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サイバーコネクトツー、「.hack//G.U.」のオリジナルアニメを制作
九州大学との産学連携ゲーム制作プロジェクトも発表

10月3日 開催

会場:東京・時事通信ホール

 株式会社サイバーコネクトツーは、新事業戦略発表会を東京・銀座の時事通信ホールにて開催した。

 サイバーコネクトツーは、「.hack」シリーズや「ナルティメット」シリーズなどを開発しているゲームソフト制作会社。この日の発表会には、同社代表取締役社長の松山洋氏をはじめ、「.hack」シリーズのクロスメディア展開を手掛けた株式会社バンダイナムコゲームスの代表取締役副社長の鵜之澤伸氏と、バンダイビジュアル株式会社の取締役の森本浩二氏が登場した。


■ 映像作品「.hack//G.U. TRILOGY」をDVDとBDで同時発売

「.hack//G.U. TRILOGY」のロゴ
サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏
 発表会は、「.hack」に出演している声優の榎本温子さんの司会で進行。松山氏は挨拶の冒頭で「元気ですかー? 私は元気です」と、氏らしい軽いノリで会場の緊張をやわらげた後、同社の歴史やこれまでの作品を紹介。ゲーム制作におけるテーマとして「映像と演出」があることを挙げ、「ゲームと映像は切っても切れない関係にあり、ドラマチックな演出や、一度見たら忘れられないような演出をこだわって作ってきました」と、会社のポリシーをアピール。そして、「映像と演出」が重要な映像プロジェクトを新事業として立ち上げると発表した。

 その第1弾タイトルとして「.hack//G.U. TRILOGY」を発売すると発表した。この作品はタイトルからもわかるとおり、3部作として発売されたプレイステーション 2用RPG「.hack//G.U.」シリーズの世界観を受け継いでおり、松山氏は「(弊社が)映像として料理するとこうなる、という作品になっている」という。DVD版とBlu-ray Disc版が同時に発売され、発売日は2008年1月25日。発売元はバンダイナムコゲームス、販売元はバンダイビジュアル。価格は、DVD版が7,140円、Blu-ray Disc版は8,190円となっている。

 同社と12年のお付き合いしているバンダイナムコゲームスの鵜之澤氏は「サイバーコネクトツーは、『.hack』シリーズの頃から単純にゲームを作っている雰囲気ではなく、映像へのこだわりが感じられた」と同社を紹介。「.hack//G.U. TRILOGY」については「簡単に言えば映画を作っています」とし、スクウェア・エニックスの映像作品「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」の実績から、ゲームクリエイターが作った映像作品でもいけるんじゃないかと判断したという。「今回はプリレンダーで作っていますが、いずれはこれに近いクオリティのものが、PS3やXbox 360でリアルタイムで見られるんじゃないか」と将来の展望を語った。

 バンダイビジュアルの森本氏は、「ゲームの中に入れる映像ということではなく、今回は1本のDVDという形で映像制作を行なうということで、かなりチャレンジだろうと思っております。映像の制作に関しても、松山氏と演出の中の一部としての映像ではなく、1本の繋がったゲームとしてやろうということで、まったく新しいフィルムという形となっています。ゲームで見たことあるようなシーンが出てくるかもしれませんが、解釈の仕方であるとか、フィルムの構成の仕方が全く違い、『.hack』を知らない方が見ても『これはすごい』と思うような作品に仕上がっています」と作品への自信を見せた。また価格について、「当初、バンダイビジュアルの価格設定である9,800円(税抜)としていましたが、非常にクオリティの高い作品に仕上がることを確信し、7,800円(税抜)という通常のPS3のソフトと遜色のない価格にしました」と、当初の発表から値下げしたことも明らかにした。

司会進行は声優の榎本温子さん バンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸氏 バンダイビジュアル株式会社取締役の森本浩二氏

 そして今回の映像プロジェクトにあたり、映像チーム「sai -サイ-」と、サウンドユニット「LieN -リアン-」を立ち上げた。「sai」は、同社の映像スペシャリストで編成され、「sensible(感性)」、「art(技術)」、「innovation(革新)」という意味と、“最も彩りのある才能”集団を目指す「最・彩・才 」を現わしているという。「LeiN」は、同社作品でテーマ曲などを歌っている三谷朋世氏と同社サウンドチームの福田考代氏で構成されるユニットで、ユニット名はフランス語で「絆」を意味する。

映像チーム「sai -サイ-」のロゴ サウンドユニット「LieN -リアン-」のロゴ

 映像の一部が上映された後、再び松山氏は、「この作品はモーションキャプチャを一切使用していません。人間のリアルな動きを再現するよりも、感情ですとかアニメ的な表現などに重きをおいています。あと、ゲームからのムービー素材の使いまわしは1カットもありませんし、1つも流用していません。全キャラクタ、全シーン、すべて作り起こしています」と制作上のこだわりを語った。また、「作業工程はアニメではなくゲーム制作の工程で制作しており、アニメにはない演出になっていると思います」とゲーム制作の延長線上にあることをアピールした。

 さらにアニメのポイントとして、「入口はあくまで『.hack//G.U.』ですが、ストーリーはゲームとは異なり、結末も変化しています。映像として料理するとこうなるというものを表現しています。主人公の『ハセヲ』も、今作のために作られた新しい『B-st』フォームが登場する」と語った。

フルCGにも関わらず、モーションキャプチャを使わないなど、同社ならではのこだわり ゲーム制作の手法でアニメを制作。「Optimize」などゲームメーカーらしい表現だ 「.hack//G.U.」シリーズに出演していた櫻井孝宏さん、川澄綾子さん、東地宏樹さんからのビデオメッセージも披露された

【イメージビジュアル】
【設定画】
【スクリーンショット】


■ 九州大学とのゲーム制作プロジェクト発足

サイバーコネクトツー×九州大学 ゲーム制作プロジェクト
サイバーコネクトツーの新ロゴ
 産学連携プロジェクトとして、九州大学の学生とのゲーム制作プロジェクトの発足を発表した。サイバーコネクトツーでは現在、九州大学の研究室の学生を社内に招き、家庭用ゲーム機向けソフトの企画開発を行なっているという。プロジェクトチームのメンバーは、九州大学大学院 システム情報科学研究院情報理学部門 岡田義広研究室の学生と、同社クリエイターで構成されている。

 岡田義広研究室は、3次元ソフトウェア開発支援システムや3次元CGアニメーション生成技術など、ゲーム開発手法の研究に取り組んでいる研究室で、研究生の中には、「日本ゲーム大賞」のインディーズ部門で大賞を受賞した学生も在籍している。

 開発しているゲームの内容については一切触れられなかったものの、同研究室が研究している技術を利用した作品となるのは間違いないだろう。研究内容には、モーフィングによる中間形状生成や、3Dグラフィックスで描かれた顔が感情に応じて表情を変えるシステム、直感的インターフェイスによる服飾デザインシステムなどがあり、どのような形でゲームに実装されるのか楽しみなところだ。

 このほか、発表会では、サイバーコネクトツーの新ロゴの発表や、オフィスの引越しなどが松山氏から報告され、発表会は終了した。

岡田研究室の主な研究内容。いずれもゲームに利用できそうな研究が並んでいる


(C) .hack Conglomerate

□サイバーコネクトツーのホームページ
http://www.cc2.co.jp/
□「.hack//G.U. TRILOGY」のページ
http://www.cc2.co.jp/trilogy/
□「.hack」シリーズのページ
http://www.dothack.com/
□関連情報
【9月28日】サイバーコネクトツー、「.hack//G.U.」への取り組みと、未来の展望
開発会社が踏み込むことで成功した「クライマックスの連鎖」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070928/connect.htm
【2006年2月6日】バンダイ、「.hack//G.U.」プロジェクトを発表
PS2用ゲームは全3巻構成で5月より順次発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060206/hack.htm

(2007年10月3日)

[Reported by 滝沢修]



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