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NBGA、「EDITOR'S DAY」レポートその4
PS3「タイムクライシス4」

6月12日 開催

会場:SupperClub(サンフランシスコ)

 株式会社バンダイナムコゲームスの北米での現地法人NAMCO BANDAI GAMES AMERICA INC(NBGA)が主催するプレス向け発表会「2007 NAMCO BANDAI EDITOR'S DAY」。本稿では、会場初公開となったプレイステーション 3「タイムクライシス4」に関してお伝えしよう。「TC4」は日本でも今冬に発売を予定している。プレゼンでも登場した薩川隆史氏にもお話を伺った。


■ HD対応とオリジナル「ガンコンFPSステージ」を搭載「タイムクライシス4」

新規開発のPS3用ガンコントローラ「ガンコン3」
 旧ナムコ時代から、べダルを踏んで「撃って隠れる」独特のゲームシステムで、ガンシューティングゲームの代表的作品の1つとなっている「タイムクライシス」シリーズ。アーケードでは'06年から稼動を開始し、現在も稼動中の「タイムクライシス4」をPS3向けにアップグレードした形で登場するのがPS3「タイムクライシス4」となる。

 今までのシリーズ同様にジョルジョ・ブルーノとエヴァン・ベルナールの2人のVSSE(国際特殊諜報機関)エージェントの活躍を描くが、サポートキャラクタとしてアメリカ軍内部査察官であるウィリアム・ラッシュ大尉が登場。特定の場所で画面の左右に出現するマーカーを打つことで視点移動ができる「マルチスクリーンバトル」、隠れている間にトリガーを引くことで最大4種類(ハンドガン・マシンガン・ショットガン・グレネード)の武器をセレクトできる「ウェポン・チェンジ・システム」といった要素が盛り込まれている。

 PS3版の特徴は、「HD解像度に対応したパワーアップしたグラフィックス」、ラッシュ大尉の活躍を描いた「ガンコンFPSステージ」といった追加、パワーアップ要素が多数取り入れられているところ。

 試遊台では、ステージ1を主にプレイすることができたが、解像度が向上しつつもきちんと秒間60フレームをキープ。グラフィックスはやはりパワーアップしており、ステージ1の特長ともいえる多数の虫(これが今作の敵が開発した兵器)が画面を覆いつくすような場面などで、そのパワーをまざまざと見せ付けられた。

 また、「ガンコンFPSステージ」は、新開発の「ガンコン3」を使った、自分で動いて敵を撃破する、主観視点の新たなチャレンジといえる。こちらはプレイできなかったのが残念。

 PS2用の「ガンコン2」までは、TV画面を銃口部に内蔵したカメラで捉え、位置情報を検知する方式が採用されていたが、液晶TVやプラズマTVではこの方法が利用できないという弱点があった。会場初公開となった「ガンコン3」は、TV画面左右にマーカーを設置し、それを銃口部のカメラでサーチして位置を検出することで、モニタを問わず利用できる。ボタンは6つが用意され、さらにアナログスティックが2つ配置されている。1つは左手で握るサブグリップに、もう1つは通常の銃でいうところの撃鉄部分に用意される。なお、北米と欧州ではオレンジカラーだが、日本向けはブラックに変更されるという。

 「ガンコンFPSステージ」では、左スティックで移動、右スティックか銃でのポイントでエイミングという操作になる。2つのアナログスティックを搭載することで、移動もやりやすくなったわけだ。「ガンコン2」では撃鉄部の十字キーを使っていたが、明らかに「ガンコン3」のほうが遊びやすそうだ。

「ガンコン3」をアピールする薩川氏(右)
 「ガンコン3」は銃口を画面に向けた状態における、左右60度までの傾きと、前後の動きも検出可能。プレゼンテーションに登壇した薩川隆史氏は、「ぜひこのガンコン3を他社のソフトにも使っていただきたい」とそのできばえに自信を覗かせていた。実際にプレイしてもまったく違和感なくポイントでき、完成度はすでにかなりのものになっていた。


■ 業務用と同時構想されたPS3版

 本作のディレクターを務める、薩川氏に話を伺った。

――PS3版の開発はいつごろから行なわれたのでしょうか?

薩川隆史氏
 3年ぐらい前になりますが、アーケード版の企画を立案したときから、すでに次の家庭用はPS3で行くことになっていました。ガンコンの研究もそのころからスタートしていました。業務用は「スーパーシステム256」という基板を使ってましたが、これはPS2アーキテクチャをベースにかなりアップグレードした基板で、「TC4」をPS2にはそのまま持っていけない、ということもあって、PS3に持っていこうということになりました。

 そのときに「ガンコン2」も使えないTVが増えてきていたので、プラズマTVや液晶TVでも使えるものを、ということで「ガンコン3」の技術研究がスタートしました。

――PS3版とアーケード版の違いについて教えてください

 まず、アーケード版をグラフィックをパワーアップしつつ丸ごと収録したモードが1つ。それに加えて、ラッシュ大尉、つまり本編でのナビゲートキャラクタが、アーケード版のストーリーの前にこんな事件に遭遇したとか、アーケード版のステージ1と2の間の時間にこんな戦いをしていた、といったステージが「ガンコンFPSステージ」として追加されているんですよ。これはかなりのボリュームになりますね。

 「ガンコンFPSステージ」のスタートはラッシュ大尉のストーリーからスタートします。メインとなるアーケードモードと組み合わさることで、「TC4」のストーリーが完全になります。

――「ガンコンFPSステージ」はやはり「ガンコン3」ありきでの開発がスタートしたんですね?

 そうですね。「ガンコン2」の時も十字キーが付いていたので、「これで自由に動けるモードが欲しい」という声もあったんですが、十字キー1つでは難しかったので、虎視眈々とガンコンを再設計できるタイミングを狙ってたんですよ。

 業務用のプランニングが始まった段階で、もう家庭用では「こういうステージが足されて」、「FPS操作で」、「こんなストーリーが加わる」といった構想が決まっていました。

――「ガンコン3」は、FPSタイトルも吸収できるという意味でやはり狙って開発されたものなんですね?

 うちだけでなく、ぜひ他社さんにも使っていただいて、普及させていきたいなと思っています。

――「ガンコン3」の位置検出方法はどうなっていますか?

 画面の左右にマーカーを設置して、それをガンコン本体のカメラで検出する方法を採用しています。マーカーの形状は最終版ではありませんが。今回の方式なら、TVの画像素子などに影響を受けにくいという意味でベストの選択なんですね。

――「ガンコンFPSステージ」では傾き検出に関してはどう使うんでしょうか?

 実はクリア後のお楽しみで使うことがあるかもしれません(笑)。それ以外は2つのスティックと、ジャンプとか武器切り替えやズームといったボタンをそれぞれアサインしてあります。

――「ガンコン3」でボタンが増えましたが、どういった使い方を想定されていますか?

 従来の「ガンコン2」のように、グリップを1つ使う場合はガンコンを左手で下から支えるようにしてもらって、銃身左の2つのボタンを使ってもらうという握り方がまず1つ。それから、「ガンコンFPSステージ」などでは、左のグリップのアナログスティックを中心に、前の2つのボタン、そしてがんばって指を伸ばせば、銃身左のボタンにも手が届くという2通りの握り方を想定しています。

――「ガンコンFPSステージ」では「隠れる」という動作はあるんですか?

 それはないですね。自分で隠れてもらうことになります。

――「アーケードモード」では基本武器は4種類ですが、「ガンコンFPSステージ」では?

 武器は増えますね。ズームして狙ったり、投擲する武器も入りますよ。

――いろいろお話を伺っていると、「ガンコンFPSステージ」でもう1本分ぐらいのボリュームになりそうですね?

 プレイ時間で言うと、「ガンコンFPSステージ」の追加ステージのほうが長いですね。ステージの大きさも違いますし。「アーケードモード」ではステージ1の場合、空港のターミナルを隅から隅まで行ったら終わり、という感じですが、「ガンコンFPSステージ」では大きな森1つをどーんと作ったりしていますから。広いところを自由に移動してもらう形ですね。

――「ガンコンFPSステージ」は1人プレイ専用ですか?

 そうですね。1人用です。


■ 「FPSって難しい」というイメージを払拭したい「ガンコンFPSステージ」

――PS3版でのグラフィックスの向上ですが、どのあたりに力を入れてらっしゃいますか?

 HD化はもちろんですが、あとアイリス(※)関連ですね。「明順応」、「暗順応」といったものをはじめ、他社さんもやっていますが、HDRやバンプマッピングといったシェーダー部分を作り直していますね。

※アイリス……目で言うところの瞳の中にある虹彩(こうさい)。カメラでは絞りのことを指す。拡大すれば光が多く入るが、ピントが合う部分の奥行き(被写界深度)の範囲が狭くなる。絞れば光がさえぎられるが、被写界深度が深くなるなどの効果がある。また、暗いところから明るいところへ移動する際、このアイリスの動きが入ってくる光の量にあわせて自動で変化する際、最初は白く飛んだようになったり、逆に明るいところから暗いところに移動すると、徐々に真っ暗から目が慣れてくる。これが「明順応」、「暗順応」。これをCG的に再現している。

――ステージ1では虫のグラフィックスがパワーアップしていますよね。背中の光沢がはっきり見えたり(笑)。

 法線マップなどの効果で、やっとここまで描きこめるようになったかなと(笑)。その分、ライティングなどは全部パラメーターを付け直さないといけないんで大変ですけどね。

 グラフィックのアーキテクチャからして、デザインとしてのグラフィックスは継承していますが、テクノロジとしてはまったく別のもの、つまり作り直しになっています。技術的な部分は先行していましたが、実質的にはアーケード版の開発が終了してすぐに取り掛かりました。

――物理エンジンを「ガンコンFPSステージ」で使っていたりはしますか?

 一部取り入れています。今までの「TC」では、敵は決められたところで決められた動作をすることが基本でしたが、「ガンコンFPSステージ」では、AIで動かすことになりますので、そういった敵のAIデザインだとか、レベルデザインを含む、動作の多様化に対応している部分に力を入れていますね。ジャンプしたりだとか。

――「TC」でジャンプって聞くと新鮮ですね。

 ジャンプしたり障害物をくぐったり、いろんな動作がありますよ。

――「ガンコンFPSステージ」では、「TC」ではもはやお約束ともいえる乗り物に乗ったりはしますか?

 乗り物には残念ながら乗りません。ですが、固定砲台を奪って使ったりというシチュエーションが用意していますね。今後のシリーズでは、ネットワーク対戦だとか乗り物に乗ったりだとかは、いかにも入ってきそうな要素ですよね(笑)。

――開発状況はいかがですか?

 「アーケードモード」はだいぶ落ち着いてきました。「ガンコンFPSステージ」は、システムはでき上がっていますので、あとはグラフィックスや敵AIを煮詰めている段階です。「ガンコンFPSステージ」は「ガンシューティングで自由に動けたらいいよね」という発想からスタートしていますので、今主流のFPSでは敵がしっかり隠れて、1体1体戦っていくといった感じですが、「TC4」ではどちらかというと、広いステージを進んでいって、まとめて出てくる敵をまとめて撃つ、といったスタイルなんで、どちらかといえばアクションゲームとして遊んでもらえるかなと思っています。

――あくまで自分が自由に動ける「ガンシューティング」であるということですね。

 アナログで照準を合わせるという操作は難しいので、「ガンコンFPSステージ」では、ある程度そちらの方向を向いていればバンバン敵を倒せるといった感じになります。新しい操作感覚が楽しめると思います。むしろFPSをあまり触ったことのない人に、「FPSって面白いな」と思ってもらえる、「FPSって難しい」というイメージを払拭したいと考えています。

 アーケードがあって家庭用があるというスタイルなんで、「家庭用でも遊んでみたいな」というユーザーさんに向けて作っています。

――どうもありがとうございました。



□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/

(2007年6月16日)

[Reported by 佐伯憲司]



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