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★オンラインゲームレビュー★

降り注ぐ“音塊”を鳴らして音楽を楽しむ
気軽にじっくり楽しめるオンラインミュージックゲーム

「O2 Jam」



 ほんの少し前までオンラインゲームと言えば、MMORPGばかりだった。今でもメインストリームであることには変わりないが、最近ではカジュアルオンラインゲームがひとつのトレンドとして多くのユーザーに楽しまれるようになった。より手軽に、よりシンプルな楽しさを。その流れは少しずつ、そして確実に日本にも訪れつつある。

 日本のゲームシーンを振り返ると、RPGがコンシューマーゲームにおいて全盛の中、格闘ゲームや音楽ゲームがアーケードシーンにおいて席巻していた時代がある。今回紹介するのはその“音楽ゲーム”、俗に言う“音ゲー”だ。

 本稿で紹介するオンライン音楽ゲーム「O2 Jam」は、韓国O2Mediaが開発したカジュアルオンラインゲームの日本語版である。基本プレイ料金を無料とし、キーボードのみでプレイできる。6月24日は、ファミリーマート限定のパッケージ版も発売され、手に取る機会がグッと広まった。オンラインと音楽ゲームが融合した本作ならではの魅力をお届けしよう。


■ 収録曲は無料で30曲、有料で189曲! シングルルームで練習して対戦ルームで腕を競おう

上から降ってくる音塊を7つのキーでタイミングよく破壊する。最大8人までの対戦プレイも楽しめる
ファミリーマートで限定販売されている「オンラインゲームをはじめよう! ミュージックゲームO2 Jam」。アニメ曲が3曲と100GASHポイント付きで1,200円
 まずは「O2 Jam」の概要、特徴を押さえていこう。まず、本作の演奏は、バックに流れている曲に合わせて上から振ってくる“音塊”をタイミングよく押すという形式だ。使用するキーは7つ。基本設定ではS、D、F、スペース、J、K、Lの7つを使用する。上から降ってきた音塊が下側の判定ラインに乗った瞬間にキーを押すことで得点を獲得する。判定はCool、Good、Bad、Missの4種類だ。

 楽曲はインストール時点で30曲。ロック、テクノ、バラード、ヒップホップ、クラシックなど、他にも多彩なジャンルが用意されている。ボーカル入りの曲などもあり、無料曲とは言えど侮れない出来映えだ。クラシックは原曲のイメージそのままだが、テクノアレンジされていたりと一工夫ある。筆者が楽しんだ無料曲の中では、耳慣れたお馴染みのメロディーなだけあってクラシック曲が遊びやすかった。

 楽曲は、ゲーム内通貨の「JAMマネー」やリアルマネー通貨である「GASH」を介して追加ダウンロードが可能。ちなみに全国のファミリーマートでは、クライアントを収録したスターターパック「オンラインゲームをはじめよう! ミュージックゲームO2 Jam」が限定発売されている。

 このパッケージでは、「もののけ姫」、「残酷な天使のテーゼ」、「青春狂騒曲」のO2 Jamアレンジバージョンが特別収録されている。今のところ、このパッケージでのみ手にはいる楽曲だ。限定販売されているパッケージのため、気になった方は早めに押さえておきたい。

 オンラインの要素としての特徴は、楽曲のダウンロード購入だけではない。他のプレーヤーとのチャットによるコミュニケーションが可能なのはもちろん、同じ曲に最大8人で挑むことも可能だ。合奏というスタイルではなく、個別に同じ曲を演奏する形式になり、スコアによる対戦となる。また、本作では自分のキャラクタである“アバター”が存在するため、アバターを着飾るアイテムを楽曲同様「JAM」や「GASH」で購入可能だ。

スターターパックに収録されている「残酷な天使のテーゼ」、「もののけ姫」、「青春狂想曲」。曲の開始前にはこのように専用のタイトルグラフィックが表示される

チャンネル内のロビー。基本的にはこのようにどこかのロビーから各種メニューにアクセスすることとなる
曲選択画面。選択可能な曲は白く、購入またはダウンロードが必要な曲は青く、対戦時に他プレーヤーが取得した曲は黄色で表示される
 ここからは具体的なプレイ手順を中心に紹介していこう。まず、ゲーム開始時には“ビギナーホール”、“ノーマルホール”、“エキスパートホール”という難易度別になったホールからひとつを選択。各ホールにはさらに20のチャンネルが用意されており、他に入室しているプレーヤーがいるかは黄色いランプの点灯で確認できる。

 チャンネルを選択すると、画面はロビーに切り替わる。ロビー内ではルームを作成。ルームは他のプレーヤーの作成するものも含めて最大6ルームが開かれる。ルーム作成時にはルーム名や、ルーム入室のレベル制限、パスワードロックに加えて、“対戦ルーム”か“シングルルーム”を選ぶことになる。

 ちなみにレベルは、いろんな曲をたくさん弾いていくことで向上していく。プレーヤーの腕前を計る一種の目安になっていて、レベルによって強くなるわけではない。ただし、レベルは3から4、7から8、11から12に上がる際には“ミッション”で技量が試されることになる。ミッションの課題はレベル毎に異なるようだが、3から4以上にレベルアップ可能になるものでは、「レベル4以上の曲をクリアする」というミッションが登場した。

 ルーム作成の話に戻るが、重要なのは前述の“対戦ルーム”と“シングルルーム”という選択だ。読んだ通りの意味合いなのだが、対戦ルームを作成した場合は、他のプレーヤーがルームに入室して、同じ曲を弾いてスコアを競う形式になる。シングルルームはソロプレイだ。ゲームを始めたばかりの頃や、難しい曲を自分のペースで練習したい時にはシングルを選ぶのがよい。

 プレイルーム内では、楽曲の選択、プレイ中の演奏ステージを選択する。楽曲は上から降ってくる“音塊”の量をeasy、normal、hardの難易度を設定可能。課金購入する曲も含めてレベル1~50までの曲があり、スターターパックの特典3曲を含めて189曲もの楽曲が楽しめる。また、各曲は速さを10段階に変更可能だ。速い曲は0.5倍速などにして練習することもできる。

レベルが4に上がる手前でミッションが発生。ミッションは対戦ルームでの達成が条件になる。筆者の場合、3倍速のプレイを楽しんでいる上級者のルームに参加してギリギリに完了できた


■ 音塊を破壊してレベルアップ! スターターパックの特典曲の出来映えをチェック

演奏中は音塊の破壊や、コンボの成功時にエフェクトが発生する
演奏途中でLifeゲージが尽きてしまうと、画面のように「オーム」の姿に変わってしまう。シングルプレイ時にはその時点で演奏終了、対戦時には演奏終了を待つことになる
 演奏画面に入ると、画面左側に音塊が降ってくるエリアがあり、右には自分のアバターや演奏フィールド、曲の情報が表示されるミュージックデータや演奏を途中で止めるEXITボタンが設けられている。

 冒頭でも書いたように、演奏は曲に合わせて振ってくる音塊をリズミカルに押していくものだ。CoolやGoodの判定を連続していくとコンボが繋がり、どんどんと得点が加算されていく。Coolが15回続くと薬のアイテムがストックされ、薬ひとつにつき一度だけBadの判定をCool判定にしてくれる。逆にBadやMissが続くとLIFEゲージが減少していき、最終的に曲の途中で演奏が終了してしまうこともある。無事に演奏を完了できれば、アバターへの経験値や通貨の「JAM」が獲得できる。

 使用するキーの反応は良好だ。ミュージックゲームとしてしっかりと遊べるクオリティを持っている。ただ、やはりタイピング用のキーボードで音楽を楽しむというのは最初は慣れないところもある。使う指は、親指、人差し指、中指、薬指になるのだが、両手の親指をかけることになるスペースキーは、どちらの指で押すのが指運びとしてスムーズか、などを迷ってしまうところがあった。筆者はあくまでデフォルト設定でプレイしたが、キー設定はオプションで変更可能なので、鍵盤楽器に慣れている人やキータイピングに慣れている人なら、親指ではなく小指を使う横並びの設定に変更してしまったほうが演奏しやすいかもしれない。

 本稿に向けたプレイでは、スターターパックを使用しているため特典のアニメ曲3曲も楽しんでみた。いずれも「O2 Jam」独自のアレンジが施されているのだが、原曲の雰囲気は残っていて聞きなれた人には遊びやすい。アニメ曲だけにボーカルが重要だが、アレンジの中にしっかりとボーカルも流れていく。

 「もののけ姫」は、もともとしっとりとした伸びやかなボーカル曲ではあるが、O2 Jamアレンジでは、スピーディーなテクノアレンジがされていた。アレンジのギャップには驚いたが、これはこれでまったく違う雰囲気の楽しさがあった。「残酷な天使のテーゼ」は、拍を取る手拍子のリズムパートや、裏を打つシンセサイザーの音が出る音塊が降り注ぐ。サビの部分ではメインメロディーのコーラスに移行していた。こちらもテクノアレンジされたアップテンポな曲になっている。「青春狂想曲」は、テクノアレンジされた2曲とは異なり、ダンスミュージックにアレンジされていた。

 筆者はまだそれほど上達していないため、Easyの難易度で楽しんだ。Easyではキーの同時押しはあまり出現せず、単音の連続が多少続くところが難しいぐらいで、むしろすぐに物足りなくなってきた。ただ、これをNormalにしてみると、2キーの同時押しはもちろん、3キーの同時押しも登場してかなり難易度は上がる。Easyではパーフェクトに近い演奏ができても、Normalでは完走できないといった具合いである。

 気軽に楽しめる中にも、何度も練習して演奏可能になる楽曲がしっかりと存在する。音ゲーファンでも初心者でも楽しめる、間口の広さが嬉しいところだ。もちろんNormalの先にはExpertがあるため、かなりのやりこみプレイも可能だろう。本作はプレイ料金が無料のため、心ゆくまで練習できる。

 少し気になるのは、標準のサウンド設定では、プレーヤーが出している音が弱いように感じたところ。サウンド設定で、音量のバランスを調整したほうが、より演奏している感触が強まってミュージックゲームならではの楽しさが向上する。また、オリジナル楽曲のボーカルには、日本語以外の言語が使われているものがある。この点は最初は気になるポイントであるものの、アジアンテイストな楽曲として、ある種独特の味わいが楽しめる。

 なお、対戦プレイは、“対戦ルーム”に入ることで可能になる。試しに対戦ルームを作成してみたところ、すぐに次々と他のプレーヤーが入室してきた。気軽に対戦を楽しむ雰囲気ができているようだ。チャットでのコミュニケーションも円滑に行なえる。

 対戦時には、楽曲のセレクトをランダムにして、次々と間を置かずに演奏していく。合奏形式ではなく、あくまで個別に曲に挑んでスコアを競う形式のため、セッションのような一体感は得られないのが残念ではある。面白いのは、演奏中にもチャットが可能なところだ。途中でLifeゲージが尽きてしまったプレーヤーは、まだ演奏しているプレーヤーに応援の声を送ったりといったことができる。

曲のジャンルは「バラード」、「ロック」、「ダンス」、「テクノ」、「ヒップホップ」、「ソウル/R&B」、「ジャズ」、「Funk」、「クラシック」、「トラディショナル」、さらに「エトセトラ」と多彩。無料の初期収録曲だけでもかなり遊べる印象だ


■ 「GASH」を使った楽曲やアバター用アイテム購入をチェック

有料の楽曲セットを購入できる「ミュージックストア」。ここで楽曲セットを購入した後に、ゲーム内でデータをダウンロードする
 最後に、現金を介して購入する仮想通貨「GASH」を使った楽曲購入や、アバター用アイテムの購入についても紹介しておこう。「O2 Jam」で魅力的なのは、なんといっても楽曲購入だろう。楽曲の追加は、公式サイトにある「ミュージックストア」から行なえる。

 購入楽曲は、1曲ごとではなく複数の曲がセットになったものになる。最も多いのは3~10曲を収録して200~600GASHのセットで、現在のところ28セットが販売されている。最も高額なセットである「Symphony」は、3,500GASHと他と比べてもかなり高価だが、51曲もの曲が収録されている。相場は1曲あたりに換算すると100円前後の値段となる。かなり良心的だ。

 筆者は「Classic」と「Malay+」のセットを購入。割引のキャンペーン中だったこともあり、900GASHで購入できた。追加された曲数は「Classic」が10曲、「Malay+」は4曲だ。Classicは筆者も耳慣れた曲があるため、「Malay+」は本作最高難易度であるレベル50の曲「Gaussian Blur」が含まれているのが購入理由だ。もちろん筆者の腕前では弾ける理由がないのだが、怖いものみたさというものだ。購入前には10秒程度のイントロではあるが視聴も可能になっている。

 ミュージックストアで購入した後、ゲームクライアントを起動してメニューの「ダウンロードセンター」へ。ここで購入した曲のデータがダウンロードできる。ダウンロード後は初期収録曲と同じように演奏することが可能になる。気を付けたいのは対戦プレイ時には、お互いが曲を所持している必要があるということ。入室しているプレーヤーの中に曲を所有していない人がいる場合には、曲選択時に黄色く表示される。購入楽曲で対戦を楽しみたい場合にはルーム名などにプレイする曲を記述しておくのがよいだろう。

楽曲セットを購入。筆者が試しに購入したのは「Classic」と「Malay+」というセットだ。画面中央は、無料で購入ができる「Chu!☆Lips」のThe theme of Chup's gang(チュップスギャング団のテーマ)だ

 続いてアバターを着飾るアイテムを購入するべくアイテムショップへ。こちらはゲーム内で購入可能だ。購入のきっかけになったのは、対戦プレイで出会ったあるプレーヤーの姿。高レベルなアバターをアイテムで着飾っているその姿を見て、筆者も課金アイテムに手を出してみたくなったというわけだ。

 アイテムショップは「スペシャルショップ」、「ファッションショップ」、「アクセサリショップ」、「ビューティショップ」、「楽器ショップ」というジャンルに別れており、その中でさらに分類されている。販売されているアイテムは上下別の服装や髪型といったものから、フェイスタイプや本作ならではの楽器といったものまで豊富。GASHで購入するもの以外にも少数ではあるが、JAMマネーで購入できるものも用意されている。

 また、スキルアイテムというものも販売されている。これは、楽曲演奏前にスキルを適用させると様々な変化が楽曲に起こるというものだ。筆者は「ランダム指輪」という50回使用可能のアイテムを購入。さっそく演奏前に適用させてみると、音塊の配置は同じなものの押すキーが変化していた。弾き慣れた曲でも気分を変えて楽しめるというスキルのようだ。

 スキルアイテムに対して多少気になるのは、スキルの効果がある程度まで想像がつくようなアイテム名や説明がついてはいるものの、不足を感じる点だろうか。リアルマネーで購入するものが大半を占めるだけに、もう少しはっきりと効果を記述してもよいのでは? と感じた。

アバター用のアイテムを販売する「アイテムショップ」。アバターのそばで動き回るペットや、フェイスタイプなど、様々なアイテムが販売されている

「マイルーム」で手に入れたアイテムを装着。画面中央、右は、購入したスキルアイテム「ランダム指輪」を使用して演奏しているところ。音塊のキー配置が変化する


■ ミュージックゲームの魅力をしっかりと持ちつつ、気軽なプレイ料金無料が嬉しいタイトル

シングルプレイで腕前を磨くも気軽に楽しむも、対戦プレイでワイワイと楽しむもよい。プレイ料金無料のため、すでにメインでプレイしているオンラインタイトルがあるユーザーにもオススメだ
 本作はオンラインによる楽曲配信や他プレーヤーとの対戦プレイやコミュニケーションを実現しており、オンラインミュージックゲームという新ジャンルの先駆けとしても十二分に楽しむことができる。気を付けないといけないのは、キーボードの同時打鍵数だ。本作では最大で7つのキーを同時に押すシーンがある。だが、ノートPCなど一部のキーボードを除いて同時打鍵数は4つか5つの物が多い。これは公式サイトでサポートするものが紹介されているので、プレイして問題を感じたらそちらを参照するといいだろう。

 それにしても基本プレイ料金無料のタイトルをプレイすると常に感じることではあるが、これだけのゲームが無料で楽しめることに驚きと嬉しさを感じる。本作は、Windowモードでのプレイがサポートされていなかったり、メニュー画面の操作時に少々の引っかかりを感じたりと、まだまだ改善の余地を感じる点もあるものの、ミュージックゲーム本来の魅力は骨太で、“音を楽しむ”プレイができる。

 欲を言えば、オンラインの要素を生かした「セッションプレイ」のようなものも楽しんでみたい。複数のプレーヤーが個別のパートを担当してひとつの曲を弾くというような形式だ。そうした要素が実現できれば本作の魅力はさらに大きく強まることだろう。筆者の場合、MMORPGを主にプレイしているため、息抜き的に本作を楽しむことも多いが、ミュージックゲームファンであればどっぷりと楽しむこともできる。もうひとつ別の味わいのゲームをという人にも、音楽好きの人にもオススメできるオンラインゲームだ。

(C) 2006 Gamania Digital Entertainment Co., Ltd. All Rights Reserved.
Copyright(C) 2001-2006 O2 Media Inc. All Rights Reserved.


【O2 Jam】
  • CPU:Pentium III 1GHz以上(Pentium 4 1.6GHz以上を推奨)
  • メモリ:256MB以上
  • HDD:1GB以上(5GB以上を推奨)
  • ビデオメモリ:16MB以上(64MB以上を推奨)


□「O2 Jam」の公式ページ
https://o2jam.gamania.co.jp/
□関連情報
【6月16日】ガマニア、WIN「O2 Jam」、「もののけ姫」などを収録した
ファミリーマート専売パッケージを発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060616/o2jam.htm

(2006年7月26日)

[Reported by 山村智美]



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