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会場:Actoz Soft本社
Choi氏とのインタビューは、7月に秋葉原で開催された同作発表会に続いて2度目となるが、今回はActoz Soft本社でのインタビューということもあり、「アニス&フリッキー」に限らず、韓国大手デベロッパーとして、韓国オンラインゲーム事情や海外展開事業など、幅広いテーマで話を伺った。
■ Actoz Softのビジネス内容と、親会社Shandaとの関係について
Choi氏: Actoz Softは今年で創立10年になります。中国でShandaがサービスしている「ミルの伝説」や「千年」などの開発会社です。「ミルの伝説」は中国市場で同時接続70万人、登録者1億人を数え、世界最高記録を達成しました。日本市場では2003年からガンホーさんを通して「A3」をサービスしており、今後「アニス&フリッキー」等、多様なゲームで日本進出を図りたいと考えています。 編: 2006年8月現在、展開しているタイトルと大まかなユーザー数を教えてください。 Choi氏: 「ミルの伝説」、「ミルの伝説2」、「千年」、「最後の王国(Last Kingdam)」、「A3」、「LaTale」です。世界規模での数となりますと、膨大な数になってしまいます。地域別に足して計算したこともないのでちょっとわからないです。たとえば「ミルの伝説」や「ミルの伝説2」の場合、ID登録数だけで1億人以上になってしまいますので、ここ最近でそれ以上はちょっと数えたことが無いです。「ミルの伝説」の場合、最近月額課金からアイテム課金に移行しているので、またさらに多くなっていると思います。 編: 日本で漏れ聞くニュースとして、Actoz Softは、以前Shandaと不仲になった時期がありましたが、最近Shandaとの関係はいかがでしょうか。 Choi氏: 私は2002年11月にCFOとしてActozに入社をしました。当時Actoz SoftとShandaとの関係は最悪でした。入社から1カ月経過後に代表取締役CEOに就任し、1年かけて紛争を解決しました。Shandaとは元々資本関係はありませんでしたが、弊社の大株主の事情で訴訟が起き、最終的にShandaが弊社の株式を持つことで紛争が解決しました。 現在、ShandaはActozの株式を38%所有している筆頭株主で、Actozの親会社ということになります。現在では、険悪だった関係を修復し、互いに協力関係にある会社として存在しています。ShandaとActoz Softはお互いに重要なパートナーですので、Actoz Softの無いShandaも、Shandaの無いActoz Softもありえないと考えています。 編: 現在注目している国や地域はどちらになるでしょうか。 Choi氏: これはお世辞ではなく日本です。これまでのActoz Softは、中国市場を視野に入れてビジネスを展開してきましたので、中国市場については他のどの韓国企業にも負けない経験と実績があると自負しています。一方、日本に関してはまだまだやらなければならないことは多いですので、今後一層力を入れていきます。 編: 今後も海外ビジネスを継続していくつもりでしょうか。 Choi氏: 「世界は広く、やることはいくらでもある」という言葉がありますが、今まで開拓されていない市場はまだまだたくさんあります。時代の流れとして今後あらゆるゲームがオンライン化され、競争が激化することで、ゲームメーカーのリスクも増大していくことになりますが、海外ビジネスについては今後も積極的にチャレンジしていきたいと思います。
■ 多様化する韓国市場ではオリジナリティで勝負
Choi氏: Actoz Softという会社は設立当初から海外市場を目指して展開してきた会社です。今後、競争が激化している韓国国内で市場シェアを高めるために効率的なマーケティングを展開していく予定です。 編: 韓国で人気のゲームコンテンツは何でしょうか。また、Actoz Softの市場でのシェアを教えてください。 Choi氏: RPGでいけば「リネージュII」、「リネージュ」、「World of Warcraft」です。FPSなどでは「Sudden Attack」、「Special Force」、「FIFA Online」です。Actozタイトルでは、「ミルの伝説」、「ミルの伝説2」、「千年」、「A3」をあわせて、10%の市場シェアを獲得しています。 編: 10%という数字に関してどうお考えですか。 Choi氏: 10%という数字に関してはどの会社も正確なものを公表していないので、客観的な数字をなかなか提示しにくいのであくまで私の感覚的な数字です。 村岡氏: 市場占有率といっても、韓国国内でどれほどのユーザーがいてActoz Softの利用者数は何人という見方もできますし、国内のゲーム会社さんのゲームの売上による市場占有率という見方もできますので一概には言えないと考えられていると思います。売り上げ比較という点からですと3%前後です。 編: 年間の売上高はいくらなのでしょうか。 Choi氏: ロイヤリティ等含めた総売り上げとしては約300億ウォン(約36億円)です。 村岡氏: Webzenさんでも30億ちょっとなので、Actoz Softは韓国でも大手メーカーといえると思います。普通オンラインゲームのロイヤリティが20~30%が相場というところですが、自分たちでパブリッシングをしたり、中国ではShandaにパブリッシングを任せていたりという中ではかなり成功されている会社だと我々も見ています。 編: 現在の韓国オンラインゲーム市場のトレンドをどのようにお考えですか。 Choi氏: 今までの韓国のオンラインゲームの主流はMMORPGでシェアも高かったです。しかし最近ではゲームの種類が多様化しており、「アニス&フリッキー」のような独特なゲームが存在感を放ってくると思います。 編: Actoz Softはゲームの開発が本業ですが、デベロッパーとしての他の開発会社にはない強みは何だと考えていますか。 Choi氏: 基本的にゲームは真似をしているだけでは勝てないと考えています。現在7つのタイトルを開発していますが、7つが7つとも違うジャンルです。一番大事なことはゲーム業界の市場の流れを予測して、それにそった企画開発が必要だと感じています。 編: 市場の流れを予測するとおっしゃいましたが、今の流れ、そして次の流れは何だと予測していますか? Choi氏: オンラインゲームのメインストリームがMMORPGからカジュアルゲーム、そしてカジュアルゲームの種類が細分化するという流れの中で、ゲームの多様化の時期を迎えています。ただ、韓国市場に対する影響が一番大きいのはやはりMMORPGであると考えています。オンラインゲーム市場の規模が大きくなるにつれてMMORPG1本当たりの規模は相対的に小さくなるとは思いますが、ビジネス的な観点から見てもMMORPGはなくならないであろうと考えています。
■ Actoz Softの今後の戦略と日本展開の抱負について
Choi氏: 2006年以降もオンラインゲームに集中するつもりです。韓国国内のオンラインゲーム市場は成熟しきっていて、競争の激化に伴いビジネス的にリスクも高まるのですが、斬新なゲーム開発と海外企業との連携で、会社の規模を拡大していきたいと思います。 編: 日本市場に対してどのような考えをお持ちでしょうか。 Choi氏: 日本市場はコンシューマゲームやアーケードゲームを中心に発達しています。オンラインゲームの割合としてはまだ10%前後のシェアしかありませんが、インターネットやオンライン化が発達する時代で急速にオンラインゲームがその割合を伸ばそうとしています。この流れに我々も乗っていきたいと思います。 編: 今回GMO Gamesが展開する「アニス&フリッキー」は、ガンホーからの「A3」以来となる久しぶりの日本展開タイトルということになりますが、どのような期待を持っていますか? Choi氏: 韓国国内での評価としても斬新で独創的という評価を頂いています。また、プレス関係者からも日本市場にぴったりのゲームであると評価いただいています。これまで展開したどのゲームよりも期待している作品と考えています。 編: 日本にActozの子会社を設置し、よりアクティブに日本展開していく考えはないのでしょうか。 Choi氏: 具体的な計画はまだありません。外国の企業が、現地にいって直接サービスするのは難しいところがあると思います。やはり現地のことは現地の企業が一番よくわかっていますので、事情をよく知っている会社と提携して、展開していきたいと考えています。 編: CEOとして一番力をいれている事業は何でしょうか。 Choi氏: 会社というものは1人2人で動いているものではなくて、いろいろな人の個性の総意で成り立っているものですので、それぞれの力を発揮できるような雰囲気を作ることが一番大きな役割だと考えています。 編: 今後のオンラインゲームの展望についてどのようにお考えでしょうか。 Choi氏: さらにゲームの多様性が増していくと思います。例を挙げれば「FIFA Online」のように元々コンシューマゲームだったものがオンラインゲーム化されたり、オンラインゲームであったものがモバイルゲームになったりといった形で、多様なコンセプトが、いくつかの形に統合されながらゲームのバリエーションが広がっていくだろうと考えています。 編: 最後に日本のユーザーにメッセージをお願いします。 Choi氏: 「A3」、「LaTale」に続く3作目として「アニス&フリッキー」を日本の皆さんにサービスできることになりました。日本の市場向けにぴったりなタイトルになっています。しっかりとローカライズし日本の皆さんに合うサービスを心がけたいと思います。ぜひゲームに興味を持っていただいて、改善点などをどんどんご提案いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。 編: ありがとうございました。
□Actoz Softのホームページ (2006年8月19日) [Reported by 中村聖司]
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