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「真・三國無双 Online」開発/運営チームインタビュー
アイテム課金制で新たに生まれ変わる「無双 Online」。来年には拡張ディスクもリリース

11月22日収録

会場:コーエー本社

 昨日11月28日、コーエーのMMOアクションゲーム「真・三國無双 Online」が、CJインターネットジャパンの運営の下、基本プレイ無料、アイテム課金制による新サービスを開始した。新サービス開始直後は、「無双」のオンライン版が無料で遊べるとあって、多くのオンラインゲームファンが駆けつけ、ゲームサーバーに接続しづらい状況も生まれ、マッチングロビーである街では多くの新規ユーザーの姿でごった返した。これまで多くのユーザーを集めることに苦労していた同作としては、上々の再スタートを切ったと言えるだろう。

 しかし、今回、電撃的に実施されたELEVEN-UPからCJインターネットジャパンへの運営移管について、開発元であるコーエーはユーザーに対して十分な説明責任を果たしているとは言い難い。また、従量制からアイテム課金制というドラスティックなビジネスモデル変更の背景についても語られていない。運営元が変わったことで、今後、同作はどのようなサービスが行なわれるのか。今回の新サービスに関しては、多くのことが不透明だ。

 そこで今回は、コーエーのソフトウェア4部部長兼「真・三國無双 Online」開発プロデューサーの藤重和博氏と、CJインターネットジャパン「真・三國無双 Online」運営プロデューサーのチェ・ユンソ氏に、運営移管の経緯と、新サービスの内容、そして今後の展開について話を伺った。


■ ELEVEN-UPからCJインターネットジャパンへの事業譲渡の経緯

インタビューに応じていただいたコーエーのソフトウェア4部部長兼「真・三國無双 Online」開発プロデューサーの藤重和博氏(左)と、CJインターネットジャパン「真・三國無双 Online」運営プロデューサーのチェ・ユンソ氏
11月28日から「真・三國無双 Online」はCJインターネットジャパンが提供するネットマーブルのコンテンツとなった
編集部: まず最初に、CJインターネットジャパン(CJIJ)さんに運営移管が決定してから今回の発表まで3カ月という一種の空白期間があったわけですが、その間に何が行なわれていたのか、そこから教えてください。

チェ・ユンソ氏: パブリッシャーパート、開発パートそれぞれの立場で、事業譲渡の前からある程度の話し合いがありました。この3カ月間では、合意に至った部分に関する詳細なスケジューリングや、それぞれの立場で色々と動く部分がありましたので、そのあたりの準備が中心でした。例えば、ちょうど本日発表した「ネットマーブルの会員が無双IDを取得できるようになった」などがそうです。

編: 表だった発表を最小限に抑えてきたこともあり、ELEVEN-UPさんからCJIJさんに移った経緯というのがユーザーから見てよくわからないところだと思いますが。

藤重和博氏: そうですね。今回色々な可能性の中で最終的に運営譲渡するという形になりました。CJIJさんにお願いしたのは、やはりCJIJさんがポータルをお持ちであるということに最大の理由があります。それによって、今後の展開に色々な可能性が出てくると思いまして、一番魅力的でした。

編: ベルクスさんも「GAMESPACE24」というポータルを持っています。ポータルという点では条件は同じですよね。

藤重氏: はい、ですが、当時はELEVEN-UPさんがまだベルクスさんになっていませんでした。当時ELEVEN-UPさんはポータルというよりはBB Gamesさんに運営するタイトルを提供されていたわけでして、自社でお持ちだったわけではありません。そこが今回は、CJIJさんが自社でポータルをお持ちだった点が最大の違いでした。CJIJさんは既にたくさんの会員をお持ちですし、我々としても色々な選択肢が広がるかなと思いました。

編: 韓国の「真・三國無双 Online」のライセンスパートナーがCJIですから、その日本法人であるCJIJさんとは今回の発表がある前から、それなりのパートナーシップがあったことと思います。「真・三國無双 Online」を日本でも運営しようと考えた理由は何ですか?

チェ氏: CJIJでは、これまでに韓国版サービスのフォローを日本でさせてもらうという形で、「真・三國無双BB」に間接的に携わることがありました。弊社としては是非、こういうビッグタイトルに携わることができたらいいなと、漠然と思っていました(笑)。それが具体的に動き始めたのは、ELEVEN-UPさんとの話し合いなどです。そこで運良くコーエーさんに弊社を選んでいただけまして、正式なパートナーとしてスタートすることができました。

編: 今回のビジネスでは、どれくらいのユーザー規模を想定していますか?

チェ氏: そうですね、数字については予測ということもありまして、この場ではお答えできない部分もあります。前回ELEVEN-UPさんが行なったISP解放の例を見ますと、今後、ユーザー様に対してゲーム参加へのハードルを下げることによって、その数字は確実に増えていくと思います。その施策の一環として、今回コーエーさんのご理解とご協力を頂きまして、基本プレイ無料という対応を含んだリニューアルを行なう次第です。

編: 半年ほど前に取材したときには、ELEVEN-UPさんがISPの解放で100万人くらいを目指したいとおっしゃっていましたよね。

藤重氏: それは中村さんが書かれたのですよ(笑)。「これは多いな」とこちらでも驚いていました(笑)。「真・三國無双」シリーズは全世界で1,000万人規模のお客様に楽しんでいただいていますので、やはりそういう規模は最終目標として考えなきゃいけないと思っています。しかし、それをこの1、2カ月で100万人にしましょうというのは、ちょっと難しいでしょう。

 やはり当初から目的としてELEVEN-UPさんとお話していた頃に挙げた10万、20万というところは、ここでしっかり取ろうと思っています。今回のリニューアルでクライアントも新しくなり、そこで登録しなおしていただくお客様もいらっしゃると思います。ここから新たなスタートとして新規のお客様も含めて取っていきたいなと考えていますね。

編: 新サービスでもGAMECITY市民IDで継続してプレイできるわけですが、新たにネットマーブルIDでもプレイできるようになります。その際の変化というのは何かありますか?

チェ氏: GAMECITY市民IDをお持ちのユーザー様には手続き上の変化はありませんが、BB-IDを使ってらっしゃる既存ユーザーの方々には簡単な手続きを用意しています。それによって、ネットマーブルIDとの紐付けを行なうだけで、引き続きプレイできるというものです。ゲーム内のデータもそのまま引き継がれますので、ユーザー様としてはBB Gamesからネットマーブルに移行していただくというだけになります。それ以外は特に変わるところはありません。

編: 「真・三國無双BB」として始まって、そして今回「真・三國無双 Online」という形になるわけですが、これまでの変化を見ると、最初はYahoo! BB限定で、そしてISP解放、そして今回は基本プレイ無料という形で、どんどんビジネスモデルが変わっていきました。これはちょっと意地悪な言い方をすると、“従量課金の断念”という見方ができますが、これについて藤重さんはどのように考えていますか?

藤重氏: 難しい質問ではありますが、我々はお客様に対して、ゲームの内容と課金モデルは一体感があるものでなければならないと思っています。最初ELEVEN-UPさんとお話したときに、従量制ではどうだと提案を受けまして、私達もその課金方式が親和性が高いのかなと思い、進めてきました。

 プレイスタイルを考えても、「無双 BB」はアクションゲームということもありまして、週末だけちょっと楽しまれるお客様も多いだろうと思っていたのですね。実際に、サービスを始めたらそういうお客様がいらっしゃいまして、従量制なら週末プレーヤーの方たちには少ないお金で楽しんでいただけると。沢山遊んでいただける方にはそれなりに払っていただく、という課金方式は、お客様のプレイスタイルに応じた平等性があるのかなと思っていたんですね。

 しかし、実際に蓋を開けてみたときに、お客様から「高い」と思われてしまいました。プレイされている方にはある程度納得して遊んでいただけている部分もあったのですが、まだプレイされてない方は、「高い」という印象を持たれた方が多かった。実際には、客単価を見ても2,500円ぐらいでそんなに高くないのですよ。ですけど、「高い」と思われたことがやはり問題と思いました。

 そして今回、色々とご提案を頂く中で、戦闘の部分でお金はかからないような形はどうでしょう、というご提案を受けました。今までプレイしていただいてきたお客様のご意見を踏まえましても、それは妥当かなと考えました。実際ゲームとの親和性を考えても、違和感があるものではないと考えています。それでお客様に喜んでいただけて、ゲームともズレないのであれば、基本プレイ無料への変更が一番いいだろうと判断いたしました。


■ コーエー流アイテム課金は、ユーザーを増やし、客単価を下げる

アイテム課金制への移行の結果、客単価は下がって良いという藤重氏
家の拡張や家具といった嗜好品は無双コインを使う。青磁花瓶は20コイン。約60円という計算になる
編: 今回発表された内容を見ますと、基本プレイ無料のアイテム課金となっていますが、「真・三國無双BB」のゲームデザインをふまえて考えると、実際どこで儲けるのかよくわからない。バトルが楽しいアクションゲームですから、バトルが無料ということで、そのまま本当に無料で遊ばれてしまうのではないかと思ったんですが。

藤重氏: なるほど。基本は「無双コイン」というものを購入していただいて、それをゲーム内の何かしらのアイテムに交換するという形になっています。その対象は、家の家具であったり、消費アイテム、鍛錬で利用する貴石といったものが主です。

 メーカーとしては沢山のお客様に遊んでいただきたいという思いがありますので、客単価は今よりも下がっていいと思っています。メーカー側が、客単価を挙げる仕組みを強めすぎると、沢山のお客様に遊んでいただくことが難しくなると思うのですね。

 ですので、今回料金を頂くのはあくまでも付加価値の部分というスタンスです。ゲームの基本部分を無料にすることで、戦闘という一番楽しい部分を沢山のお客様にプレイしていただければ、ゲーム内のコミュニケーションも広がっていくのではないかと。やはりそこが一番大切と思っています。

編: なるほど、通常、アイテム課金へのビジネスモデルの変更は、少なくなったユーザー数で利益を上げるために、客単価を上げることを目的に行なわれるのが一般的です。アイテム課金で客単価を下げるというのは、初めて耳にしました。

藤重氏: 当然、お客様の層がいくつかにわければ、客単価の高くなる層も出てくると思います。ですが私は、幅広いお客様が集まった結果として客単価は下がってもいいと思っています。というのは、料金はゲームの形態に応じて払っていただくものだと思うからです。

 例えば3,000人とか5,000人規模のゲームに対して客単価を上げていこうというのは、それはビジネスモデルとしてアリだと思います。ですが私達が狙うのはそうではない。もっと大きなところを狙おうと思ったときに、あまり単価が高いと続かないと思うのです。オンラインゲームでなくても、サービスが広がっていくと同時に、それぞれのお客様が払う額は減っていくものです。

 戦略的に考えたら、私達はユーザーを増やすことを選択すべきだと考えます。それを前提にして、課金の内容については、CJIJさんとも相談をしながら、必要に応じて進めていくものだと考えています。こういう機能がほしい、アイテムがほしいというような、お客様からのニーズに応じて、その付加価値に対して無双コインを使っていただければいいという考え方です。

編: コーエーさんの考えとして、「無双 Online」のメジャー化は全くあきらめていないということですね。

藤重氏: 全くその通りです。

編: アイテム課金は、どうしても実際にお金を払ってくれるロイヤルカスタマーの数が限られます。そして一般的に、短時間で集中的に遊ばれてしまうので、どうしてもゲームの寿命が短くなってしまう。松原(健二代表取締役社長)さん、藤重さんは、そのことを指摘されて、それは我々としてはしたくないと、ずっと仰っていました。私はそれを大きく評価していたんですね。今回のビジネスモデルは、その精神は維持しつつ、絶妙な落としどころを付いた新手のアイテム課金ビジネスだと思います。有料アイテムはどのようなものを考えていますか?

藤重氏: 鍛錬に使う貴石や、戦闘ブリーフィングで持っていく消費アイテムですね。その中で一部のものは無双コインで入手していただく形になります。

編: 一部というと、有料のみのアイテムも存在するということですか。

藤重氏: 存在しますね。ただ、そんなに沢山ではないです。例えば、獲得できる義(編注:経験値に相当)が2倍になるアイテムがそうです。今あるものでは、経書、七星帯、匈奴帯などがあります。七星帯は、ドロップアイテムがちょっと良い物になるというアイテムです。匈奴帯というのは、鍛錬耐久度の消耗が緩やかになるアイテムです。正確に言うと、戦闘中ではなく、戦闘後の結果がよくなる、と思っていただくと良いと思います。

編: なるほど。例えば戦闘中に、火属性がメチャメチャ強くなるような、そういった強化アイテムはないわけですか。

藤重氏: そういったアイテムは、基本的にドロップで入手可能です。

編: ではこれまでドロップアイテムとして入手できていたものは、そのままプレイしていれば手に入ると。

藤重氏: はい。ただ経書や貴石など、特務(編注:クエスト)で入手していたものなどが一部、無双コインによる入手に変わったりしていますが、戦闘中にドロップしていたアイテムは、基本そのままです。貴石についても、無双コインで入手していただくこともできますけれど、戦闘中もドロップしますので、激突などでこれまでどおり入手できます。

編: 古銭が全廃されました。その理由は何ですか?

藤重氏: そのまま残せば複雑になってしまうと判断しました。以前はプレイに対するマイレージ的な報酬として古銭を獲得していただいていましたが、それはプレイ料金に対する報酬としてデザインされていたのです。今回プレイが無料になりますから、その存在はいらなくなると考えたわけです。

編: となると、家具の買い方は有料オンリーになるということでしょうか。

藤重氏: そうですね。クエストなどで無料でもらえることもありますが、それ以外は無双コインで入手していただくことになります。ゲームに必然性のあるものとないものがあると思いますので、例えば花瓶とか、ゲームに必然性のない本当に嗜好性の高いものは、お客様の趣味に応じて使っていただければと思っています。家の増築も無双コインを使う形です。

編: つまり、そういった趣味的な部分が有料化されるということですね。

藤重氏: そうです。基本的な機能を制限するものはないのですけれども、自分を誇示するですとか、枠を広げるといったものには無双コインを使っていただこうかなと考えています。

編: 武器や服飾といった装備品についてはこれまでどおりドロップするということですね。

藤重氏: はい。もしかしたら今後、すごいレアなアイテムや、イベント服みたいなものは無双コインを使用していただく物として考えるかもしれません。ですが、強力な武器をはじめとした“ゲーム内での強さ”を無双コインで買うといった形にはしたくないと思っています。

編: 武器ですと、特殊なエフェクトがある武器ですとか、「真・三國無双5」で貂蝉が着ている華美な衣装ですとか、そういうものを有料で売るという考えはないわけですか?

藤重氏: 無双コインを使用してでも入手したいというお客様が多ければ考えると思いますけれど、現状では考えていないです。その際、価値をどのくらいにするか、ということはありますけれども、そこはお客様のニーズに応じて考えればいいと思っていますね。


■ アバターアイテムの販売はどうなるのか!? ネットカフェ展開は?

チェ氏によれば、CJIJ側でもあまりアバターアイテムの有料化を重要視していないようだ
「真・三國無双BB」の無双ブログにたびたび登場していた司馬姫。アバターの部分には大きな可能性が感じられるが、基本的にはユーザーニーズ次第ということだ
編: アイテム課金を採用することで、今後、ゲーム制作の内容が少し変わってしまう部分もあるのではないかと見ています。つまり、アイテムの制作にクリエイターが引っ張られてしまうのではないか。これはビジネスモデルとして仕方ない部分だと思うのですが、有料アイテムについてはどのような開発プランを考えていますか。

藤重氏: そうですね。アイテムは定期的に追加ができるように考えています。無双コインを使うかどうかは別ですけれども、そこは基本的に、課金モデルに合わせて変えてしまうものではないと考えています。そういう意味でゲームデザインの部分をそんなにいじる気はいのですが、物を足していく順番やその足し方というのは、お客様のニーズに合わせて変えていくべきだと思っています。

編: それでは、アイテム課金にするにあたって、開発パイプラインの中で有料アイテム専用の部隊を設置するつもりはないわけですね。

藤重氏: 有料という定義にもいろいろありますけれども、そこは本当にニーズに応じて、変える必要があれば変えるべきだと思っています。今はそれを明確に判断できるものではないですので。

編: 韓国のアイテム課金のゲームですと、毎月、毎週のようなペースでドカドカと有料アイテムを追加していますよね。藤重さんは、「そこまでしなくてもいいんじゃないか」という風に仰っているわけなんですが、チェさんは有料アイテムに関してどのように考えていますか?

チェ氏: ネットマーブルではアイテム課金のゲームが非常に多くあるんですけれども、やはりモノによります。例えばアバター性が非常に強いものは、新商品に対して1週間2週間で売り上げがどんどん下がっていくという傾向があります。そういうゲームでは、常に新しいアイテムを出していくしかありません。

 ですが、例えばFPS系のゲームになりますと、武器など使い慣れたものをずっと使い続けるという傾向があります。どちらかというと「無双 Online」はこちらの例に近いと思っています。アバターで威張りあうという感じではなく、プレーヤーの腕によって戦闘結果や楽しみ方が変わるというものですね。

 そういった意味では、自分に一番あったアイテム、武器のカスタマイズを仕上げていくのが一番の楽しみではないかと。私達としても、例えば武器のドロップを全て廃止というふうには全く考えておりません。やはり「無双 Online」のような優良コンテンツは一部のコアユーザーの独占物ではなく、より多くの方に楽しんでいただきたいと思っています。

編: むしろ私は「無双」シリーズはアバター性が非常に強いゲームではないかと思っています。ただ、「真・三國無双BB」に関しては、オンラインゲームとしてはアバターの部分が比較的大人しめでした。アイテム課金制への移行に際して、アバター性の部分を大きく強化することは考えていないのでしょうか?

藤重氏: 考えていないことはないです。アバター性を強化する服飾系アイテムに関しては色々デザインはしてあって、実装していないものも一杯あります。服飾などでも、スタッフロールを見ていただければヒントが見られますけれど、色々と遊び心で入れてあります。あそこにあるものはもう作ってああります。そういった中にいくつかアバター性が強いものがあります。

編: アバター性に関して、理想像というのはどういった風景ですか。

藤重氏: やはり、私が思うところは、オンラインゲームの楽しさのひとつとして普段できないことができる、ということがあると思うのです。現実世界ではなかなか実現できないこと、こういう服を着られたら楽しいのではないか、といったお客様のニーズを考えていきたいと思っています。

編: そこは当然、有料専用の華美な服飾を期待していいということでしょうか。

藤重氏: 有料かどうかというのは、ニーズ次第だと思っています。

編: しかし、実際にビジネスとして考えれば、プレミアム性というのはある程度維持しておかなければ、バトルで取れるのなら誰も買わないと思うんですが。

藤重氏: そこは色々な考え方があると思うのですが、先ほどニーズというお話をしましたのは、例えばこれが定額制のゲームであっても、アイテムは入手しやすさという部分で差がつくことになります。非常にレアなものを入手するのが本当に大変だから、無双コインを使って簡単に入手したい、というニーズが沢山あるならば、その状況に応じて考えてもいいのではないでしょうか。

編: 「真・三國無双 Online」は、ゲームデザインとして「Special Force」や「Sudden Attack」といったオンラインFPSに近いものがあると思うんですね。日本国内にはすでにそういったゲームが沢山ありますが、いずれもアイテムの売り上げの部分で苦戦されているというお話を聞きます。「無双 Online」の場合は、それはすでに織り込み済みであり、そのかわりユーザーを100倍集めたいという考えであるという理解でよろしいですか。

藤重氏: 方向性としては人を沢山集めるということです。

チェ氏: やはりFPS系のゲームですと、一部のファンの方のものになってしまう部分があります。日本国内においては、FPSタイトルを全部集めたとしても同時接続2万人いかないと思うんですよね。「Sudden Attack」は韓国ネットマーブルでやっておりますが、日本では絶対数がまだまだ少ないです。

 それから、収益源も異なります。韓国の場合は個人のユーザー様からの収益だけでなく、ネットカフェの売り上げ、それに向けた商品の開発というものがあってビジネスになっています。日本国内ではそれを全てゲームをプレイしているユーザー様の皆さんから頂くということになりますから、確かに厳しいところがあると思います。だからといってアイテムの値段を上げたりですとか、ドロップをなくすなどをやってしまえば、ゲーム的に公平性がなくなりますし、バランス的にも面白くないものになってしまいます。

 ですから、やはりユーザー数をより多く獲得するということです。先ほど申し上げたように、同時接続2万弱という日本におけるFPS人口に比べて、「無双」シリーズの売り上げを見ますと、それの数十倍以上ですよね。3桁近い差が開いているわけですから、気持ち的にはそれだけのユーザー数を増やしていって、その中でもプレイ時間の充分に取れない方、例えばサラリーマンの方などには、無双コインを気持ちよく使っていただけるようなデザインにしたいと思っております。

編: 韓国でいうところの「部分有料化」に非常に近い印象ですね。

藤重氏: そうですね、そういった表現のほうが適切かとは思いますね。

編: 新しいビジネスモデルの中で、ネットカフェ展開はどう変わりますか?

藤重氏: 古銭の部分はなくなりますけれども、それ以外の部分は当然継続します。実際に公認店舗として登録していただいているお店はどんどん増えていますので、ご自宅でもネットカフェでも遊んでいただけるふうにはしていきたいと思っています。

チェ氏: あとはネットカフェでのプリペイドサービスですね。今回戦闘無料になったことで、そういったシステムを導入していない店舗であっても、スペックさえ満たしていれば公認店舗として登録できるようになりました。ですので、まず対応店舗が増えます。ご自宅のPCスペックの問題ですとか、友達と遊びたいといったニーズには対応できると思いますね。

 古銭の部分に関しては、特典がなくなったというよりも、プリペイドでチケットを買わなくてもプレイできるようになった、というメリットとして理解していただけたら幸いです。いくつかの特典がありますので、そちらは引き続き使えますし、またネットカフェももう少し見つけやすくなるかなと思います。

編: 現在対応店舗はいくつくらいあるのでしょうか。

藤重氏: 300弱くらいですね。

編: それはネットマーブルの対応店舗とイコールではないんですよね。

チェ氏: そうですね、「無双 Online」はスペック的に他のゲームと異なるところがありますし、またシステムの導入についても異なる部分がありますので切り離して考えています。

編: 今後ネットカフェの展開についてはどのように考えていますか?

チェ氏: 基本的には数を増やすことですね。弊社としてはやはりユーザー様の数、そしてネットカフェの数を含めて、よりプレイしやすくなる手助けをするということがひとつです。またレベル差がありすぎて勝てないといった状況や、シナリオが複数走ってユーザーが分散されて薄くなってしまうということを避けるために、料金、店舗数、そしてクライアントを軽くすると、その上でユーザーを増やしていくことが弊社の役割だと思っています。可能であれば現在のネットカフェの特典についても、ゲーム内容のように色々とアレンジしていければよいかなと考えています。


■ 新シナリオ「飛将呂布」では、新武将がお目見え

呂布を大きくフィーチャーした「真・三國無双 Online」特設サイト
「真・三國無双 Online」では、無双武将と遭遇できる機会が増えるという。もちろん呂布も。彼を敵に回すか、味方にするか。それが問題だ
編: 今回新シナリオ「飛将呂布」がスタートしますが、概要を教えてください。

藤重氏: 以前は「反董卓連合」というシナリオでやっておりましたが、今回はその後の時代という設定になります。呂布の勢力と、曹操、劉備、孫策の4つの勢力で勧めていくことになります。年代も変わりますので、人気の高い大喬、小喬、趙雲など、全部で20人近い新武将が登場します。

編: ちなみに「無双BB」の頃は、無双武将との接点が非常に限定的で、戦場でもなかなか会えませんでしたが、そのあたりはどうなりますか?

藤重氏: 戦場で前より武将が出現するようになりますので、今までよりは会える機会が増えると思います。「争奪」では今までどおりですけれども、エピソード的な「特務」を追加していきますので、そういった部分でより増えていきます。元々我々の中にも武将とのふれあいを、どんどん増やしていきたいという思いがありましたので。

編: では仮に呂布陣営に所属すれば、呂布と一緒に戦えるシナリオがそれなりにあるということですか。

藤重氏: そういうものも作っています。あとは、サイドストーリー的なものも色々と考えているところです。「特務」などを通じて少しずつやっていきたいなと考えています。

編: そのあたり意識の変化というのは、CJIJさんからの要請もあったのですか。

藤重氏: CJIJさんからの提案もそうですし、「三國志」シリーズもアジア圏で人気の高いコンテンツなのです。そういう中で「無双」シリーズは本当に受け入れられていて有難く思っています。当然、対戦ですとか、「無双」のアクションという部分はゲームのコアですので重要視しなければいけないわけですが、それはもう当たり前のことです。それ以外の部分もどんどん足していきたいという思いは当然ありましたので、現在はそういう段階に来ているということです。

編: それでは、「激突」のゲーム展開も変わっているわけですか?

藤重氏: いえ、それは基本的に同じですが、次の3月のアップデートで、戦闘条件などをカスタマイズできるようにします。「激突」の中で勝利条件などを決められるようにする予定です。敵を倒した数を競ったり、ポイント制ですとか。サドンデスも考慮には入れています。

編: サドンデスというのは、一回倒されたらあとは観戦だけですか。

藤重氏: そうです。そういった部分でも遊び方が変わっていくと思います。3月に大規模アップデートをやろうと思っていますので、そのときのフィーチャーになります。

編: ちなみに旧シナリオ「反董卓連合」を、いったん止める理由というのは何なんでしょうか。

藤重氏: まずひとつは、これから新しく入っていただくお客様に、新しい状態でゲームを始めていただけるようにしたいということがあります。あとは、既存のお客様に対しても、新しくなる部分をシナリオという形で楽しんでいただける部分があるのではないかという思いがあります。実際に、趙雲に仕えたいですとか、大喬・小喬に仕えたいですとか、そういう声はお客様から沢山頂いていましたので、それを、ちょうどいいタイミングですのでここで実現しましょうということです。

編: 初期の構想では複数のシナリオを同時に走らせるという話がありました。それは潰えてしまったということですか?

藤重氏: 潰えてはいないですね。今回は沢山のお客様に新しく始めていただこうというタイミングにあわせたわけですけれども、今後「反董卓連合」シナリオが復活する可能性も当然あります。これについてはお客様の集まり方ですとか、ニーズに合わせてやっていくべきものと思っています。

編: すでに既存ユーザー様に対する補填についても情報が公開されていますね。そのポリシーはどういったものなのでしょうか。

藤重氏: 今遊んでいただいているお客様に対して、何らかの不利益を与えてしまうのが一番良くないと思っています。ですので、基本的にそのようなことがないように、というのが第一の基本スタンスですね。

編: 鍛錬した武器はどうなりますか。

藤重氏: 武器はそのままもっていけますね。他のゲームの転生などに比べると、制限は非常にゆるやかにしています。義も下がりません。無双コインを導入することで古銭が無くなる部分も、既存の古銭は軍資金に変わりますし、無双軍檄を10倍の無双コインに変換するという形でフォローしています。大きなデメリットはないようにしたつもりです。

編: 今回、武器強化システムがかなり変わりますが、武器強化を大幅にてこ入れした理由は何ですか?

藤重氏: 武器はゲームの中で主要な要素ですし、それを使い込んで遊んでいただくものです。その武器の鍛錬に色々な要素を入れることで、遊び方の幅が広がると思うんです。今までは「鍛錬」というものでしたけれども、そこに改造的な要素を加えることで、また色々な幅が出てくると考えました。

編: 改造の魅力はどのあたりにありますか。

藤重氏: 改造はまず、何回か戦闘を繰り返すと武器を改造する権利が与えられるんです。武器には基本能力値というものがありますが、それを攻撃力を上昇させたり変更できるようになります。それによって下がるパラメーターもあるのですけれど、そこはシーソーのような感じで、お客様が自分の戦いに合った武器を作れるようになります。

編: これまで「鍛錬」ではできなかったような、非常にとんがったチューニングが可能になると。

藤重氏: そうですね。また「刻印」も変えられるようにしようと思っています。

編: 改造にも無料の簡易改造と有料の本格改造がありますが、これはどのように違うのですか?

藤重氏: シーソーの傾き方が違います。無双コインを利用したほうが、無駄の少ない方向に行くことになりますね。

編: 今回「鍛錬耐久度」というパラメーターが設定されていますけれど、また回復するということは、要するに無限に強化できるようになるわけですか?

藤重氏: 武器が劣化していく仕様は色々なMMORPGでも有ると思います。そういった概念を入れて、耐久度がいちどゼロになると、今強化しているものがどれかランダムで1個外れるという仕様になっています。そこでまた鍛錬を繰り返すことができるというわけです。

編: これを繰り返していくと、万能型の武器になると?

藤重氏: 上がっていくのが上昇値なので、その武器を強化すれば全体的により強くなるという感じです。強化しない部分はそのままだったり、重点的に強化した部分は大きく上がったりしますので、出かたはちょっとずつ違ってくると思います。

編: 武器のポテンシャルの上限まで育てられるようになるということですね。

藤重氏: そうです。ただ、1回改造できるまでには、目安として50回くらいの戦闘が必要になっていますので、そうそう簡単には行かないと思います。

編: これによってひとつの武器を使い続けるという選択肢が現実味を帯びてきましたね。

藤重氏: 今まで同タイプ武器で「刻印」が違うものですとか、パラメーターが違うものを持つときに、武器を複数持つしかなかったのです。例えば「特務」用の武器ですとか。そうすると武器が増えていく方向になります。そうすると武器庫が沢山必要になっちゃいます。

 それを今回のケースに当てはめますと、一定以上の武器庫は無双コインを使っていただくことになりますので、無限に必要ということではそれが縛りになってしまいます。それもあっていいのですが、1本の武器を使いこなして自分なりにアレンジしていくという道を作ることで、無双コインを利用しなくても1個ずつ武器を極めることができるのではないかと思ったのです。

編: 逆に同系の武器を2個以上持つ必要はなくなるわけですか。

藤重氏: 必要がなくなるとまでは言えませんね。それは用途に応じて、戦いに応じて選択するということです。ただ今までよりは、その必要性が減るのではないかと言うことですね。

編: また、今回ランク5の武器、服飾が導入されますが、これらの位置づけはどのようなものですか。

藤重氏: ついにという感じで、ランク5の新しい武器モデルが入るわけですが、特徴としてはやはり強いということです。またデザインが変わりますので、見た目がよりカッコ良くなります。全武器のバリエーションに対して1個づつ用意しています。

編: ちなみにどういった武器がありますか。

藤重氏: 私はオープニングに出てくる長棍が好きです。新しい武器でしたので、色々武器をデザインするとき、デザイナーと一緒に詰めていったりしましたので、愛着を持っています。それをやっとリリースできるということで、感慨深いです(笑)。

編: 武器バランスはどうなっているのでしょうか。

藤重氏: 現状ではランク5がひとつの上限となりますが、ランク5を加えたことで、現状の武器バランスが何か大きく変わるということはないと思います。

編: 服飾のほうはいかがでしょうか。

藤重氏: 服飾についてはプラスいくつというパラメーターの部分で制限がありましたが、それを少し解放する感じです。デザインは今回新しく追加などは無く、パラメーターを少し上げて、レベルキャップを外すような感じですね。

編: ちなみにそれぞれの入手方法は?

藤重氏: そこは今までと変わりません。ランクが高いものはちょっと入手しづらくするというのは今までも同じですので、基本はその方針を延長する感じです。

編: 新シナリオの特務についてですが、全部作り直しですか?

藤重氏: わずか3、4年後と、シナリオの年代がそれほど離れているわけではありませんので、全部というわけではないですね。新規は20個、30個というレベルです。内容的には、上の階級向けのものが解放されていたりもします。

 たとえば将軍位など、既存の位に差し込んだものも含め、さらに上の階級が追加されています。義はそのまま保存されていますので、差し込んだ部分に関しては昇格試験を受けて獲得していただく形になります。

【改造】
新システムのひとつ「改造」。武器が持つ基本能力値を底上げすることができる。無料の簡易改造と、有料の本格改造があり、有料の場合、改造のデメリットを軽減することができる

【レベル5の武器】
新たに追加されるレベル5の武器。全種に追加されるという


■ 新サービスのバトルバランスはどう変化するのか?

夜な夜なバトルバランスをテストしているという藤重氏。あとはスキル差を意識したマッチングが可能になれば、万人が楽しめるゲームになりそうだ
新しい無双武将のひとり大喬。「真・三國無双 Online」では20人近い新武将が登場するという
編: 新シナリオ「飛将呂布」の魅力はどのあたりにあると思いますか。

藤重氏: やはり呂布という君主に仕えたりですとか、新しい人に仕えられるのが魅力だと思います。やはり今回、新しいセリフや設定なども追加していますし、そういった部分を楽しんでいただきたいなと思っています。

編: 今回、新武将が色々と出てくるということですが、彼らが新スキルを使ったり、新アクションを起こしたりすることはありますか。

藤重氏: バトル上の変化はありません。来年3月のアップデートの時に新しい武器を少し足しますので、付随して「究極強化」を何種類か新たに追加することになります。そこはなかなか想像付かないものも考えていますので、また違った遊び方をご提供できるのではないかと思っています。

編: それは例えばどういうものですか。

藤重氏: 新たに入る究極強化を1個だけいいますと、「吸収」というものがあります。30秒間、与えたダメージの一部を自分のヒットポイント回復に当てられるという今までになかった効果です。バトルに対して決定的な事をできる何かを、武器の究極強化に追加していこうと思っています。

編: 11月28日時点でのバトル面での変化はまったくなしですか?

藤重氏: ひとつあるとすれば兵糧庫です。兵糧庫を取ることで敵の士気が大きく下がるようになります。新サービスでは兵糧庫の存在が今までとは違った意味を持つ、重要なものになります。

編: PvP部分に関してのバトルバランスに関しては現状維持ですか。

藤重氏: 今積極的にそこを変えていく理由はないと思っています。逆に新しく入ってくださるお客様に、まず今のゲームに慣れていただいてから、3月のアップデートで、武器を足したり、究極強化を足したり、戦闘のカスタマイズなど、少し変化を出そうと考えています。

編: ちなみにコーエーさんの考える「激突」の理想のバトルバランスはどういった内容ですか。

藤重氏: 武器によって多少の優劣、相性というのは必要だと思うのですけれども、「この武器じゃないと勝てない」というようなことにはしたくないと思っています。ユーザーの皆さんにそれぞれ自分の好きな武器を選んでいただいた中で、気持ちよく戦っていただけるということが大事だと思っています。

 武器によるストレスがあるのは一番避けたいと思っています。「この武器では勝てない」ということになると、ゲームのコンセプトである一騎当千の爽快感が無くなってしまいます。「無双」をオンラインにするにあたっては、敵をバッタバッタと倒していく爽快感をどの武器でも味わえるようにすることが大事です。どの武器でも自分の戦い方ができて、爽快感を味わえる。そういうふうにしたいと思っています。

編: オンラインFPSなどと違って、「無双」の武器は、射程も違えば攻撃スピードも違うし、ダメージも違うと、チューニングが凄く大変ですよね。

藤重氏: それはもう毎日夜な夜なテストです(笑)。そこは苦労してでもやらなくてはいけないと思っています。私達が「無双の爽快感をオンラインで」、と言っている以上は、そこで手を抜くのはダメだと思っています。なので、お客様からのご意見を頂きながら、私達のほうでも実際に確認しながら調整していくというスタンスです。

編: 基本的にはどの武器を使ってもいい、あとはテクニック次第というバランスですね。

藤重氏: 当然、初心者に向いた武器とか、扱いにくいけど使いこなしたらスゴイ武器、そういうバリエーションはあって良いと思います。皆さんがプレイスタイルに応じて武器を選んで、その上で爽快感を感じていただくというのが基本姿勢です。

編: ちなみに私は「無双BB」とは、日曜ゲーマーのような形で付き合ってきましたが、うまい人と対戦すると必ず負けるんですね(笑)。負けるのはいいのですが、一度負けてしまうと、仙箪集めからはじまって、まず挽回ができないんですけれども、これは正常なゲームバランスなんですか?

藤重氏: そこはお客様のレイヤーを分けたり、マッチングの部分でもっと工夫しなければいけないんと思っています。今は、毎日熱心にプレイされて楽しんでいただいているお客様と、時々プレイされているようなお客様がマッチングされてしまうからそういうふうになるのかなと思っています。「争奪」はある意味無法地帯で、それでもいいかなと思っているのです。ですが普段の「激突」はそうではなくて、もう少し調整が必要だと思っています。

編: オンラインFPSでは、とにかく弾が当たれば巧いプレーヤーでも倒せることがあります。この一発というのはもの凄く爽快感があります。ところが「無双 Online」では、爽快感爽快感と言う割には、ビギナーにとっては爽快感が味わいにくいゲームデザインになっているように感じられます。

 どちらもPvPをメインとしたオンラインゲームだと思うんですが、「無双BB」の爽快感とはいったい何を指すのか、よく分からないところがあるんですね。雑魚をなぎ倒す爽快感であれば、「真・三國無双5」でいいじゃないかと。「無双 Online」での爽快感というのは、何だと考えていますか?

藤重氏: ここは「一騎当千」と言う言葉にあると思うんですけれども、雑魚を倒す、そこは絶対に必要だと思っています。自分が千人力と言う中で、兵士に対して千人力である。あとは相手のプレーヤーに対しても、千人力でありたいというふうに思います。そこは本当にバランス次第なんですよね。

 相手も千人力ですので、そこは駆け引きの中でうまくバランスを取っていくことが必要です。どういうときに爽快で、どういうときに爽快でなくなるのかというのは、武器のバランスやゲームの戦闘システムのバランスを見ながら、常に調整していかなければならない部分です。今回のリニューアルでお客様のタイプが変われば、当然そのバランス感も変わると思っています。

編: 現状ですと、今までの「無双」シリーズと、「無双 Online」というのは、バトルの部分では大きな変化はないと思うんですよね。ただ、「無双5」では色々な新システムが導入されましたが、今後「無双 Online」はどのように進化していくのでしょうか。

藤重氏: ゲームデザインに関しては、例えば「無双5」の連舞システムをそのまま入れるということが良いかどうかは議論をすべきだと思います。それをオンラインで対戦したときにマッチするかどうか、ということです。

 オンライン版を作る中で、今までの「無双」シリーズにあるシステムも実装した部分、実装しなかった部分があるわけです。これからも、戦闘システムは何らかの改良や改革をしていかなければならない部分だと思っていますので、楽しんでいただけると思えれば、新しいシステムを追加してきたいと考えています。

編: 「無双5」のエッセンスで何か導入されるものはありますか。

藤重氏: そういった意見は今後当然頂くことになると思います。私達でも当然考えていまして、必要なものがあって、新しい遊び方ができそうなものであれば、加えていきたいと思っています。

編: バトル関連で今後の課題として捉えているのは何ですか?

藤重氏: 「激突」自体、色々考えていきたいですよね。一騎当千の爽快感というのが、もう一個さらに高いところでできれば、それが一番いいわけです。そのために現状と同じシステムがいいかというと、当然変えていかなくてはいけない部分もあると思います。現状に満足してはいけませんし、常に上を目指していきたいです。

編: ちなみに「無双5」はオンライン対戦ができませんが、これは「無双 Online」に対する配慮なんですか?

藤重氏: そういうことではありません。まあ「無双」のオンライン版を作るのはそれだけ大変だということです(笑)。だから私達も大変な思いをしてきたのです。


■ 拡張ディスクは2008年発売か!? 「真・三國無双 Online」の今後の展開について

意外とエモーションにこだわっている事実が発覚。「戦隊モノ」とは何なのだろうか
「この冬一番ホットなゲーム」というチェ氏。運営がELEVEN-UPからCJインターネットジャパンに変わったことでどうなるのか、じっくり見守っていきたいところだ
編: 今回ユニークなアップデートとしては、エモーションの追加というものがあります。これは"/sit"で椅子に座ったり、壁にもたれかかったりできるみたいですが、これは何を意図した遊びなんですか?

藤重氏: それはやはり、ずっと入れたかったということもありますし、お客様が沢山増える中で、座りたくなるかなあと思いました。座りながらチャットするといったくつろぎ感をゲームの中でも演出したいという気持ちはずっとありました。本当はもっと早く入れたかったのですけれど、オブジェクトに寄りかかるところが結構大変だったんですよ(笑)。壁にめり込んだりしてもいいや、と割り切れば早かったのですけれど、それはカッコ悪いのでこだわりました。

編: 実はコリジョンまで厳密に計算してやっているわけですか。

藤重氏: ええ、色々とできる限り(笑)。腕が壁にめり込んだら嫌じゃないですか。あれを割り切るのもどうかと思いまして。

編: バトル中も座れるんですか?

藤重氏: バトルではできないです。バトルで座ったりできたら楽しいですか?

編: 戦闘の合間にちょっと座って休憩してみたりとか、仲間との合流を待つ間とか、あるいは力量差がある場合の“挑発”的な使い方とか、むしろ戦闘中が一番使いでがあるのではないかと思ったのですが(笑)。

藤重氏: それはちょっと思いつかなかったですね(笑)。アクション担当のスタッフに伝えておきます。全く考えなかったわけではないのですけれど、ゲームパッドでできる範囲を考えたときに、座るコマンドをボタンに割り当てると考えると、煩雑になりすぎますからね。

編: エモーションについては、今後どういったアップデートが続いていくのでしょうか。

藤重氏: 12月にアップデートするときにも、ちょっと楽しいものを考えています。戦隊モノみたいなものです(笑)。これから毎月、12月、1月、2月とアップデートして、3月に大きいアップデートを考えているのですけれども、特務をクリアしたら特定のエモーションが使えるようになるものなど、非常に楽しいものを考えています。

 エモーションの追加については、ある種期間を区切って追加していくのがいいかなと思っています。例えば春節のある2月には爆竹を鳴らしたりですとか、夏には花火みたいなものを上げたりですとか、季節に応じてイベントや特務に入れられたら楽しいのではないかと思っています。

編: もうひとつの遊びの要素である家関連は今後どのような拡張が行なわれますか?

藤重氏: 家はやはり広くしていく方向というのがあります。元々プレーヤーキャラクター毎に違いを出していける要素というふうに考えていましたので、コレクションであったり家の拡張であったりという部分は継続していきますね。

編: 新サービスで家を拡張するモチベーションはどのあたりにあると考えていますか?

藤重氏: まず、武器庫の数を増やせます。また中に入れる人数も変わりますので、友達を呼んで会話をしたり、パーティをしたりというときに広い家のほうが便利です。将来的には、それこそお城を持つくらいに大きいものにして、自分がここまで育ったなというのが戦闘の強さだけではなく、家という持ち物でも表現できたらいいかなと思っています。

編: 今後、新たな機能を持たせる予定はあるのでしょうか。

藤重氏: 今考えているのは、書庫みたいなものです。まだ実装時期は考えていないのですが、例えば色々な情報だったり薀蓄だったり、そういった本が入手できるというものです。あるいはサイコロを振ったり、絵遊びをしたりといった要素ですね。まだどの段階で入れるかは決めていませんが、こういうものがあればいいかなと考えている段階です。

編: 今後新しいゲームモードや、全く新しい遊びを提案していく予定はありますか。

藤重氏: それはもちろんです。拡張パックを出すような機会に、当然新しい遊びを入れるべきだと考えています。

編: 拡張パックの開発は順調に進んでいるのでしょうか?

藤重氏: 時期はちょっとまだ言えませんが、順調に開発は進んでいます。

編: 拡張パックの中身がまだちょっと想像が付きませんが、キモとなる部分は何だと考えていますか?

藤重氏: このゲームは一騎当千の爽快感を味わえる戦闘の部分でお客様に受け入れられているものだと思いますので、そこに新しさを入れていくということです。まずそういう新たな要素を足していきます。

編: 今回、だいたい3月までの開発ロードマップが提示されました。拡張パックは春過ぎから夏くらいを期待していいですか?

藤重氏: いえ、もうちょっと先になるでしょうか。

編: ゲームそのものの拡張、例えば対戦人数の追加についてはいかがでしょうか。

藤重氏: それで遊びの幅が変わるなら考えたいと思っていますね。選択肢のひとつではあります。具体的なお話ができるのはもうちょっと先になるでしょう。

編: それなりに前向きに考えているようですね。

藤重氏: もちろんです。例えば対戦を4人対4人に限定する理由はないと思うのです。当時は、日本のインフラを考えたときに、4対4がベストだと考えていました。実際にそのバランスで提供して、ご理解頂けていると思います。ですがインフラの状況もどんどん変わっていますし、今はまた違うところでバランスを取れると思うのです。なので、ゲームデザインと環境とでバランスをとっていく中で、4対4に限定した考え方はしないということです。

編: ビギナーを代表して言いますと、現状ではレベルマッチングの機能がないとビギナーさんは辛い。「巧い人と当たりませんように」という感じなんですよね。これではカジュアルゲーマーの定着は難しいんじゃないかと思うんですが。

藤重氏: そこは本当に真面目に考えないといけない問題だと思っています。カスタマイズを入れるときにも考えることです。3月アップデートの時に色々と考えて、調整していきたいと思います。

編: 11月28日から新サービスが始まります。ユーザー様にメッセージをお願いします。

チェ氏: 既にネットマーブルからの会員登録が始まっています。ゲームの名前が変わるということと、それにふさわしい中身が追加されたことで、この冬一番ホットなゲームになっていると思います。この機会に是非プレイしていただきたいなと思っています。

藤重氏: 私たちは今回のこのリニューアルを非常に重要なものであると考えていまして、より沢山のお客様に楽しんでいただきたいという思いで捉えています。リニューアルを発表してから、お客様が実際に増えていて、それは期待の現われだと思っています。その期待を裏切らないように、しっかりリリースして、その後も定期的にアップデートして、期待に応えていくことが私達つくり手の使命だと思っています。今後も頑張っていきますので、ご期待ください。

 また、基本プレイ無料化したことで、より戦闘に出ていただきやすくなったと思います。一戦でも是非対戦をしていただきたいですし、それだけの価値のある対戦だと思いますので、まず触ってみてください。その上で対戦を何度もしていただければ嬉しいです。

編: ありがとうございました。

【家の拡張】
家の拡張前(左)と、拡張後(中央)。材質からそっくり入れ替わっているのがおもしろい。右の画面は、無双コインで購入できる有料家具の一部

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□CJインターネットジャパンのホームページ
http://www.cjinternet.jp/
□「真・三國無双 Online」のページ
http://www.musou-online.jp/
□関連情報
【11月14日】CJIJ、WIN「真・三國無双 Online」
新シナリオなどリニューアル内容の詳細を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071114/musou.htm
【11月7日】CJIJ、WIN「真・三國無双BB」11月28日にリニューアル
新タイトルは「真・三國無双 Online」。料金も基本プレイ無料化
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071107/musou.htm
【10月18日】コーエー、「真・三國無双BB」を台湾・香港・マカオにも展開
台湾Cayenneとライセンス契約締結
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071018/musou.htm
【9月23日】コーエー、「ネットエンターテインメントフェスタ2007」を開催
プロデューサー総出演のステージイベントが大人気、松原社長もゲスト出演
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070923/tgs_nef.htm
【8月31日】ELEVEN-UP、WIN「真・三國無双BB」をCJIJに譲渡
ELEVEN-UPは活動停止に
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070831/san.htm
【6月12日】オンラインゲームレビュー「真・三國無双BB」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070612/musoubb.htm
【4月25日】「真・三國無双BB」開発/運営チームインタビュー
サービス開放の狙いと、今後のアップデート構想を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070425/musoubbi.htm

(2007年11月29日)

[Reported by 中村聖司]



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