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【不定期連載第3回】次世代オンラインゲームへの思索と邂逅

アラン・ブラフォードの「OnlineGame 2.0」論



「Web2.0時代のオンラインゲームビジネス」その3
オンラインゲーム最大のコンテンツは“ユーザーとコミュニティ”



 前回までは、あまりゲームの中身に踏み込まない範囲でのWeb2.0的オンラインゲームサービスを見てきた。今回は、「Web2.0時代のオンラインゲームビジネス」最終回ということで、オンラインゲームの中の話を中心に述べてみたいと思う。

 オンラインゲームは、間違いなくインターネットアプリケーションのひとつである。だが、その形態は旧来のクライアントサーバー型システムの道をかたくなに崩さないために、多くの弊害が生じ始めている。その弊害とは、たとえばGoogleやミクシィといったWeb2.0的サービスの恩恵を被れないことや、前回詳しく紹介したコミュニティサービスとの連携、強いては公式サイトとの連携に関する部分にサービスとしての弱さがあることである。

 現状では、オンラインゲームがWeb2.0に対応していないため、オンラインゲーム内に独自にWeb2.0的アプリケーションの組み込みをやむなく行なっている状況である。つまり、こういったものの作り方がWeb2.0の現象的メリットを受けられていないという話に繋がってくる。しかし別の見方をすれば何もWeb2.0的技術と連携をする必要は必ずしもない。別にゲーム内でGoogleが使えなくてもよいし、ミクシィに書き込めなくてもいいわけである。要は、Web2.0での現象面での効果、メリットを分析し、いかにゲーム内に取り込んでいくかということが重要なのである。

 本論を展開する前に、先に私の結論を言っておく。

 「オンラインゲームとは箱庭と人が織り成すコンテンツサービスである」

 つまり、そこに住む人々そのものが大事なコンテンツのひとつと言えるということである。この私の仮定を踏まえたうえで、グラフィックや世界観、音楽といったいわゆる箱庭寄りのコンテンツに触れることなく、オンラインゲームがプレーヤーたちのものであるためにはどういうコンセプトや機能があればよいのかを中心に、理想のオンラインゲームについて語ってみたい。



■ みんなで作りこんでいく要素の必要性~オンラインゲームそのもののWiki化

 まずは少し変わった側面からオンラインゲームの可能性について語ってみるとしよう。

 それはいかに「プレーヤーの介入の余地が残されているか」という部分である。オンラインゲームは、所詮、制限された世界であり、レベルやフィールドといった限界を持っている。プレーヤーはこの限界に向かって黙々と冒険を続ける。これらの限界までプレイすると「飽き」や「諦め」が訪れ、最終的には「引退」へと終息していく。それを防ぐための解決手段として制限の撤廃(レベルキャップの開放など)やコンテンツの拡張などが挙げられるが、これは単にオンラインゲームの寿命を引き延ばしているに過ぎない。そこには自ずと人為的、コスト的な限界がある。

 では、どういうゲームが長く遊ばれるのであろうか? そのヒントはアーケードゲームにある。ユーザー側のアイデアで、コンテンツをさまざまな角度から楽しむことができるふくらみのあるゲームデザインの採用が挙げられる。これこそが長くコンテンツを楽しんでもらうポイントであり、プラットホームとしての大きな役割である。

 具体的な例としては、格闘ゲームの「○○しばり」というような遊び方や、音楽ゲームにある『1人2Pプレイ』などが挙げられる。ゲームがもともと提供している遊び方に対して、プレーヤーが介入し新たな遊び方を創出する。こういったプレーヤーズスキルを引き出すことは実はとても重要な要素のひとつだ。もっとも、今挙げた例は偶然の産物であり、送り手が意図したものではないケースが多いのが特徴である。

【代表的な“しばり”アーケードゲーム】
セガの「バーチャファイター」(http://www.virtuafighter.jp/)。プレーヤーはいかに飽きないように遊ぶかをよく知っている。ローカルな大会では、様々な『しばり』を取り入れて楽しむ コナミの「DanceDanceRevolution」(http://www.konami.jp/bemani/ddr/)。クリアだけでなく、Perfect Attack、Goodしばり、パフォーマンスプレイなど遊び方も様々。また、PS版との連携によるEDITモード(自分で自由に譜面をEDITできる)は斬新


CSECの「Counter-Strike」MAPサイト(http://www.c-sec.net/maps.htm)。オリジナルMAPがアップされていて自由にダウンロードして楽しむことができる。勿論MAPエディターという文化もある
 次の例は、MODでお馴染みの「Quake」や「Counter-Strike」といったFPSである。これらは、対戦時にホストがゲームルールを細かく設定できることもさることながら、MAPに関してもプレーヤーが創作できるなど、プレーヤーがコンテンツそのものの創作に介入し楽しみを広げることのできるゲームデザインになっている。またプレーヤーMAPはインターネット上で公開され、世界各地で楽しまれているだけでなくそのMAPを用いた大会やMAPそのもののコンテストなどが行なわれている点も驚くべき点である。

 さらにMAPを制作するにあたりテクスチャや独自の効果音などを分業作業によって進める団体も出現し、まさにゲームそのものがプラットホーム化され、Wikipediaに見られるコンテンツコラボレーションが実現されている。まさにこれがWeb2.0的なゲームの姿ではないだろうか? 残念ながら日本国内ではFPSの人気は高いとはいえないが、これらムーブメントをぜひとも見逃さないでほしい。

 さて、日本でも似たようなムーブメントが存在する。「RPGツクール」シリーズがその良い例である。このソフトウェアは、簡単なMAP編集によって自分だけのRPGが作れてしまうという優れもので、エンドユーザー向けのゲーム開発ツールといえる。こういったコンセプトはぜひともMMORPGの世界にも何かしらの形で導入されるべきである思う。

 最近、通称『エミュ鯖』というMMORPGのサーバーをエミュレーションしたサーバーのうわさを聞く。出現の理由のひとつには、『無料であのゲームを楽しみたい(もちろん違法である)』というものと、『このバランスの方が面白い』や『こういったイベントをやってみたい』というプレーヤーの切望の表れではないかと思う。もちろん違法行為であるのでやめていただきたいのだが、ここにもヒントはある。

 つまり今プレーヤーが求めているものはアバター性のような差別化を超えた自己表現・創造によるオンラインゲームへ参加である。言い換えるならば、プレーヤーがオンラインゲームという与えられたプラットホーム上で、新たなルールやバランス、MAPといったものを個人やコラボレーションによって自由に創作し提供でき、それを共有できるサービス。これが次世代のオンラインゲームに求められるのではないだろうか。

【ユーザーがコンテンツを自作する】
「Half-Life 2 Files」(http://halflife2.filefront.com/)。アイドルを模したモデルデータ等が公開されている。プレーヤーの介入の余地がここまで来ている。MMORPGでもある程度こういった部分の開放ができると面白い エンターブレインの「RPGツクールXP」(http://www.enterbrain.co.jp/)。最近のバージョンではスクリプト機能も追加され、さらに高度なゲーム性を作りこむことができるようになっている。これはネット化すればWeb2.0に非常に近い姿になりそうだ




■ コミュニティ・コミュニケーション機能のさらなる進化

コミュニティ概念図。コミュニティには軍隊や企業といった共通の目的をもったフォーマル(縦つながり)と趣味のサークルに見られるインフォーマル(横つながり)の2つの属性がある。オンラインゲームでは縦方向のコミュニティの実装が多い。今後は横に着目すべきだ
愛用のボイスチャットシステム(http://www.teamspeak.org/)。愛用のボイスチャットシステム。大規模戦や友人とのまったりとした狩には最適だ。勿論チャット死(チャットモード中にポーションを打てずに死んでしまうこと)も減る
 最近のオンラインゲームでは、ゲーム内でのコミュニティ支援のためのコミュニケーション機能は相当な進化を遂げ、飛躍的に便利になってきている。たとえば、秘話、パーティ、ギルド、全体など細分化されたチャット機能をはじめ、メッセンジャー機能、置手紙機能、掲示板などがそれに当たる。さらに最近のほとんどのMMORPGには、友人のログイン状況までリアルタイムで掴めるなど、高度な機能が実装されている。キーボードを必要としないボイスチャットに対応するタイトルも増加傾向にあり、今後も入力装置に制約のあるコンシューマーゲームや戦略の必要なPvP、GvG主体のオンラインゲームで積極的に採用されていくことが予想される。

 ここで違った視点でコミュニティを考えてみる。多くのオンラインゲームの場合そのコミュニティ機能は、クランやギルドといった縦の繋がりが主であり、また単一のコミュニティにのみ属することが許されるといった、現実的にはありえない単方向性のコミュニティへの所属しかできない。これは違和感極まりないと私は思う。

 現実世界で私たちは企業も学校という縦の繋がりに加えて、地域や趣味という横の繋がりもある。このような水平のコミュニティにも注目したい。現在のギルドやクランでは、こういった水平のコミュニティも垂直コミュニティとともに存在しているため、ある種歪となっている。

 前回お話した韓国と日本の違いというのは、もしかすると国家や軍隊といった垂直のコミュニティと、趣味を中心に集まった水平のコミュニティとの違いということにも置き換えることができそうだ。要は現在のオンラインゲームは、こういった現実のコミュニティに対する考察と、ゲーム内にサポートされるコミュニティ機能がまだまだ甘い。私の提案では、コミュニケーション機能というよりも、こういった縦と横のコミュニティのサポートをぜひともゲーム内で実現していただきたい。

 コミュニティのもうひとつの課題は、どのようにゲーム内で形成されていくかである。前回ご紹介した「R.O.H.A.N.」の『結束』のようなピラミッド型のコミュニティもそのひとつであるが、そもそもゲームに触れるきっかけとして、「友人の紹介」という部分に着目してもいいと思う。

 たとえば、どのプレーヤーの紹介でゲームに入ってきたかという情報は、単なる集客の手法として「お友達紹介」や「SNS」的な手法がすでにいくつかのオンラインゲームで実践されているが、ゲームの中にまでその経緯が引き継がれ、そして活用されれば、さらに強固なコミュニティの実現が期待できる。なぜなら、紹介したユーザーと、新規ユーザーの間では、ほとんどの場合、すでにゲーム外コミュニティができあがっており、より多くのユーザーの獲得に結びつく可能性が高いからだ。先に提案した横のコミュニティと合わせて、この部分にも何かしらの実装を期待していきたいと思う。

【ゲーム内のコミュニティ機能】
エヌ・シー・ソフトの「リネージュII」(http://www.lineage2.jp/)。ベーシックなチャット機能に加え、ゲーム内にMSNメッセンジャーを搭載し、ゲーム外のフレンドともダイレクトにコミュニケーションを取ることができる スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー XI」(http://www.playonline.com/ff11/)。ギルドやクランではなく、「リンクシェル」という独自のコミュニケーションシステムを採用し、単一のコミュニティに留まらない横断的なコミュニティを実現している




■ マッチングシステムの理想は「インゲームGoogle」

典型的なWeb2.0適用事例であるアマゾンのユーザーマッチ(http://www.amazon.co.jp/)。この機能は本当に素晴らしい。試しにこの記事を執筆するにあたり購入した書籍を検索してみた。早速関連書籍を2冊購入
 検索機能に関してもWeb2.0は参考にする部分がある。「Google=検索」と短絡的に考えがちだが、Googleは膨大な情報から必要な情報を検索するといった機能よりむしろ、最近では求めている人と提供できる人をマッチングする機能のほうがクローズアップされつつある。

 簡単なゲーム内での適用例を挙げれば、アイテム売買がそれに当たる。もちろん、アイテムトレードも含まれる。最近のオンラインゲームではこういったアイテム売買や交換をインゲームや公式ページ上で行なう例が増えてきている。簡単にこれをRMTの公式サイトでのサポートと呼ぶ場合も多いが、実際にはユーザーマッチを行なっている良い事例である。

 なにもユーザーマッチはアイテムの取引に限定したことではない、パーティ募集やクエストお手伝い、ボス討伐などもこういったユーザーマッチ機能で実現されればなお便利になるのではないかと思う。現在これらは町でチャットによって求めてみたり、情報サイトの待ち合わせ掲示板で実現されているがこういう機能こそコミュニティが重要となるオンラインゲームで実現されるべき機能である。

 カジュアルゲームにおけるロビー機能などよい実現例があるわりにMMORPGなどには実装されないという不思議な状況に首をかしげている方も多いのではないかと思う。現在のオンラインゲームではゲーム開始時に知り合った友人かもともとゲームをする前から知り合いの友人としかプレイをしないという現象が起こっている。こういったマッチング機能の充実こそゲーム内での開かれたコミュニティを形成させるひとつの解決策になるのではないだろうか? ぜひともこれらの機能を導入し、「ゲームに入ったらまず“ぐぐる”」を実践してみたいものだ。

【オフィシャルトレーディングシステム】
Sony Online Entertainmentの「Station Exchange」(http://www.station.sony.com/)。「EverQuest II」の公式RMTシステム ネクソンの「メイプル・トレード・スペース」(http://maplestory.nexon.co.jp/)。ステーションエクスチェンジと同様のシステム。ユーザー間の取引を公式的に行うことで安心して取引が可能となる。勿論現金との交換はできない




■ アイテム課金はロングテールをつかむ手法

ロングテールの図。在庫をもたないオンラインコンテンツに死に筋は存在しない。ロングテールの開拓が売上げ増大を大きく左右してくる
 最後に課金モデルについて語っておきたい。ここ1年の潮流であるアイテム課金化の流れは、市場の拡大が一定規模に留まりながら、コンテンツの供給ばかりが増え続ける現状の中で、いかに小数のプレーヤーから月額課金以上のARPU(客単価)を得ることができるかという発想から導入が進んだ。しかし実はそれ以上の効果が期待されている。

 Web2.0を語る際によくロングテールという言葉を耳にする。これはムーアの法則によるITの急激な発展と、Web2.0に代表される「Webアプリケーションのシームレス化」により膨大な情報量を短時間に多角的かつローコストで把握することが可能となり、また物理的な在庫を持たないデジタルコンテンツ市場においては従来非効率的とされていた「死に筋やニッチ」に着目した決め細やかなマーケティングが可能となったためである。

 つまり従来のように、売れ筋の商品だけを売るといったコンビニエンスストアに代表されるニッチを切り捨てるABC分析とは対極的なアプローチである。簡単に言えば『売れる商品を売る』ではなく『消費者の欲しい商品を売る』という販売行動の変化の表れでもある。すなわちロングテールとは、顧客のプロファイリングを細かくおこなったニッチに向けた商品提案を行なうことで「消費予備軍への気づき」を誘発し、結果売上げの底上げをおこなっていくという意味なのである。

 ロングテールの代表的な例としてはアマゾンが有名である。アマゾンは230万冊を超える膨大な品揃えと在庫を持つなかで、いかにユーザーと商品をマッチングさせるかといった様々な試行錯誤の経験が、先に紹介したリコメンデーション(顧客に合わせた商品提案)やアフィリエート(自分の推薦図書を紹介し成果報酬を得る制度)を世に送り出すことに繋がっている。

 私自身の例で言えば、10年以上前に参画していた某通販会社の実証実験において『買おうかな?』思った商品に対して、現在で言うところのしおり機能を購入画面に持たせたことがある。これは、カタログ通販でいうところの『折り目をつける』のコマースサイトでの実装だったわけだが、これも『あと少しで購入する』つまり『あと一押しで買う』といった情報収集と分析に繋がる。これもまたロングテールに着目したアイデアのひとつである。

 売れていないものを切り捨てる、買わない人を切り捨てるといった効率重視経営はWeb2.0時代では大きな機会損失となる。現状のオンラインゲームにおいて、同様のチャンスロスを招いている例は枚挙にいとまがない。代表的な例が、いったんオープンβテストでユーザーを集めておいて、正式サービス時には有料化へと踏み切る月額課金がそれに当たる。わざわざ“選民”するぐらいだったら、最初からβテストなどはやらなくていいわけである。

 一方、アイテム課金では、時代に即した課金システムということもあり、すでにロングテール的な発想による研究や実装が進められてきている。たとえば、レベルや職業・種族に合わせたアイテムモールでのフェイシングコントロール(プレーヤー別の商品の見せ方)などはこれから徐々に一般的になってくるはずだ。

 また、アイテム課金はユーザーの懐事情や職業、接続時間の制約に関してもプレーヤーに選択肢を与え、集客の面でもロングテールにリーチしている。たとえば、ブースト系アイテムは時間のない社会人には好都合だろうし、低年齢層(学生)の場合は、時間をかけたキャラクタ育成が可能となるためその様なアイテムは不必要であり、結果、ゲームに対する投入金額は少なくてよいことになる。

 つまりそれぞれの立場に合わせたプレイ環境やプレイ機会を与えることはより多くのユーザーにゲームをプレイさせることに繋がり、結果として“プレーヤーというコンテンツが充実してくる”のである。さらに月額課金がお金を支払ってから遊ぶという消費者にとっては相当な決断が必要となることに対して、遊んでからお金を払う方式は消費者とって安心感をもたらすということも忘れてはならない。

 このようにプレーヤー別の状況に合わせたプレイスタイルの選択や商品提案ができることがWeb2.0的なビジネススタイルである。アイテム課金がオンラインゲーム市場にもたらしたものは、ロングテールへ着目したビジネススタイルのシフトであり、多くのユーザーをゲームに誘導、つまり、コンテンツが成長することに繋がる。但しひとつ注意をしておくと、ロングテールへのアプローチはマスマーケティングだけでは通用しない。アマゾンに見られる個人の行動分析・プロファイリングといった創意工夫による、きめ細かな『One To One』マーケティングが必要となることを忘れないでほしい。



 私はオンラインゲーム内で人を減らす行為は、コンテンツとして自殺行為であると考えている。この減らす行為とはなにか? オープンβから正式サービスへと移行するユーザーに対して「月額」という大きな障壁を作ってしまうことがその大きな原因のひとつである。オンラインゲームは接続者すなわちプレーヤーがそこに住んで初めてコンテンツとして完成する。その意味をもう少し考えられないものかと思う。

 オンラインゲームは、パッケージゲームのようにコンテンツを楽しむのではなく、それ自体がプラットホームであり、そこに入場制限を加えた段階で、プラットフォームとしての強みをスポイルすることに繋がってしまう。もちろん月額課金で成功しているゲームはある。しかし、残念なことに、実質的には先行者利益(「ラグナロクオンライン」や「リネージュ」)もしくは大きなブランド(「ファイナルファンタジーXI」、「信長の野望 Online」など)以外には成功を収めるのは難しいのが現状である。

 今オンラインゲームに求められていることは、いかに「住人が減り、過疎がおこることを防止できるか」である。不正プレーヤーは別として運営側がプレーヤーを選民してしまってはいけないということである。人がコンテンツの主体をなすものであるというところからオンラインゲームをもう一度見直してみてはいかがだろうか。

 3回にわたってWeb2.0をテーマに、Web2.0サービスとの連携やコミュニティ、そこから見える理想のオンラインゲームについて述べてきた。私のわずかな経験の中で語るにはおこがましい部分もあったが、なるべくわかりやすい言葉で説明するよう心がけた。一方、細かな手法や技術解説を省いたため逆にわかりにくい説明になってしまったかもしれない。この場をお借りしてお詫び申し上げる次第である。

 さて、次回からは別のテーマに切り込んでいくことにしたい。その第1回目として「RMT」を取り上げる。今後も担当編集の中村氏と一緒にオンラインゲームに関して私なりの視点で色々語っていくので、ぜひご期待いただきたい。

■筆者プロフィール■
アラン・ブラフォード(日本在住)。コンピュータ関連カレッジ卒業後、大手電機メーカでエンジニア、研究開発を経て、オンラインゲーム関連ビジネスに身を置く。学生時代サークルの仲間とトランプゲームを研究したことがある。54枚+αの限られたカードによって、さまざまな遊び方ができる。今日のMMORPGはカードデザインの違うババ抜きしか存在しない。デザインではなく遊ばせ方に着目してほしい。デザインを変えてもユーザーがババを引くことの繰り返しにならぬよう。



□バックナンバー
【8月23日】「Web2.0時代のオンラインゲームビジネス」その2
オンラインゲームにおけるコミュニティの重要性とは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060823/online02.htm
【7月24日】Web 2.0時代のオンラインゲームビジネスとは何か!?
まずはオンラインゲームのWebサイトをWeb 2.0化する
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060724/online01.htm

(2006年9月19日)

[Reported by アラン・ブラフォード]



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