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★PCゲームファーストインプレッション★

FPSファンが待ちわびたこの夏一番の注目作
熱いチームバトルが楽しめるマルチフォームFPS

Enemy Territory: Quake Wars

  • ジャンル:FPS
  • 開発元:Splash Damage
  • 発売元:Activision
  • 価格:49.99ドル
  • 対応OS:Windows XP
  • 発売日:8月1日(英語版)



 本作「Enemy Territory: Quake Wars」は、2003年にリリースされた人気作「Wolfenstein: Enemy Territory(以下W:ET)」の基本的なゲーム要素を引き継ぎながら「Quake」的なテイストを加味し、id Softwareのエンジン技術により開発されているチーム対戦型マルチフォームFPS。ベース作品である「W:ET」はフリーソフトとして公開され、多くのプレーヤーに支持されてきただけに、その継承となる本作は多くのファンからリリースを待望されてきた。

 今回行なわれているベータテストプログラムは、海外サイト上で限定的に配布されたアカウントでのみプレイが許されたバージョンだ。サーバー数が不足して高レーテンシー環境でのプレイが主となってしまったため、武器のバランス等について正確な判断を下すことは難しいが、今回はファーストインプレッションとしてゲームプレイ全般の雰囲気をお伝えしよう。


■ 目標達成形の前進志向がもたらす濃密なゲームプレイ

本作は「Quake」の世界観を取り入れて非常に前衛的なバランスに組み上げられたチーム戦FPSだ
“Strogg”兵士なら空を舞うくらいのことは朝飯前。トリッキーな戦い方ができる
 本作の基本的なゲームルールは、攻撃側のチームが防御側のチームが守る拠点を順番に奪取していき、制限時間内に最後の拠点を攻略すれば勝利するというものだ。また、プレーヤーは死亡しても最前線の出撃地点から再出撃することができる。このルールのため戦域が限定され間断なく戦闘に参加できるので、非常にスピーディで白熱したバトルが楽しめるゲームになっている。

 本作は名前のとおり元祖FPS「Quake」の世界観を取り入れており、遥か宇宙から地球に侵攻してきた異星人“Strogg”と、地球を防衛しようとする人類の組織“Global Defence Force(GDF)”の戦いという舞台設定だ。

 人類VS異星人という設定であるだけに、チーム毎のプレイ特性はかなり異なるものになっている。“GDF”が利用できる武器や乗り物は現代文明の延長戦にあるようなタイプで、リアル系FPSでも出てきそうなものばかり。対する“Strogg”は異星人だけに破天荒で、レイルガン、ハイパーブラスターといったエネルギー系の武器に加え、果ては空を飛びまわれる個人用ジェットパックのようなものや二足歩行の巨大ロボットのようなものなどが登場する。さらに“Strogg”の衛生兵にあたる“Technician”に至っては“GDF”の兵士の死体に“Spawn Host”を設置して、そこから“Strogg”兵士を出撃可能にしてしまうという有様。全体的にこんなノリで構築されているため、かなり非対称のゲーム性になっているのだ。

 両チームともキャラクタークラスは5種類。“GDF”と“Strogg”で表現は異なるが、一般的な用語で分類すると「突撃兵」、「衛生兵」、「工兵」、「偵察兵」、「特殊工作兵」といった構成となる。それぞれ得意分野があるのはもちろんだが、基本的には目的毎に特定の兵種が必要になるためバランスの取れたチーム構成が求められる。

 マップによって攻撃側と防御側は異なり、今回のベータテストでプレイできた"Sewer(下水道)"マップでは“GDF”が攻撃チーム、“Strogg”が防御チームという設定だ。このマップで攻撃側の“GDF”に課せられた主要目標は3つ。ひとつは“Strogg”の基地を防護しているシールドを除去するため、前進基地に“EMP Destruptor”を設置すること。これには工兵が必須だ。ふたつめは下水道にある通路を阻む鉄格子を爆破すること。これには爆薬を持つ突撃兵が必須。最後に下水道最深部にある“Strogg”のホストコンピュータをハックすることだ。

 主要目標は順番に達成しなければならない。このマップでは、ひとつめの目標を達成しなければ“Strogg”の基地入り口に通行不可能のシールドが張られているので進入できないといった按配だ。このため目標が達成されるたびに戦線が前へ、前へと推移してくような流れになる。このためゲーム中つねに戦域が限定され、激しい戦いが間断なく続くという濃密なゲームプレイが得られるしくみになっているのだ。

クラスは両陣営ともに5種類。出撃時に選択して、ゲーム中にも変更することができる 当初は“Strogg”基地の入り口はバリアで塞がれており、“GDF”の兵士は通り抜けることができない

ベータ版でプレイ可能な“Sewer”マップ。日本の三浦半島にあるんだそうな ゲーム開始。攻撃側“GDF”チームは自軍基地から一斉にスタートする

左手に見える白線は“EMP Distruptor”の建設予定地。工兵を支援して戦う必要がある 基地に侵入したら狭い下水道内の戦いだ。メインコンピュータまで到達し、ハックしなければならない


■ ゲーム展開はスピーディ。しっかりとしたチームプレイが勝利の鍵か

モタついていると防御側の準備が整ってしまう。素早い展開が序盤の要となるだろう
二足歩行兵器“Cyclops”はとても強いので、戦車がなければ車両を体当たりさせてダメージを与えるのも一手
 全体的な印象としては、本作のゲーム展開は非常にスピーディで息つく暇もないといった感じで、乗り物や固定砲台の能力やエフェクトが派手ということもあり、これまでにない雰囲気をゲームから感じ取ることができた。特に“Strogg”チームでのプレイは、空を自由に飛べたり、死体を出撃地点にしたりと荒唐無稽とも言えるトリッキーなプレイを楽しめるので、これまでのFPSに慣れた感性にも新鮮な驚きを与えてくれる。それでいながら基本的なゲームバランスは素晴らしく、チーム戦果としては勝ったり負けたりとシーソーゲームを繰り返すので単調さを感じることはなかった。

 中でも重要な要素が乗り物だ。“GDF”側にはハンビー風の戦闘用車両やM1A1風の戦車などが用意されており、対する“Strogg”側には一人用ジェットパック、二足歩行巨大ロボット、対人攻撃用戦闘車両などが登場する。この“Sewer”マップでは、ゲーム開始時に攻撃側である“GDF”チームが車両をうまく使い素早く前線に展開するという動きが非常に重要だ。

 攻撃側が素早く展開することで、第一の目標である「前進基地に“EMP Destruptor”を構築せよ」というミッションを、ろくな抵抗も受けずに素早く達成してしまうような流れも見られた。そうなると“Strogg”側の対応が後手にまわり、“GDF”は守りの薄い“Strogg”基地内に一気になだれこんで、次なる目標も簡単に達成。およそ5分強で最後の目標も達成してしまい、圧勝するというゲーム展開が実際に起こった。サーバー設定にもよるが、ゲーム時間は20分程度で1ラウンドとなるため、“Strogg”はもっと長い時間を持ちこたえなければ勝利できないのだ。

 しかし、防御側がしっかりと対応することでこの流れを断ち切ることができるのも本作の魅力的なゲーム性のひとつだ。防御側の作戦で非常に役立つのが固定型の砲台など“deployable”と呼ばれる兵器。これは工兵によって設置が可能で、対人、対車両、対砲弾といった種類が用意されている。固定砲台は強力な攻撃力を持つので、こういった兵器をうまくセットアップして敵を迎え撃てば、防御側は一気に優位に立つことができる。攻撃側は対策を講じなければ戦線に釘付けになり膠着してしまうだろう。

 しかし、それだけでは終わらないのがこのゲーム。膠着した戦線で動かない目標に対しては“偵察兵”の特殊装備による空軍への爆撃要請や、“deployable”として設置できる曲射砲への砲撃要請による攻撃がきわめて有効に働く。爆撃や砲撃は頻繁には使えないが、タイミングよく敵の陣地を撃破して一気に攻撃を仕掛けることができれば“GDF”側の有利な流れに傾くだろう。戦車など打撃力の高い乗り物による攻撃も欠かせない。

 そうして攻撃側が拠点を確保しながら、適切なクラスのプレーヤーが作戦目標を満たしていく。そうすると出撃地点も前進していき、大きくゲームが動き出すというわけだ。このような流れでゲームが展開していくため、本作では有機的なチームプレイの連動が何よりも重要な要素として働く。現在戦場に出撃している各プレーヤークラスの数は出撃選択画面で常に確認できるので、ゲームの局面に応じてプレーヤーそれぞれが作戦遂行のため必要と思われる役割を判断し、必要であればクラスを変更してチームプレイに徹する。これが「Enemy Territory」の系譜を次ぐ本作の醍醐味だと筆者は感じた。

 まだまだベータ段階ではあり、マップは1種類でプレイ時間も十分にとれているとはいえないが、製品版のリリースを楽しみに待つに値するタイトルであることに間違いはなさそうだ。

少し開けた平地があればどこにでも“Deployable”を設置できる 爆撃要請をするとすぐさま爆撃機が飛んでくる。敵の拠点防衛を崩すには必須の手段になるだろう

素早く展開すれば数の有利を生かして一気に攻略路を開けることも。守りが手薄なら速やかに目標を達成できるだろう

“Strogg”側は優れた火力があるので、地形の有利も合わせてしっかりとした防御戦を展開していきたい

本作ではJohn Carmack氏による新テクノロジー「メガテクスチャ」が投入されている。フィールド全体をたった1枚のテクスチャで表現し、模様の繰り返しがないというこの技術により、確かにマップには独特の質感を感じる。テクスチャの元データはなんと32,000×32,000ピクセルで6GBにもなり、これをゲーム中では40MB程度のメモリで使用しているとのことだ

(C)2007 Id Software, Inc. All rights reserved. Distributed by Activision Publishing, Inc. under license. Enemy Territory: Quake Wars(TM)is a trademark and ID(R)is a registered trademark of Id Software, Inc. and/or some other countries. Activision is a registered trademark of Activision Publishing, Inc. The ratings icon is a registered trademark of the Entertainment Software Association. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.


□Activisionのホームページ
http://www.activision.com/
□「Enemy Territory: Quake Wars」のページ
http://www.enemyterritory.com/
□関連情報
【2006年5月14日】「Enemy Territory: QUAKE Wars」プレビュー
「Quake 4」の世界観を取り入れたタクティカルFPS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060514/e3_et.htm

(2007年7月9日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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