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価格:7,140円
CEROレーティング:C (15歳以上対象)
「四八 (仮)」は“47都道府県ミステリー”とジャンル分けされているミステリーゲーム。日本全国を舞台に各県に恐ろしい話が用意されており、様々なシチュエーションで展開されるジャパニーズホラーの真骨頂ともいえるドロドロとした物語が展開する。物語が連鎖していき、新たな分岐が発生。どんどん新しい物語が生まれていくシステムとなっている。 ただ、アドベンチャーのように読み進めて分岐していくだけではないようで、47都道府県に用意された各物語を体験すると、各地の住民がリストアップされる。そのリストには住民の状態も記録されていく。状態とは生死、行方不明、錯乱など。これらのリストアップされた住民の移動などによってゲームのその後の展開が変化していくという。
同作には、大作家の筒井康隆氏を筆頭に、妖怪マンガの大御所・水木しげる氏、怪談を語らせたら当代一の稲川淳二氏、これまでの常識にとらわれないホラー漫画を輩出し続ける伊藤潤二氏、「新耳袋」でも有名な木原浩勝氏、霊の大家・つのだじろう氏らがゲスト作家として自ら出演している点も注目だろう。
ところがあれこれ打ち合わせしている内に「怖い話だけを集めても仕方ないね。ゲスト呼びましょう、取材しましょう (石川氏)」と話が膨らんでいった模様。結果的に飯島氏は200本ものシナリオを書いたのだが、膨大な分量から削除せざるをえず、最終的には100本のシナリオを収録。それでも「全部読むにはずいぶん時間がかかるんじゃないかな (飯島氏)」というボリュームとなった。 また、ボリュームに見合った製作期間がかかり、なかなかリリースできない状態になったという。一昨年の9月から取材旅行がスタートし、100日間をかけて340箇所を取材。157人の人間が登場するが、それ以外にも幽霊や妖怪といった魑魅魍魎のたぐいも登場し、こちらも膨大な分量となった。それだけ時間がかかるということで、1年半くらいかけて撮影を行ない映画で言えば超大作ともいえる仕上がりとなった。 同作のコンセプトとして飯島氏は「足で稼ぐ」というのを挙げた。これは、「いまやインターネットで検索すれば怪談が全て出てくる。だから、インターネットで検索しても出てこない地域に根ざした土着の話を集めようと思った。その場に自分で行って聞かなければ出てこない話を集めたかった。だからこのゲームには“フィクションです”とは書かれていない。どれだけノンフィクションを集められるか、できる限り入れるのが狙いだった」とその熱い想いを語った。 ここで話題は同作にも出演している稲川淳二氏に。稲川氏は「全国の話を集める」と聞いて「甘いことを言うな」と思ったという。稲川氏によれば各地で怪談を集める場合、話の破片 (パーツ) となる話を探し集め、何度か通うことでストーリーラインが見えて来るという。数年経って話が完成することもあり、それだけ大変だと言うことだろう。 今回のゲームの制作についても、面白いと感じたが、話が立ち切れになるなどして輪郭が見えずよくわからなかったという。ゲームの製作の進行と平行し話が作り上げられるなど、同時進行で進んでいき、石川プロデューサーによれば「足並みを揃えるのが大変だった」とか。 しかし、その甲斐あってか「新しい側面を見せることができた。基本的に静止画で構成されているが、稲川さんの怪談はムービーで収録されており、分岐していく。面白い志向だ」と評価した。 稲川氏は沢山のシナリオを書き、書ききれない部分は何十話も話し、制作陣に提供したという。そして音声の収録に至るのだが、これが大変だったという。音声の収録時、空襲や戦争の話になると必ずラップ現象が発生し、同じ場面で収録し直しになるのだという。稲川氏は「怪談を話すのは疲れるんだ。2時間のライブをすると風呂にはいると浮くぐらいやせるんだ。それを同じ事を十数回とやり直すのは大変だった」と振り返った。ちなみに稲川氏によれば「収録したスタジオの場所にもよるんじゃないかな。そういう関係があったんじゃないか」と分析。このほかにもカメラの調子が悪くなるなど、怪現象には悩まされたとか。稲川氏は「怪談は怖いだけじゃダメなんですよ。コワ楽しくないと。このソフトは面白い。さすがだ」と感想を述べた。 ここでゲームのデモンストレーションが行なわれた。選択されたデータは川村ゆきえさんのもの。川村さんの生年月日や出身地などが登録されたデータでスタートされた。そしてある怪談が終了すると川村ゆきえさん宛に一通の招待状が届いた。これこそが重要な鍵だという。 なぜ、“47都道府県ミステリー”であるにもかかわらずタイトルが「四八 (仮)」なのか? つまり、48個目の物語はプレーヤーの物語として用意されているのだという。飯島氏によれば「都道府県別に用意されている47の物語はいわばサブシナリオ。最後のこの話は短編ではない。少しずつ体験していく。それがこのゲームのメインであり、過去のゲームでは味わったことのない体験ができると思う」とアピール。そしてプレーヤー自身の物語となるだけに「この世界を体験する、自分に近い情報を登録するとより一層“イヤな気分”を味わえます (飯島氏)」と気になるコメントを残した。自分でストーリーを作っていく果てに何を体験できるのかはプレイしてみてのお楽しみと言ったところだろうか。 川村さんは、心霊スポットに訪れるのはダメだと言うが、ホラー映画などは大好きらしく、「四八 (仮)」についても興味津々だとか。同作を少しプレイした感想として「北海道を最後までプレイしました。衝撃的な絵が出るときもあって、徐々に怖くなる。でも、選択肢があり、自分の意志で進められるところが良いですね」とコメント。 イベントはこの後、稲川淳二氏の新作怪談ライブ、そして川村ゆきえさんによるお払いを兼ねた「幸せ祈願」がおこなわれた。怪談ライブについてはおそらくは今後同氏のライブなどで語られることもあるかと思われるのでここでは詳述しないが、さすがにその迫力は凄かった。
「四八 (仮)」はホラーものとしては正統派でありながら、新しい仕掛けがちりばめられており、さらにホラー界の大御所を巻き込むことで豪華な作りとなっている。ホラーアドベンチャー好きは必見といったところだろうか。
(C)飯島多紀哉 (C)BANPRESTO 2007
□バンプレストのホームページ (2007年11月20日) [Reported by 船津稔]
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