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★PSPゲームレビュー★

魔物が愛しくて仕方がないダンジョン・マネージメント
「勇者のくせになまいきだ。」



 10月某日、編集部から紹介記事の作成に必要な新作資料がいくつか到着した。普段なら何の前置きもなくスッと記事作成に入るのだが、ふと目にした“あるタイトル”が微妙に気になってしまい、資料とスクリーンショットにしばし見入ってしまった。あるタイトルとは、他ならぬPSP「勇者のくせになまいきだ。」のことだ。

 資料にひとしきり目を通すと、地下に穴を掘ってダンジョンを拡張し、「悪者退治じゃぁー!」と突っ込んでくる勇者たちを迎え撃つべく、魔物を作成して生態系を管理する「ダンジョン・マネージメントゲーム」だという。逆説的な視点もさることながら、8bit全盛期を意識したドット絵調のグラフィックスと、全体を覆う“悪ふざけ臭”が、筆者のヒネくれゲーマーセンサーにビンビンきた。この時点で「これ絶対にイケてる。 買うしかない!」という100パーセントに近い確信があり、筆者は体験版を待つことなく製品版の購入を心に決めていた。「根拠もないのになぜ?」と訝しがられるかもしれないが、これはもう感覚的なものとしか言いようがない。無論これは私的感覚であり、他のケースで「これは良い!」と周囲に勧めて、直後に絶句されたこともままあるのだが……。

 すでに「PLAYSTATION Store」や公式サイト経由で体験版をプレイした人も少なくないと思われるが、その一方で「面白そうだけど、PSPを持っていない」、「手近にインターネット接続環境がない」といった人もいるだろう。そこで今回は、本作の魅力をひとりでも多くの人に喧伝すべく、僭越ながら筆者がレビュー記事を担当させていただいた。ボタンひとつで指先から生み出される、種々雑多なダンジョンの生態系。シンプルに磨きぬかれた“とっても素敵なチマチマ感”の一端を、いくらかでもお伝えできれば幸いだ。


■ 基本は「つるはしで土を掘る」だけ 〜 なのにとっても奥深い 〜

 ゲームモードは、全8ステージを通してプレイする「ストーリー」、ルールやテクニックを学んだり、難しい問題に挑戦する「トレーニング」のふたつがメイン。ちなみに後者「トレーニングモード」内にある「チャレンジ」は“ステップアップ式のドリル”ともいうべきもので、学んだテクニックはストーリー中で存分に活かすことができる。

 トレーニングモードがあるということは、さぞ複雑な操作やルールが……と先入観を抱かれるかもしれないが、そんなことはない。ゲーム中にプレーヤーがやることは、ダンジョンの入口から、4層に色分けされた地中に向かって通路を掘る、ただそれだけ。ちなみに、掘ることができる土は“通路に隣接している土”に限られる。

 ストーリーモードにおけるゲームの流れは、基本的に以下のとおり。

  • つるはしで土を掘る(通路、魔物を作る)
  • 勇者が攻めてきたら、魔王を安全な通路に退避
  • 魔物との戦いで勇者が力尽きれば勝利、魔王が勇者に連れ去られたらゲームオーバー
 ルールは簡単明瞭。つるはし1本で土を掘り、魔物を作って生態系を構築。一定の時間が過ぎると入口から勇者が攻めてくるため、プレーヤーは自身を“破壊神”と崇める「魔王」を通路のどこか安全な場所に配置する。勇者と魔物は独自のAIで勝手に行動するため、プレーヤーはそれを踏まえて状況に応じた手……というか、つるはしを振り下ろしていく。

 ここで「つるはしで土を掘るのはいいけど、じゃぁ魔物はどうやって作り出すの?」と疑問に思われた方も多いだろう。実は、土には「ただの土(レベル0)」と、「養分が含まれた土(レベル1〜3)」、「魔分が含まれた土(レベル1〜3)」の3種類があり、養分もしくは魔分が含まれた土を掘ると、そのレベルに応じた魔物が出現する。

【土を掘って通路を作る】
後述する掘りパワーを消費して土を掘る。通路はダンジョン内の“血管”ともいうべき存在。計画的に掘らないと後で自分(主に魔王)に跳ね返ってくる
【栄養分のある土を掘ると魔物が出現】
魔王を守るための盾となる愛しい魔物たちは、養分または魔分が含まれた土を掘ると出現。見ているだけで癒される(?)が、勇者が攻めてくるため余裕はない。ここは“生めよ増やせよ地に満ちよ”の精神でダンジョン内の生態系を形づくっていくのだ
【魔王が勇者に地上まで連れ去られたらゲームオーバー】
勇者の狙いは魔王のみ。なるべく安全な通路に退避。△ボタンで広い範囲が見渡せるので便利。地上に連れ去られると即終了


 出現した魔物たちは、通路を勝手に徘徊する。魔物には「生命力」というパラメータがあり、行動するごとに減っていき、勇者の攻撃を受けると激減。ゼロになれば、精根尽き果てて死ぬ。これだけだと魔物は減る一方だが、そこはもちろんゲームならではの工夫が施されている。それが、本作に導入された「ビオトープ」という概念だ。


■ ビオトープ 〜 魔物が生まれ、育ち、死んでいく、その環境と循環 〜

 以前の記事でも触れているが、本作は“ビオトープ(bio「命」+topos「場所」)”と呼ばれるドイツで提唱された環境に対する考え方が「RPG的文脈」で解釈されゲーム内にとりこまれている。

 ビオトープは、経済的繁栄を目指す人間の開発によって失われた“小さな生態系”を、人為的に復元および保全しようという概念。本作では、生物を「魔物」、生息場所を「ダンジョン」、開発による環境破壊を「勇者」にあてはめ、これをvideotope(ビデオトープ)と呼んでいる。勇者による環境破壊、すなわち魔物に対する攻撃は「ダンジョン内の生態系」に悪影響を与える。ゆえに、勇者が攻め込んでくる前に「どれだけバランスの取れた生態系を構築できるか」が重要になってくる。

 本作に登場する魔物たちは、それぞれ「食物連鎖」の関係にある。たとえば、養分レベル1の土を掘ると出現する「ニジリゴケ」は、養分レベル2の土から出現する「ガジガジムシ」のエサに、その「ガジガジムシ」は、養分レベル3の「トカゲおとこ」のエサ、といった具合。これは、魔分から生まれる魔物でもほぼ同様だ。

 魔物は、エサを食べることで栄養分を体内にためこんでいき、一定以上をたくわえた魔物は、やがて繁殖を行なう。このとき、生んだ子供に栄養分が移行。エサが足りなかったり攻撃で生命力が尽きた魔物は死ぬが、朽ちた身体は周囲の土に散らばり“新たな栄養分”となる。養分や魔分を含んだ土を掘って魔物を作り、食物連鎖から新たな魔物が生まれ、死んだ魔物は土へと還っていく。この循環があるからこそ、ダンジョンの生態系は成り立っていく。

 生態系でやや特殊なのは、ニジリゴケの成長。ニジリゴケの栄養は、隣接している周囲の土中にある養分。成長すると「ツボミ」になり、さらに周囲の土から養分を吸い取ると「ハナ」になり、枯れると新たなニジリゴケが大量発生する。「ツボミ」、「ハナ」は特定の魔物にとって重要なエサ。これら食物連鎖の底辺、すなわち「土台」が継続的に発生し続ける生態系を構築しておかないと、実は先々かなりの苦労を強いられることになる。

 魔物を増やすには土を掘るのが手っ取り早いが、生態系のサイクルをうまくコントロールすれば、実は土を新たに掘らずとも底辺の魔物たちを自然に増やすことが可能。食物連鎖の土台をなす魔物たちが減り過ぎないよう、ときには食物連鎖の上位にある魔物を「間引き」しなければならないケースも出てくる。ただし、減らしすぎると勇者が攻めてきたときに損害が増えかねない点に注意していただきたい。

【食物連鎖による循環】
食物連鎖を利用して、ただ強い魔物を作れば安泰などということはない。バランスが取れていなければ、勇者たちの無慈悲な破壊活動の前にあっさりと瓦解してしまう。そのためには、襲撃前に質の高い生態系を構築しておくことが大切。食物連鎖の底辺をなす魔物たちが自然増加できる環境については、特に気を配りたい



■ 掘りパワー 〜 使いすぎると勇者と戦う前に自滅 〜

 土を掘るには、画面左下に表示された「堀りパワー」を消費する。つるはしで1回土を掘るごとに1ポイントが消費され、なくなるとそれ以上土を掘れなくなってしまう。

 堀りパワーは、ステージクリアまでのプレイ内容に応じて追加される。「クリアの時点で残った掘りパワー」、「そのステージで上昇した戦闘力」、「クリアタイムが短い」などの諸条件で追加分が増えるため、無駄な土掘りはなるべく控えたほうがいい。

 土を掘るだけでなく、掘りパワーはステージクリア直後のリザルト画面で「魔物のレベルアップ」にも使える。レベルアップには相応の掘りパワーを消費するが、強化された魔物は移動速度、繁殖力がアップ。なかには特定条件を満たすことで「レア魔物」が生まれるというから驚き。なにが生まれるかは、各プレーヤーがその目で実際に確かめていただきたい。

 掘りパワーを増やすコツは、すでに触れた「生態系」がひとつ。これは、養分のある土を掘って魔物を増やすだけでなく、自然増加を狙って掘りパワーを節約するというもの。もうひとつは、ダンジョンの入口につるはしを合わせて方向キーの上を押す方法。これを実行すると、ダンジョンに勇者を呼び寄せることが可能。迎撃準備が整わないうちにコマンドを入力すると自殺行為だが、成功すればステージクリアタイムが短縮され、より多くのボーナスが獲得できる。腕に自身があるプレーヤーは、積極的に狙ってみるといい。

【掘りパワーがなくなると大変なことに……】
掘りパワーはステージクリア直後に追加される。使い切ってしまうと、いざというと悲惨なことになる。上は使い切って何もできなくなった悪い例



■ 生態系を荒らす憎き勇者 〜 でもどこか憎めない!? 〜

 ストーリーモード開始直後、魔王が説明するように「勇者」は全部で11人がいる。勇者たちは、剣士、魔法使い、ファイターと、それぞれ最大3人パーティで攻めてくる。最初のうちは単身だが、そのうち徒党を組んで襲い掛かってくるというわけだ。

 勇者は、そのタイプによって行動パターンがわかれてくる。ネタばれになってしまうので詳細は伏せるが、これに気づくと「あの勇者は、ダンジョンの通路をどういったルートで移動していくか」が、ある程度まで推察できるようになる。ちなみに、ダンジョン構造が複雑になってくると「ありゃ、今勇者どのあたりにいたっけ!?」といったことがありがち。こんなときは「Lボタン」を押せば勇者の現在位置まで即画面が移行してくれる。

 大変困ったことに、勇者たちはRPG文法すなわち“お約束”に従い、ゲームが進むほど成長もしくは強い奴が現われてくる。最初はニジリゴケやガジガジムシに苦戦していた連中が、後半になると「強力な技」や、一定範囲をまとめて攻撃する凄まじい「魔法」を容赦なく繰り出してくる。奴らがダンジョン内に勝手に置きまくる「たいまつ」も、実はかなり厄介。たいまつは「近くにいる勇者の体力が少しずつ回復する」という休息ポイントの役割を果たすため、魔物の大量発生ポイントなど要所にポコポコ置かれると、あっさり倒せたはずのものが意外に苦戦を強いられたりする。瀕死の状況に追い込んだところで「回復魔法」で全部チャラにされることも珍しくないため、勇者の“しぶとさ”には、ステージ後半になるほど胃が締めつけられる思いがする。

 このように手強い勇者だが、首尾よく倒すことができれば、その肉体は養分、MPは魔分となって周囲の土に飛散し栄養分となって蓄積される。屍骸をつるはしでツンツンすると、魔物「スケルトン」が誕生。その体内(?)には“死んだ時点で残されたMPの半分”が蓄積されており、魔法をなるべく使わせずに倒して生み出したスケルトンは、それだけ能力が高くなる。

 勇者が魔法や技を使ったときも、その周囲にある土には栄養分の魔分が残る。魔法や技が使われたということは、必然的に付近の魔物が被害を受けた証でもあるのだが、通路の構造によっては周囲の土が魔法をたっぷりと吸い込んでくれる。勇者による環境破壊は極めて深刻だが、屍骸の栄養分、技や魔法のエネルギーは(少しだが)還元されるというわけだ。同情の余地など欠片もない勇者だが、その破壊活動となれの果てを「エコ」として使えるなら、これを利用しない手はない。

 ただし「エココロ」を発揮するためには、ダンジョンの構造をきちんと考えてやらねばならない。ストーリーモードの途中で魔王にアドバイスされるが、大広間っぽい場所をたくさん作ると、そこで勇者と戦ったり倒したときに「周囲に栄養分を吸収する土がない」ことから、エコ効率が悪化する。最初、筆者は気付かず「やっぱダンジョンといえば大広間よね!!」などとあちこちに無意味な空間を作り、あっさりと自分の首をしめたことがある。余裕があるならいいが、ないときにコレをやると、魔物たちがアッという間に討ち減らされ、魔王を簀巻きにした勇者が「誰もいない大広間」をいくつも通過しダンジョン入口まで凱旋していく姿を目の当たりにすることになる。

 ゲームの展開には何の影響も与えないが、魔物や勇者のパラメータなどが閲覧できる「ずかん」に記された勇者たちのプロフィール文は、ある意味必見。特に、最初に出てくる勇者「しょうた」の可愛らしさは敵ながら天晴れ(?)で、「いっくぞぉー!」、「てやぁー!」といった掛け声は、まさに子供のソレ。やっていることは魔物の虐殺という(魔王と破壊神たるプレーヤーにとって)悪逆非道の行為なのだが、ドット絵ふうの愉快なキャラクタアニメーションと相まって、これがなかなか憎めない。ただし、そんな感情もステージが進むにつれて雲散霧消し、中盤以降は「おのれら、ワシのカワイイ魔物たちに何さらすんじゃぁ!!」と、可愛らしさなど微塵もない「血の叫び」をあげることになるのだが……。

〜 序盤に登場する勇者 〜
【しょうた】【アントン】【ハシーム】
ボイスがやたらカワイイ勇者。だがやることはやってくるので情けは無用。少しずつ充実していくプロフィールは必見。意外に向上心はあるようだ 思わず「元気ですかー!」と叫ばずにはいられない。アントンナッツとか懐かしいキーワードが浮かんでは消える“業の深い”キャラ。ただのヒマワリのタネじゃん…… “時代と寝る女”というキャッチフレーズが意味深。水車小屋でしょうたと何があったのか。想像(妄想)すると色々怖くなってくる。嫌がらせのような魔法が本気でムカツク



■ 友だち同士で対戦! 〜 VSモード 〜

 本作には、プレーヤー同士で対戦する「VSモード」が用意されている。ひとくちに対戦モードといっても形態はさまざまだが、本作の場合は「相手が作成した勇者パーティ」のデータと戦うことになる。データはメモリースティックに保存しておくことが可能だ。

 バトルは、相手プレーヤーがエディットした全3ステージのクリアを目指すというもの。各ステージに登場させられるキャラクタは、最大3人。ひとりずつプロフィール、能力パラメータが細かく設定でき、笑いを取りにいくもよし、ガチで魔王のタマを取りにいくもよし。

 エディットパーツは、ストーリーやトレーニングモードの各スコア、ずかんの完成度などで少しずつ増えていく。自分でエディットしたデータのテストプレイも可能なので、納得いくまでトコトン作りこむことができる。自分でも倒せない強力なデータが仕上がったときの喜びはひとしお。シングルプレイも楽しいが、周囲に「破壊神仲間」がいるなら、もっと熱い戦いが味わえる。


■ 繰り返し何度でも遊びたくなる秀逸なテイスト 〜 個人的に本年度屈指の内容 〜

 ストーリーモードは、ステージ1からラストまで「一気」にプレイしなければならない。途中セーブはなく、魔王が簀巻きにされ地上に連れ去られたら「ステージ1からやり直し」になる。

 こう書くと非常にシビアな「しんどい」ゲームと思われるかもしれないが、実はそうでもない。確かに歯ごたえはあるが、プレーヤー自身がやることは、あくまでも「つるはし」で土を掘ること。厳密には魔法陣を作成し、ノックして魔物を呼び出すといったことにも使われるが、それも土を掘るという行為の延長線上で、やっていることは同じだ。

 クリスピーに土をザクザク掘ってダンジョンを構築していると、懐かしさをともなったBGMとともに出現する勇者たち。ゲーム展開はわりとスピーディで、刹那的な対応も必要とされるため、実は一瞬たりとも気が抜けない。ダンジョンの構造によっては結構忙しくなるため、終盤になるほど「やばい、勇者がふたてにわかれた!! あっちはなんとかなりそう……って、こっちの魔物はずいぶん減っちゃったなオイ! どうするよ俺!!」といったカオスなシチュエーションに翻弄される。

 できの悪いゲームなら、ここで「うーん、面倒くさい」とさじをなげられかねないのだが、本作はインターフェイスがシンプルに磨き上げられているため、面倒くさいどころか“土を掘っていくのが楽しくて仕方がない”といった心境になる。これまで何度も触れているが「つるはしで土を掘る」これだけのシンプルな操作から、プレーヤーの胸を躍らせる多彩なシチュエーションが次々と展開していく。このインタラクティブな感覚は、名作「シム」シリーズの初期作品に通じるものがある。単なる模倣や発展形で終わっていないのは、スピード感のあるアクションパズル的なプレイ感覚と、作品全体を覆う“パロディ”や“悪ふざけ感”が、いい按配に層をなして全体の世界観を構築しているからだろう。

 見た目の古臭さに脊髄反射で「コレで定価3,980円とか、ふざけてるだろ」や「ダウンロード販売でよかったんじゃないの?」などと悪態をつく人がいるかもしれないが、筆者は「よくぞパッケージで販売してくれた!」と心底思っている。ダウンロード販売は在庫のリスクをともなわないが、店頭でパッケージを見て「なんだコレ」といった“出会いの場”は失われてしまう。積極的に情報を取りにいかないプレーヤー層にも、本作は十分な訴求力を内包している。だが、販路が限定されたなら、そうした人たちに本作が届かない可能性が高くなる。いくら「アレいいゲームだよ」と伝えても「でもダウンロードじゃないと買えないんでしょ」で終了したなら、あまりにも悲しい。

 ドット絵にしても、本作に登場する勇者、魔王、魔物たちは、次世代機クオリティでモデリングされたどんな高精細の3Dキャラクタよりも「キャラが立っている」といいたくなる。どれだけ手間をかけてキレイにモデリングされた3Dグラフィックスのキャラクタでも、ゲーム中で「(存在が)死んでいる」ケースはごまんとある。だが「勇者のくせになまいきだ。」に登場するドット絵のキャラクタたちは、ニジリゴケから魔王にいたるまで、すべてが「生きている(存在している)」ことを感じさせる。この世界に“空気”な奴はひとりもいない。

 筆者の周囲でも、新型の登場を機会に「そろそろPSPを買おうかな」という人は少なくない。そこで出てくるのが「とりあえずの1本」。どんなコンシューマ機にも「定番」と呼ばれるタイトルが存在するが、「勇者のくせになまいきだ。」は、そのポジションに値するだけの手軽なキャッチーさを備えている。見た目のテイストや中身のノリが既存もしくは古参ゲーマー寄りなのは否めないが、工夫すればするほど楽しさが増していくプレイ感覚は、幅広い層に十分アピールする秀逸なものだ。

 見出しにも書いたとおり、個人的には本年度屈指の内容。アクションパズルが好きな人なら、ベタな表現で恐縮だが「迷わず買い」の一言。将棋、ボードゲーム、ブロック崩し、インベーダー……以降、延々とゲームに触れてきて「あんた、その歳になってもよく飽きないねぇ」と呆れられる筆者だが、こうした新たな“出会い”や“刺激”があるから、ゲームは止められない。理屈やハッタリ、状況の積み重ねで自分をだまさないと物事を楽しめない人には永久に理解してもらえないだろうが、視聴覚と指先で自ら感じ取って“能動的に”ゲームを楽しめる素地の持ち主なら、本作は絶対に触れておいて損はない。

プレイするごとに深まる魔物たちへの愛着。ちなみに「ずかん」閲覧中に方向キーを入力するとキャラクタアニメーションの向きが変わる


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□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「PSP」のページ
http://www.jp.playstation.com/psp/
□製品情報
http://www.jp.playstation.com/software/title/ucjs10076.html
□「勇者のくせになまいきだ。」のページ
http://www.jp.playstation.com/scej/title/namaikida/
□関連情報
【11月15日】SCEJ、「PLAYSTATION Store」無料体験版を配信
PSP「勇者のくせになまいきだ。」など4タイトル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071115/pss.htm
【11月14日】ダンジョンの生態系を破壊する勇者を退治せよ!
SCEJ、PSP「勇者のくせになまいきだ。」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071114/nama.htm

(2007年12月7日)

[Reported by 豊臣和孝]



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