★PS3ゲームレビュー★
映画のような演出で次世代機のパワーを実感!
Naughty Dogが贈る痛快冒険アクション活劇
「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」 |
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今回ご紹介する「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝 (以下、アンチャーテッド)」は、プレイステーション 3の持つ高い表現力をプレイしていて強く感じることができるサード・パーソンアクションゲームだ。
ちょっと見た目は地味に思えるかもしれないが、プレイしてみればわかるゴージャスさと緊迫感溢れる戦闘、壁だろうが崖だろうがホイホイとよじ登り、飛び移るアクションなど、映画化もされた名作アクションゲーム「トゥームレイダー」を彷彿とさせる内容で、全てのアクションゲームファンにオススメしたい良作となっている。
■ 「Jak3」から約3年、Naughty Dogがシリアス路線で帰ってきた!
本作の開発を行なったNaughty Dogは、日本のゲームファンにも古くは「クラッシュバンディクー」シリーズや、最近では「ジャックXダクスター」シリーズといった、通好みのアクションゲームを世に送り出してきたスタジオとして知っている人も多いだろう。
キャラクタゲームが作品として多かった同スタジオだが前作「Jak3 (日本未発売)」から約3年ぶりの新作が、今回ご紹介するトレジャーハンター“ネイト・ドレイク”の活躍を描いたアクションゲーム「アンチャーテッド」となる。
本作はNaughty Dogが今までPlayStationプラットフォームで生み出してきたコミカルなキャラクタ路線を捨て、一転して現実世界を舞台にリアルな描写でゲームファンの話題を呼び、発売前より注目度の高かった一作だ。既に北米では11月20日に発売されており、現地の各ゲームメディアでも高い評価を得ている。
サブタイトルにあるように400年前に滅亡したとされる黄金の都、エル・ドラドの手がかりと、そこに眠る財宝を求めて秘められた謎を追うが、お約束で陰謀と危険が渦巻く大冒険がプレーヤーを待っている。
ローンチから1年を経過したが、まだまだPS3ならではのゲームソフトが少ない中、果たして「アンチャーテッド」はPS3を購入したゲームファンの期待に応えられるポテンシャルを持っているのだろうか? 筆者なりの印象を中心に本作の魅力をご紹介していこう。
■ ドレイク卿の財宝を巡ってネイト達の前に立ちはだかる敵を確認しよう!
プレーヤーはトレジャーハンターのネイト・ドレイクとなり、ケーブルテレビで人気のアドベンチャー番組「アンチャーテッド」の司会を務めるエレナ・フィッシャーと共に、先祖のフランシス・ドレイク卿の財宝を探す。
物語はパナマ沖に沈められたドレイク卿の棺を引き上げるところから始まり、南米のジャングルに埋もれた古代遺跡、崖の上に朽ちた要塞が佇む太平洋に浮かぶ孤島と、世界をまたにかけた冒険が展開される。
脇を固める登場人物としては、ネイトのパートナーでサリーことビクター・サリバン、犯罪組織のボスで同じくドレイク卿の財宝を狙うガブリエル・ローマン、側近のアトック・ナヴァロ、そしてローマンに雇われている海賊のボス、エディー・ラジャなど、ドレイク卿の宝を狙い様々な人物がネイトとエレナの前に絡んでくるのだ。
どの登場人物も性格付けがハッキリしており、特にネイトの皮肉とユーモアのセンスはなかなかのもの。ゲーム中でも色々なシーンで独り言が飛び出したり、戦闘中に悲鳴を上げたりと、武器を拾って「これだよ!」と一息ついたりと、プレイしていてると、何かとにぎやかで「痛快冒険アクション活劇」という言葉がしっくりくる。
もちろん敵側もネイトに向かって「もうお前はおしまいだ!」とか「見つけたぞ!」と叫んできたりするので、黙々と敵と交戦するようなことが一切なく、映画的な演出を徹底しようという制作側の意思がプレイしていて明確に見て取れる。
映画的な演出と言うと、ゲームの展開そのものが非常にハリウッド映画チックで、本作はゲームのデザインやジャンル的に「トゥームレイダー」と比較されることが多いと思うのだが「アンチャーテッド」もゲームとして人気を博すようになれば、設定そのままで、すぐにでも映画化できそうな構成になっている点が面白い。
【スクリーンショット】 |
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物語はドレイク卿の棺を引き上げる所から始まる |
主人公のネイトを操作して様々な困難に立ち向かおう |
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ヒロインのエレナは人気番組の司会を務めている |
ネイトのパートナー、サリーは果たして敵か味方か……? |
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犯罪組織のボス、ローマンもドレイク卿の財宝を追っている |
ローマンに雇われた海賊の親玉エディはネイトと旧知の間柄 |
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ローマンの側近、ナヴァロはインカ文明に詳しいようだ |
ドレイク卿の財宝を求めて密林をさまよう |
■ 映画的演出がキラリと光る、冒険活劇の世界を堪能しよう
「アンチャーテッド」の第一の特徴は、ズバリ「男版トゥームレイダー」と言っても過言ではない豊富なアクションにある。主人公ネイトは、プロのロッククライマーや冒険家でも絶対に行かないような急峻な崖や朽ちた城を登ったり、飛び移ったりと超人みたいな活躍をプレーヤーに魅せてくれる。
実際に操作をしているのはプレーヤー本人なのだが、軽快な操作感で様々なぶっとびアクションを易々とこなすネイトを見ているのはとても楽しい。ネイトをはじめとする各キャラクタの動きは「リアル」というか「自然」で、他のゲームのようにキャラクタを動かす時のぎこちなさが微塵も感じられない点が見事だ。
例えば走って急に方向を変えるときの動きや、壁によりかかって様子を伺うときなどの自然な仕草は、今まで不自然なキャラクタの動きを、ある意味当たり前と感じていたプレーヤーにとっては、次世代機のパワーを如実に感じるところだろう。
ゲーム内のキャラクタに命を与えるのは動きだけではない。「アンチャーテッド」に登場する人物の表情は、既存のゲームに比べると非常に豊かで、主人公も仲間も悪人も、みんな活き活きとしている。表情も笑ったり怖がったり、はにかんで見せたりと多彩なもので、これは本稿で多く語るよりも、実際にゲームをプレイした方が確実に納得していただけるはずだ。
もちろん表情だけではではなく、声の演出も日本版はぬかりがない。サリー役には「北斗の拳」のナレーター役などで有名な千葉繁氏を起用し、一筋縄ではいかないサリーの役柄を見事に演じている他、主人公のネイト役にウィル・スミスなどの吹き替え役で、正統派ヒーローを良く演じている東地宏樹氏、エレナ役に永島由子氏など、実力派声優を多数起用して、オリジナル版に劣らない世界観を作り上げている。
音声と字幕はオリジナルの英語・日本語両方がディスクに収録されており、好みに応じて英語音声・日本語字幕というパターンでプレイすることもできる。ちなみに全てを英語にすると、タイトル画面がオリジナル版の原題「Uncharted Drake's Fortune」に差し換わる。Blu-rayディスクが持つ大容量の賜物だろう。
ゲーム全体のビジュアル面は素晴らしく、特にインゲームとムービーのつなぎ目がシームレスに展開されるにも関わらず、違和感を全く感じさせないところがスゴイ。まるで映画の1シーンがそのままコントローラで動かせるゲームに切り替わるような印象を受けてしまう。また、ネイトが水の中に入るとキチンと服が濡れるなど、色々と芸の細かい点にも注目をしたいポイントだ。
しかし、ローディング終了直後や、ムービーからインゲームに移った際などで頻繁にテクスチャーの張り込みが間に合わない個所が散見される。テクスチャーが全て読み込まれるまで一拍~二拍くらいの間が空いてしまうため、せっかくの高いビジュアルクォリティが一転して興ざめになってしまうことがあり、この点は残念に思う。
その他見所としては、今回の舞台は熱帯雨林地帯や、太平洋の孤島など、密林地帯がステージのほとんどを占めているのだが、密林の木々が生い茂った描写は、筆者が今まで見てきたゲームの中で、抜群に雰囲気が出ている。プレイ中はぜひステージ中の様々な風景も堪能して欲しい。
【スクリーンショット】 |
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登場人物は豊かな表情を見せ、ゲームに臨場感を与えてくれる |
ネイトの嬉しそうな雰囲気がよくわかる |
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エレナがネイトに一発お見舞いする瞬間。表情にも注目したい |
戦闘中はカッコイイ見せ場がいっぱいだ |
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キャラクタのモーションが多く、実に人間くさい動きをする |
夕日が美しい太平洋の孤島が舞台だ |
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密林の表現はテレビゲーム機のタイトルでは屈指の出来だ |
孤島になぜか町の遺跡がある。どんな冒険が待っているのだろうか |
■ 基本は隠れて撃つ! 銃撃と格闘の組み合わせが楽しい戦闘シーン
冒険活劇ゲームには欠かせない戦闘は、銃撃と格闘の2つに分けることができる。基本的な戦闘方法としては敵からの攻撃を避けるために箱や壁・支柱などの遮蔽物に隠れて反撃を仕掛けるタイミングを見計らって攻勢に出る、というパターンが多い。
銃撃はメインの攻撃方法で、ネイトは2種類までの銃器を持ち歩くことができる。ただしライフル銃のような銃身の長い武器と拳銃、というような組み合わせのみで、種類の異なるライフル2丁というのは持ち歩く事ができない。
ネイトはデフォルトで拳銃を1丁持っているが、冒険の過程で様々な実在武器を拾って使うことができる。登場する武器は第二次世界大戦時のものから現代のものまで多種多様に用意されており、何よりこの手のゲームで意外なのが、銃器に対する描写が細かく、弾倉を交換する動きなどは、なかなかよくできており、マニア心をくすぐってくれる。各武器の弾薬補充は基本的に敵から奪って対応する。
射撃はねらわずに撃ちっぱなしも可能だが、はっきり言って当たらないので、必然的にL1ボタンで狙いをつけて撃つ必要がある。銃をしっかり構えて狙いをつけると、ちょうど「バイオハザード4」のような肩越しに銃を構えるような視点になる。この状態で移動も可能で、前方に敵が潜んでいそうな場合は、この視点のままで進むと良いだろう。
もし残弾が心もとなかったり、弾切れになった場合はパンチ・キックによる格闘戦に持ち込むことができる。コンボ攻撃も用意されており、うまくコンボをきめると敵が落とす弾薬を通常時より多くゲットすることが可能になるので、格闘戦に慣れてくれば弾を無駄遣いせずに効率よく補充できる。ただし、格闘中もまわりの敵は容赦なく銃弾を浴びせてくるので、1対多数のシチュエーションでは戦わないのが原則だ。
ネイトの体力は一定のダメージが蓄積すると倒れてゲームオーバーになるという、FPSゲームなどでよく採用されている方式になっている。ダメージを受け続けると画面が白み始めて心臓の鼓動が大きくなってくると、ヤバい状況のサイン。素早く敵から距離を取って遮蔽物に隠れてダメージが回復するのを待つようにすればいい。ちなみに敵のいる方向から重点的に白みはじめるシステムとなっている。
銃撃・格闘以外には、手榴弾と据付の機関銃を使うことができる。手榴弾はSIXAXISに対応しており、投げ方に少しコツがいるが、うまく狙った場所に投げることができれば複数の敵を一度に吹き飛ばすことができる。機関銃もワラワラと襲ってくる敵に大しては威力を発揮してくれる。
乗り物系としてはゲーム中にジープを使った逃走劇と、半水没した町の中をジェットスキーで疾走できるシーンが用意されている。戦闘の基本は序盤で解説されるので、実地で覚えていくしかない。敵の攻撃が軽い最初のうちに慣れておこう。
【スクリーンショット】 |
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格闘戦でコンボをきめると弾薬を多くもらえる |
戦闘の基本はまず敵の弾をかわすこと |
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格闘にも様々なモーションがあって面白い |
狙わずにバリバリ撃つと弾の無駄遣いで終わることが多い |
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射撃の基本は肩越し視点でよく狙って撃つべし |
前方に何があるかわからない時はこの視点のままで進もう |
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エレナやサリーと一緒に敵と戦うシーンも多い |
ジェットスキーに乗った時はエミリーが攻撃をする |
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ジープで密林を逃走するシーンは迫力満点 |
ステージ中随所に落ちてるドラム缶を撃つと爆発を起こせる |
■ 大人のゲーマーにオススメしたいPS3屈指の良質アクションゲーム
「アンチャーテッド」はPS3の持つパワーをいかんなくプレーヤーに体験させてくれるゲームとして注目するべきタイトルだ。全てがゴージャスにつくられており、しかもアクションゲームとしても良質、PS3ユーザーならば年末に必ずプレイしておきたい1本として強くオススメする。
ゲームの性質上「DUALSHOCK3」コントローラーによる振動機能はゲームを一層引き立たせてくれるため、可能であれば用意しておいたほうが更に楽しく遊ぶことができる。銃を撃っても何の反応も無いのは本作で物足りなさを感じてしまうだろう。
難易度全般は一番やさしい難度にしておけば、ほぼ詰まらずに最後までクリアすることができる。報酬目当てで宝物を集めるのに時間を取らなければ1スルーまでの時間は8~10時間程度だろう。全22から構成されるチャプターは、クリアーしたところまでならば、チャプター単位で再プレイが可能になる。
オートセーブもよく考えられておりステージ中こまめにセーブされるため、やりなおしもそんなに苦にならない。全般的に親切・丁寧が徹底した設計になっており、コアなゲームファンだけでなくともとっつきやすいだろう。
難を言うと、ゲーム中数カ所でカメラワークのひどくなる場面があり、10回以上連続してやりなおしをすることになったシーンがあった。本作のウリのひとつである、軽快な操作性が災いして些細な操作ミスをおこし、ゲーム進行のテンポを妨げ、ストレスをためてしまうところが惜しい。プレーヤー側が慎重に動けば良いだけという話もあるが……。
ゲーム中で様々な活躍をしたり、宝物を集めることで報酬解除される仕組みは、プレーヤーに達成感を与えてくれるものではあるが、ゲームを1巡しただけでは、ほとんどの報酬はゲットできない点は残念だ。
報酬にこだわると初級でクリアしたら今度は中級で……という感じにやり込みの必要性が発生するが、なまじストーリー性の強い一本道アクションであるせいか、一度クリアしてしまうともう一巡するだけの意欲を出すのはなかなか大変だ。贅沢を言うともう少し色々なゲームモードがあっても良かった。
全体から見るといくつか些細な不満はあるが、ゲームをプレイし始めればすぐに本作の持つ面白さが実感できるはず。筆者の個人主観ではあるが、PS3タイトルの中では屈指の完成度で、安心して遊べる内容を持っている。
ストーリーはありがちな展開ではあるが、プレーヤーの心を盛り上げてくれるし、豊かな表情と性格をもった登場人物、銃と格闘を駆使する緊迫感溢れる戦闘、インディー・ジョーンズなど足元にも及ばないタフなアクションで構成された本作は、大人のゲーマーが休日にじっくり (かつ、がっつりと) 楽しむタイプのゲームだ。
本作全般に漂うユーモアさは、ある程度年を取ったプレーヤーの方がツボにハマりやすい。海外ドラマの雰囲気やノリが好きな人にも本作は相性が良いだろう。「PS3を買ってはみたけれど、これだ! っていうゲームがなかなか無いんだよね~」と思っている人にはぜひオススメしたい。
【スクリーンショット】 |
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プロのロッククライマーも脱帽の崖登り |
遺跡の壁だって登ります |
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ツタを使ってターザンのようなジャンプもこなす |
クロールで優雅な水泳も。服がきちんと濡れている点に注目 |
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ジェットスキーのシーンは難易度が高い。何度もやり直しをすることも |
宝物を集めれば報酬として様々なボーナスが得られる |
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ボーナスの一例、メイキングビデオの数々 |
危機一髪シーンでは要求されたボタンをすかさず押すべし! |
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どう見ても人間の足跡には思えないものが…… |
孤島の要塞内で発見した映像。どうやらナチスドイツ兵士のようだが……? |
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□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」のページ
http://www.jp.playstation.com/scej/title/uncharted/
□関連情報
【11月30日】SCEJ、スリルに満ちた冒険が味わえるアクションADV
PS3「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071130/unc.htm
【11月15日】SCEJ、「PLAYSTATION Store」無料体験版を配信
PSP「勇者のくせになまいきだ。」など4タイトル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071115/pss.htm
【9月20日】ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)ブースレポート編その1
PS3&PSP用タイトルを大量にプレイアブル出展!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070920/sce1.htm
(2007年12月7日)
[Reported by Game Dude]
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