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★PS3ゲームレビュー★

臨機応変に戦い抜く部隊アクション
「ブレイドストーム 百年戦争」

  • ジャンル:部隊アクション
  • 発売元:株式会社コーエー
  • 価格:8,190円 (通常版)
  • プラットフォーム:プレイステーション 3
  • 発売日:発売中(8月30日)
  • CEROレーティング:B (12歳以上対象)



 PS3「ブレイドストーム 百年戦争」は、タイトルにもあるとおり“英仏百年戦争”をモチーフにした部隊アクションゲームだ。プレーヤーは“いち傭兵”となって部隊を率い、美しいグラフィックで再現された広大な戦場を疾駆する。一見すると「無双」シリーズのように「近づいてきた敵を片っ端から斬り捨てる」純粋なアクションゲームに見えるが、実際には「自身および配下の兵士全員に各種ボタンで命令を下し行動に移らせる」という若干引いた視点でプレイすることになる。

 「面白そうだけど、世界史とか詳しくないし興味ないからパスしたほうがいいのかな」などと考える人がいるかもしれないが、各種ムービー、他キャラクタとの会話、さらにはゲーム中のストーリー、人物、地名辞典などが参照できる「百年記」機能など各種情報により、予備知識がまったく無くてもプレイに没頭できる。詳細は後ほど触れるが、敵味方、大部隊同士がリアルタイムで入り乱れて戦う様子は“圧巻”のひとこと。ここに惹かれるなら、本レビューに目を通さずとも「迷わず購入して問題なし!」とさえいえる。なにはともあれ、まずはゲームの基本部分から順次ご紹介しよう。



■ 今日からアナタはいち傭兵 ~英仏どちらに手を貸すかはプレーヤー次第~

 本作におけるプレーヤーの立場は、英仏戦争に参加する“傭兵”のひとり。念のため説明しておくと、傭兵とは「お金をもらって戦争に参加する職業兵士」のこと。オープニングムービーにも登場するが、昨日一緒に戦っていた味方の傭兵が明日は“敵”になっていることも珍しくない、なんとも因果な商売だ。

 プレーヤーは、傭兵活動の拠点となる「酒場」のメニュー「契約」にリストアップされる契約一覧のなかから、好きなものを選んでミッションに参加する。契約する勢力(英仏)、戦場、達成条件、報酬、期間、難易度などの諸条件を検討して、こなせそうなものを選んでいくことになる。契約には一部「印」つきのものが出現することがあり、これは“ストーリー展開に関わる重要なミッション”であることを意味する。こうして各ミッションをクリアしてゲームを進めていき、傭兵として金を稼ぎ、名声を高めていくのがゲームの基本的な目的だ。

 さて、ゲーム開始時にプレーヤーは分身となる傭兵の名前、性別、外観をエディットするが、本作は主人公キャラクタのエディットパターンがわりと淡白。性別のほか、外観8パターン、ボイス3種類の組み合わせを選ぶだけで、昨今のタイトルによくある「慄然とするほどの細かいエディット機能」はない。最初は「えー、これちょっと少なくない?」と誰もが感じるだろうが、ゲームを進めていくうちに「あぁ、なるほど。細かくエディットする意味がないわけだ」と実感することになる。

 なぜなら、本作は装備品が主人公グラフィックスに常時反映するため、たとえ姿形をこと細かにエディットできたとしても、ゲーム中に“生身”の部分を見ることがほとんどないからだ。時は中世ヨーロッパ。重厚な歴史、世界観をきちんと反映させている本作では、ファンタジーRPGに登場する防御率ゼロに等しいハイレグ・アーマーのようなチャラチャラした防具は登場しない。傭兵たるもの、戦場で生き残ってナンボ。そのためには、アタマのてっぺんからつま先まで、一寸の隙もなく防具でカバーする必要がある。

 プレーヤーは、戦場で拾った、もしくは稼いだ金で商人から買った防具を「ヘッド」、「ボディ」、「アーム」、「レッグ」の各部に装備していく。身を守るためのものだから、露出したとしてせいぜい顔面程度で、フルフェイス型の防具をかぶったなら、それも全部隠れてしまう。体型くらいはエディットできても良かったのだろうが、過酷な戦場にメタボリックな傭兵など存在するはずもなく「とにかく細かくエディットできなきゃダメなの!」という人でもなければ、人物像はプレーヤーキャラクタを含め“百年戦争”という世界観に基づいていることを、あらかじめご了承願いたい。

 冒頭で触れた“最強の傭兵を目指す”には、戦闘中に有名な敵隊長を倒したり、敵拠点を制圧したり、各種依頼を達成して「名声」を上げていく必要がある。この時代、傭兵として立身出世するには“名声”が何より大切。地道に契約をこなしていけば自然とついてくるものだが、効率よく上げたい人は前述の条件を念頭に置きつつ各ミッションを遂行していくといいだろう。

主人公:男
主人公:女
戦闘中はもとより、酒場、イベントシーンでも装備による外観の変化が反映する。フルフェイス系の防具をつけると顔も隠れてしまうので、細かくエディットできても意味がないと判断したのだろう




■ 部隊を引率するには“兵法書”が必要

 本作のキモは、なんといっても大部隊を率いて敵をなぎ倒していくダイナミックな展開に尽きる。ここで面白いのは、戦場に出現した直後のプレーヤーキャラクタは“単身”ということ。プレーヤーキャラクタは、出撃した味方拠点、その周囲にいる部隊のなかから、指揮したいものを自由に選ぶシステムになっている。ただし、引率が可能なのは「いくつかの条件を満たした“味方部隊”」に限られる。

 拠点規模にもよるが、出撃した味方拠点の周囲には、最低でもひとつ以上の“フリーの味方部隊”が存在する。ここでいう“フリー”とは、「他の隊長に率いられていない」、「頭上に“盾”マークがついている拠点防衛専門ではない」、さらには「自身が“兵法書”を持っている兵科と、その系統」といった3つの条件を満たしたマップ上にいる味方部隊を指す。プレーヤーキャラクタが出現した周囲にフリーの味方部隊が見当たらないときは、R2ボタンで画面右上のミニマップを拡大すれば近辺の部隊配置がすぐに把握できる。

 兵法書は、ひらたくいえば“スキル”みたいなもの。プレーヤーキャラクタが最初に所有しているのは「長剣の書」、「騎馬の書」、「弓弩の書」の3つ。ここでいう兵法書とは“兵科のおおまかな系統”の意味で、実はこの下にサブカテゴリとして「長剣」、「長剣&盾」、「両手剣」など“兵科”と呼ばれる複数のサブカテゴリが存在する。これらは「槍の書」、「棍の書」など他の兵法書についても同様だ。

 兵法書と兵科を増やすには、酒場の商人から買う、もしくは戦場でアイテムとして獲得する必要がある。傭兵を始めたばかりの頃は基本的な部隊しか引率できないが、契約をこなしていくうちに、少しずつ扱える兵法書と兵科が増えていく仕組みになっている。

 部隊を率いるには、フリーの部隊に接近して×ボタンを押すだけでいい。引率可能な部隊に接近すれば、その部隊の頭上にあるアイコンが点灯するので一目で判別できる。ありがたいことに、マップ上にいる味方部隊は、“おおまかな系統”の兵法書をひとつでも持っていれば「同系統の兵科」はすべて引率できる。たとえば「斧の書」を持っていれば、そのサブカテゴリ「斧」、「斧&盾」、「両手斧」タイプ味方兵科(部隊)は、すべて引率可能。引率時の部隊レベルは、おおまかな兵法書のレベルで統一される。

 こう記すと「なんだ、それなら兵法書をひとつ持っていれば、酒場の商人から細かいサブカテゴリの兵法書(兵科)をいちいち買う必要はないよね」と思われそうだが、それはまた別の話。個別の兵法書(兵科)を持っていないと、後述の「武器や盾を装備させる」、「部隊アクションのレベルを上げる」といった“兵科ごとの育成”ができなくなるからだ。

 引率する部隊を取り替える、もしくは開放するときは、再び×ボタンを押せばいい。戦闘で損耗した部隊は、後述の「戦旗」の一部を使えばその場所で補充も可能だが、基本的には“使い捨て”と考えたほうがいい。これまた後述するが、数が減ったり、明らかな天敵が目の前にいるときは、無理をせず近くにいる味方部隊に任せるか、あるいは臨機応変に取り替えていくのがセオリーだ。

最初に使える兵科は3つ。まずはコレで戦闘をやりくりしていく チュートリアルと最初のミッションで基本操作はすべて覚えられる。ひとつの部隊にしばられず要素でガンガン切り替えていくべし




■ 部隊間の“相性”が超重要 ~天敵を避けカモを狙い撃ちして上手に立ち回るべし~

 引率している部隊は、R1ボタンを押すだけでAIにより視界にいる敵を自動選択して勝手に戦ってくれる。基本的には、R1ボタンを押しながら敵に近づくだけでプレーヤー自身は何もする必要がないほど。R1ボタンを離せばプレーヤーキャラクタの周囲に戻ってくるので、体勢を立て直すときや、撤退や間合いを離したいときに有効だ。

 部隊によっては、×、△、○のそれぞれにわりあてられた“部隊アクション”と呼ばれる必殺技のような固有の攻撃アクションを使わないと敵にダメージを与えられないタイプもあるが、剣、槍など、白兵戦仕様の部隊は、おおむねR1を使った自動戦闘を多用することになる。

 戦場では傭兵や騎士などに率いられた部隊同士が頻繁に激突することになるが、勝敗を決する要素でもっとも大切なのが“部隊間の相性”だ。戦場でセレクトボタンを押すと、その部隊が得意、互角、不利な相手が一覧で表示される。マニュアル19ページの“兵科の相性”に全体傾向が記されているが、サブカテゴリの兵科ごとに微妙に違ってくるケースもあるので、見慣れない敵部隊を相手にするときはこまめにチェックしたほうがいい。

 相性が戦闘にどれほど影響するかといえば、本作のキャッチコピー“鎧袖一触”よろしく、接触した瞬間に不利な側が全滅することも珍しくない。後述するが、主人公や兵法書の成長度合いによっては相性をくつがえすことも十分可能だが、大前提として“不利な相手とは戦わない”ほうが身のため。お得意様を目前に鎧袖一触で気分よく粉砕するのはいいが、逆もまた十二分にありえる話。終盤のステージでよくある話だが、気持ちよく騎馬でカモを蹂躙していたら、不注意で真横から天敵のラクダに突っ込まれ一撃死なんてこともままある。

 本作はゲームオーバーがないため全滅してもほとんどペナルティを受けないが、勝ち戦モードで調子をこいている最中に天敵にカモられるのは、自己嫌悪も手伝って精神衛生上大変よろしくない。複数の敵味方部隊が入り乱れる状況では、特に慎重に立ち回る必要がある。何百という兵士が入り乱れると画面がゴチャゴチャになってわかりづらいこともあるが、そんなときは部隊真上のアイコンを見て大雑把な分布域を把握すると戦いやすい。

剣、槍など白兵戦タイプの兵科はR1ボタンで視界内の敵を自動攻撃 部隊アクションはゲージが回復するまで同じものを連続では使えない 部隊同士の相性は本当に重要。慣れないうちはこまめに確認すること
敵部隊の頭上アイコンを見れば相性は一目瞭然。こちらが有利なときは、よほど部隊レベルに差がなければ物凄い勢いで相手が倒されていく。鎧袖一触とはまさにこのこと




■ 主人公(兵法書)を育成して戦いを有利に!

 兵法書は、その部隊で戦うごとに「スキルポイント(SP)」と呼ばれる経験値のようなものが蓄積されていく。戦闘終了後、酒場に戻りステータス画面で兵法書を呼び出せば、このSPを消費して兵法書を“成長”させることが可能だ。育成には「長剣の書」などカテゴリ全体に影響する「サポートスキル」、兵科個別の部隊アクションを強化する「アクションスキル」のふたつがあり、それぞれ好きなように割り振れる。

 育成方針は、それこそプレーヤー次第。本作の開発インタビューでも触れられているが、獲得SPを増やす「研究」を優先するのが無難だが、後述の酒場で雇用する部隊数を増やす「統率」を優先したほうが結果としてSPを獲得しやすい兵科もあり、一口に強くするといってもアプローチは人それぞれ。システム的に育成で袋小路に陥ることはないため、このあたりは好みでやるのが一番だろう。

 酒場の商人から「武器」、「盾」といったアイテムを購入して兵科を強化することもできる。主人公の傭兵よろしく、兵科も個別に「武器」と「盾」が装備させられる。商品リストにカーソルをあわせれば、その兵科にプラス要素があるものは緑色、下がるものは赤色でそれぞれ表示されるため一目瞭然。手軽な強化法につき可能な限り装備させておきたいが、お金に余裕がないときは「長剣&盾」、「細剣&盾」など、拠点で頻繁に見かける兵科を優先するのもいい。

 SPは、その兵科よりレベルが高い相手を倒すほど多く獲得でき、低いとほとんど手に入らない。難易度が低い楽なミッションは低レベルの兵科を育てたり手堅くお金を稼ぐにはいいが、こと育成に関しては効率があまり良くない。相性を上手に利用し、難敵を倒すコツを身につければ、“鎧袖一触”の気持ち良さが味わえるうえに効率よくSPも稼げてまさに一石二鳥だ。

 兵法書レベルによる戦闘力の違いは、ミッションの難易度が上がるごとに歴然とあらわれてくる。兵科の運用方法にもよるが、こと白兵戦タイプに関しては、レベルが違いすぎるとたとえ相性が良くてもまったく歯が立たない。いくら相性が良くても、生まれたてのマングースと育ったハブでは“天敵以前の問題”といったところか。特定の兵科を育てるのもいいが、いざという時に困らないよう、長剣、騎馬、弓弩など最低限の兵法書は一定レベルまで常に鍛えておくべきだろう。

敵を倒してSPを獲得し、それを消費して兵法書(兵科)強化していく 兵法書は酒場の商人から購入したり、戦闘中にアイテムとして入手可能 武器と盾は兵法書(兵科)ごとに装備させる。余裕があれば一通り購入




■ “臨機応変”に戦う楽しさ ~難局を即興で切り抜けるカタルシス~

 部隊間の相性を最大限に利用するには、当然ながら状況に応じて率いている部隊を切り替えていくのが重要。ただし、それも「近くに味方部隊が複数存在する」という状況があってこその話。長剣を率いて、敵の騎馬部隊を前に「今こそパイク兵や弓兵の出番だ!」と連想するのはいいが、手近にその部隊がいなければ何の意味もない。

 自身の周囲に複数の部隊を用意するには、おおむね2つの方法がある。ひとつは、契約時のマップに表示される“各拠点からの矢印”を見て、味方部隊の進軍ルートをチェックすること。味方の軍勢と一緒に行動すれば、その先にいる敵と対峙したとき、自身が率いている部隊と瞬時に取り替えられる。敵拠点を制圧すれば、その周囲にフリーの部隊が出現して近隣の敵拠点に進軍を始めるので、あとは自身もそれについていけばいい。

 もうひとつは、酒場の商人から部隊を「雇用」するというもの。雇用には、当然ながらお金が必要。雇用した部隊にはそれぞれ使用回数が明記されており、使い切るとふたたび購入しなければならない。いち部隊あたりの兵数は兵法書の「統率」レベルに比例し、上限は30人まで。当然、兵数が増えるほど雇用コストも高くなる。使い方はL2ボタンを押してメニューを呼び出し、同時に□、△、○ボタンを押せば目前にポンと出現する。ボタン数でわかるとおり、最大3種類の兵科まで登録できるというわけだ。

 雇用して呼び出した部隊は×ボタンで引率してもいいし、そのまま放置して近くの敵と自動戦闘させてもいい。味方の軍勢と一緒に進軍するのがカッタルイという人は、目的の拠点まで速攻をかけ目前で雇用部隊を一気に展開するのもいい。「そんなのお金がもったいない」という人は、味方と一緒に行動して足りない兵科を補うか、いち部隊のみ率いて敵拠点に押しかけ、最低限の雇用部隊もしくは敵味方の能力を変化させる消耗アイテム「戦旗」を使うという手もある。

 「戦旗」は一部をのぞけば安価なものが多く、攻撃力や防御力など能力の上下、損耗した兵数の補填など、使い勝手がいいものが揃っている。使い方は、L1ボタンを押す以外は雇用部隊と同様。3種類が使いわけられるので、状況に応じて積極的に使っていきたいシステムだ。

 敵を倒すと増える戦意ゲージがMAXになると発動する「ストーム状態」も、相性などと同様に有効に活用したい重要なシステムのひとつ。発動中はすべての能力がほぼ2倍になり、ダメージを一切受けない無敵状態という凄まじさ。ただし、ゲージがMAXになると即発動してしまうのが難点。「ここぞ!」という状況で狙って出せないのがつらいが、ゲージのたまり具合をこまめに確認していれば、城塞都市などの大拠点を攻めるときに役立つ場面があるはずだ。

雇用部隊は非常に便利。酒場の商人から購入する。□、△、○にそれぞれ1部隊ずつ登録可能。戦闘中にL2ボタンと同時押しでその場に呼び出せる
戦意ゲージがMAXになると、すべての能力が約2倍になり、しかも無敵という破格の「ストーム状態」に突入。MAX即発動につき任意のタイミングで使えないのが難点。ちなみに、マップ上を跳ね回る鹿に触れると戦意ゲージがプラス20パーセント増え、ウサギだと体力ゲージがプラス20パーセント回復する


 開発者インタビューでも触れられていたとおり、ある程度バリエーションが生じるようになっているとはいえ、拠点に出現する敵味方の部隊は、基本的にランダム。長時間プレイしていると皮膚感覚でわかってくるのだが、敵拠点には天敵とカモがおおむね共存(?)していると考えたほうがいい。ストーリーに影響する重要ミッションでは「……敵部隊の兵科、やたらキッツイの多くないスか?(泣)」なんてこともある。

 これは筆者だけかもしれないが、実はこうしたシチュエーションにこそ“本作をプレイする最大の悦び”が潜んでいるように感じられる。大部隊同士の激突による“鎧袖一触”の爽快感が喧伝される本作だが、筆者個人としては“即興(アドリブ)で目前の流動的な戦況を切り抜ける”カタルシスこそ「ブレイドストーム 百年戦争」の本質ではないかと思うのだ。

 たとえば、目前の拠点に天敵とカモがいるとしよう。この場合、カモに対して少しずつ接近し、おびき寄せて粉砕。その後、背後から味方の軍勢が近づいてくるようなら天敵は任せる、進軍ルートにいなければ部隊アクションで相性を補うか、あるいは雇用部隊で戦う、もしくは一度味方拠点まで撤退して天敵に有効な部隊に切り替えて戻るなど、さまざまなアプローチが考えられる。

 天敵とカモが同じ場所にいるパターンも、天敵もろともガップリ四つで正面から組み合うよりは、まずはR1ボタンを押さず「天敵が遠く、カモが一番近く」になるよう間合いをとって移動し、カモめがけて一気に近づきR1ボタンで瞬殺。呼応して反撃してくる天敵に対しては、近くなら部隊アクションや防御を駆使して互角以上の体勢に持ち込む。もし最初から勝てそうもなければ、カモのみ瞬殺し、天敵は放置して徹底的に逃げても構わない。こちらの脚力が勝っていれば、一定以上間合いが離れたら、敵部隊は追撃をあきらめて元いた方角に引き返していく。なにやら情けなくもないが、ここは「カモの戦力を削いだことで最低限の仕事(義理)は果たした」と考えたい。

 プレーヤーキャラクタの兵科“長剣兵”を利用するというのも有効な手段。前述のシチュエーションで、目前の敵部隊に対し、今現在率いている部隊は“天敵”だが、主人公の兵科“長剣兵”であれば逆にカモれるとなれば、×ボタンで一度部隊を解放し、突撃して袋叩きにされる前に敵部隊の隊長を瞬殺。隊長が倒された敵部隊は、兵士が散り散りになりマップ上から消える。あとは、先ほど解放した部隊を再びキャッチすれば、効率よく拠点攻略を進めていける。

 拠点は、ミニマップ上に表示された残存部隊数がゼロになると「拠点隊長」と配下の部隊が出現し、これを倒すと拠点制圧となる。この拠点隊長も、プレーヤーキャラクタ同様「長剣兵」につき、覚えておくといざというとき必ず役に立つ。敵部隊のレベルにもよるが、長剣兵の部隊アクション「マイティアーム」と「ヘビーストライク」を成長させておけば、いざとなれば「無双」シリーズよろしく単身突っ込んで部隊アクション連続発動アタックで隊長を瞬殺できる。ただし、これはあくまでも“一撃必殺”につき、失敗して空振りすると凄惨な袋叩きが待っているわけだが……。

 少し触った程度では「攻撃サイクルに間があくから育てにくいなぁ」と感じられる弓弩系も、天敵の少なさ、さらには一定以上の間合いをとって攻撃すると敵が混乱し逃げ回るだけで反撃してこないことに気付くと、育てにくいどころか、他のどんな兵科よりもレベルが上げやすくなる。長弓などアウトレンジに特化した兵科は拠点内など狭い場所を苦手とするものの、短弓、弩などは一定の間合いがあれば2つの攻撃部隊アクションを交互に使うだけで“間切れ”が補える。天敵となる兵科が存在する以上“絶対”はないが、それでもワイルドカード的なアドバンテージは他にない魅力といえる。

 適度にちりばめられたランダム性が生み出す、起伏に富んだシチュエーション。たまに「うわっ、あそこにいる敵部隊、全部カモじゃん♪」などというご褒美もあるが、逆もまたしかり。適度なふり幅が、プレーヤーのモチベーションを高いレベルで持続させてくれる。すでにプレイ時間が80時間を越えている筆者だが、当然のように飽きる気配がない。このあたり、さすがオメガフォースといったところか……。

天敵が待つ拠点入口に正面から突っ込みたくない。ここは距離を置いて部隊を解放し、長剣兵になることで天敵と化し敵のリーダーだけを速攻で倒す。部隊アクションが強化されていればさらに有効
弓弩系は攻撃サイクルの合間に接近されるとつらい。そこで狙撃系のピアスアーマーで狙い撃ちし、立て続けにランダムショットで接近してくる敵を殲滅。きちんと育成しておけば、たいていの敵部隊はこれだけで沈黙する




■ 適度なテンポで爽快に遊べる秀作 ~ピンときたら迷わず買うべし!~

 冒頭で述べたとおり、本作はボタンを押して剣を振り敵を倒すといった純然たるアクションゲームではない。にも関わらず、そういったマクロなアクションが常時要求されるタイトル以上に“アクションゲーム”らしさが感じられるのは、「目前の状況に即興で対応していく」スリリングな楽しさ、さらにはキャッチコピーの“鎧袖一触”に象徴される、戦闘シーンのテンポの良さに起因しているように思われる。

 部隊間の相性から派生する、さまざまなインタラクティブ要素。引率する味方部隊を適宜切り替えていくのはもちろん、戦旗や雇用部隊の活用、拠点や死角から出現していくる未知の敵部隊への突発的な対処など、無人の原野を行軍しているときでもなければ、一瞬足りとも気がぬけない。弓弩系など部隊アクションを頻繁に使う兵科であれば、敵を目前にしたときの操作はさらにテクニカルになる。

 40種類以上の兵科それぞれに“使い勝手が大きく異なる”のも魅力のひとつ。見た目はもちろん能力面でもそれぞれの個性が際立っており、自分なりの戦い方、楽しみ方が構築しやすい。お気に入りの兵科にこだわるのもいいし、すべての兵法書を集めてMAXまで育てるのもやりがいがある。ある意味、兵科は「ゲーム中に登場する主要人物の誰よりも“キャラクタ”として存在感がある」ように感じられる。

 同じ開発チームの作品を比較対象にするのは気が引けるが……大ヒットした「無双」がシリーズを重ねるごとにアクションが複雑・多様化し(賛否両論あるだろうが)肝心の“テンポ”が損なわれた一方、本作はひとつミッションが終わっても「次! 次!」と止めるタイミングが見つからない。そういった意味では、「ブレイドストーム 百年戦争」こそ、現在の「無双」シリーズ以上に“無双シリーズの原点”に近い作品なのかもしれない。



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□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「ブレイドストーム 百年戦争」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/bladestorm/
□関連情報
【6月29日】コーエー、PS3「ブレイドストーム 百年戦争」
PS3本体(HDD 60GB)をセットにしたパッケージを同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070629/bs.htm

(2007年8月31日)

[Reported by 豊臣和孝]



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