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2008年初旬正式サービス開始予定
本稿では、βサービスに先立ち、マイクロビジョン代表取締役社長の青沼実氏と取締役開発部部長の清水利幸氏に、デモを受けながら話を聞くことができたので、その内容をまとめてみたい。
■ ユーザードリブンの新感覚仮想空間サービス「ViZiMO」
オンラインコンテンツのカテゴリとしては、純粋なMMORPGとは異なり、「Second Life」に端を発し、最近続々と登場しつつあるバーチャル空間提供サービスのひとつとなる。既存タイトルのほとんどがMMO空間ありきで、そのMMO空間の中で暮らすことを大前提としたサービスであるのに対し、「ViZiMO」は、WebブラウザベースのSNSありきで、その延長線上にSNSユーザー個々人のバーチャル空間が無数に存在し、第三者が最大4名までのプライベート空間を複製して利用するという、オンラインゲームにおけるインスタンスの発想に基づいたサービスであるところが大きな違いとなる。 従ってサービス形態も常時接続型ではなく、ユーザーはSNS上に置かれた「ViZiMOルーム」にアクセスして様々な世界を楽しむことができる。1人で入ることも出来るし、友人と待ち合わせして最大4人まで同時に楽しめる。途中参加は不可能で、システム的には至ってオーソドックスなマッチングシステムを採用している。 大別して「ViZiMO」のサービスは、ポータルとなるWebブラウザベースのSNSサービスを柱に、データをサーバーからダウンロードして起動する「ViZiMO」クライアント、そして「ViZiMO」上のバーチャル空間を構築するためのツール「ViZiMOキット」の3つから構成されている。 ユーザーは、「ViZiMO」への登録を行なうと、自分のSNSページとアバターを持つことができる。「ViZiMO」のSNSでは、自分の日記を付けたり、写真を公開したりといった一般的なSNSサービスが利用できることに加え、「ViZiMO」ルームを公開できる。この「ViZiMO」ルームを作成するための開発環境が「ViZiMOキット」であり、クライアント機能も併せ持っている。 「ViZiMOキット」は、いわゆるレベルエディターで、最大100平方メートルの空間に、自分好みの世界を造り上げることができる。あらかじめ数百種類のタイルセット(地表のテクスチャ)やオブジェクト(車、バット、イス、机、岩、ボールなどなど)が用意され、簡単な操作で世界を作ることができる。また、キットに不慣れなユーザーに対しては、20種類以上のテンプレートも用意されている。なお、オブジェクトそのものの作成はいまのところ行なえず、現時点ではメーカーが提供したサンプルデータを利用するのみとなっている。
ユーザーが作成した仮想空間は、自分のSNSにアップロードすることで、SNSの全利用者がプレイできるようになる。1部屋あたり最大4名までだが、いくらでも複製できるため、人気のViZiMOルームは、何十何百とインスタンスが作られる可能性がある。
■ 物理制御されたプライベート空間をみんなで楽しむ
ViZiMOルームの特徴は、完全にBTRエンジンによって物理制御され、重力があり、作り手やプレーヤーの介在によってモノを動かすことができる。しっかりした物理エンジンが搭載されているため、欧米の物理エンジンのデモのようなことも可能だ。 プレーヤーは、あらかじめ豊富なインタラクションが用意されており、これが「ViZiMO」のゲームとしての可能性を底上げしている。具体的には、イスに座る、岩を持ち上げる、銃を撃つ、ボールを投げる、車に乗る、バットで打つなど。見ての通りアイテムドリブンのシステムになっていて、モノを追加していくことでキャラクタ側のインタラクションも追加できるシステムになっている。 デモでは、4人でレースゲームをプレイしたり、ボールを投げ合ったり、銃を撃ち合ったりと他愛のないゲームを見ることができたが、車にぶつけられるとひかれてしまうし、銃で撃たれたり、ボールをぶつけられると倒れてしまうなど、物理制御された空間の楽しさを実感することができた。 「ViZiMO」がおもしろいのは、「ViZiMOルーム」を丸ごと全部ゲームとして作ることをあらかじめ想定しているところだ。具体的には、条件や変数などをあらかじめ設定することでそのゲームに勝ち負けを付けることができる。また、オブジェクトに対しては、破壊することはできないものの、重量や摩擦係数、反発力等を設定できるなど、作り手側に世界の設定の大部分を委ねている。つまり、オブジェクトが紙のように軽い世界や、トランポリンのような世界、その逆で全部が重い世界など、ルームによって世界設定が変わるわけである。想像力次第でかなり楽しいゲームが作れそうだ。 気になるビジネスモデルは、基本無料のアイテム課金制を予定。個性的なアバターや衣装、装飾品、ヘアスタイル、オブジェクト、家の装飾品等に課金を行なう予定だという。また、メーカーとタイアップし、有名キャラクタや商品などをアバターやオブジェクトとして登場させることも考えているという。 ユーザーに対するサービスは10月以降とまだ少し先だが、それまでに「ViZiMOキット」のサンプルオブジェクトやテンプレートを拡充していく方針だという。ユーザー自身のオブジェクト作成については、アダルトコンテンツやRMT等を防ぐ観点から今のところ予定はしていないが、別途ユーザーコンテストを開催し、優秀者に対してはプロ契約を行ない、マイクロビジョンを通じて有料アイテムとして販売していくという。
以上、ポテンシャルとしては非常に高いモノを持つ「ViZiMO」だが、いくつか未成熟な部分も散見された。現時点で気付いた点としては、ボールを投げてバットで打てる仮想空間というアイデアは素晴らしいものの、実際には手元を微調整するようなプロセスがないため、野球をするまでには至らなず企画倒れに終わってしまっているところ。手を繋ぐ、おんぶをする、肩車をするといったキャラクタ同士のインタラクションがほとんど無いこと。そして、キャラクタとオブジェクトの接触時のリアクションがいまひとつ自然なことなどだろうか。今後の開発の進捗に期待したいところだ。
(C) MiCROViSiON Inc.
□マイクロビジョンのホームページ (2007年7月30日) [Reported by 中村聖司]
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