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宇多田さんといえば、5歳のころからゲームボーイ版「テトリス」に親しみ、自身の公式HPでも「テトリスDS」でスタンダードのエンドレスモードのカウンターストップを記録した画像を公開したり、以前、TVで「テトリス」の腕前を披露するなどの実力の持ち主。ただ、対戦はまた違った駆け引きが要求されるため、記者も興味津々で取材に赴いた。 イベントはまず、10人ずつA、B、Cの3つのグループに分けられた参加者による予選を実施。まずは、各グループの優勝者以外と宇多田さんが1人ずつ対戦となった。抽選順に宇多田さんと対戦し、勝ったグループにはポイントが加算。最も高いポイントを獲得したグループには、宇多田さんが展開中の全国ツアー「UTADA UNITED2006」のコンサートツアーグッズがプレゼントされる。 対戦ルールはスタンダードのアイテムなし、ハンデなし。このルールでは、アイテムによるハプニングは期待できず、純粋なスピードとタイミングの駆け引きとなる。純粋に勝利するだけでなく、6分以上試合が継続した場合は挑戦者(招待選手)側が勝利というオプションルールも追加されていた。同ポイントの場合は、勝利までのタイムが早いグループが優勝となる。 ■ 本気メガネで怒涛のテトリス連発! 対戦の準備が始まると、本気モードの表われか、メガネを装着して宇多田さんは気合十分。だが、慣れた普段の個人所有のDS Liteと違い、大会用の機材だったためか、初回、そして2回目の対戦まではミスを連発して轟沈。ボタンの反応の違いにとまどいを隠せないようだった。だが、3回目の対戦以降、対戦相手のミスも手伝いつつ、その感覚のズレを徐々に修正。「もう負けない!」という言葉どおり、対戦中盤にミスして大穴を開けてしまうことはあっても、テトリスを送り込むスピードは目を見張るものがあった。とくに、怒涛のハードドロップの連発から必ずといっていいほど対戦相手よりも早く積み上げるファーストアタックのテトリスでまず4ライン、さらにBack to Backを連発して計9ラインの灰色ブロックを送り込むその手際は圧巻。 そこからは、相手の攻撃を利用してせりあがった灰色ブロックに一気にBack to Backを決めて一気に勝負を決めるか、ミスして多少膠着状態になっても、思い切りよくテトリミノをぎりぎりまでさばいてテトリスを狙うか、少しずつ穴を埋めてリカバーに回るかの見切りがすばらしかった。立て直しに成功して積み上げられた灰色ブロックの縦穴が開けば、そこからは確実にテトリス棒を連続で突っ込み一気に畳み掛けるそのスピード(当然その間にもほかのテトリミノを隙間なく瞬時に埋めながらだ)には、会場からもどよめきの声が多数上がった。
何度かドロップミスがあったり、対戦相手が相殺を駆使して持ちこたえ、持久戦の様相を呈したことはあったが、気が付けば、招待選手相手にミスが原因といえる3敗を喫した以外、老若男女問わず圧倒的な全24勝という豪快な勝ちっぷりを見せつけた。ほとんどの対戦がほぼ60秒以内に勝敗を決するというスピーディな試合展開に、まさにエンジン全開の宇多田さんは「もっと対戦したい」とコメント。関係者もあっけにとられているようだった。
■ 「3勝先取にしませんか?」と泣きも入りつつ、開発スタッフにも1勝を刻む!
まずは木内氏との対戦。「任天堂の看板を背負ってますので」と気合の入った木内氏は、プレッシャーにも関わらず、宇多田さんに負けず劣らずの素早いハードドロップによる8段分の組上げからのテトリスにBack to Backを重ねていく。宇多田さんも負けずに反撃したが、僅差で木内さんが勝利! ため息の漏れる会場に「この対戦、3勝先取にしませんか?」と宇多田さんの“泣き”の声が響き渡った。一瞬悩んだようだが、「やりましょう!」と木内氏。続いて対戦となった。灰色ブロックが筍のようににょきにょきと伸びあう緊張感あふれる対戦となったが、木内氏が安定感あふれる戦いを貫き、先んじて3勝を手にした。宇多田さんは悔しさをにじませながらも、「今度はWi-Fiで対戦してください」とお願い。さらに「楽しかった!」と一言もらしていた。木内氏は重責を果たした満足感あふれる笑顔を見せていた。 さて、続いては吉原氏との対戦だ。こちらはこちらで記者も思わず瞳孔が開きっぱなしになったかのように対戦に見入ってしまう好勝負となった。1戦目、吉原氏は宇多田さんのミスからの2~3ラインの攻撃をしのぎつつ、T-Spinを連発! さすが開発だけのことはある。テトリスとBack to Backだけでない、まさに「テトリスDS」を産んだ任天堂スタッフならではの妙技を見せつつ、宇多田さんを圧倒した吉原氏は、前評判ではどうやら任天堂最強の刺客だということらしい。しかし、そこから盛り返してきた宇多田さんのスピードによるテトリスの連発に、一進一退の攻防の末、なんと吉原氏は3敗目を喫してしまう。対戦が終わり、「強かったです」とコメントしていた吉原氏だったが、その戦いぶりには間違いなく本イベントで最高の見せ場があった。 ■ グループ優勝者との対決で1敗! しかし連戦の疲れを集中力でカバー!
最初に登場したAグループの優勝者「りつこ」さんは、宇多田さんの攻撃をきちんと相殺し、宇多田さんのミスもあり、徐々にリードを奪って勝利! エキシビションマッチでのギリギリの戦いで多少疲労も出てきたのだろうか? しかしそこはチャンプ宇多田ヒカルである。Bグループの優勝者「ヒロ」さん、そしてCグループの優勝者「かんち」さんを連続で撃破! テトリス数も3人を上回る立ち直りぶりを見せてくれた。結局、「記念写真撮りましょうよ」という宇多田さんの一言で記念写真が撮影されることになり、ツアーグッズはAグループにプレゼントされることになった。 「疲れたー! でも楽しかった。これはもうスポーツですよ」と対戦の合間にコメントしていた宇多田さん。これだけ真剣に戦ってくれて、純粋にプレーヤー同士の対戦が繰り広げられたといえるこのイベント、終わってみれば宇多田さんの圧倒的勝利で見ているものも充実感がいっぱいになった。感覚のズレを修正し、30回以上の対戦を休憩をはさみながらでも連続して衆人監視状態の中で行なう緊張感はかなりのものだっただろう。全勝は果たせなったが、もし次回があるのならば、「アイテムありの4人対戦などいかがでしょう?」なんてことを思いながら会場を後にした記者だった。
□任天堂のホームページ (2006年8月12日) [Reported by 佐伯憲司]
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