★PCゲームレビュー★
海・山・空の圧倒的な美しさに感動!!
カギ縄片手に南米を飛び回る痛快3Dアクション
「Just Cause」 |
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Eidos Interactiveから、南米を舞台にした壮大な三人称視点アクションゲーム「Just Cause」がリリースされた。開発元は、スウェーデンの新興デベロッパーであるAvalanche Studios。プレーヤーは反政府組織のエージェント“リコ・ロドリゲス”となり、独裁政権のはびこる南米の島国「サン・エスペリト」の政権交代を目指して、要人暗殺や破壊工作主体のミッションをこなしていく。
本作最大の特徴は、南北32km×東西32kmというスケールを1枚のマップ上に再現し、アクションゲーム特有のマップ切り替えによるローディングや「見えない壁」を徹底的に排除した点にある。Avalancheの自社開発エンジン「Avalanche Engine」によって表現された世界は、非常に広大で、奥行きのある景色を実現している。昼夜や天候も刻々と変化し、1度サン・エスペリトの世界に足を踏み入れると、セーブ画面やイベントが発生するまで、その雰囲気を途切れさせずにゲームの世界に没入することができる。
メインストーリーを正確になぞらずとも降り立った世界にはどこにでも行けて、なんでもできてしまうという「Grand Theft Auto」シリーズライクなゲームデザインをベースに、陸・海・空と南米の大自然を非常にリッチな環境で再現している。プラットフォームはPCに加え、Xbox、Xbox 360、PS 2で、9月27日に北米、欧州等でリリースされている。本レビューではPC版でのプレイでお伝えする。
■ メインストーリー+豊富なサイドミッション。進め方はプレーヤー次第
本作のメインストーリーは、指令を受けたリコが、独裁政府転覆を狙うべく、ゲリラ組織の長を救出したり、発電所を爆破したりといったミッションが主だ。基本的にゲーム開始初期から島中のどこにでも行くことができ、移動は自由となっている。サイドストーリーには、独裁政府と戦うゲリラに協力するミッションがあり、政府の統治が行き届いている地域では地域の解放ミッションや解放後はゲリラから乗り物の窃盗やアイテムの授受といったミッションが受けられる。
サン・エスペリト全体で何十もの行政単位に分かれており、それぞれの地域でサイドミッションが用意されている。ゲームスタート時点では国中のほとんどの地域が政府の支配地域となっているが、各地域のゲリラミッションをこなしていくことにより徐々に政府の支配が不安定になり、最終的にはその地域がまるごとゲリラ支配地域となる。地域がゲリラのものとなると今までは見かけただけで警官たちに蜂の巣にされていたゲリラのNPCたちの人口密度があがり、逆に警官がひと目見つけるなり蜂の巣にしてしまうという無政府状態になる。
メインストーリーに詰まってしまった場合は、近隣地域をゲリラの支配とすることで、ゲリラの援護を受けられるので幾分クリアが楽になる。ゲリラミッションをこなしていくと、ゲリラの中でのリコの階級が徐々に上がっていき、セーブポイントや補給拠点となる「セーフハウス」がアンロックされたり、セーフハウス内で供給される武器や乗り物に強力なものをもらえるようになったりする。
また、ゲリラミッションと同様に、政府と癒着する麻薬組織に対抗するカルテルに肩入れするミッションもある。こちらもゲリラと同様各地域に散らばる麻薬組織の拠点を壊滅させ、地域を治めるボスを倒すと拠点がカルテルのものとなる。ゲリラとは別のランクを与えられ、のし上がっていくことで、彼らからもセーフハウスや武器の供給を受けることができる。また、解放後のカルテルの拠点にはヘリコプターが常駐しているので、長距離の移動に利用するのも便利だ。
そのほかにもサイドミッションとしては、PDAをレーダー代わりに、それぞれの勢力が欲している写真や散逸したドキュメントを数個セットで集めていくミッションがある。これらのアイテムは「ドラゴンボール」のドラゴンレーダーに映るドラゴンボールのようにマップ上に青い点で表示され、道端や海の中に落ちているので、捜索はそれほど難しくない。その種類によってゲリラとカルテルいずれかの勢力の友好ポイントがあがり、1種類をすべて集めきるとさらにボーナスポイントがもらえる。島中を探検しながらアイテムを拾い集めていくだけで、自然とランクがあがりつつ、国全体の地理も把握することができ、一石二鳥だ。
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上空からサ・エスペリトに降下するところからゲームは始まる。ゲーム開始早々銃撃戦へ
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メインストーリーを彩る登場人物たち。男女2人のエージェントから様々なミッションを受け取り、政権交代へ向け工作にひた走ることになる
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すべての情報はPDAに表示される。もっとも頻繁に使うのがマップ機能だ。国全体から小道にいたるまでフォーカスすることができ、「!」マークの場所に行くとメインミッションがスタートする。各所に散らばった緑の地点ではゲリラによるミッション、黄色い地点ではカルテルのミッションが受けられる
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■ 島中をカギ縄1つで縦横無尽に飛び回る爽快感! 100種類以上の乗り物で飛び回れ
このゲームの爽快感はすべて移動中にあるといっても過言ではない。「Just Cause」ではとにかくマップが広大なゲームだが、それだけに豊富な移動手段が用意されるなど、移動の手間を感じさせない工夫が凝らされている。主人公の持つクロスボウ式のカギ縄を次々に車や船、飛行機などにひっかけると、自動的にパラシュートが展開し、すばやく乗り物に飛び移ることができる。
動いている乗り物はすべて使い回すことが可能で、マップで街道を探し車に飛び乗ると、乗っている人を窓から勢いよく蹴りだすという荒っぽいゲームプレイが基本となる。車に勢いがついたところで「スタントポジション」を取ると、車の屋根の上に飛び乗り、パラシュートを展開して次に乗る車を探していく。
また、運悪く山や海のドまんなかに放り出されたりして陸地や街道まで歩くのが大変だと思っても心配いらない。「Heavy Drop」機能をPDAから呼び出すと、リコのそばに車やボートなどをヘリから投下してくれる。乗車中はカメラアングルを自由に変えることができ、夕日の中の鉄橋や、朝焼けの珊瑚礁といった背景をバックに乗り物を走らせるとなんともいい気分なのだ。
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数多くの車のバリエーションをはじめ、スティンガーミサイルを搭載した車両や、「バッドモービル」のボード版のような乗り物まで多岐に渡っている。内陸部の移動にお勧めなのはジェット機やヘリだが、島の外周部の長距離移動には水辺でのHeavy Dropで供給してもらえるAgent Boatがお勧めだ。ミサイルに近い速度で移動でき、トップスピードで他の船や陸地をジャンプ台代わりにすると小さい島なら向こう側まで飛び越えてしまうほどだ。時間や天候も刻々と変化していき、その時々に応じた美しさを体感できるだろう
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■ なんでもアリの壮絶バトルで、独裁政府を転覆させろ
リコの戦闘スタイルは三人称視点が基本で、右クリックを押すことでシューティングに最適な肩越しの視点となる。基本武器である2丁拳銃とカギ縄のほかに、拳銃とライフルと重装備のスロットでそれぞれ1種類ずつ武器を所持して、状況に応じて使い分けることができる。その他、グレネードや時限爆弾といったアイテムを装備可能だ。戦い方としてはグレネードを投げて、敵頭上のちょうどいいところに差し掛かったところで銃を撃つというスタイルで効率よく敵を倒すことができる。
敵の数はほぼ無限なので、警官や兵隊はなるべく無視して、必要なところでまとめて倒すのが効果的だ。また、敵を倒すと持っている武器を必ず落とし、また一定の確率でグレネードと体力回復剤を落とすのでリコの体力とのバランスを考えながら進めたいところだ。ゲーム開始直後は敵の武装も軽装のため、簡単に進めることができるのだが、中盤から敵が警官から軍隊主体に変わってくるためミッションの難易度が急にあがってくる。主人公自身の体力や能力に成長要素が無いためだんだん難しいと感じるようになるだろう。その際はゲリラやカルテルからロケット砲やアサルトライフルなどを得た上で、再度挑戦してみるといいだろう。
なお、本作のマップの素晴らしさに対して、敵AIの貧弱さは残念なポイントだ。むしろこれはバグではないかと思うほどだが、ミッション中に味方として登場したはずのゲリラの車にひき殺されたり、撃ち殺されたりということがしばしば起こる。撃たれたら撃ち返すという単純なことなのだが、主人公の射線に入って銃弾を食らうと迷わず主人公に向けて発砲してくる。味方AIは敵と比べて「硬い」ため、非常に手強い相手になる。サイドミッションではゲリラやカルテルが味方として一緒に戦ってくれる場合があるのだが、意外な厄介者になってしまうケースが多々見られた。おかげで味方を誤射したら迷わずその味方キャラクタから殺してしまわなければならないというかなり残念なデザインになってしまっている。こうした細かいゲーム性の作りこみの甘さは返す返すも惜しい部分だ。Avalancheの今後の作品の作りこみには是非とも期待したい。
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拠点解放などを目的としたサイドミッションでは、警察署や武器庫でコカインの詰まった箱などを壊すとボーナスが入る。爆発の表現が素晴らしい
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乗り物には、コンシューマ機向けの自動照準機能が採用されている。通常の銃撃もそれほどエイミングを気にすることなく当たるのでバリバリと撃ちまくろう
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【Just Cause】
- CPU:Pentium 4 2.8GHz以上
- HDD:5.8GB以上
- メモリ:512MB以上
- ビデオカード:ビデオメモリ64MB以上のビデオカード(256MB以上を推奨)
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□「Just Cause」の公式ページ
http://www.eidosinteractive.co.uk/gss/justcause/
(2006年10月30日)
[Reported by 三浦尋一]
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