン・テイト氏(以下:ディーン) 「ビック・ダディ」と「リトル・シスター」との関係を主軸にした世界観の構築やストーリー展開です。 ―― 日本語版のローカライズにあたって、オリジナル開発元からの要望はありましたか? ディーン 日本語版は、オリジナルと何ひとつ違いはありません。プレイすると、色々なキャラクタが話をする。それは、世界(ラプチャー)のこと、個々の生活であったり、彼らがどうしてこうなったかなど。当初は字幕だけと考えていたが「読んでいるだけでは伝わらない」ということを考えて、世界観を伝えることを大事にしようと思った。開発元も満足していて、最高の状態で日本で発売できたと思います。 ―― 世界観を構築するにあたり、モチーフやベースになったものは? ディーン 設定は'60年代。当時は情勢が良くない。戦争があったり、宗教的な問題があったり……。それに対して「アンドリュー・ライアン」は「自分たちが守れる国を創ろう」と、海中都市を作ったというのが、そもそもの設定。インスパイアされたものは、'20年~'60年代のアメリカ。服装、小物、看板……アール・デコ建築などもゲームの世界観を構築するうえで欠かせない。設定的には、誰にも干渉させない世界を創る。それが、先ほどいった世界情勢と重なってくる部分です。 ―― オーストラリア、ボストン、上海と各スタジオで開発が進められましたが、大変だったことは? ディーン コミュニケーションを取るのは当然大変。でも、それ以上に見返りがあるのが“モチベーション”の部分をうまくコントロールできたこと。たとえばボストンだけで作っていたら……「Bioshock」は開発に5年を費やしていますが、ずっと同じところで作っていたら、そのうち嫌になってくる。それを解消するために(人員配置を)シャッフルした。たとえば、私は1年半ボストンで働いて、その後オーストラリアにいった。気分転換という部分がある。 もうひとつは、キャラクタデザインなどで同じものを作る。(他のスタジオが)自分たちが作っているものよりもクオリティが高かった場合「あぁ、俺たちも頑張らなきゃ」と相乗効果が出て、どんどんいいものができる。そのため、重要なメンバーなどをシャッフルした。そうしたとき、コミュニケーションの問題や目指すところが変わってしまう危険性があったが、クリエイティブ・ディレクターのKen Levine氏、デザイン・ディレクターのJon Chen氏、このふたりが中心になってブレを極力なくし、3カ国の開発チームをまとめあげて、ここまでもってきた。 ―― 海外のゲーム開発で、こうした手法は普遍的なのでしょうか? ディーン 基本的に、ある程度サポートして作っていくタイトルはあったが、「Bioshock」のように、オーストラリア、ボストン、上海がここまで協力して作ったのは初めて。レンダリングマシンの共有とか小さいことは今までにもあったけど、ここまですべてを協力するのは初めてでした。 ―― 幼女に見えるキャラクタ(リトル・シスター)を“刈り取る”表現……暴力的な表現が世界的に白眼視されているなかで、あえてチャレンジした意図は? ディーン 世界観的にも、アダムを作れるのはリトル・シスターしかいない。そうすると、スプライサーという住人は当然アダムを取るためにリトル・シスターを敵として戦い、その横に守護神としてビック・ダディが存在している。その世界の住人になったときは、みんなアダムが欲しいからリトル・シスターを襲う。そこにあえてユーザーの自由度、選択肢を作った。 ハーベスト(刈り取る)すれば、より多くのアダムがえられる。助ければ、少ないアダムしかもらえません。あなたはどうしますか? というところをトピック的にユーザーに投げかけているから、ああいう項目として入れている。ゲームの世界観から導き出されたものです。 ―― グラフィックスが圧倒的に美しく、なおかつゲームの自由度が高い。往々にしてこうした要素はどちらかに偏りがちだが、本作は非常にバランスが取れている。その秘訣は? ディーン 今までと作り方が違う。先ほどいったように、みんながモチベーションを下げずに最後まで作るというところと、重要なスタッフのシャッフルであったり。同じチームだけど相乗効果で“切磋琢磨”作り上げたこと。チーム全員が「Bioshock」の世界観が大好きで、みんなが賛成するものだったから、おのずといいゲームになったということです。 ―― グラフィックスのなかで、特に力を入れた部分は? ディーン 主軸にあるのは、ラプチャーの世界。これは絶対にずらしてはいけない。すべてにおいて「これはラプチャーにあうものだ」、「これはラプチャーらしくない」といったところが全体的に世界やアートになり、そのなかでも'20年~'60年代アメリカのたとえば家具であったり、細部にわたって「ラプチャーとはこういうものだ」という姿がアートチームのなかに(共通認識として)芽生えていて、それに突き進んでいったというのがグラフィックスのクオリティが上がった理由だと思います。なにかひとつ小さいことだけにこだわって作るのではなく、まず全体を見たうえで、チームがみんな同じ方向を見ていたことが良くなった秘訣でしょう。 ―― 制作に5年を費やすと、技術的にも色々な変遷があったと思う。苦労した点、時間がかかった部分は? ディーン 簡単に説明すると「SYSTEM SHOCK2」の後で「Bioshock」の制作を始めた。当初は第二次世界大戦、地上でのお話で、ある程度まで作ったものの、あまりにも自分たちが求めていたものと違っていたため一度ぶっ壊した。その後、2~3回そうしたことを繰り返した。でも、チームのモチベーション、考え方の理想を求めつづけて導き出したのが「Bioshock」。つまり、あきらめなかったこと。 開発はクリエイティブ・ディレクターのKen Levineなど数名から始まったが、ストーリーが一番時間がかかった。いつまでやっていたかというと、5年前から発売するギリギリまで。マスターアップする直前まで、ストーリーを手直ししていた。そこはやっぱり、このゲームのなかで譲ってはいけない、がんばらなきゃいけないところです。 ―― 本作はFPSスタイルだが、シングルプレイ専用でマルチプレイがない。これはストーリーに重点を置いた結果? ディーン (マルチプレイは)考えていたけど、世界観やストーリーといったなかで、画面分割でやらせるよりは、絶対にひとりでプレイして「世界を理解して欲しい」と考えました。 ―― 全米で高い評価を受けているが、これは予想した通り? それを受けて、日本語版に対する自信のほどは? ディーン 心配していた部分はありますが、唯一自信を持っていたのは「今出ているゲームの中で、ここまでクオリティの高いゲームはない」という点。トップまでたどり着いたという自負があり、結果としてユーザーに受け入れられたことを嬉しく思い、それが自信になりました。
日本語版に関しては、PC版のアップデートなどがすべて反映済みで、海外版よりも色々な機能が追加されている。日本で発売されることは当然嬉しいですし、成功して欲しいと思うし、その自信はあります。
■ Battlestations: Midway(バトルステーションズ: ミッドウェイ)
ゲームモードは、メインとなるストーリーモードとチャレンジミッション、チュートリアル、マルチプレイなどが用意されている。ストーリーモードは、プレーヤーがアメリカ海軍士官となり、真珠湾~ミッドウェイ海戦まで全11ミッションをプレイ。最初は魚雷艇からスタートし、ミッションをクリアしていくごとに大きな艦船が操作できるようになる。ミッションによっては作戦指揮を執ることもできる。 チュートリアルは、主人公が兵学校に入って艦船などの操縦法を教わる。チャレンジミッションは、ストーリーモードよりも難易度が高いモード。海戦、空戦、水中線など全11ミッションがあり、すべて史実の戦いがモチーフとなってる。プレイの内容によっては、史実とは異なる結果を出すことも可能。ちなみに、チャレンジミッションは8種類が「日本軍」側でプレイできる。 マルチプレイは、Xbox LIVEで最大4対4のオンライン対戦が可能。日米両軍にわかれて戦い、NPC艦船は戦略マップで指示を与えることができる。マップは10種類が用意されており、それぞれ勝利条件が異なる。イベント会場の一室では4対4のマルチプレイデモが行なわれていたが、ファーストインプレッション的に、プレイ感覚は非常にカジュアル。リアルさよりは「手軽さ」を重視した内容となっており、コアなミリタリーマニア諸氏は、エフェクトや挙動などの点で物足りなさを感じるかもしれない。
筆者個人としては、こうしたカジュアルに遊べるWW-IIマルチプレイタイトルが増えるのは嬉しい限り。フレンドと一緒にパーティゲーム感覚でやるのもいいし、野良で知らない人とチームを組むのもまた楽しそうだ。2月7日発売予定で、価格は7,140円。
(C)2007 Eidos Interactive Ltd. Published by Eidos interactive Ltd, 2007. Developed by Eidos Hungary KFT. Battlestations: MidwayTM, Eidos and the Eidos logo are trademarks of Eidos Plc. Marketed and Distributed in Japan by SPIKE.
■ TOMB RAIDER: ANNIVERSARY(トゥームレイダー: アニバーサリー)
10年前にリリースされ全世界で大ヒットした初代「トゥームレイダー」を最新技術でリメイク。最新3Dエンジンにより、グラフィックスのクオリティアップはもちろん、キャラクタの円滑なモーションがアクションゲーマーに新たな興奮を呼び覚ます。日本語版はテキストがすべて日本語化されており、ララ・クロフトのボイスは前作「レジェンド」に引き続き本田貴子さんが担当。日本語版独自機能として、字幕と音声の切り替えが可能となっている。
単なるリメイクではなく、初代にはなかったアクション、「レジェンド」で好評を博したシステム、アイテムなどを搭載。新要素が加わったことで、同じ謎解きでも攻略法が変わるなどの新鮮味が感じられるのがいい。同社では、10周年を記念して製品に特典DVDを同梱する予定。詳細は後日公式サイトなどで明らかにするとしている。3月27日発売予定で、価格は7,140円。
Lara Croft Tomb Raider: Anniversary (C) 2007 Eidos Interactive Ltd. Developed by Crystal Dynamics, Inc. Published by Eidos, Inc. Lara Croft Tomb Raider: Anniversary, Lara Croft, Tomb Raider, the Tomb Raider logo, Eidos and the Eidos logo, Crystal Dynamics and the Crystal Dynamics logo are all trademarks of Eidos Interactive Ltd. Buzz Monkey ? is a registered trademark of Buzz Monkey Software, LLC.
□Xbox 360のホームページ (2008年1月21日) [Reported by 豊臣和孝]
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