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会場:幕張メッセ
入場料:当日1,200円、前売1,000円
■ 国内発のルータがオンラインゲームに最適化? オンラインゲームファン向けの情報として、まず「ゲームへ最適化されたルータ」を謳う新製品を発表したプラネックスコミュニケーションズとコミュニティーエンジンの2社をピックアップしてみよう。 ・ゲーム向け最適化機能の提供はルーター業界初。その中核機能とは
ゲームには「重要な通信データ」と「欠落してもよい通信データ」の両方があることが多いが、そういったオンラインゲーム固有の特性にも柔軟に対応できるとのこと。この機能を活用するためにはゲーム側の対応が必要で、現在それはコミュニティーエンジンの開発する通信ミドルウェア「VCE2」にて提供されることになっている。実際の対応タイトルは2008年に順次登場する予定になっているようだ。
この機能が実際に役に立つシチュエーションとして、「VCE2」を開発したコミュニティーエンジンCEOの中嶋氏は、「家族の誰かがオンデマンドのビデオ見ていて帯域を占有しているときでも、ニンテンドーDSのWi-fiやPCのオンラインゲームが快適にプレイできます」といった例を紹介してくれた。あるいは超ヘビーユーザーが複数のP2Pアプリケーションを駆使しながらオンラインゲームをプレイする、といったシチュエーションも想定してくれたが、こちらはちょっと微妙か。
これは同社の新ミドルウェア「World Synthesizer」によって実現したもの。これについては以前弊誌上で紹介 (インタビュー、セミナーレポート) したが、今回展示されたデモについてもミドルウェア上のアプリケーションコードは殆ど同じものだとのこと。移植にあたって必要だった作業の大部分は、画面解像度にあわせたグラフィックレイアウトの調整や、コントローラへの対応ということで、それらを除けば完全なコード互換性が実現されているという。さらにサーバーソフトウェアの通信頻度やシミュレーションレートは調整可能で、秒間60回の内部処理をしながら秒間5回送受信するといった形で、レースゲームなどリアルタイム性の高いアプリへも応用可能とのことだ。 ブースでは来場各社のビジネススタッフやデベロッパー向けに説明をおこなっていたが、同社営業チーフの大川氏によるとプラットフォーム互換への反響は上々のようだ。CEOの中嶋氏は同ミドルウェアのマルチプラットフォーム展開について、Wii、ニンテンドーDSのみならず、Xbox 360やPSPといったハード、あるいはFlashといったWebプラットフォームについても動き始めているという状況を紹介してくれた。残念ながら詳細は伏せられたが、具体的な段階に入りつつあるようだ。
中嶋氏はまた、同社が現在行なっているミドルウェア「VCE2」の無料試用版の配布について、個人ユーザーからの応募もOKだとのこと。それだけでなく、「そういった熱心な方とは是非直接会って話をしたいですね。投資家を紹介しますよ」とオープンな姿勢を語ってくれた。
・ビジネスソリューションコーナーには物理処理チップ「PhysX」の展示も
実売価格3万円強で手に入るこの製品、現在のところ対応タイトルが少なく、ブースで説明を行なってくれたELSA製品開発部の神能氏によれば、正直なところセールスはまだまだの状況であるようだ。しかし今後はUnreal Engine 3.0搭載タイトルを含めて使い道が増えていくとも。この日は主にエンドユーザーではなく業界関係者向けの説明を行なっていたようだが、国内タイトルへも対応を進めていきたいとの姿勢を感じるものだった。
■ 普及価格帯に挑戦する本格ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をはじめ 国際パビリオンに位置する海外企業ブースに目を向けると、こちらはハードウェア関連の出展が目を引いた。ゲームデバイス関連の新製品は、やはりこういったイベントの場で体験できると楽しいもの。ここでは筆者がチェックしたいくつかのトピックをご紹介しよう。 ・米VUZIXのHMDは普及価格帯で3軸トラッキングを実現
さらに両眼にそれぞれディスプレイがついているということで、NVIDIAステレオドライバを使えばあらゆる3Dアプリケーションで裸眼立体視が可能。肝心のトラッキング機能についても、「Track-IR」シリーズを日ごろから常用している筆者から見ても十分にクイックな反応が得られ、感触はすばらしい。展示ではグライダー飛行のコックピットビューのデモが行なわれていたが、運動性の高い戦闘機などにも相性がよさそうだ。
このクラスの製品になると従来は10万円から20万円という価格帯がザラであったが、この「VR920」は国内で59,900円の小売価格を予定しているとのこと。これが実現すれば「普及価格帯のVR-HMD」という本格的な展開が始まることになる。話題の「Second-Life」にも対応しているということで、フライトシム、ドライブシムファンのみならず、VR環境に興味を持つ読者は米VUZIXおよび国内販売代理店3Dウィンのサイト情報をチェックしてみよう。
・家庭に体感ゲーム筐体が! カナダD-BOXの本格駆動チェアはなんと14,000ドル
この製品は「D-BOX GP-200」という名称で、ハンドルやペダルを含むチェア周りの筐体全体を駆動させるために総電流2.5アンペアの強力なモーターで4本のシリンダを動かすという仕組み。筐体サイズは163×83×127cm (長さ×幅×高さ) で、重量は70kg。対応プラットフォームはPCで、専用ドライバおよびアプリケーション組み込みのSDKにより、ゲーム内の3軸の動きを検出してチェアの動きに反映させる。この巨大な筐体が前後左右に激しく動く振動はものすごく、一般家庭にはとても置けなさそうな雰囲気だ。 そう思ってセールス担当者に問いかけてみたところ、北米ではすでに200セットを売り上げたとのこと。1台あたりの価格はなんと14,000ドルで、日本円にしておよそ160万円相当。担当者によれば、この製品がターゲットとするのは「超ハードコアゲーマーや、スポーツカーを所有していても都会の混雑のせいで走りを十分に楽しめない裕福層の個人ユーザーに、最高の体感シミュレーター環境を提供します」とのこと。
このように本製品はシミュレーター的な性向が強く、個人ユーザーのほかには自動車販売店や、アミューズメント施設、教育機関などへの売り込みを考えているのだそうだ。もし読者の中にこのシステムを購入したという豪の者が現れたら、是非ご一報頂きたいところだ。
■ 番外編:公的団体設立へ動き出した「日本eスポーツ協会設立準備委員会」
この準備委員会が設立を目指す「日本eスポーツ協会(JESPA)」とは、国際オリンピック協会(IOC)関連団体の主催する国際eスポーツ競技会に日本選手団を送り出す際、日本オリンピック協会(JOC)の公認組織として必要な団体であるとのこと。「現在はこのような団体がないため日本選手団を送り込むことができないのです」とは、同準備委員会所属の宮尾英水氏からの説明だ。 設立目標は日本オリンピック協会の公認組織ということで、活動は完全に非営利。準備委員長には現衆議院議員・西村康稔氏を迎え、公的組織としての協会設立を目指している。商業色は出していかないとしながらも、「協力してくださる企業は皆ウェルカムです。我々はオープンな組織を目指しています」としている。ブース内にはeスポーツ関連イベントで良く知られる竹田恒昭氏(準備委員会マネージャー、電通eスポーツ事業部)の姿もあった。 現在の取り組みとして準備委員会は、「eスポーツの普及、発展」、「組織体制作り」、「競技の整備・開催」を3つの柱として掲げている。このうち組織体制については、将来的に47都道府県へ協会を設置するといった目標を掲げ、本格的なスポーツ協会への成長を目指しているようだ。「普及と発展、競技の開催」については、既にeスポーツイベントの開催で実績のある「闘劇」、「GoodPlayer.jp」や「BIGLAN」など諸団体との連携も意識しているとのことで、現在は広く協力を求めている段階。
今回の出展はそういった活動を周知するためにゲーム関連緒業者への露出を狙ったものでもあるようだ。同時に海外で既に成立している各国のeスポーツ協会との連携もとりつつ、具体的な取り組みとして韓国eスポーツ協会(KeSPA)と共同し、今年12月1日にお台場メディアージュにて日韓両eスポーツ団体による「日韓戦」の開催にむけ、準備を進めているとのこと。まだ始まったばかりのeスポーツ協会設立への取り組み、まずは現実のゲームイベントとしての結実を期待したい。
(2007年9月22日) [Reported by 佐藤“KAF”耕司]
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