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価格:7,140円
本作はアーケード用ゴルフゲーム「セガ ゴルフクラブ」をベースにした作品で、国内外に実在するゴルフコースの再現性の高さ、ショットの打ち方が「アナログスティックを倒して離す」だけという直感的な操作が特徴のゴルフゲーム。今回の紹介は、コンシューマ版の新要素の「宮里三兄弟」、変更と追加要素が加えられた「操作方法」と「対戦プレイ」を中心にお伝えしたいと思う。
■ 宮里三兄弟、その能力は文字通り“プロ級” このゲームの最大のセールスポイントは、日本のゴルフブームを牽引する宮里聖志、優作、藍の三兄弟がプレーヤーキャラクタとして登場することだろう。宮里三兄弟キャラを選択して驚かされたことは、そのズバ抜けた能力値の高さ。キャラクタの能力ゲージは「POWER(ボールをより遠くまで飛ばす力)」、「CONTROL(タイミングラインの動きが遅くなる)」、「SPIN(打点切替によるスピンのかけやすさ)」の3種類があり、宮里三兄弟はすべての能力値がゲージ3以上(最高値が4)。その他のキャラクタよりゲージ1つ分上回るというハイスペックさだ。
実際にラウンドを回ってみると、その能力の高さは如実に体感できる。「CONTROL」が高いためタイミングラインはゆっくりと動き、ジャストインパクトに止めて「ナイスショット」が簡単に出せる。「POWER」も高く、多少の向かい風を物ともせず軽く300ヤード以上の飛距離を稼ぐ。宮里三兄弟がいれば難関コースの「セントアンドリュース・オールドコース」も楽勝なのではないか、そう思わせるほどの無敵ぶり。弱点のない宮里三兄弟でボールをかっ飛ばすことは本当に爽快、ゴルフゲーム初心者にも最適の最強キャラクタとなっている。
宮里三兄弟キャラクタは当然現実の人間のようなモデル。宮里三兄弟のスイングのモーションは、まるでゴルフ中継を見ているかのようなリアルさといえるだろう。また、頭、上半身、下半身のアイテムにも「キャップWG藍モデル」、「バイザーBE優作モデル」、など宮里三兄弟にちなんだものが存在する。 顔グラフィックスは目元や眉など特徴を強調している印象があるため、実写に近いというよりデフォルメされた似顔絵のような独特の温かみがあり「一目で宮里三兄弟とわかる」レベルだ。表情の変化になめらかさがないのが残念だが、ラウンド中に見せる喜怒哀楽の表情パターンは秀逸。特に宮里藍キャラがパーショットを外したときに見せる苦虫を噛みつぶしたような顔は鬼気迫るものがあり、「恥をかかせてすみません!」と謝りたくなるほどのオーラを発する。逆に好成績を残したときは、日本中を魅了した藍ちゃんスマイルを振りまいてくれる。
AC版の「セガゴルフクラブ」と同様のことだが、今作にはキャラクタのボイスがない。そのため、宮里三兄弟の肉声を使用したかけ声や台詞が存在しない。藍ちゃんの独特の口調による談話が聞けないのは一抹の寂しさを覚えるかもしれないが、ショット中は静かにするのがゴルフのエチケット。ボールにアドレスする時に集中できるということで納得しよう。
■ AC版ファンも納得の操作感 AC版ではゴルフクラブ型のレバー「クラブスイッチ」で「引いて離す」という動作をすることによりショットをしていた。PS3のワイヤレスコントローラ(SIXAXIS)専用ではクラブスイッチの動作を「右スティックを倒して離す」という直感的な操作で代用している。 右スティックを倒すという操作でも、十分にショットの強さやインパクトを繊細に調整できる。「クラブスイッチ」の感覚と使い勝手の良さは問題なく継承されているといえるだろう。「どうしてもクラブスイッチで打ちたい!」という方はオプションのショットタイプを「右スティック」から「クラブスイッチ」に切り替えてみよう。右スティックで操作するのは変わらないのだが、画面上に「クラブスイッチ」型のメーターが表示されるようになる。あたかも「クラブスイッチ」で操作しているかのようなイメージが持てることだろう。
デフォルトのコントローラタイプは「ショートカット」で、右スティックでショットのパワー決定・ショット・ショットの中断(R3ボタン)、方向キーで方向切替・決定、×ボタンで打点切替・リプレイやショットシーンの早送り・キャンセル、○ボタンでスペシャルショット選択・決定、□ボタンでクラブ切替、△ボタンでキャディによるヒント、L1/R1が飛距離切替、L2/R2ボタンでフリーカメラ、ガイドライン/視点切り替えとなっている。
また、エナジーを消費することで通常のショットに追加効果が加わる「スペシャルショット」を打つことができる。種類は「ハイパワー(通常のショットより飛距離が伸びる)」、「ハイスピン(強烈なスピンがかかる)」、「スーパーインパクト(インパクトの幅が広がり思い通りのショットが打ちやすくなる)」、「スーパーアプローチ(グリーン着地したあと強烈なスピンがかかりボールがピンに向かう」、「パッティングライン(グリーン上にパッティングの予測ラインが表示される)」の5種類。AC版から新しい「スペシャルショット」が追加されていないのは残念だが、相変わらず使い勝手のよい「スペシャルショット」がそろっているといえるだろう。 ■ 宮里三兄弟をベースにしたキャラクタも作成可能 このゲームでは、オリジナルキャラクタを作成してラウンドできる。キャラクタ選択画面の「新規作成」を実行して、11名のキャラクタから基本となるキャラクタを選ぶ。この時、宮里三兄弟を選べば、宮里三兄弟モデルのキャラクタを作成することができる。キャラクタの頭、上半身、下半身、能力タイプを設定後、最大全角7文字(アルファベット、漢字使用可能)のキャラクタネームを設定してセーブする。セーブ箇所はPS3のHDDに保存される。いったん保存したキャラクタデータは、「1人プレイ」、「対戦プレイ」でLOADDATEを実行すると読み込むことができる。
プレーヤーデータはシステムデータとは別に用意するデータのことで、キャラクタデータ(戦績など)や入手したアイテム、「1人プレイ」時の中断データを保存する。システムデータとは異なり、PS3のHDDに空き容量がある限り、いくつでも作成・保存することができる。1つのプレーヤーデータの容量は66~74KBと軽いのもありがたい。
■ ゲームならではの異色コース「パターゴルフ」
パッティングのみのモードと書くと地味だが、ビリヤードのような高度な計算が必要となってくる異色のモードが「パターゴルフ」。「パターゴルフ」は全9ホールのパター専用コースを回るという1人用のモード。「1打でカップインさせる」ことが目的のこのモードでは、コース上に「落とし穴」や「壁」といった人口建造物が設置されている。なお「パターゴルフ」の特殊ルールとして、クラブ切替、打点切替、スペシャルショットの使用ができない。
コース上にはアイテムが散りばめられ、ボールを当てることで効果を発揮する。リングアイテムはボーナスポイントの獲得(金400、銀200、銅100)。プレゼントボックスはボーナスのうち一種類が発生する。ボーナスは通常1ホール3回までのリトライ回数が1回増える「RETRY」、つぎのショットで5秒間だけパッティングラインが表示される「PUTTING LINE」、「BOUNS×1.5」の3種類。 高ポイントを狙うためにはアイテムを回収していくのだが、この配置が本当に絶妙。「1パットで取れるの?」と考え込むほどにアイテムが意地悪に散りばめられている。ホール1からトップギアで意地悪だ。ピン奥が急な登り坂になっていて、その上にアイテムが設置されている。アイテムを取りつつもカップインさせるには、坂を登り切るくらい強いショットパワーで打ちダイレクトに壁に反射させてカップインを狙うという始末。最短距離でカップインを狙う通常のコースとは異なる発想と思考が必要になってくるのがとても面白い。
いずれのコースも1パット勝負のため、カップインできなかった場合はすぐにリトライできる(次のホールに進むこともできる)。スピーディーな展開となるため、全9ホールが短時間で回れるのも「パターゴルフ」の醍醐味。ポイントを一定量集めるとスタンプがもらえ、スタンプを20個集めるごとにアイテムを獲得できる。
■ 「チャレンジモード」 メインモードでも登場する“200ヤード以上飛ばしてフェアウェイをキープしろ”のような「チャレンジイベント」に9連続で挑戦するモード。5コース×45チャレンジ、計225種類のチャレンジミッションに挑戦できる。
「パターゴルフ」と同じくポイントを一定量貯めるとスタンプがもらえ、スタンプを20個集めるごとにアイテムを獲得できる。コース選択が可能で、コースごとにチャレンジイベントの内容や獲得スタンプ数の上限に変化がある。例えば、「シーサイドリゾートコース」ならスタンプの最大獲得数は6、「セントアンドリュース・オールドコース」はスタンプの最大獲得数が9となっている。
■ 最大4人でラウンドを回る「対戦プレイ」
コースの選択、プレーヤーの使用キャラ(プレーヤーデータもロードして使うことが可能)を選択することでラウンドがスタート。「ラウンド」、「3ホールマッチ」のどちらも対戦人数は4人で固定。プレーヤーの人数が4人に満たない場合はCPUがライバルとして登場する。 複数のプレーヤーで遊ぶ場合は、かなり融通の利く仕様となっている。中でも嬉しい機能が、複数のプレーヤーで1つのコントローラを交代して使うことができることと、1つのコントローラで遊ぶ場合はプレーヤー個人に応じて操作環境が自動的に切り替わるように設定できることだろう。プレーヤーごとに環境設定を変更するという煩わしさから解放され、ゲームが円滑に進む。 【ラウンド】 他のプレーヤーと18ホールを回ってスコアを競う。CPUの強さの選択やゲームの流れ、ルールなどは「1人プレイ」の「ラウンド」と同様。プレーヤーを焦らせる持ち時間のようなものはなく、ゆったりとしたゴルフができるのがありがたい。 【3ホールマッチ】 3ホールでスコアを競うという短期決戦モード。最初にカップインしたプレーヤーより3打多く打ってしまったときや、ホールのPARより4打多く叩いてしまったときはギブアップとなる。「ラウンド」のように長丁場になることがないため、手軽に対戦が楽しめる。
また、育成したプレーヤーデータを持ち寄って「対戦プレイ」に参加させ、アイテム争奪戦を楽しむこともできる。アイテム争奪戦を楽しむ場合は、一度プレーヤーデータをPS3 本体のHDDにコピーしておく必要がある。「対戦プレイ」のプレーヤーキャラ選択時にプレーヤーデータをロード。参加者全員が「ドレスルーム」の交換ポストにアイテムを置くことで、アイテム争奪戦が発生する。
筆者個人としては、AC版「セガゴルフクラブ」の非常に耳に残るホール開始時のジングルやショット音などのSEがダイレクトに移植されていることが嬉しい。ネットワーク配信イベントや対人データとの対戦やインターネットランキングなどのネットワーク要素がないのは少々残念だが、世界が誇る有名コースをトッププロのキャラクタで回るという豪華なラウンドはPS3の高級感と相まって実に心地よい時間を演出してくれる。
今回の取材で、知人を同席させてのゴルフ対戦がこんなにも面白いものかとあらためて感じることができた。ゲームセンターという空間ではなく、家庭内での「対戦プレイ」は他人の素のリアクションが出ることが一つの要因だと思うが……。友人知人を招いての「対戦プレイ」はAC版以上に盛り上がることは間違いないだろう。
□セガのホームページ (2006年11月13日) [Reported by 福田柵太郎]
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