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★オンラインゲームファーストインプレッション★

フィールドを巡るだけで冒険の楽しさを実感できる
高いストーリー性とキャラ育成の自由度を持ったMMORPG

「ネオスチーム」



 「ネオスチーム」は蒸気と魔法の融合したユニークな世界で、4つの種族が力を合わせて敵対国家と戦いを繰り広げていくMMORPGである。ハンビットユビキタスエンターテインメントが9月15日よりオープンβテストを開始している。本作は世界観とストーリー、そしてゲームシステムにも「厚み」を感じさせる、MMORPGファン注目の作品となっている。

 今回のファーストインプレッションでは、「ネオスチーム」の基本要素、そして序盤の展開を紹介したい。様々なシステムを積極的に取り入れ、ストーリー、展開、演出にも制作者のこだわりと技術力を感じさせる作品である。


■ 魔法と機械が融合した文明と、4つの種族による国家間の争いを描いたMMORPG

本作を象徴する存在であるポム。仕草の1つ1つがかわいらしく、人気の種族だ
3つの国家が争う「ネオスチーム」の世界。フィールドは広大で探索する楽しさを満喫できる
 「ネオスチーム」はかつて高い技術を誇っていた文明が崩壊し、そこから復興した3つの国家が、前時代の万能エネルギー「ネオスチーム」を巡って争うという世界が舞台となる。プレーヤーは機械文明を重視する「ログウェル共和国」か、魔法に注力する「エリアッド王国」のどちらかに所属することになる。自然との共存を望む3つめの国家「タクシャン」は現在、まだその姿を現わせていない。

 この世界には4つの種族が共存している。我々と同じような「ヒューマン」、美しく魔法に長ける「エルフ」、毛むくじゃらの小さな雪男のような外見であるが、手先が器用でいくつもの機械を使いこなす「ポム」、そして獣の姿をした力強い種族「タルン(ログウェルでは狼、エリアッドでは虎の姿を持つ)」。彼らは様々な職業に就くことでより専門的な力を発揮させていく。敵対国家を倒すため、プレーヤー達は己のキャラクタを鍛え上げていくこととなる。

 詳しくは後述するが、本作の第1の魅力は、「キャラクタのカスタマイズ要素」にある。キャラクタのいくつもの職業と、スキル。武器の強化はおなじみの数値を付加していくものに加え、「スチームエンジン」を取り付けるものがある。更にペットシステムに召喚獣、ドリルのついた掘削機械といった乗り物にも乗れる。ゲームを進めていくことでいくつもの選択肢からスキルを選び、モンスターのドロップや商店の売買を通じて様々なアイテムを手にする。そうしていくことで他のプレーヤーとはひと味違ったキャラクタを育成していく事が可能となっている。

 世界観の深さと、展開のうまさも感心させられたところだ。魔法と機械文明が融合した奇妙な世界はそのグラフィックスで見事に表現されている。地下鉄や「スチームバルーン」と呼ばれる気球はゲームの舞台を広げる良いアクセントになっている。歩いていくことで広がる景色、乗り物によって到着する全く見知らぬ場所、それにちりばめられたクエストがプレーヤーに移動する説得力と、その土地の情報を与えてくれる。「ネオスチーム」は、日本のRPGに近い、「冒険をしている感覚」をきちんと体験できる。これは、韓国産MMORPGがなかなかたどり着けなかった境地であるといっても過言ではないだろう。冒険をする説得力と楽しさを持った作品となっている。

 本作はソロプレイの要素が強い。現在プレーヤーは40レベル、50レベルとどんどんキャラクタを育て上げているが、街でパーティー募集の声を聞いていると、クエストクリアのためや、経験値稼ぎのために「ソロパーティー」を募集している。全体的に「各キャラクタの協力なくしてはゲームが進められない」というタイプのゲームではなく、プレーヤー達は主に経験値のパーティーボーナスのためにパーティーを組んでいる印象がある。

 キャラクタが20レベルを超えるといよいよプレーヤーは対人戦用のフィールドに足を踏み入れるようになる。RvRこそ本作最大の目的である。冒険、ストーリーを通じて、プレーヤーの目標は徐々に「国家の勝利」へと結実していくという。本作は基本プレイ無料の、アイテム課金を予定している。まずはプレイをして、世界に触れて欲しい。他の作品とひと味違う世界の作り込みを感じてもらえるはずだ。

左からヒューマン、エルフ、タルン。種族専用のスキルは用意されているが、職業の向き不向きはほとんどない。種族を選んで、職業を選ぶことで自分のキャラクタ像を追求していこう
スチームバルーン。低空を飛び、目的地に移動する。地上からも空を飛んでいくプレーヤーの姿を確認できる 長距離を移動できる地下鉄。新しい冒険の地に移動する交通機関だ 「ネオスチーム」では潜水艦も登場する。行き先は敵国との激しい戦いが行なわれている戦場だ


■ 運とプレーヤーの意志で形作られていくキャラクタの個性

召喚獣と共に戦う。本作では様々な召喚獣が登場する。更にペットシステムもあるため、ソロプレイでも複数のキャラクタで戦うことが可能だ
コアマシーンをスロットのついた武器に装着することで、特別なスキルが使えるようになる。マシーンを装着した武器は外見も変化し、光を放ち、とてもカッコイイ
 本作には多彩な職業が用意されている。プレーヤーはまずキャラクタ作成時に、戦士、魔術師、放浪者、技術者という基本的な職業を選択する。更にレベル10になるとそれぞれの職業から2つに別れより専門的な職業へ特化していくことになる。残念なのは公式ページでこの職業とスキルがまだ紹介されていないことだ。これではプレーヤーが自分の将来像を把握することは難しい。できるだけ早く改善してもらいたいポイントだ。

 レベル10になったキャラクタが転職できる職業は、ログウェルとエリアッドで異なっている。例えば戦士の支援系能力を強めたタイプの場合、ログウェルの「ディフェンダー」は回復能力のスキルを持つのに対し、エリアッドの「テンプラー」は召喚獣を呼び出し、共に戦う。弓を得意とする放浪者から分岐をする職業もエリアッドの「チェーサー」の場合は爆弾を組み合わせて破壊力を増すのに対し、ログウェルの「トラッカー」は一度に2本の矢を打つなど弓術を高めている。ユーザーが交換している情報で、事前に職業の特徴を把握しておいた方が良いだろう。

 今回筆者はテンプラーのキャラクタを重点的にプレイした。転職後に育てることができるスキルは、防御力を上げるものや召喚獣の種類を上げるものなどいくつかの系統があるスキルツリー型になっていて、将来性を考えた育成が必要となっている。自分はどんなキャラクタを育てたいかゲームを進めていくことで考えさせられる。ギルドに加入し、先輩の意見を聞くことも有効な手段だと感じた。

 アイテムのアップグレードの詳細も説明しておこう。ゲームでは敵からドロップされるアイテムを使って装備を強化する要素がある。「セリル(セリルストン)」と呼ばれるアイテムを街の生産機械を使うことで武器、防具をアップグレードできる。一定の確率で性能がダウンしてしまうという韓国MMORPGではおなじみのシステムである。「ネオスチーム」ではこれに加え、「コアスチーム」というアイテムを武器や防具のスロットに装着することで性能がアップするだけではなく、特殊なスキルを使用できる。

 この強化をするためには、スロットを持つアイテムと、コアアイテムを入手しなくてはいけない。コアアイテムには武器、鎧の上下、カブト、足と部位ごとに違い、更にドロップ率も低いためなかなか入手できない。しかし、武器や防具にコアアイテムを装着すると、その外観が大きく変化する。そのかっこよさはプレーヤーに大きな満足感を与えてくれるだろう。SFマインドを刺激する、キャラクタへの思い入れが一段深まる演出である。

 スキルとアイテム、その多彩な要素によって広がる「風景」も本作の大きな魅力である。大きな獣を従えて歩くエルフ。巨大なオーラをまとう剣を持ってのしのしと歩くタルン。フィールドでは高レベルプレーヤーが、スチームマシンを使って採掘作業を行なっている。そんな世界で、自分はどうなるのか、キャラクタを鍛え上げ、彼らの横に並んでみたいと強く思わせる。多くのシステムを詰め込むことで世界の広がりが確かに感じられる作品となっている。多種多様な上級プレーヤーが闊歩する「ネオスチーム」の世界は、初心者プレーヤーの気持ちを強く後押ししてくれる魅力に満ちている。

コアマシーンを装着したことで使えるスチームスキル。一定範囲の敵にダメージを与える 各プレーヤーに与えられるペット。戦闘と回復に特化した能力を持たせられるだけでなく、保存した場所に帰還するテレポート能力を持っている 召喚獣はスキルが成長することでより強力な存在に成長する。テンプラーの場合、召喚獣の体力を回復させるスキルがないので扱いに注意が必要だ
防御系のスキルと召喚系のスキルを持つテンプラー。どの系統を成長させるか考える必要がある 銃を使うことが得意な技術職業アニメーター。ネズミ型爆弾「セルフィーボム」は自動的に敵を攻撃するので使い所が難しい スチームエネルギーを充填。エネルギーはスチームスキルや様々な乗り物を使うときに使用する
鉱石を掘るスチームマシン。高レベルプレーヤーの姿はゲームへの期待を何倍にもふくらませてくれる 街ではたくさんの光り輝く装備を持ったプレーヤーの姿を見ることができる ハンター系のキャラクタはフィールドのモンスターをテイミングして味方にすることができる


■ 「冒険」をたっぷり楽しめるストーリー性の高いシナリオ

クエストをくれるNPCは近付くことで「!」マークを点灯させ、プレーヤーを呼び止める。ユニークな演出だが、このためにこまめに街を回らなくてはいけない一面も。もう少し遠くからわかるようなシステムにしてもらいたいとも思う。
糸に絡まれた怪物。ゲームのストーリーと直接関わりがないが、フィールドと、存在するモンスターの説得力をぐっと増してくれる演出だ
 本作の「世界観」は特に強調しておきたい要素だ。蒸気を吹き上げる塔や、巨大なクレーン、何に使うかわからない機械。そのデザインは美しいが、雑然としていて、世界そのものの活気を感じさせられる。NPCもプレーヤー同様4つの種族が混在していて、世界の幅を感じさせられると共に、戦闘職はタルン、技術職はポム、といった種族の特徴を感じさせる。逆にそうでないキャラクタにはより一層興味がわく。歩いているだけで、デザイナーのセンスに感心させられる。

 フィールドは巨大な海岸や盗賊の集落、野生動物の群生地や、国家を形成していない敵対種族の居留地など様々なテーマがあって、新しいフィールドに移動する楽しさを一段と強めてくれる。筆者は本作の「フィールドの説得力」に好感を持った。海岸に巨大なカニの残骸があったり、塩を生産するための巨大な施設があったり、砦を築いて周囲を監視する施設があったりと、オブジェクトに必然性がある。ここがおろそかになっているために「まだまだだな」と感じさせられるMMORPGは多い。本作は世界観の練り込みに、他の作品以上のエネルギーが込められていると感じた。

 多彩なクエストが更に本作の魅力を増している。「ネオスチーム」はクエストが充実していて、ストーリー性も強い。MMORPGのクエストというと「あのモンスターを10匹倒してこい」といったような無機質なものが多いが、本作では「盗賊のアジトに侵入する」、「壊れた機械を調査する」、「怪物にさらわれたキャラクタを救出する」といったような目的も用意されている。

 筆者が特に気に入ったのはエリアッドの戦士のクエストだ。ゲームが進むにつれ盗賊団の存在が明らかになり、スチームバルーンに乗って本拠地近くに潜入、更に隠された本拠地へのゲートを開き、そこでボスと対決する、というコンシューマRPGのようなメリハリのあるストーリーを体験できた。何度も本拠地に戻り、ペット用のエサや回復薬を買いそろえ、来るべき決戦に備えたりと準備も楽しかった。韓国産MMORPGはきちんと進化しているな、と感じられた展開だった。

 無事に転職クエストをこなし、テンプラーとなった筆者は、召喚獣と共に地下鉄に乗って新しい街に出発した。そこでは更にスケールの広がった冒険が待っていた。現在は最初の街に戻り、体の中にダンジョンを持つという巨大なモンスター「テラウェル」の調査に赴く途中である。敵国の動きも活発になり始め、ストーリーがどうなっていくかは今後も楽しみだ。レベル20からはPvPもクエストの内容に含まれるという。どんな展開になるだろうか。

 クエストによって明らかになっていく世界設定と、乗り物によって大きく変わる風景は、冒険を進める楽しさを体験させてくれる。そしてフィールドにちりばめられた小さなアイデアと、説得力のあるモンスターの配置が、キャラクタ育成の面白さを後押ししてくれる。新しく使えるようになったスキルや新しい武器によって強くなったキャラクタで、更なる冒険の地を求める。RPGの根本的な楽しさを本作はしっかり持っている。これを実現させているスタッフのフィールドや冒険に対する思い入れは高く評価したいところだ。

 今回は残念ながらPvP要素を体験できなかったが、フィールドを回ると韓国と日本のプレーヤーの違いも感じさせられることがあった。各街にPvP用の「コロッセウム」があり、更に城の中にもフリーで戦える「PvPゾーン」が設定されていて、「韓国のユーザーはそんなに戦うのが好きなのかな?」と、感じさせられた。敵国と戦うという大きな目的の前に、同国人で戦うという要素もクローズアップされていると感じた。もちろん、模擬戦として技を試すフィールドは必要だと思うが、その「多さ」には少し驚かされた。

 筆者は、RvRに関してはもう少しプレーヤーの意識を収束させても良いではないかと思った。日韓のプレーヤーの差かとも思うが、日本では闘技場を利用しているプレーヤーは少ない。プレーヤーが大きな目的のために力を合わせるような「提示」があると、本作の戦いは激しさを増すのではないかと思う。現在は、フィールドではたまに敵国から侵攻されているというアナウンスが入るが、フィールドが広大なために、どこで戦いが行なわれているかわかりにくい。低レベルのキャラクタでも見学や、力が及ばないながらも参戦できる要素が欲しいと思った。

 RvRは「ネオスチーム」のキモであり、プレーヤーを強く牽引する要素だ。多彩なクエスト、細かくカスタマイズできるキャラクタ、魅力的な世界と、本作は多くのプレーヤーを引き込む間口の広さを持っている。だからこそ、「運営」側にこの作品の特徴、そして大きな目的を提示してもらいたいと思う。公式ページの充実、戦いの具体的な推移の報告、戦いに参戦することのメリットやデメリットなど、この部分はもっと積極的に紹介し、プレーヤー達の戦いへの気持ちを駆り立てて欲しい。

 もちろん、RvRに焦点を絞ったシステムの拡充もまだまだ足りない要素だ。領土を広げるとプレーヤーはどんな恩恵にあずかれるのか、「ネオスチーム」というこの世界の鍵を握る要素のアイデアももう少し練り込んで欲しい。たとえば、「RFオンライン」のような、日々大規模戦争が行なわれ、その戦列に加わるだけで勢力の一体感が体験できるような「プレーヤーを戦いへ駆り立てる」工夫を、システム、運営の両方から強調して欲しいと感じた。

風車や桟橋、建物の模様など、オブジェクト1つ1つにデザイナーのこだわりを感じられる 盗賊団のアジトで見張りの兵士に囲まれる。モンスターの配置もきちんと必然性がある 海岸にいる巨大なカニ。背景扱いで全く動かないが、近寄るのはちょっと恐い
街を守る砦。巨大な歯車は本作のキーとなるモチーフだ 「塩機械」と名付けられた機械。塩を生産する機械なのだろうか? エリアッド王国は竜をあがめる国家だ。街のあちこちには竜の彫像が飾られている
スチームバルーンからの景色は地上とまったく違う景色を楽しめる アジトにつながるゲート。通るためには周囲の兵隊を倒さなくてはならない 野生動物にまたがる豚の顔を持った兵士。色々なモンスターがいて非常に楽しい
巨大なモンスター「テラウェール」。体内にはダンジョンが広がっている

(C)2004-2006 Hanbitsoft Inc. Studio Mars All Rights Reserved. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.


【ネオスチーム】
  • CPU:Pentium III 1.0GHz以上(Pentium 4 2.0GHz以上推奨)
  • メモリ:512MB以上(1GB以上推奨)
  • ビデオカード:GeForce2MX 400以上のビデオカード(GeForceFX 4Ti以上推奨)


□ハンビットユビキタスエンターテインメントのホームページ
http://www.hanbit.jp/
□「ネオスチーム」のページ
http://neosteam.jp/
□関連情報
【9月12日】HUE、MMORPG「ネオスチーム」オープンβテストを開始
はんびっとコインをプレゼントするアンケートも実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060912/neo.htm
【8月23日】HUE、MMORPG「ネオスチーム」
第2次クローズドβテストを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060823/neo.htm
【8月4日】Hanbit Soft、「ネオ・スチーム」開発者インタビュー
エネルギーを奪い合う激しい戦いと、蒸気と魔法が融合した世界を描くMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060804/neosteam.htm
【8月1日】HUE、スチームパンクMMORPG「ネオ・スチーム」発表会を開催
クローズドβテストを8月14日よりスタート、イメージソングなども発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060801/neosteam.htm

(2006年10月2日)

[Reported by 勝田哲也]



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