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ゲームのサウンド環境をグレードアップ! その1
Xbox 360やPS3のためのサラウンド環境を構築


 テレビの地上アナログ放送が地上デジタル放送になったのと同じように、コンシューマゲームの世界でもXbox 360とプレイステーション 3の登場により、HD映像の時代がやってきた。これらのゲーム機をより綺麗な映像で楽しむため、年末年始にかけてテレビを購入しようと考えている人も多いことだろう。

 しかし、ゲームの世界においてクオリティが上がったのは、映像だけではない。音のほうも、従来は左右のステレオだけ(2ch)だったものが、5個のスピーカーと1個のサブウーファーという構成による5.1chサラウンドが当たり前になった。中にはさらにスピーカーが2個増えた7.1chサラウンドの出力に対応したソフトも出てきている。

 映像に比べて、音はあまり重視されない傾向にあるようだが、2chから5.1chへの進化を体験すると、音に包まれる感覚が格段に増し、HD映像に勝るとも劣らないインパクトがある。またゲーム側で5.1chの出力をしているのに再生ができないのでは、ゲーム本来のよさを100%味わっているとはいえない。

 そこで今回は、5.1chサラウンドを実現する製品をいくつかピックアップし、実際に体験した感触をレビュー形式で紹介する。単純に5.1chの構成にするものだけでなく、1つのユニットで5.1chを再現するものや、ヘッドフォンでバーチャルサラウンドを実現するものなど、それぞれ特徴的な製品を紹介していきたい。

 また本誌はゲーム媒体ということで、CDなどの音楽ソフトやDVDなどの映像ソフトはあえて試さず、ゲーム環境でのみテストを行なった。使用したのは、5.1chの素材として、Xbox 360用「Halo 3」。そして2chの素材として、同じくXbox 360用「アイドルマスター」を使用した(「アイドルマスター」は5.1ch出力に対応しておらず、2ch出力となる)。

世界的な人気を集めるFPS「Halo」シリーズの最終章「Halo 3」。5.1chサラウンドに対応し、臨場感を高めているだけでなく、背後にいる敵の動きを知るための重要な情報源ともなる プロデューサーとなってアイドルを育成する「アイドルマスター」。サウンドは2chだが、アドベンチャーゲームのような会話シーンと、ステージで歌うライブシーンがあり、音の幅は広い



■ デノン「DHT-M380」

40型液晶テレビの前に、フロント2個とセンタースピーカー、サブウーファー(ラック左横)を配置したところ。ラックの左下にあるのがアンプ
 音響メーカーのデノンが発売している、5.1chスピーカーセット。同社の5.1chスピーカーのパッケージとしては最下位に位置する製品となる。価格はオープンプライスで、実売価格は40,000円前後。

 パッケージは、アンプとスピーカーセットが別々の箱になっているが、製品としては1つとして販売されており、これを購入すればすぐに5.1chのサラウンド環境が手に入る。

 スピーカーは木目調に統一されたデザインを採用。4つのサテライトスピーカー(前方の左右、後方の左右の4つ)とセンタースピーカー(前方中央)は小型なので、さほど置き場には困らない。ただ小型ながら重量があり、見た目にもなかなか高級感がある。唯一サイズの大きいサブウーファーも、幅13.5cmという薄さ。これは真正面におく必要はないので、なるべく邪魔にならない場所に置けばいい。

 アンプ部はシルバー。前面から見るとコンパクトにまとまっているが、奥行きが32.5cmと思いのほか長く、ゲーム機1個分くらいの場所を取る。設置場所は予め考えておきたい。

 次に設置手順を確認していこう。スピーカーケーブルは、アンプ側は電話やLANケーブルのような専用形状のコネクタになっており、挿すだけでいい。スピーカーケーブルはそれぞれ色分けされているので、アンプ側と色を合わせて繋ぐだけでいい。

 スピーカー側はさすがにコネクタにはなっておらず、2本に分かれた普通のケーブルを繋ぐ。こちらもケーブルにカラーテープが巻かれており、スピーカーの裏に書かれた色案内に合わせて繋ぐだけでいい。ただケーブルはリアスピーカーも有線で這わせることになるので、足で引っかけたりしないよう、じゅうたんの下や部屋の壁沿いなどにうまく這わせて隠しておくようにしたい。

 続いて、実際にXbox 360を接続してゲームを試してみた。「Halo 3」では、当たり前だがきちんと後方からの音が聞こえて、テレビからの出力に比べて臨場感が格段に増す。オープニングの音楽から5.1chに対応しており、きちんとリアスピーカーの音が鳴るので、始めた瞬間から「いつもと違う雰囲気」を味わえる。

 サブウーファーを含めた音のバランスはとてもいい。銃の発射音などの高い音ははっきり聞こえるし、爆発音などの低い音もきちんと響いてくる。特にキャラクタの声がよく聞こえ、ゲーム中に音声で出される指示がとてもわかりやすい(「Halo 3」の音声はセンタースピーカー固定ではなく、プレーヤーキャラクタとの相対的な位置から聞こえる)。

 「アイドルマスター」では、2chなのでセンターとリアからは音がでておらず(設定によっては出せる)、サブウーファーからは音が出ている。ライブシーンでは、高音の楽器の音が特にシャープに出てくる印象で、低音もサブウーファーできちんとカバーしている。人の声が聞き取りやすい感覚も変わらず、全体的にメリハリのある音が楽しめる。

 小型スピーカーながら、部屋の端に設置しても十分聞こえるだけのパワーはある。バランスを部屋の広さに合わせる設定も用意されており、6~20畳から5段階に調整できる。サラウンド環境のエントリー製品としては、十分に満足のいく音質が得られていると感じた。

 リモコンはDVDなどの操作も可能なAVリモコンになっているため、割と多くのボタンが付いている。ただゲーム機のスピーカーとしてだけ使うなら、せいぜい電源と音量、入力切替くらいのもので、他には特に触る必要はない。

 入力端子は、光デジタル入力端子が3つ。光デジタルケーブルは1本付属するものの、90cmと短いので注意。アナログはRCAステレオ入力端子も3つあり、ゲーム機の接続には十分な数がある。さらに前面にはステレオミニ入力も備えており、ポータブル音楽プレーヤーや、その気になればDSやPSPなどの携帯ゲーム機も接続できる。

 入力端子が多いので、ゲーム機だけでなく、CDやDVDを接続したり、地上デジタルの音声を入れたりと、幅広い使い方に対応できるだろう。デザイン的にも、リビングなどにおいてもいい雰囲気を出せる製品だ。

サテライトスピーカーは木目調の落ち着いたデザイン。小型ながら、見た目よりずっしりとした重さがある 裏側にはケーブルの色を案内するシールが張られている。サテライトスピーカー4つは共通の仕様なので、どの場所に使ってもかまわない センタースピーカーは、サテライトスピーカーを横に伸ばしたような形。幅21cmで、それほど大きくはない
サブウーファーは一見してそれとわからない薄いデザイン 横から見るとスピーカー部分が見える。ここを塞がないように置けばいい スピーカーケーブルは、アンプ側は専用形状のコネクタになっており、さらに色分けされていてわかりやすい
アンプは正面はさほど大きくないが、シルバーのデザインは高級感がある 背面の入力端子は、サイズの割には充実している。ゲーム機の接続で困ることはないだろう リモコンはDVDなどの操作にも対応している


□デノンのホームページ
http://denon.jp/
□「DHT-M380」のページ
http://denon.jp/products2/dhtm380.html



■ パイオニア「HTP-GS1」

フロント2個とセンタースピーカー、サブウーファーを配置。Xbox 360の上にあるのがディスプレイユニット
 Xbox 360にデザインを合わせた5.1chスピーカーセット。価格はオープンプライスで、実売価格は36,000円前後。

 本製品の特徴は、とにかくXbox 360に合わせた設計である。デザインが似ているだけでなく、パッケージには大きく「Xbox 360用」とうたっているし、マニュアルを開くと、接続方法の解説の部分が「Xbox 360をテレビに接続します」から始まるという具合に徹底している。もちろん、他のゲーム機も問題なく接続できる。

 デザインはXbox 360のホワイトとグレーの2色を使ったカラーリングで、Xbox 360と合わせると確かに統一感がある。サテライトスピーカーの丸みを帯びたデザインや、ミドルタワーPCのように見えるサブウーファーは、他にはないユニークなものだ。ただオーディオ機器としては質感がチープで、正直言って数万円するスピーカーセットには見えない。インテリア的にはゲーム用と割り切って考えたほうがいい。

 各種接続は大きなサブウーファーが中心となっており、電源やサテライトスピーカーのケーブルはここから取る。スピーカーケーブルは専用形状のコネクタを使っており、ワンタッチで挿せる。スピーカー側も色分けされているので、場所にあわせたケーブルを接続するだけで間違えることはない。ただこれもケーブルは全て有線となるので、邪魔にならないところをうまく通すようにしたい。

 操作はサブウーファーから有線接続されるディスプレイユニットで行なう。このディスプレイユニットが、Xbox 360を横置きしたようなデザインになっている。ただし奥行きはなく、簡単な操作とデジタル表示、リモコンの受信部として動いている。有線だけにちょっと置き場に困るのだが、デザイン的にはXbox 360と並べて置きたいところ。無理ならサブウーファーの上やセンタースピーカーの横に置けば邪魔にはならないはずだ。

 光デジタルケーブルは2.5mくらいの長いものがついている。サブウーファーを少し遠い位置においても、Xbox 360に届くようにという配慮だろう。

 Xbox 360を接続して音を鳴らしてみると、ゲーム的なシャキシャキとした音がするのかと思いきや、意外と落ち着いた音が出る。「Halo 3」では、爆発や銃撃の派手な音を目立たせるようなことはなく、必要な音がきちんと聞こえてくるという印象。特にリアスピーカーの音がはっきり出ていて、5.1chサラウンドの効果が強く感じられる。“音も情報の1つ”というようなシビアな対戦プレイを楽しみたいならば、この音質のチューニングがぴったりくるだろう。

 「アイドルマスター」では、人の声が綺麗に通っていると感じられる。楽器の高音がやや尖って聞こえる気もするが、サブウーファーのサイズが大きいだけあってしっかり低音が出ているので、全体的なバランスは悪くはない。ただ、ボリュームを大きめにすると音が安っぽくなっていくので、部屋全体をカバーするのではなく、リスニングポイントをテレビの前など狭い範囲に絞って配置したほうがよさそうだ。

 リモコンにはXbox 360ボタンが付いており、Xbox 360のユニバーサル メディア リモコンの代わりにも使える。Xbox 360の電源のON/OFFだけでなく、ディスクの取り出しやDVDの操作なども可能。Xbox 360をメディアプレーヤーとして使う際には重宝しそうだ。リモコンには入力切替ボタンもあるが、スライドカバーを動かしたところにある。この辺りは徹底してXbox 360での使用を前提としたデザインになっている。

 入力端子は、光デジタル入力が2つ、同軸デジタル入力が1つ、アナログのRCAステレオ入力端子が1つ。Xbox 360のほかに、PS3(光デジタル)、Wii(アナログ)を繋ぐとちょうどいい数になる。他に単体でラジオも聞ける。

 Xbox 360の接続を前提に考えられた製品だけあって、外見やリモコンの連携など親和性は抜群。デザイン的にはちょっとゲーム寄りすぎて、リビングには置きづらいかもしれない。ゲーム用のテレビが他にあり、そこで5.1chサラウンド環境を入れたいという状況ならば、外見的にも性能的にも満足のいく品になるだろう。

サテライトスピーカーは丸みを帯びたデザイン。Xbox 360に合わせたものだろう 背面を見ると、「FRONT-L」など1個ずつ指定がある。色分けもされているので、その通りにつなぐだけでいい センタースピーカーもカラーリングは同じで、横長にしたもの
ディスプレイユニットは、まさしくXbox 360を思わせるデザイン 背面に端子があり、サブウーファーと有線で接続される デザインを重視するなら、Xbox 360の上に置いてしまうのもあり
大き目のサブウーファー。下部にはXbox 360ロゴまで入っている 背面には複数の入力端子がある。Xbox 360以外の機器も接続可能 リモコンは左上の目立つ部分にXboxガイドボタンを搭載。入力切替はスライドカバーを開いたところにある


□パイオニアのホームページ
http://pioneer.jp/
□「HTP-GS1」のページ
http://pioneer.jp/xbox/



■ ヤマハ「YSP-500」

テレビの前に設置。この1ユニットだけで完結しているのが特徴。このテレビならば前においても邪魔にならない
 ヤマハの「デジタル・サウンド・プロジェクター」シリーズのエントリーモデル。価格はオープンプライスで、実売価格は75,000円前後。

 1つのユニットの内部に、16個のスピーカーと2個のサブウーファーを搭載した製品。格子状に配置された各スピーカーの音声を、それぞれ僅かにずらして出力することで指向性の高い音(同社は「ビーム」と呼んでいる)を作り出し、さらに部屋の反響音を使って、視聴位置で5.1chのサラウンドを実現する。多数のスピーカーを搭載して、見た目上は1ユニットでも本気でサラウンド環境を作ってしまおうというのが、同社の「デジタル・サウンド・プロジェクター」シリーズの特徴だ。

 1ユニットだけあって、外箱は5.1chスピーカーセットよりもかなりコンパクト。箱から出してみると、横幅は61cmとかなり長い。設置場所はテレビの前や下がいいと思うが、ラックによっては入らない可能性もあるので、予めチェックしておきたい。高さは12cmしかないので、テレビの前に置く分には、画面をふさいだりすることは少ないだろう。

 カラーは本体がシルバーで、前面がブラック。先進的な機能を持っているだけあって、落ち着いたオーディオ機器という風貌ではなく、テクノロジーが詰まったデジタル機器という印象が強い。ゲーム機とあわせるにも悪くないデザインだ。

 設置作業は予想通り、本体を置いて電源とオーディオケーブルを繋ぐだけ。スピーカーを置く場所やケーブルの取り回し方を考えなくていいというだけで、かなりのメリットを感じる。

 ただ本製品の場合、前述のように音のビームを作り出すため、ベストポジションを作る設定が必要になる。同梱されているダンボールの板を使って簡単なタワーを作り、その上に同じく同梱のマイクを置いて、視聴位置に設置する。そして接続本体の設定から「ビーム調整+音質調整」を選ぶことで、マイクが置かれた位置でのベストポジションを自動的に測定してくれる。測定作業は約3分で、その間は部屋から出るよう指示される(ユーザーが音の壁になってしまうため)。

 これらの操作は、本製品とテレビをコンポジットケーブルで接続することで、メニュー画面が出るので、それを見ながら行なう。コンポジットケーブルはパッケージに同梱されている。このような設定を行なうほかには使用しないので、終わった後に邪魔なら抜いて片付けてしまってもかまわない。

 まずはサラウンド効果を確かめるべく、「Halo 3」をプレイ。スピーカーが前面しかないにも関わらず、驚くほど音に包まれる感覚が得られる。ただ後方の音の位置については、正確とはいいがたい。今回のテスト環境では、配置的に壁と扉がある左側はまだいいのだが、空間が広くカーテンがある右側は効果が薄くなってしまった。この辺りはマニュアルにも書かれており、カーテンなど吸音性の高いものがある場合は、チャンネルごとに指向性を調整できる。これで少しは改善された。

 もう1つの問題は、あまり狭い部屋には適さないこと。上記の「ビーム調整+音質調整」は、スピーカーからマイクまでの距離が1.8m以上になることを推奨している。テスト環境の我が家では、1.8mがあるかないかといった程度。設置場所が好条件といえないのが辛いところだ。この救済措置として、近距離でも使用できる「マイサラウンド」というモードが用意されている。サラウンド感は得られるが、音の反射を考慮した設定ではないため、後方の音の改善には至らなかった。

 ただ、これはFPSなどで厳密な定位感を求めた場合の話。左右から後方へ音が広がる感覚は、これまでのバーチャルサラウンドスピーカーとは一線を画しており、雰囲気作りの音として欲しいならば、十分すぎるほどに味わえる。アドベンチャーゲームなどで雰囲気を盛り上げるためにサラウンドが欲しいならば、満足のいくレベルだ。

 「アイドルマスター」については、元々2chなので特に面白い音が出るわけではない。ただ音質は耳障りなところがなく、聞いていて心地いい。比較的、低音に不足を感じるところもあるが、別売りのサブウーファーを追加で接続できるようになっている。

 最初の設定がやや面倒なだけで、その後は操作が難しいところはない。モードがいくつか用意されており、5.1chを再生する「5ビーム」だけでなく、ライブステージなどの再生に適している「3ビーム」や、全てのビームを前面に向けて、正面ならば小さな音でも聞き取りやすくする「マイビーム」などがある。リモコンにも小型マイクが内蔵されており、それによってビームの方向を修正する機能も搭載されている。

 入力端子は、光デジタル入力が2つ、同軸デジタル入力が1つ、アナログのRCAステレオ入力端子が2つ。ゲームに限れば、十分な数といえるだろう。

 先進的な製品だけあって、エントリー機とはいえ価格はまだ高いものの、音質は値段に見合った納得のいくもの。何より設置や接続の手間がないのは嬉しい。5個のスピーカーをおいた場合と変わらない定位感を得るには、部屋の状態の確認や細かい調整が必要になるため、そう簡単にはいかないようだが、自動調整でも十分満足できるサラウンド感は得られる。FPSのようなシビアな情報を求めず、また映像や音楽も楽しみたいという人なら、検討する価値はあるだろう。

正面はメッシュ状の金属パネルになっており、下部にディスプレイが搭載されている 入力端子は背面に控えめに配置されている。ビデオ出力は本体設定時にのみ使用する
リモコンはテレビやAV機器を操作できるタイプで、ボタンの数も多い ダンボールのタワーの上にマイクを設置して「ビーム調整+音質調整」を行なう(実際は1.8m以上離れた場所で行なう)


□ヤマハのホームページ
http://www.yamaha.co.jp/
□「YSP-500」のページ
http://www.yamaha.co.jp/product/av/prd/ysp/ysp-500/index.html



■ ソニー「MDR-DS7000」

左がプロセッサーユニット、右がヘッドフォン(専用スタンドに置いたところ)
 今回紹介する中では、唯一のヘッドフォンとなる製品。価格は29,800円。

 ドルビープロロジックIIx対応による最大7.1chの音声を、VPT(Virtualphones Technology)という技術を使い、自然なサラウンド音場を再現するとしている。もちろんドルビーデジタルにも対応しており、Xbox 360やPS3の5.1chサラウンドも、ヘッドフォンに落とし込んでくれる。

 ヘッドフォンは、専用のワイヤレスヘッドフォンを使用する。2.4GHz帯の無線を使用しており、送信元となるプロセッサーユニットとの間に遮蔽物があった場合でも使用可能。最大到達距離は約30mとしている。

 ヘッドフォンはリチウムイオン電池を内蔵した充電式で、ACアダプタを接続して充電する。約30分の充電時間で約3時間使用可能、約3時間の充電では約10時間の使用が可能としている。ヘッドフォンは、頭に触れるフリーアジャストバンドが上に動けば電源が入る仕組みになっており、着ければON、外せばOFFになる。重量は約285gで、ケーブルが出ていないこともあり、ヘッドフォンとして特に重いとは感じられない。

 ターミナルとなるプロセッサーユニットは、各種音声入力と、ヘッドフォンへのワイヤレス音声出力、そしていくつかの設定切り替えが用意されている。サイズは幅と奥行きが14.6cm、高さ3.6cmと、片手に乗る程度の小さなもの。電源は付属のACアダプタを使用する。これはヘッドフォンの充電用ACアダプタと同じもので、パッケージには2個のACアダプタが同梱されている。

 設置はプロセッサーユニットにACアダプタを接続して、ゲーム機からケーブルを繋ぐだけ。あとはプロセッサーユニットの電源を入れて、充電したヘッドフォンをかぶれば、すぐに使用できる。バーチャルサラウンドや無線など最新技術が詰め込まれている割には、拍子抜けするほどシンプルに接続できる。

 次に設定項目を見ていきたい。まずバーチャルサラウンドの音場モードの設定として、「OFF」(通常)と、音の自然な繋がりを重視した映画鑑賞向け設定の「CINEMA」、方向感を明確にしたゲーム向け設定の「GAME」の3つが用意されている。設定切り替えは、「EFFECT」ボタンを押すだけ。プロセッサーユニットだけでなく、ヘッドフォン側にも同じボタンがあり、すぐに切り替えられる。どの音場モードを使用しているかは、プロセッサーユニットの前面にあるディスプレイパネルで確認できる。

 まず音場モードを「OFF」の状態で「Halo 3」をプレイしてみたところ、音の方向が驚くほど明確に聞こえた。キャラクタをその場で回転させると、はっきりと音が前へ後ろへと回っていくのがわかる。さらに「GAME」に切り替えると、低音が少し強調されるようになり、より音の位置が聞き取りやすくなる。5個のスピーカーを置いても、ここまではできないと思えるくらい、はっきり前後の音の違いが感じられる。

 もう1つの設定として、「COMPRESSION」というものがある。爆発音などの大きな音を絞り、逆にささやき声などの小さな音を膨らませるというもので、セリフが聞き取りやすくなるという。試してみると、確かにゲーム中の指示などの音声はより聞き取りやすくなるのだが、音のバランスが変わり、「Halo 3」ではやや音の位置はつかみにくくなったように感じた。

 次に「アイドルマスター」をプレイ。こちらは元々2chの音声なので、ヘッドフォンとの相性がいい。あとは音質の調整だが、音場と「COMPRESSION」の双方をOFFにした状態でも、かなりバランスよく聞ける。「COMPRESSION」をONにすると、ライブシーンなどでボーカルや楽器の音にメリハリが出て、シャープな音で楽しめる。さらに音場を「GAME」にすると、ボーカルが強調されて聞こえるし、「CINEMA」にするとリバーブ(残響音)がかかったように広がった音質になる。この辺りは好みに合わせて調整して聞くといいだろう。

 ヘッドフォンとしての基本的な音質はやわらかめの感触で、長時間使用していても聞き疲れしにくい。ヘッドフォンも大き目のオーバーイヤータイプで圧力も弱めなので、きちんと充電さえしておけば長時間にわたって快適に使用できる。万一ヘッドフォンの電池が切れても、ACアダプタを接続すれば充電しながら使用できる(ワイヤレスの利点はなくなるが)。

 ちなみにヘッドフォンには、上記の「EFFECT」ボタンのほか、ボリューム調節ツマミと、プロセッサーユニットの電源ON/OFFと入力切替ボタンも用意されている。「COMPRESSION」の切り替え以外は、ほぼ全てヘッドフォン側で操作できる仕組みだ。ただし電源が入っている状態、すなわちフリーアジャストバンドが少しでも上に動いていなければならない。配置を覚えれば着けたままでも操作できるが、外して操作するときは、フリーアジャストバンドをつまみながら行なうことになる。この操作自体は無線でやり取りされるので、プロセッサーユニットはディスプレイが見える位置にあればいい。

 入力端子は、光デジタル入力が2つ、アナログのRCAステレオ入力端子が1つ。このうち光デジタル入力は、各系統にスルー出力も用意されており、他のオーディオ機器に接続できる。スピーカーから出力したいときも、接続を切り替える必要がないという仕組みだ。

 とにかく驚くほど音の方向が明確に聞こえる。左右1つずつのヘッドフォンでは、それほどまともなサラウンドを実現できるとは思っていなかったので、とても嬉しい誤算だった。ゲーム中に音が途切れるようなこともないし、音の遅延も感じられない。5.1chスピーカーセットのように大掛かりなシステムを使うことなく、それどころかワイヤレスの環境で、ハイレベルなサラウンド環境を実現できる。FPSなどサウンドを重視するゲーム環境では、極めて優秀なヘッドフォンといえるだろう。

プロセッサーユニットは、いくつかのボタンとディスプレイがあるだけのシンプルな設計 入力端子はさほど多くはないが、光デジタル入力をスルー出力できる
ヘッドフォン側にはボタンが用意されており、ワイヤレスで設定を切り替えられる ヘッドフォンはアジャストバンドが上がると電源が入り、青いランプが点く。ボタン操作もこの状態でないと無反応なのが少々気になる


□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□「MDR-DS7000」のページ
http://www.ecat.sony.co.jp/avacc/headphone/acc/index.cfm?PD=29216&KM=MDR-DS7000



 今回は特徴的な製品を選んでレビューしてみたので、どの製品がベストバイ、といった話をするつもりはない。サラウンド製品の購入を検討している人は、それぞれの長所と短所を見極めながら、予算や自分のスタイルに合わせて選んでいただきたい。

 本企画のその2では、携帯ゲーム機を騒音下でも快適に遊ぶためのノイズキャンセリングヘッドフォンを紹介する。こちらも近日中に掲載するのでご期待いただきたい。

(2007年12月10日)

[Reported by 石田賀津男]



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