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★PCゲーミングデバイスレビュー★

キー荷重を調整可能な富士通の重量級キーボード
柔らかなタッチで快適なゲームプレイ環境を実現

Libertouch

  • ジャンル:ゲーミングキーボード
  • 開発/発売元:富士通コンポーネント
  • 価格:オープンプライス(実売18,000円前後)
  • 対応OS:Windows 2000/XP/Vista
  • 発売日:6月19日(発売中)



 富士通コンポーネント株式会社は、ハイエンドキーボード「Libertouch(リベルタッチ)」FKB8540シリーズを発売した。「打鍵の心地よさを追及」したというメンブレン方式のスイッチは非常に軽く柔らか。ラバー製のドーム状部品(ラバードーム)とコイルバネでキーを保持する構造のため、押し込んだ時の衝撃が吸収されカチャカチャ音のない快適なタインピング環境を実現している。ぐらつきの少ない堅牢な構造も相まって、ゲームなどハードな用途にも耐えうる高性能な製品である。

 本製品は、ロジクールの「G15 Gaming Keyboard」のようなゲーマーにフォーカスしたゲーミングキーボードではないが、ハイエンドキーボードがもたらす環境は常にゲーマーが求めているものとマッチし、実際、東プレの「RealForce」のようにゲーマーに長年愛されているキーボードも少なくない。という点では、ハイエンドキーボードは、ゲーマーにとって要注目のカテゴリと言えるわけである。その待望の新製品となる「Libertouch」の使い心地をさっそく紹介していきたい。


■ 作りはしっかりとした本格派。キー荷重を調整することで自分好みの設定が可能

製品パッケージ。「タインピングに限りない心地よさを」とあるとおり、質実剛健な高級キーボードだ
キー配置としてはオーソドックスな108キー配列。カラーリングは今回試用した黒のほかに白バージョンがある
 PCが生活の中心になってくるにつれて、やはり気にしたいのはキーボードの性能だ。良いキーボードは長時間の使用においても、使用者のストレスを最低限に抑え、快適な作業環境を作る役割を果たしてくれる。数千円程度の安価なキーボードでも充分な機能は果たすが、1万円を越えるハイエンドな製品は長時間作業下での快適さという別の価値をもたらしてくれるのだ。PCゲーミングでも同様に、マウスとキーボードが主要な入力デバイスである限りは、一般的な傾向としてハイエンドな製品にゲーマーの注目が集まるのは自然なことだろう。

 今回紹介する「Libertouch」キーボードは、非常に軽くフラットな打鍵感を実現するとともに、独自の衝撃吸収機構による静音性を両立。さらにキー荷重を約35g、45g、55gの中で調整可能というこだわりを見せる製品だ。最近までの流れとして、ハイエンドキーボードが大手メーカーから投入される事例そのものが少なかったため、本製品の登場はハイエンドキーボードを求めるPCユーザーやゲームユーザーの選択肢を広げる上で朗報になるだろう。

 まずは本製品の基本的なスペックからご紹介しよう。外形寸法は幅456mm、奥行き170mm、高さ39.5mm。キー配置としては一般的な日本語108キーで、外観は極めてオーソードックスなキーボードといえよう。接続方式はUSB1.1で、約1.6mという長めのケーブルを装備している。

 そして、実際に商品を手にとって気が付くのがその重量。およそ1.5kgはあろうか、ずっしりと重い。ハイエンドキーボードとして名高い「Realforce」(106キー版で約1.4kg)シリーズや、ゲーミング用途を意識した「Steel Keys 6G」(約1.3kg)と比べてもさらに重い。高級キーボードの常として、打鍵時の安定性を増すために内部に鉛などのバラストを入れ、重量を確保するという傾向がある。本製品はその点ぬかりなく、安定性は抜群だ。

 そしてキーストロークは約3.8mm。これは一般的なキーボードに比べるとかなり浅い部類に入り、「Realforce」シリーズの4mmという数値と比べてもやや浅い。キーストロークが浅いと何が起こるか。要するに打鍵開始から実際にキーデーターがPCに入力されるまでの時間的ラグが少なくなるわけである。たとえミリ秒単位の違いであっても、1フレームのタイミングを競うゲーマーにとっては検討に値するデータだ。

キーストロークは約3.8mmと浅めの設定。クイックな反応感覚が得られる

 ゲーマーならば気になる同時押下特性については、カタログスペックとしては公表されていないため、実際のゲーム中でテストするという形態をとった。「Counter-Strike: Source」などのFPSゲームで筆者がテストした範囲では、本製品は6キー以上の同時押下に耐えるようだ。限界数値については明らかにすることはできなかったが、ゲーム用途のハードな使用で問題になることはなさそうだ。

 肝心のタインピング特性としては、ややサクサクとした感触を基調とし、ラバー製のクッションにより押し込んだ瞬間衝撃が吸収され、柔らかな打鍵感だ。「Realforce」シリーズの「スッスッ」といった感じの無抵抗な打鍵感に比べるとやや抵抗感はあり、これはユーザーの好みによって評価が分かれるところ。キー押下時のテンション変化は極めて安定しており、指への負担が少なく心地よい。打鍵音もかなり抑えられているので(カタログスペックでは従来製品より40%削減)、高速タインピングにはうってつけの特性といえるだろう。

Windowsキーが存在するのは好みが分かれるところか 側面から。傾斜は最低限で、平面に近いキーの並びになっている

LED類は中央上部に位置している 底面のスタンドを立てると約14mm上昇する

・標準のキー荷重は45g。各15個の35g、55gの交換用ラバードームが付属

製品には交換用のラバードームが各15個2種類、キートップ取り外し用工具が付属する
 そして本製品の最大の特徴は、付属のパーツによりキー荷重をカスタマイズ可能である点に尽きるだろう。

 本製品のキーを保持するバネ機構は、スプリングとラバードームと呼ばれる柔らかい樹脂製のパーツによって構成されている。このラバードームはキートップを外すことで簡単に交換が可能。本製品の標準状態では全キーが45gのキー荷重設定となっており、付属の交換用ラバードーム35g(ピンク)、55g(淡いブルー)と簡単に付け替えることができる。

 交換手順はマニュアルにも例示されているので迷うことはないだろう。付属のプラスチック製工具をキーに押し込み、引き抜くと「サクッ」といった感触で簡単に取れる。あとは交換用のラバードームをキーボードに起き、外したキーを再度はめ込むだけだ。

 「Realforce」シリーズのキー荷重は、小指でタイプする部分は軽く、中央部分は重くなっており、その幅は30g、45g、55gとなっている(但しRealforce Sは全キーで30g)。本製品では最も軽い設定で35gであり、これに匹敵するキータッチの軽さだ。筆者は「Realforce91U」を常用しているが、本製品を打鍵してみた感触としてほぼ同等の低ストレスな感触を得ることが出来た。これは、本製品のキー底部の機構がぐらつきの少ない堅牢さを持っていることにも大きな関連があるだろう。

 ただし、付属する交換用ラバードームの個数は各15個である。全部のキーを取り替えることはできない。筆者はFPSゲームでよく使う範囲である「WSAD」(筆者の場合はEDSF)まわりのキーを35gバージョンに交換してみた(写真参照)。結果としてはキー荷重の軽さ、および本製品のキーストロークの浅さという特性もあり、ゲーム向きの設定になった。激しい操作のときにもラバーが衝撃をよく吸収してくれるため、指への負担が少なく長時間のプレイにも耐えられる。これはかなり好印象だ。

これが35gバージョンのラバードーム こちらは55gバージョン。かなり硬い感じがする これはキートップ取り外し用の工具

取り外しは簡単。まず工具をキートップに差し込んで 軽く上に引き抜けば簡単に取り外せる 筆者はFPSでよく使うキー周りを35gバージョンに取り替えてみた


■ ライバルは「Realforce」。ラバードームの別途販売や省スペース版を希望

タイピング特性はかなり良好なので、タイピングやゲームなど多方面に活用できるだろう
 ハイエンドキーボードとして申し分の無い性能を持つ本製品。妥協のない性能と、18,000円というキーボードとしてはかなり高めの価格設定を見るに、ライバル製品は当然ながら東プレ「Realforce」シリーズということになるだろう。これは本稿でもたびたび比較として取り上げた名前であり、ハイエンド志向・質実剛健のキーボードとしてヘビーユーザーからの高い人気を誇るハイエンドキーボードの定番だ。

 本製品「Libertouch」が「Realforce」の牙城にどこまで迫れるか。質実剛健なキーボードとしての性能面では甲乙つけがたいというのが正直な感想である。本製品に関して欲を言えば、ひとつは付属の交換用ラバードームが15個であるために全キー交換が不可能な点。この点については、ラバードームをオプションパーツとして販売するなどの施策を取ってほしい。また、35gよりさらに軽い荷重のラバードームが登場してくれば、カスタマイズの幅が広がり面白い選択になるだろう。

 もう一点としては、バリエーションとしてテンキーなしのバージョンが存在すれば、マウス操作に大きな面積を必要とするゲーマー向けとして大きな訴求要素になるだろうという点。現在筆者が常用しているキーボードは全てがテンキーなしの86キーないし89キーバージョンのキーボードである。PCゲームをよくプレイする場合はテンキーの存在価値が限りなくゼロに近くなってしまうため、面積が広がるほうがメリットになるという判断だ。また、ゲーム用途でなく、狭い環境で仕事をする人にとっても便利だろう。

 本製品はラバーによる柔らかなキータッチと浅めのストロークによってタインピング用途、ゲーム用途の両面において遺憾なく活躍するに違いない。上記に掲げたような点も含めて新たな商品展開を見ることが出来れば、ますます楽しみなキーボードとして市場に確固たる地位を築いていくことだろう。

Copyright 2001 - 2007 FUJITSU COMPONENT LIMITED

□富士通コンポーネントのホームページ
http://www.fcl.fujitsu.com/
□「Libertouch」のホームページ
http://www.fcl.fujitsu.com/release/2007/20070619.html
□関連情報
【2006年1月11日】PCゲームパーツレビュー「Steel Keys 6G 」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060111/sk6g.htm

(2007年8月10日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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