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イエティ、「あかべぇそふとつぅ」の名作をコンシューマ移植
「車輪の国、向日葵の少女(仮)」

Windows版パッケージイラスト
2008年 発売予定

価格:未定

 ゲームブランド「イエティ」は、恋愛アドベンチャー「車輪の国、向日葵の少女(仮)」を2008年に発売する。プラットフォームおよび価格は未定。

 「車輪の国、向日葵の少女(仮)」は、ゲームブランド「あかべぇそふとつぅ」から2005年11月に発売されたWindows用「車輪の国、向日葵の少女」の家庭用ゲーム機への移植版。家庭用ゲーム機版では、本編に加え、2007年1月に発売された同作のファンディスク「車輪の国、悠久の少年少女」で人気の高かったメインシナリオも収録される。

【STORY】
 無事、試験場にたどりついた。小高い丘に登ると、都会では見られなかった豊かな色彩が視界に飛び込んできた。一本の道によって左右に分かれた向日葵の黄色が、空の青が、町を囲むように連なる山々の緑が故郷を実感させる。

 「昔のことは、忘れるしかない」

 賢一のつぶやきは誰にも拾ってもらえなかった。

 「試験に合格して、とっとと特別高等人になるしかない」

 陽炎の立ちのぼる道の先に視線を注ぐ。最終試験が実施されるくたびれた田舎町。水田のきらめきの中で、木造の校舎がたわんで見えた。学園には義務を負う人々が多く通っていると聞く。ただ、賢一は、彼らのことを罪人だとは思わない。犯罪者の烙印を押すのは、常に、強大な力を持つ社会そのものだった。

 賢一は、左手に提げているジェラルミンケースの中から一冊の本を取り出した。それは、日本という国が舞台のSF小説だった。手垢にまみれたページをめくりながら歩みを進める。賢一の国において、罪の解釈は広い。日本では、いくら働かずに自堕落な毎日を過ごそうとも、刑務所に送られるようなことはない。親の言いつけを守らなかったからといって、国がでしゃばって子供をしつけるような法もない。どんな極悪人にも人を愛する権利はある。それが、賢一にとっては幸福に思える。

 「クソな世の中だぜ」

 人が聞けば選挙権を失うような発言を足先に放り投げ、それを踏みしめていると、いつの間にか試験前の緊張もやわらいでいた。特別高等人の国家試験。それは年間に十人合格するかどうかの狭き門だ。賢一はそれまで自分が通過したテストの数々を思い浮かべるとき、その過酷さに、いつも青ざめる。

 賢一が目指す特別高等人とは、いわば、刑務所という場を必要としなくても罪人を監督できる、極めて有能な看守だった。

 ため息を放るようにあごをしゃくった。陽射しが賢一の顔に向かって一直線に降り注ぐ。田舎の広い空は七年前とまったく変わらない。賢一はうしろめたい過去を振り払うように、一歩、踏み出した。車輪の下に押し潰されるように、息苦しい社会。正義の象徴である、向日葵に向けて。

【用語解説】

・特別高等人
 罪人、つまり、義務を負った人々を更正指導することにある。世の中には、多種多様な義務があり、特別高等人はあらゆる状況に対処しなければならい。したがって、他人の行動を予測する心理学、暴れる罪人を取り押さえる体術など、人を管理するための能力全般が求めらる。
 最上級の国家公務員として、特別高等人には強大な権限が与えられている。必要とあれば罪人の基本的人権を剥奪し、プライバシーを侵害することも可能。それゆえに、彼らは人が人を裁く意義と危うさを理解している。人格面においても、常に公共の福祉を最優先に考えて行動するよう叩き込まれる。

・罪人
 賢一の生きる社会では、怠惰は立派な犯罪であり、家長に従わない子供は矯正され、ときには自由な恋愛すら法によって禁止される。
 そして、それぞれの罪に応じた罰として、特別な「義務」を背負って生きる。刑務所に入れられることはないが、日常生活に自由はない。囚人服を着る代わりに、服の目立つ場所に、罪人であることを示すバッジを貼り付けなければならない。そのバッジの種類により、異性との接触が禁止されたり、一日が十二時間に設定されたり、親権者に絶対服従しなければならなかったりする。


 本作の舞台は、罪を犯すと「特別な義務」を負わされる社会。「特別高等人」という職業を目指す主人公・森田賢一は、その最終試験のために故郷である町にやってくるところから物語が始まる。試験の内容は「義務を負う罪人を監視すること」となっているため、その対象の少女たちが通う学園に生徒として通うことになる。学園で出会う生徒たちには彼の幼なじみもいるのだが、過酷な過去を負う彼は人相風格も変わっており、誰一人として気付かれない。

 そんな中、「恋愛できない」少女・夏咲と出会ってから、賢一の歯車が狂いだす。崖にひっそりと建てられた彼自身の墓、山間の洞窟に隠された父親の遺産などが次々と彼を追い詰める。贖罪を問われた男が見た、車輪の国の真実とは……。

【登場キャラクタ】
日向 夏咲
(ヒナタ ナツミ)
孤独な少女。普段は教室の隅や階段の踊り場などでぼーっとしている。「恋愛できない義務」を負い、男性に接触しないよう気を使っているためか、いつもびくびくしており、挙動が落ち着かない。テンパると、なお忙しくなる。気弱なようでいて、自分が正しいと思った主張は譲らない。主人公の幼なじみの筈なのだが……。
三ツ廣 さち
(ミツヒロ サチ)
活発で、主人公とはよくウマが合うクラスメイト。恐ろしく元気。「アガルねっ!」、「イイかもしんまい!」などと独自の元気系用語で周りを混乱させる。当然のように運動神経は抜群で、頭の回転も速く、パソコンで為替をやって生計を立てている。流行にうるさく、今後はお笑いブームと純愛ブームが来ると予測しているが、既に出遅れていたりもする。「1日が12時間しかない義務」を負う。
大音 灯花
(オオネ トウカ)
学級委員長。いつも腕を組みながら主人公のことを冷ややかに見つめている。気丈に振舞ってはいるが、母親の厳しいしつけに疲れているようだ。テストに名前を書き忘れたりするくらいかなりのうっかりさんなのだが、いじられたり笑われたりするのが大嫌いなわがままな人。「大人になれない義務」を負う。
大音 京子
(オオネ キョウコ)
主人公が通う学園の教師で、灯花の母。性格は温和で学園生の人気もあるのだが、娘の灯花には厳しく、過保護なくらいしつけている。神経質なのか、犬とか負けとかいう言葉に過敏に反応する。
卯月 セピア
(ウヅキ セピア)
主人公のクラスメイト。美青年だが、どこかせつない。義務というか影を負っている。自称童話作家。前髪に触れられるとキレる。童話作家だけあって、メルヘンなトークが大好き。ミサイルも好き。本名は磯野くん。
まな
(マナ)
さちの部屋に住む少女。人懐っこく天真爛漫な性格で、同じく居候するようになった主人公のことが大好きになる。スーパーで働いているが、教育を受けてないために給料はよくない。十回クイズに引っかからなかったり、買い物で牛乳は必ず奥から取ったりと、なかなか賢い。
法月 将臣
(ホウヅキ マサオミ)
特別高等人。主人公・賢一の厳格な指導者。薄い氷のような目つきと、結果を先取りした言動で他人を圧倒する。思考や理念などは全く理解することができず、7年の付き合いの賢一が法月について知っているのは、左足を負傷しているという身体的特徴のみ。逆に法月は、賢一の性格や技能、欠点を全て熟知しているといい、常に賢一を窮地に追い詰める。

【イベントCG】


(C)AKABEi SOFT 2/イエティ/Regista

□イエティのホームページ
http://www.yetigame.jp/
□「車輪の国、向日葵の少女(仮)」のページ
http://www.yetigame.jp/sharin/

(2007年11月8日)

[Reported by 滝沢修]



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