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★Wiiゲームレビュー★

「忘れたものを思い出させてくれる」
丁寧で、飽きさせないRPG

「オプーナ」

  • ジャンル:RPG
  • 発売元:株式会社コーエー
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:Wii
  • 発売日:発売中(11月1日)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)



 11月1日、コーエーよりWii初といえる本格RPG「オプーナ」が発売された。丸を基調とした温かみのあるキャラクタデザインと童話のようなストーリー、ヌンチャクでの操作に特化したシステムと、まさにWiiならではの1本だ。

 本作の開発は、かの「ドラゴンクエスト」シリーズのアートディレクションや開発などでおなじみのアルテピアッツァ株式会社。そして、ゲーム中で流れる音楽を手がけたのは「ファイナルファンタジータクティクス」や「伝説のオウガバトル」などで熱狂的なファンを持つ崎元 仁氏だ。ドームで、フィールドで、そして戦闘中に流れるさまざまな楽曲は、心を「オプーナ」の世界に優しく、そして時には勇壮に招き入れてくれることだろう。筆者は特に、ゲーム中盤で訪れることになるアルティエラというドームで流れている音楽に惚れ込んでしまって、何の用事もないのにアルティエラでぼんやりとしてしまうこともあった。

 このアルテピアッツァと崎元 仁という輝かしい実績を積み上げてきたトップクリエイターたちの手によって丹念に作り上げられた「オプーナ」の世界を早速紹介していこう。

【操作性について】
 本作は歩く、調べる、戦うといったすべての動作がヌンチャクだけでできる「親指らくらくプレイ」という操作システムをとっている。さすがにCボタンとZボタンも使うので何もかも親指1本で、というわけにはいかないが、移動時の操作はきわめて簡単で片手だけで済む。

 クラシック・コントローラにも対応しているが「ゲームは初めて」という人でもないかぎり、ヌンチャクでまったく問題なく動かすことができるだろう。でも、ゲームは初めて、という人だってご安心を。10分も遊べば基本的な操作はすぐに覚えられるはずだ。



■ ストーリーと、そこで描かれるもの

 ティティア星人のオプーナは両親と弟、妹、そして父の2人の部下と共に家族旅行でランドロールという星を目指し、宇宙を航行していた。しかしランドロール星を目前に宇宙船は事故に遭い、皆はバラバラに小さなポッドで脱出することになる。妹ポリーナ、弟コプーナ、そしてオプーナをポッドへと抱えいれて扉を閉める父ダディーナ。そしてオプーナはそのまま宇宙へと放り出されることになる……。

 オプーナが目覚めると、そこはトキオネという居住区ドームの一室だった。ドームの管理人、コンシェルジュによりランドロール星の住人として受け入れられたオプーナは、ランドロールの半分を占める「死の大地」に満ちる「闇のエナジー」を糧に生きる「ダークローグ」と戦う「ランドロールガード」という職業(ライセンス)に就くことになる。そして、ライセンスを極めた「フォースター」と呼ばれる者だけが行くことができ、大怪我をした父と母が体を癒している場所でもある「聖者の島」を目指し、たった独りの生活が始まるのだ。この後オプーナは与えられたノルマをこなしていくことでライセンスのランクを上げ、離ればなれになっていた弟妹と再会し、そしてランドロールで出会ったたくさんの人達の力を借りて、聖者の島へと赴くことになる。

 物語の中で描かれるのは家族や友情といった「絆」の話。そんなものは今ではもう語られつくされて陳腐なものになってるのではないか、と思われるかもしれないがそんなことはない。故郷から遠く離れた星に降ろされ、たった1人で家族に再会するため頑張るオプーナの姿を見ていると、自然と「俺が応援してやらなくちゃ、誰がこいつらを助けてやるんだ!」という気分になってくる。でも、そんな優しい気持ちになれるのは、ストーリーだけでなく、ユニークなグラフィックス効果も手伝っているのだろうと思われる。気が付くと、「立派なランドロールガードになって、早く両親のところへ行ってやりな!」なんて主人公に感情移入してしまい、もうこのゲームのトリコになっているのだ。

頭にボンボンがついているのがティティア星人の特徴。コロコロと動くお茶目なボンボンだが、これには聖なるエナジーがこめられているのだ。ランドロール星人の外見は、私たちと大差ない


■ 立派なランドロールガードになるために

 “ランドロールガード”の仕事はその名の通り、ランドロール星の平和を守るためにダークローグと戦うことだ。戦闘となると、オプーナたちティティア星人は頭の上にあるボンボン(球体)を飛ばして戦うのだが、これがヌンチャクスティックと連動していて、スティックの倒し方でボンボンの軌道と威力が変わるようになっている。スティックを前に倒せばお椀の底のような軌道を描くアンダースロー、後ろに倒せば山なり軌道のオーバースロー、そして左右に倒すことでそれぞれの方向にカーブをかけて投げることができるようになっており、戦闘ではこの4種類の投げわけができるのだ。

 序盤は適当に投げているだけでも何とかなってしまうのだが、敵の中には「何もしてこないけれどボンボンに触れると爆発する」タイプや「体力の多い壁役の陰に隠れて魔法を撃ってくる」タイプなどもいるのだ。そこで軌道を変えるこのシステムが活躍するというわけ。ボンボンを的確に投げ分けられると、これらの敵と対峙したとき効率よく戦闘を進めることができる。たとえば、コソコソと隠れて攻撃してきている敵を、壁役の巨大モンスターの股の間を通して狙い撃ちできたときの爽快感は何とも言えないものがある。

 また、宇宙の平和を守るヒーローのお約束としてなのか、すべての戦闘には制限時間が設けられている。通常は2分だが、ボス戦など相手が強敵になると潜在能力によりタイマーの値が増える。この時間が過ぎるとオプーナたちはエナジー切れを起こして負けてしまう。ボス戦では、相手の回復役を放置すると制限時間内にボスを倒しきれなくて敗北などということもあるし、加えて敵の一部には宙に浮いていたり、盾を構えていたり、「特定の角度からの攻撃に弱い」タイプのものもいるので、そういった点からもやはりボンボンの投げわけはこのゲームにおいて非常に重要な要素と言える。

 そして、もう1つの要素がスティックを倒す時間の長さによってボンボンにエナジーをチャージすることができるという点だ。エナジーのこめられたボンボンは当然、通常のものよりも威力が高くなる。ただ、ここで注意してもらいたいのはエナジーをチャージした分、そのエナジーが回復するまで行動不能の時間ができるということ。戦闘はリアルタイムで常に時間が流れているうえに、多いときには10体以上のダークローグが同時に出現することもあるので、仲間のいない序盤のうちは、このシステムをうまく活用するのが難しいのが残念。ただし、物語が進んで仲間が増えれば話は別。ほかのメンバーが行動しているうちにエナジーを回復することができるので、チャージした球を投げたり、エナジーを大量に消費して攻撃や回復といった効果を発揮する「フォース」なども使いやすくなり、戦略もぐっと幅が広がる。

 ここで少し、プレイしていて気になったことを挙げたいと思う。先ほど、戦闘中は常に時間が流れるということと、10体以上のダークローグが同時に出てくる場合もあるということを述べた。敵がたくさん出てくると、乱戦状態となってしまい、どの敵が今攻撃してきているのかわからなくなることが何度かあった。

 例えば、「さっきから毒の霧を吐いてきてる敵がいる。先に倒しておきたいけれど、どれだかわからない?」というような状況だ。こればかりはどうしようもないので、何とかすばやく問題の敵を見つけて叩きたいところなのだが、そこでもう1つ問題になるのが、その敵の選択方法だ。狙う敵を変更する方法は2つあって、1つはCボタンを押しながらスティックでターゲットを選択していく方法、もう1つがチャージ中にZボタンを押してターゲットを選択していく方法だ。

 前者のやり方だと先にスティックを倒してボンボンを投げてしまったり、カーソルが同じところでうろうろしたりして、なかなか狙いたい敵にカーソルがあわない状況があった。後者の場合は着実に狙いをつけることができるが、敵を選択している間ずっとチャージ状態になるので、その後の行動不能時間が痛い。この点に関してはとにかくたくさん戦闘をこなして、なるべく早くヌンチャクの扱いに慣れるようにするしかない印象を受けた。

この程度の敵数ならば余裕かもしれないが…… 多い時にはこれだけの敵が出る。油断は禁物 相手の位置とそこまでの障害物を把握して、やっかいな敵から狙い撃とう
浮いている敵にはアンダースローが有効 エナジーをためることによって威力を上げることができる。ただ、その後の硬直にはご用心 戦闘を補助してくれる聖なる力「フォース」。エナジーと相談しながら活用していこう


■ ライセンスとノルマ、そして「トモダチ」

 オプーナが、両親のいる「聖者の島」に行くためには、「ランドロールガード」というライセンスが必要なのは前述したとおり。ランドロール星には、これ以外にも「アテンダント」や「ファーマー」など、たくさんのライセンスがあり、それらはプレーヤーが自由に取得することができる。そして、ライセンスのランクに沿って与えられるノルマを達成することで、ライセンスのランクを上げていくことも可能だ。ライセンスの中にはゲームの進行に直接関係ないものもあるが、ノルマを達成すればそれに見合った報酬が支払われるので装備を増強することもできるし、特定のライセンスを取得することで、新たに行けるようになる場所も存在する。こういった点からも、ノルマを達成するメリットは多く、プレイする意欲にも繋がってくる。色々なライセンスを取って広い「オプーナ」の世界をすみずみまで探索するといいだろう。

 また、ライセンスを取得したりランクを上げたりしていく過程で出会う人々とは「トモダチ」になることができる。「トモダチ」になるきっかけは人それぞれで、話しかけるだけでトモダチになれるヤツもいれば、頼みごとを聞いてあげることでトモダチになれるヤツもいる。「トモダチ」は直接戦闘に参加してくれたりするわけではないが、たくさん「トモダチ」を作っておけば、本当に困った時、彼らはきっと助けに来てくれることだろう。

 そして、ドームやフィールドを歩いているときには、NPCだけではなく、ちょっとした街角のオブジェやメッセージも見逃さないようにしよう。気になったところはとにかくCボタンで調べる。きっとそこには新しい発見があるはずだ。

鉱山の発掘に人生を賭けた男、ヨゼフ。今はすっかり老け込んでいるようだが……? 自然が大好きなルー先生。ある目的があってこのドームに引っ越してきた
ひみつキーを集めれば、店では買えない貴重なアイテムと交換することができる。見逃さないようにしよう フィールドに設置された謎の芸術品。カメラを操作して色々な方向から眺めてみよう。意外な発見があるかも!?


■ 丁寧で、飽きさせないつくりに好感が持てる

 ここまで読んで「要は『おつかいゲーム』なのね」と受け止められる方もいるかと思うが、この「オプーナ」は決してそれだけのゲームではない。確かに、ライセンスの取得、ノルマの達成にともなって進んでいくストーリーにはそういう側面もあるが、それが同時に物語の中にちりばめられた謎を解きほぐしていくことにつながっている。

 「オプーナの宇宙船はなぜ事故に遭ったのか?」、「闇のエナジーとは何なのか?」ということが少しずつわかってくるにつれ、プレーヤーを徐々にストーリーに引き込んでいく作りは見事なもの。さらに、“離ればなれになった家族に会いたい”という、ただそれだけのシンプルなストーリーの中に丁寧に織り込まれたいくつかのサブテーマが非常にうまく調和している。外見だけを見れば、決して派手なグラフィックスではないし、壮大なボリュームのあるストーリーというわけでもない。ただ、「愛とか、勇気とか、感動とか、忘れたものを思い出させてくれる」というパッケージに書かれたこのメッセージに嘘偽りはないと断言できる。機会があればぜひ「オプーナ」の世界を体験してほしい。



(C)2007 ARTEPIAZZA/KOEI Co., Ltd. All rights reserved.
(C)Hitoshi Sakimoto

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□アルテピアッツァのホームページ
http://www.artepiazza.com/
□「オプーナ」のページ
http://www.opoona.com/
□関連情報
【9月21日】【東京ゲームショウ2007レポート】
「東京ゲームショウ2007」コーエーブースレポート
PS3/Xbox 360「真・三國無双5」に注目が集まる
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070921/koei.htm
【6月29日】コーエー、Wii「オプーナ」発売日が9月27日に決定。予約特典も公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070629/opna.htm
【5月25日】コーエー、Wii「オプーナ」
アクティブボンボンバトルの仕様等を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070525/opn.htm
【4月17日】コーエー、Wii「オプーナ」
新キャラクタなどの新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070417/opn.htm
【3月19日】コーエー、Wii「オプーナ」スクリーンショットを公開
ゲームの流れや世界観を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070319/opoona.htm
【3月14日】コーエー、今の時代を現わすRPGを目指す
アルテピアッツァ開発のWii初のオリジナルRPG「オプーナ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070314/opoona.htm

(2007年12月12日)

[Reported by ねこひげ合同会社 宮下 叶]



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