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Gravity Festival 2006現地レポート

「エミル・クロニクル・オンライン」、「Rose Online」、「Requiem」レポート
専用ステージや、新要素の先行体験会などでこれからのGravityをアピール

8月12日開催

会場:COEX太平洋ホール

入場料:無料

 Gravity Festival2006では、イベントステージを中心に、右側に、「ラグナロクオンライン」や、「ラグナロクオンラインII」、そしてユーザー達の出展を含めたグッズ販売が行なわれ、左側にGravityがサービスするタイトルが展示されていた。

 左側で展開していたのは、「Rose Online」、「Requiem」、「エミル・クロニクル・オンライン」、「TIME N TALES」、そして「STYLIA」である。本稿では「エミル・クロニクル・オンライン」、「Rose Online」、「Requiem」、の3タイトルのブースと、出展されたゲーム内容のレポートをしたい。


■ より自然なローカライズを目指す「エミル・クロニクル・オンライン」

試遊台に負けないほどに人気を集めていたのがコンパニオン。来場者の撮影に応えるだけではなく、じゃんけんゲームなどをしたり、常に来場者を楽しませていた
今回のイベントでは親に連れられて訪れる低年齢の来場者も多かった。その中で特に「ECO」の人気は高かったが、少しプレイしにくそうな場面も。子供専用の試遊台や、踏み台なども今後考えてほしい要素だ
 ガンホーとヘッドロック、ブロッコリーによって生み出された日本産MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン(「ECO」)」。そのグローバルライセンス契約を締結したのが韓国のGravityである。「ECO」はGravityを通じて全世界へ展開することとなり、その第一弾として韓国語版が制作中である。この発表は昨年の11月にされているものの、今回のイベントでもまだ具体的なサービス時期は明らかにされなかった。

 しかし、ローカライズ作業は順調に進んでいるようで、会場ではメッセージなどが全てハングルとなったクライアントでの試遊台が多数出展されていた。今回は「タイニーアイランド」をベースに、Gravity Festivalのために作った特別フィールドで、冒険を楽しむことができた。実際に日本で稼働している「タイニーアイランド」とは違い、様々なモンスターを配置し、戦いを体験できるようになっている。プレーヤーキャラクタは99レベルに設定されているため、どんどん敵を倒していける。

 会場では、やはりそのかわいらしいデザインからか、低年齢のユーザーに特に人気だった。ちょっと試遊台が高くて、背伸びをしてのぞき込むように画面を見ている子供もいた。また、シャーマンの巫女服やナイトの鎧など、装備の細かいところをチェックしているユーザーもいた。

 スタッフによると、「ECO」のサービス時期がまだ決定していない点に関して、「ローカライズに特にこだわっている」という点が上げられるという。「ECO」は前例が少ない、“日本から韓国へ展開するMMORPG”である。ユーザーの期待と、不安は大きい。日韓のスタッフは、特に「自然な言葉」にこだわり、韓国語ならではのメッセージにすべく日夜ローカライズ作業を進めているという。

 韓国語の特徴としてパンマル(半言)の難しさがある。目下の人に使ったり親しい間柄で使われる ぞんざいな言い回しで、日本語でいうところの「タメ口」に近い意味だ。儒教の思想が強く、人間関係の位置づけを重んじる韓国では、親しくない者同士でも目上の人から「これからはパンマ ルでいいよ」と許してやることによって人間関係を親しいものに変えていくというシーンはしばしば見られる光景だ。そのためパンマルの誤用は韓国語への翻訳の際も最も不自然に感じやすい部分なので、慎重を期したいということだろう。

 「ECO」は全体的な韓国語へのローカライズ、開発は全てガンホーとヘッドロックで行なっている。しかし、韓国語ならではのニュアンスを再現するためには、韓国のスタッフが必要不可欠だ。また、ユーザーは韓国オリジナル要素にも期待しているという。「より自然な日本語を」という目標は、日本でパブリッシングを行なう多くのメーカーが真っ先に挙げる必要要素である。

 「ECO」は現在、同じ問題に逆の立場で真剣に取り組んでいる、というのは非常に興味深い。「ECO」が韓国でどう受け入れられるのか、注目していきたいところだ。

子供や女性にも人気だった「ECO」。装備アイテムの細かさも注目されていた
イベント用にモンスターなどを調整した「タイニーアイランド」。タイニー達のかわいらしい姿は、画面を見ただけで思わずプレイをしてみたくなる魅力がある


■ 「Rose Online Evolution」、高レベル向け要素、新RvRを追加

TRIGERSOFT「Rose Online Evolution」プロダクトマネージャーZo Yonng Ick氏。会場で直接質問を募り、答えるシーンも
新スキルや新アイテムが体験できた「Rose Online Evolution」ブース。後半はクラン戦の体験会も行なわれた
 日本ではフェイスが展開している「Rose Online Evolution」。「Rose Online」からタイトルを一新、キャラクタデータは継続するものの、スキルをリセット、ゲームルールにも変更が加えられ「再スタート」を果たしたタイトルである。、韓国では8月12日から基本プレイ無料、アイテム課金制に移行する。ちなみに、日本では戦闘や倉庫利用をする場合にもお金がかかる、実質的な定額+アイテム課金制になっている

 イベント会場では試遊台によって新しい要素を先行体験することができた。今後のアップデートとして、より高レベル向け装備、乗り物、さらに「迷いの森」と呼ばれる新ダンジョンが追加される。また、ソルジャーは敵に大ダメージを与える攻撃スキル、ミューズはサポート用のスキルなど、様々なスキルが追加される。

 「Rose Online Evolution」から新しいスキルが追加され、スキルツリー形式となったが、現在はツリーが完成していなかった。このアップデートが追加されることでツリーを形成するためのスキルがそろうという。また、レベルキャップは200になる。本作は開発がスタートした当初から「7つの惑星」が舞台になることがアナウンスされているが、現在でもまだ3つの惑星である。しかし、年末までにはもう1つの惑星が追加される予定だという。この他に「結婚式システム」が実装される。

 アップデートの最大の目玉になるであろうシステムが「クラン戦」である。「Rose Online Evolution」では個人のPvPの他、所属している惑星で戦うことができる惑星戦を実装していたが、惑星間の国家が統一、クラン(ギルド)での力比べが可能になると言う。会場では、このクラン戦を体験できた。

 クラン戦は特別なフィールドで戦う。会場では4対4の戦いが行なわれたが、チームの人数の割にフィールドが大きすぎるように思えた。クランは最大25人となっており、実際はもっと大きな規模での戦いが楽しめるという。

 この戦いの面白いところは、プレーヤーが守る存在であり、敵から奪わなくてはいけない存在が巨大な「ドラゴン」であることだ。クラン戦に参加したプレーヤーは自軍のドラゴンを守りつつ、敵のドラゴンを倒さなくてはいけない。ドラゴンの力は強力であるが、プレーヤーが守らなくては敵に倒されてしまうかもしれない。どういったバランスで自軍を展開するか、議論が交わされそうだ。

 会場ではフェイスの「Rose Online Evolution」ディレクターである長澤善啓氏にお話を伺うことができた。日本の「Rose Online Evolution」は現在不正アクセス問題でサービスが停止している状態にある。長澤氏をはじめとしたスタッフは原因究明と、一刻も早い復旧に力を尽くすと共に、韓国での最新のバージョンとできるだけタイムラグをなくすために努力をしているという。

 「現在サービスが止まってしまっていて本当に申し訳ないと思っています。できるだけ早い復旧と共に、テストサーバーで新要素をきちんと検証し、早いローカライズを行なうことで、できるだけ短いタイムラグで最新の『Rose Online Evolution』を楽しんでいただきたいです」。不正アクセスの究明とサービスの再開を一刻も早く願いたい。

ステージで発表された新要素。高レベル向けキャラクタに向けた新装備や、新しい狩り場、結婚式システムに加え、より充実したRvRを提示する。投石器なども考えられているようで、ゲーム内でどう使われるか楽しみだ
試遊台では、高レベルキャラクタの新装備を体験できたが、周りの敵が少し弱く、ほぼ1撃で倒してしまうため、新スキルの威力を充分に楽しめなかった部分もあった
先行体験できたクラン戦。戦闘の鍵を握るドラゴンは大迫力だった。実装されてからのプレーヤーの意見の交換がとても楽しみである


■ 謎に包まれた「Requiem」。今回はスタイリッシュな映像出展のみ

ゲームの説明をする「Requiem」のディレクターYoon, Sang Jin氏
ゲームのポイントを紹介、HAVOKエンジンを使用した物理計算、昼夜によって状況が変わる生活をしているNPCといった要素があるという
 公式ページもまだなく、Gravityの紹介ページでも「激しい戦闘とスリル満点の雰囲気が調和したハードコアオンラインゲーム」というくらいしか情報のない「Requiem」。制作発表は2003年であるが、まだまだその姿は明らかになっていない。

 今回は、ムービーの紹介と、ゲームの概要説明が行なわれた。ムービーはスーツ姿の男性が剣を持ち、ゾンビのように大群で襲いかかってくる男達に立ち向かう。場面は更に、不気味な西洋人の男性や、少女の姿、血まみれのナイフをなめる女性、さらには生首が転がっている平原に立つ主人公と、めまぐるしく展開していく。スタイリッシュな雰囲気と、ショッキングな映像で、ゲームがかなりダークでアダルトな方向性を持っているのがわかる。ゲームへの期待感は否応なしに盛り上がるが、ゲームシーンなどが提示されないため、このムービーがどのようにゲームに関係するかという疑問も大きくなってしまう。

 ステージでは、「Requiem」のディレクターYoon, Sang Jin氏によるゲームの概要が説明された。本作の目指す方向性は、「社会の縮小版」。自分たちとは違う観念を持った「別の人格体」との出会い、その出会いを通じて形成される社会、その中で芽生える新たな利害関係と裏切りと苦痛……。ゲームを通じて、こういったものを経験できる。

 また、戦闘シーンは、血が飛び肉がはじけるような残酷表現を可能にしている。残酷な表現を可能にしているのが本作の大きな特徴だ。また、ダンジョンはパズル要素があって、危険なトラップも多数仕掛けられている。常に生死の危険を感じるようなスリリングなものになるという。

 Yoon氏の説明での「別の人格体」というのは、他のプレーヤーなのか、ゲームが提示する世界に住む人々なのかも現在はまだ曖昧としている。スクリーンショットなども提示されず、「実際のゲームはどうなのか」という疑問が解消されなかったのは、少し不満を感じた。リアルな人との関係と残酷表現、というコンセプトは「A3」を彷彿とさせる要素でもある。PvPが中心となるのか、それともストーリーにふんだんに織り込まれるのか、気になるところだ。

 出展ブースでは専用のシアターでムービー画像を見ることができたが、内容そのものは会場内のモニターで公開されているものと同じ内容だった。ムービーそのものは現代とオカルトが融合したような世界で、個人的にはとても魅力的に感じる。ムービーの世界を再現したゲームならば、ファンタジーやSFを題材にした作品が多い韓国のMMORPGの中で、異色の存在となるだろう。今後の情報に期待したい。

プライベートシアターで常にムービーを公開していた「Requiem」ブース。セクシーな衣装に身を包んだコンパニオンは大人気で常にカメラに取り囲まれていた
ゾンビのような男達に主人公が拳を当てると、背中から爆発するようにはじけ飛ぶシーン、ベッドの上でナイフを振り上げる女のシーン、日本刀のような刀を鞘から引き抜き、走る男のシーンなど、めまぐるしく展開するムービー。ストーリーよりも、映像を強調していく手法で、ゲームに対する期待感も盛り上がるが、今回は具体的なゲームイメージが出なかったため、少しフラストレーションを感じた

その他、映像出展タイトル
【「TARTAROS ONLINE」】
韓国Intiv Softが開発したMMORPG、パブリッシングをGravityが行なう。3人のキャラクタを同時に操り戦うことができる。ロボットなども登場するSF的な世界観を持った作品になりそうだ
【「女神転生 IMAGINE」】
今回のイベントでは、ケイブオンラインの「女神転生 IMAGINE」も映像出展されていた。日本でもまだ公開されていない最新映像である。パブリッシングなどの具体的な発表は、今後、ということになりそうだが、来場者の多くが関心を集めていた

□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□「Gravity Festival 2006」のホームページ
http://www.gravityfestival.com/

(2006年8月13日)

[Reported by 勝田哲也]



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