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G★ 2006現地レポート

NEXON事業戦略発表会レポート その2
4つの自社開発スタジオを設立、10本以上の開発パイプラインを整備

11月9日~12日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(約650円)
子供3,000ウォン(約390円)


 NEXON事業戦略発表会レポート第2弾では、2日目に行なわれた自社開発体制の強化に関する発表および、新作タイトルの内容についてお伝えしていきたい。


■ 自社開発チームを4つのスタジオに統合、よりクリエイティビティを発揮できる体制に

開発スタジオ設立について抱負を述べるNEXON開発本部長のソ・ミン氏
NEXONが擁する開発スタジオと人気フランチャイズ
 NEXON開発本部長ソ・ミン氏の挨拶から始まった発表会では、NEXONの開発力を強化/維持するための具体的な施策と、新たに設立された4つの開発スタジオのお披露目が行なわれた。

 4つの開発スタジオは、基本的に既存の自社開発チームを、開発スタジオとして独立させたもの。この決断には開発の独立性を維持することで自由なゲーム開発体制を構築することと、各開発スタジオが一個の開発会社として独立採算で事業を展開することで、収益源となる現行タイトルの安定運営と、新規プロジェクトの発案を促し、結果としてヒューマンリソースのムダとムラを無くすという狙いがある。

 各開発スタジオを順番に紹介すると、まず開発第1本部は、メインストリーム系のMMORPGとFPSを担当。現在のラインナップとしては「風の王国」、「アスガルド」、「テイルズウィーバー」、そして今年8月から正式サービスを開始したMMORPGの「ZerA」などがある。当面の目標としてはなんといっても大作MMORPG「ZerA」の普及にあるが、今後その一環として日本展開も視野に入れているという。

 開発第2本部“ロドマニスタジオ”は、大衆性の強いカジュアルゲームを担当。現在のラインナップは、「カートライダー」、「BnB」、「Big Shot」など。現在、「プロジェクトバブルファイター」の開発を進めている。

 開発第3本部“デブキャットスタジオ”は、日本でも知名度の高いファンタジーMMORPG「マビノギ」の開発元として知られる開発スタジオ。もともとデブキャットは、「マビノギ」開発チームとして創設以来、独立した存在で、それゆえに自由な発想から個性的なMMORPGを作ることに成功してきた。デブキャットの今後の方針は、「マビノギ」の開発を継続しつつ、「マビノギ」の世界観を活かした新作フランチャイズの開発となる。Xbox 360版「マビノギ」の開発が発表されたばかりでもあり、もっとも注目されるスタジオと言える。

 開発第4本部“ウィゼットスタジオ”は、「メイプルストーリー」の開発チームを主体に、2006年8月に買収した開発会社DOOBIC ENTERTAINMENTのスタッフを組み入れ、「プロジェクトブラック」という名称の新作カジュアルゲームの開発に取り組んでいる。

 ソ・ミン氏によれば、各開発スタジオは、それぞれ新規タイトルの開発に取り組んでおり、2007年には10本以上の開発パイプラインが整備されるという。仮にこれが実現すれば、NCsoftやWebzen、Actozといったメーカーを超える韓国最大規模のゲーム開発体制が整うことになる。

【Koong Pa】
新作タイトルのひとつであるカジュアル格闘ゲーム「Koong Pa」。開発元は「君主」を手がけたNdoors。最大8人までの対戦プレイに対応し、SDキャラたちがところ狭しと画面内を暴れ回る。ゲージを貯めることで変身することができ、常時乱戦状態になるなど、対戦格闘ゲームというよりは、カジュアルなパーティーゲームと言ったほうがいいかもしれない

【その他の新作タイトル】
残る新作タイトルを一気に紹介する。左から順に「プロジェクトSP1」、「KickOff」、「九龍争覇」。「プロジェクトSP1」は、Silverpotionが開発するフル3DMMORPG。リッチなグラフィックスと、'50年代の欧米をモチーフにしたホラー/SF的な世界観を採用している。「KickOff」は、フットサルをモチーフにしたオンラインサッカーゲーム。3on3、5on5に対応し、ポジションごとに異なるゲームプレイがウリとなっている。最後の「九龍争覇」は、厳密には新作ではなく、NEXONによる再展開となる。武侠をモチーフにしたアイテム課金制の3DMMORPGだ


■ クオリティマネジメントチーム、ハードルシステムの導入で厳しいチェック体制を構築

 開発強化の取り組みは、開発スタジオの設立だけではない。上記開発スタジオとは独立したNEXON本社直轄の組織としてクオリティマネジメントチームを設立している。これはいわゆる品質管理チームではなく、開発スタジオが生み出したオンラインゲームをいかに効率よく売るかを決める戦略的な部署だ。

 具体的には、同社の12年間のオンラインゲームビジネスノウハウの蓄積を活かし、コンテンツに適したビジネスモデルの構築、マーケティング的見地からオープンβ開始時期の設定、プロダクトライフサイクルの延長化といった、ゲーム開発とは直接関係ないもののメーカーとしては非常に重要な部分のみを抜き取り検討していく。こうした部分は、これまでユーザー動向やトレンドなどに左右され、流れ作業的に決められがちだったが、今後は裏付けされたデータをもとにより確かなビジネスモデルの創出が可能になる。オンラインゲーム史の長い韓国だからできるユニークな取り組みだ。

 そしてもうひとつの取り組みが、「ハードルシステム」と名付けられた独自の品質管理システムの構築だ。今回、開発スタジオを設立させたことで、開発部隊は独立性を維持しつつ、規制にしばられない自由な開発が行なえることになる。このおかげで、会社側は、開発状況が見えにくくなる。このジレンマを解消するのがハードルシステムということになる。

 具体的には、内部外部を問わず、すべての開発スタジオは、定期的にNEXON管理部門のチェックを受ける必要がある。そこで開発を続行するか否かの判断が下され、仮に否の判断が下された場合は、内部開発の場合は開発中断の手続きが取られ、外部開発の場合は、サービス開始を延期する。実際に適用されるのは、今後開発されるタイトルになるとはいえ、かなり厳しいレギュレーションといえる。

 ソ・ミン氏は、ハードルシステムについて、「“メガ競争時代”を乗り越えるためには必然」と導入の必然性を説いた。各開発スタジオは自由な発想で新規タイトルの開発に着手できる代わりに、開発ラインから運営ラインに乗せるためには、定期的なハードルを乗り越える必要がある、というわけだ。

 確かに現在、韓国産、日本産を問わずいくつかのオンラインゲームは、βテストを開始、あるいは正式サービスを開始したものの、サーバーダウンやバグ、不正行為、コンテンツ不足などさまざまな理由で、サービスを長期中断する例が少なくない。ゲームファンとしては大変残念な事態だが、実はもっとも事態を憂慮しているのは運営会社の経営陣だろう。

 特に正式サービス後の長期中断は、ビジネスに致命的な結果をもたらすだけに、細かくマイルストーンを設定してチェックするハードルシステムの導入は、エンドユーザーとしては素直に歓迎できる。今後は、及第に達しないコンテンツがメーカー側の判断でふるい落とされる反面、より良質のコンテンツのみが提供されることで、結果としてオンラインゲーム市場全体の成長に結びつくことを期待したい。

【Nanaimo】
こちらはすでにオープンβテスト中のカジュアルシューティングゲーム「Nanaimo」。横スクロールシューティングゲームをアイテム課金制のオンラインゲーム化したというとわかりやすいだろうか。シューティングゲームとしてもしっかり作られており、ナムコの往年の名作「スカイキッド」のような2人プレイ対応シューティング的な楽しさがうまく再現されている

□G★ 2006のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□関連情報
【2006年11月11日】NEXON事業戦略発表会レポート その1
子会社NPNAを設立、MTVと事業提携など北米機能を大幅強化
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061111/gs_nex1.htm
【2006年11月10日】韓国最大規模の国際ゲームショウ「G★ 2006」が開催
変容しつつ進化を遂げる「G★」、トレンドはアクション/FPS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061110/gstar_01.htm

(2005年11月11日)

[Reported by 中村聖司]


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