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★オンラインゲームレビュー★

韓国産大型オンラインFPS、ついに日本上陸
デュエルとコスチュームで幅広い層にアピール

「Special Force」

    • ジャンル:オンラインFPS
    • 開発元:Dragonfly
    • 運営元:NHN Japan
    • 利用料金:アイテム課金制を予定
    • 対応OS:Windows 2000/XP
    • サービス開始日:今冬開始予定(現在オープンサービス中)



 NHN Japan株式会社が展開するオンラインゲームポータル「ハンゲーム」から、韓国で人気のミリタリーオンラインFPS「SPECIAL FORCE」のオープンサービスが11月30日から始まった。

 「SPECIAL FORCE」は、プレーヤーがスペツナズやSASといった世界各国の特殊部隊の隊員として爆破ミッションやオブジェクトの取り合いを繰り広げる、最大16人対戦が可能なオンラインFPSゲームだ。爆破モードをメインとするゲームモードは「Counter-Strike」シリーズに近い印象があるが、攻守に分かれて目標を奪い合う「デュエルモード」などオリジナルの要素も盛り込まれている。

 韓国のDragonflyの開発による本作は、韓国ではNeoWizのゲームポータル「pmang」の運営で2004年からサービスが始まっている。本作はプレイ内容が経験値として蓄積されていくMMOライクな成長要素をFPSにいちはやく取り入れたことや、低スペックでも軽快に動作するパフォーマンスの良さ、豊富な装備品によるアイテム課金制のビジネスモデル、ヘッドショットにこだわったゲーム性などが受け、韓国ではオンラインFPSの草分けとして人気を博している。

 本作はスポーツ性重視というよりはカジュアルさを追求するため、チームキルを発生しにくくさせている。味方からのダメージを受けるかどうかの設定もなく、一律に銃撃では味方にダメージは入らずにグレネードの誤爆のみダメージが入るようになっている。敵味方構わず撃ち散らかせるため、爽快な展開が多いのが特徴だ。

 日本での展開は10月にクローズドβテストを終え、今回のオープンβテストでいよいよサービスの全体像が明らかになってきた。深夜帯でも同時接続で3,000人ほどのユーザーを集めており、高い支持を集めている。キャラクタと武器、装備品も一通り実装され、プレイできるマップは6種類まで増えている。

 実装されているゲームモードは、攻守2チームにわかれ目標の爆破を目指す「爆破モード」と、広いマップの中央に置かれた目標物を奪い合い、奪った目標物を敵の陣地に運び込むと勝利となる「デュエルモード」の2つだ。また、それぞれ6マップでデスマッチによる個人戦も楽しむことができる。本稿では、これらの「SPECIAL FORCE」の魅力と日本における今後のサービスの課題点をお伝えしたい。


■ 「デュエルモード」での緻密な戦術の読み合いは必見! 奪ったオブジェクトを餌に敵をおびき出せ

ゲーム性だけでなく、アバター要素にも凝っている。機能面を強化した装備品で固めるもよし、キャップやポーチなどかっこよさを追求した装備もある。味方は上部に名前が表示されるが、格好だけでは敵味方の区別がつきにくいのが難点か
 「SPECIAL FORCE」はすべてのマップで個人戦によるデスマッチの他に、団体戦ではマップごとに「デュエルモード」と「爆破モード」をプレイできる。個人戦では1人のプレーヤーが一定のキル数先取で勝敗が決し、団体戦ではラウンド先取制を採用している。

 本作オリジナルのデュエルモードは、マップ中央にあるオブジェクトを、相手陣地のセーフゾーンまで持ち込むか、相手チームを全滅させればラウンド勝利というモードだ。ラウンド中の再出撃は無いものの、一旦オブジェクトを拾っても、まっすぐ敵陣を目指すばかりでなくオブジェクトを餌に敵が出てくるのを誘うなど戦略性があって面白い。

 デュエルモードで遊べるマップは「キナバル」と「キャニオン」の2つ。ちょうどマップ中央にあるオブジェクト付近がゲーム開始直後からの激戦地帯となるように設定されている。2マップともオブジェクトへのルートが複数用意されており、1方のルートを制圧後、あえてオブジェクトに接近せず敵の背後をとるなど、アグレッシブな戦いが多かった。また、公式ページでは追加実装予定のモードとして、チームメンバーの誰か一人を協力して目標地点に到達させる「脱出モード」が紹介されているのでこちらも要注目だ。

【キャニオン】
渓谷の基地で傍受した機密情報を奪い合うことがテーマの「キャニオン」。マップ自体は広いが遮蔽物が少ないので1点集中で数で攻めたい。単身突撃が趣味の筆者も通路での一斉射撃にあえなく蜂の巣に。マップ中央の広々としたコンピュータルームに機密情報であるオブジェクトがポンと置いてあるのだが、双方の陣営からの銃撃と投擲物にさらされるため、いきなり取りに行くのは危険。コンピュータを盾にした壁沿いでの銃撃が繰り広げられる
【キナバル】
飛行中に墜落した偵察機から、偵察情報を取り返すバックストーリーとなっている。ステルスのような巨大な飛行機の周りにオブジェクトが転がっている。マップ中央以外は上下移動の多い隘路ばかりなので、スナイパー好みのマップといえる。そのためか、オブジェクトを運び込んでゲームが終わるよりも全滅で決着がつくラウンドが多かった
キャラクタのディテールやマップのディテールはそれほど良いとはいえないが、操作ボタンが少なくやることがわかりやすいのは初心者ユーザーにとっても歓迎すべき点だ。武器も4スロットまでで、爆弾設置や解除といったアクションはEキー1つにまとめられている


■ 「爆破モード」はCSを踏襲。直感操作で初心者にも馴染みやすい設計に

ナイフなど軽い武器に持ち返ることでキャラクタの動きが早くなる。メイン武器がサブマシンガンだとさらに早くなる。また、ヘルメットのような重装備から軽装のキャップに替えるなど装備品でも移動速度に影響があり、キャラクタ一人一人のアクション面での個性もよく表現できている
 「爆破モード」は、まさに「Counter-Strike」の“de”ライクなゲームモードだ。このモードでは、爆弾を設置する側と守る側に分かれて争われる。爆弾設置場所はマップごとに2箇所用意されており、爆弾設置後一定時間経過で爆破させるか、或いは解除するか、相手チームを全滅させれば勝利が確定する。

 「Counter-Strike」との大きな違いは、攻撃側チーム全員が爆弾を持っているところ。1箇所に置いてしまうともう1箇所では置く事ができなくなるので、爆弾を守りきれる体制を整えてから設置したい。また、デュエルモード、爆破モードともに、オブジェクトの拾得や爆弾の設置・解除はすべてEキーだけで行なえる。使うキーをいたずらに増やさず、直感的な動きができる設計になっている。

【サテライト】
軍事衛星の爆破を試みる「サテライト」。入り組んだマップで室内外の接近戦が楽しめる。敵の網が1箇所でも破れるとトントン拍子でゲームが展開するため、クローズドβ後に投入された新マップにも関わらず現在最も人気のあるマップといえる
【ミサイル】
新型ミサイルを巡る攻防がテーマの「ミサイル」。あまりにチープな新型ミサイルのオブジェクトには閉口してしまうが、マップ全体の作りはよくできている。屋外よりも室内が開けており、室内に防衛線を張るスナイパーとのダクト付近での攻防が非常に盛り上がるマップだ
【デザートキャンプ】
新型砂漠装甲車のプロトタイプを巡って攻防を繰り広げる「デザートキャンプ」。爆弾への2方向よりも、中央の一本道で敵陣同士が接近しているマップ。防御側から中央突破を果たした後、残りの敵を背後から襲っていく、この爽快感がたまらない
【トレイン】
兵器の材料を運ばんとしている鉄道の車両基地で、鉄道の運行阻止を狙った攻防がテーマの「トレイン」。平坦なマップで入り組んだオブジェクトを盾に攻防が展開される。地下水路からの裏道もあり、マップとしてはかなり広い。広さと入り組んだ地形の多さから低スペック環境のユーザーにはやや「重い」ため、人気はいまひとつとなっている


■ アバター要素も盛り込んだキャラデザインで、成長要素をしっかり再現

韓国サーバーのアイテムショップ。「獲得SPアップ」などの一般的なアイテムのほか「チームキル防止」や「Kill/Deathレート初期化」といったアイテムまで販売されている
 ゲームプレイまでの流れをさらっておくと、ユーザーはゲームIDを作成後、まずはコード名を決める。コード名はゲーム内のキャラクタの名前にあたり1度決めると変更はできない。次にゲーム内マネーにあたる「スペシャルポイント(SP)」が7万ポイント支給される。このSPでまずはキャラクタを購入する。

 キャラクタは世界各国の特殊部隊の中から、SRG、SAS、DELTA FORCE、SPETSNAZの4種類から選択可能だ。唯一の女性キャラであるSRGが9,900ポイントとコストが高く、他は1,000ポイントと格段に安くなっている。次にメイン武器を購入する。以上で晴れて「SPECIAL FORCE」の世界に降り立つ準備が整う。

 もっともこのままではライフルとナイフしか持っていないため、サブ武器となるハンドガンや投擲武器を購入し、4つのインベントリをフル活用していくことになる。グレネードやヘルメットなど武器とキャラクタ以外の各種装備アイテムは、期間によるレンタルとなっており、3日間~1カ月間の期間でレンタルすることができる。装備品は各キャラクタ別に用意されており、ユーザーによってさまざまなキャラクタ作りが可能となっている。また、プレイを通じてSPの他に経験値を得ることができ、ランクを上げていくことで装備可能な高性能な武器や装備品が解禁されていく仕組みだ。

 次にいよいよ実際にサーバーにアクセスする。サーバーキャパシティは3,900人となっており、現在オープンされているのは一般サーバーの2つだ。サーバーの種類には一般以外に、階級別、クラン、大会と区分があり、今後のコミュニティ向けのサービス展開が期待できそうだ。サーバー選択後はチャンネルを選択し、ここで各ゲームモード別のセッションを作成可能だ。

 本作のビジネスモデルは韓国サーバーと同じく基本無料でアイテム課金予定となっている。既にサービス中の韓国サーバーで現金で購入可能なアイテムは、キャラクタの名前にあたる「コード名変更」や「戦績リセット」などキャラクタのデータに関するサービスが多い。ゲーム性に関する部分では、武器チェンジの際の時間短縮や死体からの「武器のルーティング可能権」といったユニークなものまである。これが日本でどうなるのかは未知数だ。

 本作の場合は、自分のキャラクタが死んでも、武器を失うことはないが、「武器のルーティング可能権」を使うと、死体から武器を一時的に引き剥がし、そのラウンド内に限り自分のものとして使用可能になる。こうしたゲーム内での武器取得の扱いは同じオンラインFPSのジャンルでも異なっており、例えば「Sudden Attack」では、死亡後数秒間は落とした武器を拾うことができる。誰も拾わない場合は、一定時間経過後に消滅するデザインになっている。日本でも展開予定の「WarRock」では武器は拾えも剥がせもしない一方で、はじめから武器を拾わなくて良いほどのメイン武器を複数持つことができる設計になっている。

 また、現金で購入できるアイテムにおまけとしてSPが付属している場合もある。数万SP単位でまとまったSPが手に入るため、カジュアルなユーザー層にとってはメジャーなSP獲得手段となっている。現金による課金アイテム自体はまだ日本のサービスに盛り込まれていないものの、経済システムの概観は韓国のものを踏襲しており、今後似たようなサービスモデルに発展することが予想される。

武器はいくつでも所持することができ、下取りに出すこともできるが、最低1つは所有しておく必要がある。キャラクタの装備は、高コストのSRGが今のところ一番充実している。コスチュームでも日本向けバリエーションは欲しいところだ


■ ゲーム環境向上と共にプレーヤーのゲームへの責任感を増す設計が必要

 筆者は日頃FPSをメインでプレイするいわゆるFPSゲーマーだが、「SPECIAL FORCE」に関しては、「よくできているな」と感心させられる一方で、いくつかもの申したいことがある。

 まず、P2Pによる通信環境に由来するプレーヤー間の位置情報などの同期がしっかりとられておらず、弾が当たっているのかがよくわからなかったり、そこに存在して見えるべきキャラクタが見えなかったりということがしば起きる。オンライン対戦をしている上で多少は目をつぶらなければならない部分でもあるが、他人からは透明人間と化していたり、目の前のキャラがワープしてしまうようなことが日常茶飯事なのは、オンラインFPSとして改善すべきポイントだろう。

 また、セッションが始まるとゲームが終了するまで他のプレーヤーの途中参加ができないため、ゲームの途中からなし崩し的にゲームバランスが悪くなっていく。こうなる原因は次の2点だ。一般的な対戦型FPSでは、マップのローディングが終わったプレーヤーから随時ゲームの中でプレイできるが、本作ではセッションが開始された後、マップのローディング画面が始まり、全員がマップ上に揃わないとゲームが始まらない。そのため、遅かったり落ちてしまったりしたユーザーをサーバー側で排除してゲームが始まる設計なのだが、このタイミングが意外と早いのだ。大抵のセッションでスタート直後から1人2人のユーザーが減った状態でゲームが始まってしまう。

 2点目として、途中離脱するユーザーに対するペナルティが甘い。本作では開始されたセッションを安易に投げ出してしまわないように、ゲーム途中の放棄に対するペナルティとして所持している武器の耐久度がわずかに減るシステムが採られている。しかし武器の耐久度は0にならない限り性能が変わらず、プレーヤーにとっては大したペナルティではないため、強い相手がいたり、勝てないとわかるとさっさとセッションを去ってしまうプレーヤーが後を絶たないのだ。

 セッションへの途中参加ができない以上、人が去れば去るほどそのチームが不利になる。不利だからといって簡単に抜けられてしまっては、ますますその差が開いてしまって、ゲームにならなくなる。こうしてゲーム終了時には最大8対8という枠の中でさえ倍以上の人数差が開いてしまうことがある。

 現在、団体戦では人数が抜けてしまったチームの人数に合わせて2、3人のプレーヤーが次の試合までスタート地点で自主的に「待機」するなど、ユーザー間でのローカルルールレベルで解決されている。しかし、先導をとって譲りあっているユーザーほどゲームに対する思い入れが強いユーザー達であり、彼らに忍耐を強いているのは見過ごせない状況である。

 こうした問題はゲームへの途中参加機能をつけたり、途中離脱するユーザーへのペナルティを厳しくするだけでなく、数の少なくなった相手チームへの動的なチーム間移動を可能にするなど、細かいバランス調整によって解決できるはずだ。

 2006年末は本作のオープンβと共に、テクモとSeedCによるLieVoからは「WarRock」がクローズドβを行ない、来年度のオンラインFPSへの期待は膨らむ。韓国のオンラインFPSブームに火を付けた「SPECIAL FORCE」が未開拓の日本市場をいかに掘り起こし、いかにそのニーズに答えていくか、楽しみなところだ。

Copyright (C)2006, NHN Japan Corporation. All Rights Reserved.


【SPECIAL FORCE】
  • CPU:Pentium 4 1.8GHz以上
  • HDD:500MB以上(1GB以上を推奨)
  • メモリ:512MB以上を推奨
  • ビデオカード:GeForce 4 64MB以上、又はそれ以上のビデオカード(128MB)


□NHN Japanのホームページ
http://www.nhncorp.jp/
□ハンゲームのホームページ
http://www.hangame.co.jp/
□「SPECIAL FORCE」のホームページ
http://sf.hangame.co.jp/os_index.asp
□関連情報
【11月30日】【11月30日】NHN Japan、WIN「SPECIAL FORCE」オープンサービスを開始
ヘッドフォンやマウスなどが当たる記念キャンペーンを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061130/sf.htm
【9月21日】NHN Japan、「SPECIAL FORCE」のクローズドβテスト募集開始
15,000名規模で実施、GAME Watch枠で100名を募集!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060921/spf.htm

(2006年12月8日)

[Reported by 三浦尋一]



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