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★PS2ゲームレビュー★

10年前の東京を舞台にした武器格闘タイトル
SEGA AGES 2500シリーズ Vol.24
「ラストブロンクス -東京番外地-」

  • ジャンル:3D対戦挌闘
  • 発売元:株式会社セガ
  • 価格:2,625円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(6月29日)



 '96年と言えば、どんな年であっただろうか。本稿を書くにあたり調べたところ、「チョベリバ」や「チョベリグ」といった今では誰の口からも聞けない言葉が流行した年だったようだ。コギャルやチーマーと呼ばれる若者が東京に溢れ、パンツを腰の位置で履く「腰履き」といったファッションが流行った頃だろう。

 さて、本作ではそんな時代にアーケードに颯爽と登場した3D対戦格闘ゲーム「ラストブロンクス -東京番外地-(以下、ラスブロ)」を紹介する。過去の名作やアーケードタイトルを現代に低価格でリリースする「SEGA AGES 2500シリーズ」の24作目だ。当時のSEGA開発チームAM2研による作品「バーチャファイター2.1」のヒット後期や「ファイティングバイパーズ」のヒットという時代に登場した異色のタイトル。開発は「セガラリー・チャンピオンシップ」、「電脳戦機バーチャロン」といったタイトルを世に送り出したAM3研。

 ラスブロは業務用基板「MODEL2」を採用したタイトルのひとつで、'97年にセガサターン版、'98年にはWindows版もリリースされている。だが、その時代ではモデル2のタイトルを忠実に移植するにはハードウェアスペックは到底足りず、雰囲気が味わえる程度の再現になってしまったのは事実。3回目の移植となる今回は、プレイステーション 2(以下、PS2)での完全移植となる。本稿では、本作の概要から魅力を踏まえ、移植の完成度、さらにおまけ要素について触れていこう。


■ '90年代という時代背景を生かした、SEGAテイスト溢れる喧嘩武器格闘

左が優作、右はトミー。それぞれ三節棍、バトルスティックを駆使して戦う
  冒頭でも本作を“異色のタイトル”としているとおり、本作には個性的な特徴が多い。まずは世界観と舞台だ。本作の時代は'90年代、舞台は東京。某若者の街の代名詞にある交差点や、地下鉄のホーム、埠頭、工事中の資材置き場とおぼしき場所など、現実の世界が再現されている。

 登場するキャラクタは基本が8キャラクタ、隠し要素としてボスキャラクタが1名登場する。いずれのキャラクタも「武器」を所持しているのが最大の特徴となっている。主人公格の一人、優作であれば“三節棍”を、他にもヌンチャク、サイ、トンファー、木刀といった武器を持っており、それぞれの得物を生かした格闘スタイルで戦っていく。武器による威力や動きの違いもさることながら、武器の射程距離にも当然異なりがあり、ただでさえ個性的だったキャラクタの個性をさらに引き立たせている。

 各キャラクタは、他のタイトルのように武術家やレスラーといったプロフェッショナルではなく、特殊ではあるものの一般の範疇にいる存在だ。列挙していくと、

・ライダーチームのリーダー「工藤優作」
・対立する新宿MADのリーダー「稲垣 丈(ジョー)」
・アマゾネス集団のリーダー「豊饒 椰(ナギ)」
・ボーダーの「富家 大(トミー)」
・葛飾ダンプスターズの「財目三郎(ザイモク)」
・サバイバルゲームチームG-TROOPSの「港野洋子(ヨウコ)」
・コギャルの「草波リサ」
・遊び人グループ「六本木野獣会」のリーダー「黒澤 透(クロサワ)」

 上記のようになる。彼らのファッションは特別なものではなく、当時の個性的な部類のものを身に付けている。それでいて、「工藤優作」や「港野洋子」、木刀を得物に持つ「クロサワ」など、ネーミングにはSEGAらしい独特のユニークさが感じられる。個性的ではあるものの一般に近い立ち位置であるキャラクタ、ファッションなどが様々な分野で人気を呼んだタイトルだ。当時のアーケードシーンを思い返してみると、ストイックな格闘ゲーマーがバーチャファイター等に興じる中で、普段はゲームに縁遠いのではないかと思われる人も本作に熱い視線を向けていたのを思い出す。

武器を駆使した攻撃はどれも痛そうな技のオンパレード。ストイックな格闘ではなく、ハードな背景を持つキャラクタ達が、喧嘩テイストのバトルを繰り広げるのが本作の味わいだ


 ゲームシステム的な面でも特徴は多い。最大の特徴は“ほとんどの技がキャンセル可能”という点。それまでの3D格闘タイトルが技を出し合い、技の発生速度やガードした側の硬直時間、距離などのシチュエーションで次に導き出される攻防を読み合っていたのだが、本作においてはそこに“アタックキャンセル”の概念が加わる。これにより、技を出し尽くすのか途中でキャンセルするのか? というシンプルな読み合いが常に発生する。キャンセル直後には、投げ技と中段攻撃の直接的な二択に移ったり、はたまたさらに連続的な技へと繋げていったりという攻防になる。キャンセルの概念が加わったことで、本作の読み合いはシンプルかつスピーディーだ。

 当時の格闘ゲーム全般というか、これは今でも引き継がれているのだが、下段攻撃の便利さの下方修正が挙げられる。しゃがみ状態で繰り出す下パンチといった技は、相手の攻撃を中断させるのに適した技であり、下段攻撃であるがゆえに相手の体力を削る技としても有用だ。むしろ有用すぎたため、上級のプレーヤーであればあるほど、下パンチを多様するようになった時期もある。ガード状態として立ち投げが決まらず、不用意な中段攻撃ならガードや下パンチで有利な状況を作り出せる「しゃがみガード」や中腰の状態が多く見られる。

 そこに本作が採用したのは、立ち投げという概念の撤廃だ。投げ技自体が無いのではなく、相手が立ち状態でもしゃがみ状態でもコマンド技の投げ技ならば投げられるのである。しゃがみ状態の大きなメリットである「立ち投げが入らない」がなくなり、立ち状態での激しい攻防の実現に拍車をかけた。本作では、武器を所持していることもあり、パンチ系統の技が非常に多い。それでいて上段、中段の技が多い。さらに、アタックキャンセルが加わえられており、立ち状態での“格好の良い激しい攻防”を実現させようという試みが感じられる。

アタックキャンセルを交えた攻防が本作最大の魅力。上段は、PPPKのKをキャンセルして投げ技へ、下段は、PPPの3発目のPをキャンセルして、同じく投げ技へと移行している。キャンセルに移行してくるタイミングは見てからの反応ではなく、事前に読み取っておく対処が必要だ


 本作の操作系統は、レバー(方向キー)とガード、パンチ、キックの3ボタン。前述のようにガードボタンによって攻撃技のほぼ全てを途中キャンセルすることができる。また、3つのボタンを同時押しすることで発動する、上段、中段の技、さらに投げ技を回避する前転「潜り込み」が特徴的だ。

 戦いの舞台は四方が柵で囲まれており、後方ジャンプで飛び乗ることもできる。降り方にもボタンとの組み合わせで攻撃しながらの降りもできるなど、本作のなんでもありテイストを高めている。

 細かな点から整理していったが、本作の魅力は“武器を持った普通の人に近いキャラクタ”が、スポーツライクな“格闘”というものではなく、なんでもありの“喧嘩”に近い戦いをすることだろう。中でもそのテイストが色濃いのは木刀を振り回す「クロサワ」だろうか。侍や剣士が剣や刀で斬りあうのはまっとうな話であり、武術家や格闘家がストイックに己の拳で戦うのもまたまっとう。だが、木刀が出てくると、ぐっと任侠チックというか、喧嘩風味が濃くなる。それらが見た目にも痛そうな技を繰り出して、なんでもありにスピーディーに激しく殴り合っていく。

左上から右下へと順に、「潜り込み」で相手の上、中段攻撃をかわして硬直時間を投げている場面。潜り込みはどんな下段攻撃でも潰されてしまい、ダウンする。ここぞという場面で防御の選択肢に入れていきたい
四方を囲む柵を生かしたザイモクの投げ技「ブレーンバスター財目スペシャル」。特定状況下で繰り出すコマンド投げだけに威力は絶大、全体力の7割を超えるダメージを与える



■ 移植度は太鼓判。アタックキャンセルを絡めた再現が難しい印象を受けるコンボまで問題なし

挙動や操作感はアーケード版そのもの。多少、先行入力気味に技を入力していく本作の特徴的な感覚はそのままだ
 ここからは、PS2版の移植の完成度、さらに独自の要素を見ていこう。まずは移植度合いだ。筆者はアーケード版では工藤優作を使用していたため、優作でのプレイを主にテストしてみた。グラフィックの質感はそのものという印象を受ける。当然業務用筐体のモニターと家庭のテレビでの違いはあると思うのだが、その違いを感じさせることもなく雰囲気はそのままという感触を得られた。

 戦いの舞台のオブジェクトにも目を向けると、渋谷の交差点を再現した街並み、舞台の周囲にある広告の入った看板など、これも当時のものそのままだ。さすがに10年も前のタイトルなので現代的な新しさやグラフィックの質ではないが、本作においてそれは重要ではないだろう。

 各キャラクタには豪華な声優陣がキャスティングされているのも本作の特徴だが、それももちろんそのままだ。ただし、スピーカーやサウンド出力周りのハード的な違いか、若干クリアさに欠ける印象を覚えた。とは言え当時は他のゲームの音も雑多に混じるアーケード内でのプレイであったため、静かにじっくり聞けた覚えはないのは事実。当時のクオリティにあくまで忠実なのかもしれない。

アーケード版で可能だった当たり判定ギリギリのコンボも忠実に再現できる
 格闘ゲームの移植において肝になる当たり判定を含めた攻防においても、太鼓判を押してよさそうだ。優作であれば各種浮かし技からのコンボの締めに、下、斜め前、前 + パンチで繰り出す「ハイウェイバスター」で三節棍をダイナミックに振り上げて、射程範囲ギリギリの距離でバウンドしている相手キャラクタを拾うように当てるというものがあるのだが、これもしっかりと再現できた。投げが確定する場面や起き上がりに発生する当たり判定や無敵時間などの部分も、ほぼそのままの印象だ。

 CPUの動きにも、筆者は懐かしい印象を受けた。上段攻撃のコンボや技がかわされている状況下で確実に投げを決めてくるその動きは、やはりそのままだ。筆者も長らく忘れていた本作のプレイ感覚を自然に思い出せた。本作の特徴であるキャンセルの感触も同様。キャンセルはどんなタイミングでも可能なわけではなく、一定以上技が発生していった段階では止められない。どの技にもキャンセル可能な範囲があるのだが、その範囲もアーケード版の感触そのままと言っていいだろう。

 モードには、アーケード版に忠実なプレイができる「ARCADE MODE」、2人対戦を連続して行なう「VS MODE」、対戦相手が変わっても体力が回復しない中で勝利数を競う「SURVIVAL MODE」、クリアまでのトータル時間を競う「TIMEATTACK MODE」、さらに保存したリプレイを閲覧する「REPLAY MODE」が搭載されている。リプレイの閲覧では、カメラアングルの変更やズーム、スロー再生なども可能で、なかなかに凝った印象だ。また、8試合のサンプルリプレイが収録されており、どれもなかなか見ごたえのある内容になっている。キャンセルを見せてからの投げや、潜り込みを有用に使った試合が展開され、キャラごとのコンボも盛り込まれている。

ガードボタン連打、もしくは下、斜め前、前+スタートボタンで挑発を出せるのもアーケード版同様。わずかな当たり判定とダメージを持っているのも忠実だ
 サンプルリプレイのジョー vs 優作の試合では、ジョーの高度なコンボが見られた。筆者もそれに習って練習。コンボはジョーのもので、後ろ・前+P、KのKをキャンセルし、浮いた相手キャラクタに前Pで肘を当てる、さらに斜め前斜め前+PPを最大で4回当てていくというもの。本作最大の特徴であるアタックキャンセルを生かしたコンボは数多く、かなり微妙な判定を綱渡りするようなコンボもある。それらをアーケード版に忠実に再現するのは大変な苦労があったのではないかと思えるのだが、こうしたコンボも一通り再現できた。全てを確認したわけではないが、移植度の高さは誰しも満足できるレベルのはずだ。

 システムメニューの充実をみていこう。嬉しいのはゲームスピードの項目。これはゲームのフレーム数を60fpsと57.5fpsに切り替えられるというもの。60fpsでは、アーケード版より若干早い入力タイミングが求められるもののスムーズな描画がされる。また、57.5fpsではアーケード版に完全に忠実な入力の代わりに定期的に2フレームが1コマで表示されることがあるようだ。実際に両方を切り替えてプレイしてみたが、正直なところ大きな体感の違いはなく、微細なものだと感じた。SEGA AGESシリーズの格闘移植タイトルでは恒例になりつつあるフレームの切り替えではあるが、細かな配慮を感じられる存在自体が嬉しい項目である。

 ディスプレイの項目では、画面位置を調整するアドジャスト以外に、スクリーンタイプをアーケード版と同じドット数である496x384、アーケード版と同じ縦横比になる512x396、画面全体にゲーム画面を表示する512x448の3タイプから選択できる。また、プログレッシブ表示に対応するテレビ向けに480iと480pを切り替えることも可能となっている。

こちらはシステムメニュー内にあるアーカイブのギャラリーから。各キャラクタの3Dモデルをはじめ、コスチュームの準備稿や業者向けチラシなど、当時の資料まで100点以上が収録されている



■ 白熱した喧嘩バトルが一気にコミカルに!? 顔デカや武器デカなどユニークな隠し要素を多数収録

ボスキャラクタ「レッドアイ」もアーケード版と同じコマンドで使用可能。「弱すぎる」と叫び暴れる狂気の姿は健在だ
 最後は本作の隠し要素について紹介する。それぞれが武器を持って戦う本作において、最もポピュラーだった隠し要素は「アナザー武器」の存在だろう。例えば、優作であれば三節棍を持っているわけだが、アナザー武器にすると、新幹線のおもちゃに変わってしまう。また、ハンマーを持つザイモクであれば冷凍マグロに、木刀を持つクロサワはハリセンになってしまう。ゲーム画面が一気にコミカルになってしまう隠し要素だ。これはキャラクタ選択時にスタートボタンを13回押すことで武器を変更できる。

 また、アーケード版の最後に登場するボス「レッドアイ」はキャラクタ選択画面でコマンドを入力することで、使用可能だった。この点もPS2版も同じく引き継いでおり、キャラクタ選択画面で「右右左左上下上下上下」と入力することで出現する。

 公式サイトでも公開されているが、オプションにも隠し項目が存在する。システムメニュー内にある「CREDITS」にカーソルを合わせて右を入れ続けると、「EXTRA SETTING」という項目が追加される。ここでは、キャラクタの顔が大きくなってしまう「顔デカモード」、同様に武器が大きくなってしまう「武器デカモード」、体力ゲージが減らなくなる「無敵モード」、体力が2倍になる「タフモード」、浮かし系の攻撃の浮きが跳ね上がる「ホームランモード」、最後に隠しボスの「グレイ」、「メタル」を使えるようになる「グレイモード」の切り替えが可能となっている。

 顔デカモードは顔だけが巨大になり、どのキャラも3頭身ほどになってしまう。喧嘩テイストの本作が、ガチンコの殴りあいから、子供のじゃれ合いのように様変わりするユニークなモードだ。また、武器デカモードも同様だが、アナザー武器にも巨大化現象は適用される。ザイモクなどは手に持つ冷凍マグロが身の丈ほどに大きくなる。ナギの持つ武器「サイ」を巨大化させると、まるで長剣のように変わってしまう。

 体力が減らなくなる無敵モードは、コンボの練習などに最適。トレーニングモードがないことが残念ではあるのだが、試合時間を無限にし、この無敵モードをONの状態で「VS MODE」でプレイすれば、簡易ではあるが、好きなだけコンボの練習が可能になる。タフモードは単純に体力が倍増するモードだが、本作はダメージの減り幅が大きいタイトルだ。一連のコンボや、コマンド投げでは体力の半分が1チャンスで減っていく。それだけにより多くの読み合いや攻防が楽しめるタフモードはプレイに変化をもたらす面白いモードだといえる。

 グレイモードをONにすることで使用可能になる隠しボス「グレイ」と「メタル」は、キャラクタの外見がそれぞれ変化するものだ。キャラクタの技など性能面においては変化はない。グレイは粘土細工のような灰色のキャラクタになり、メタルははっきりとした鏡面反射処理が施される。アーケード版にも登場した隠しボスなのだが、当時の処理能力では、彼らは専用のステージでしか登場させられなかったという。PS2版では全てのステージで使用可能だ。

アナザー武器で戦う各キャラクタ。唸る冷凍マグロ、怪しく光るフォークとスプーン、モップを振りかざし、新幹線で攻め立てて、お玉とフライ返しでフィニッシュだ。ハードな雰囲気の本作が一気にコミカルになるアーケード版でも有名だった裏技だ
さらにコミカル度合いがアップする「顔デカモード」。キャラクタの顔が文字通り巨大になる。下段は顔デカモードに「武器デカモード」を追加。アナザー武器までも巨大になり、もはや原型を留めないほどだ。右下は武器デカモードだけのもの。これだけでもぐっと雰囲気が変わる
隠しボスの「クレイ」と「メタル」もEXTRA SETTINGの設定により使用可能に。キャラクタ選択画面でキャラクタ枠の外側に向けてクレイなら4回、メタルなら8回入力することで選択できる


 筆者にとって高評価なのが、「真アーケードモード」という裏技の存在だ。これは通常のARCADE MODEよりもさらに、当時のアーケード版に雰囲気を近くできるモード。アドバタイズ中にL2ボタン+R2ボタンを押しながらL1ボタン+R1ボタンを押すことで切り替わる。切り替わった直後には、業務用基板の電源ON時に見られる表示から始まり、セガのロゴの表示が変化。他のタイトルにはあまり見られない「このゲームはフィクションです」という、現代の街並みを再現した本作ならではの警告文が流れ、プレイの開始方式もコイン投入式になる。アーケードタイトルの移植作としては、メニュー周りを含めてここまでやってこその完全移植と言えるだろう。こだわりの隠し要素である。

真アーケードモードより。'96年当時の現実世界をモチーフにしているからこそのフィクション警告が印象的だった。大きなギミックではないが、こういったこだわりは嬉しい



■ 10年を経てついに家庭用機に完全移植。爽快感とスピーディーな読み合いを気軽に楽しみたい

優作の勝利ボイス「行くぜ、レッドゾーン!」の意味は10年経ってもわからないが、これぞ「ラストブロンクス」。深くは考えずにスカッと遊びたい一本だ
 アーケード、コンシューマーを問わず、SEGAの名作を低価格でリリースするSEGA AGESシリーズもいよいよ27作目。ちょうど10年前にリリースされた本作の登場を待っていたファンの方は多いだろう。気になる移植度に関しては、本稿でも紹介していった通り、過去の移植からも飛躍的に高くなっていると言える。楽しみ方にもう一段のボリュームが欲しい印象は変わらずあるのだが、価格を考えればやはりそれは贅沢な要望かな、とも感じる。それよりも、この完成度と移植度の高さを真っ先に評価していきたい。

 当時の印象で強く残っているものでは、キャンセルを駆使して連続的にかなりスピーディーに技を繰り出す女性キャラの強さと存在があるのだが、その激しさ、爽快感はアーケード版と変わらず感じられた。もちろん、キャンセルの繋ぎ目を読みきって、技を割り込ませ大ダメージを狙う男性キャラのストイックさも同じように楽しめる。武器を使ったアクションはどれも見た目に派手で、いかにも痛そう。格闘ゲームの醍醐味である“爽快感”、“読み合いの面白さ”が骨太に、かつわかりやすく含まれている本作だ。

 隠し要素においても、アーケード版では不可能だったというグレイ&メタルの自由な使用が可能になっていたりと、移植の幅を超えた部分も見られ、嬉しい要素が多い。なにより、家庭用機での完全移植を待ち望んでいたファンには、随一の選択肢だろう。

(C) SEGA Corporation,1996, 2006

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□SEGA AGES 2500シリーズ 公式サイト
http://ages.sega.jp/

(2006年7月27日)

[Reported by 山村智美]



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