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会場:ディファ有明
「ムシキング・テリー復活記念杯」は、負傷欠場中だったムシキングオールスターズの一員「ムシキング・テリー」が、7月16日に開催されたプロレスリング・ノア日本武道館大会で見事復帰を果たしたことを記念して行なわれたもの。ムシキング・テリーは、当日16時から同会場で開催されるプロレスリング・セム第4回大会にも出場した。 「ムシキング・テリー復活記念杯」は、トーナメント方式のゲーム大会のほか、DS「甲虫王者ムシキング ~グレイテストチャンピオンへの道2~」体験プレイ、道場見学とセム第4回大会の観戦と、ファン垂涎のイベントがてんこ盛り。しかも、ゲーム大会優勝者(10人)は、テリーと一緒に入場できるというプレミアム特典までついてくる。記者は開場30分前にディファ有明に到着したのだが、入口手前の駐車スペースには「(イベント開始が)待ちきれない!」といわんばかりの親子連れの姿がチラホラ。これだけの大会となると、やはり気合の入り具合も違うのだろうか。
エントランス奥の通路には、ゲーム大会の待ち時間や合い間に楽しんでもらうべく、出場選手のフィギュアやムシキンググッズの物販スペース、「甲虫王者ムシキング ~ポポの冒険編~」ゲーム筐体5台、DS「甲虫王者ムシキング ~グレイテストチャンピオンへの道2~」体験プレイ用のDS数台が設置されていた。いずれも好評のようで、子供たちはお目当てのゲームにわっと群がり「おー、これすげー!!」などと目を輝かせながら楽しんでいた。
ゲーム大会の開始に先立ち、ファンおまちかねのムシキング・テリーが、客席からの「テリー!」コールとともに舞台の袖から登場。その手には、回復を祈る全国の子供たちから贈られた“ムシキング・テリー復帰祈願のつる”の束。ジョニーの「ふたりで各地を回ったときもあったけど、久しぶりですね」の問いかけに、テリーは「みんな元気そうで良かったね。みんなからのたくさんの千羽鶴や折り紙で、こんなにも元気になることができたよ。今日は正々堂々と戦ってくれ!」と、優しさあふれるコメントとともに開会を宣言。 ルールは、8人トーナメント方式の1匹vs1匹。虫の種類に制限はない。トーナメントを勝ち抜いた子にはリングで準決勝を戦う権利が与えられるのだが、だからといって優劣だけを追い求めないのが「ムシキング」ゲーム大会のユニークな点。よくある対戦ゲーム大会のように“最強を決める”ものではなく、あくまでも参加してくれる親子にゲームを楽しんでもらうのが一番の目的。そこに、殺伐とした空気は微塵も感じられない。ただし、子供たちは勝つために一生懸命なので、負けた途端にヘソを曲げてしまう子も皆無ではないのだが……。
準決勝のリングで勝った子供たち10人には、ムシキング・テリーから賞状が手渡された。負けた子たちも直後に悔しい表情は浮かべるのだが、その後はリング下にいるジョニーやムシ王たちをつかまえてサインや記念写真をお願いするなど、それぞれ楽しい時間を過ごしていたようだ。
プロレス団体の道場、ましてや練習中の風景など、関係者やファンクラブのイベントでもなければ、そう滅多に見られるものではない。まさに千載一遇の機会とあり、子供たちはもちろん、熱心なノアファンらしき親御さんの目も爛々と輝いてる。関係者用通路を抜けて道場に足を踏み入れた瞬間は、年齢に関係なくみな一様に嬉しい興奮を押さえられないといった雰囲気が感じられたほどだ。 リングには、ムシキング・テリーと練習生がふたり。挨拶もそこそこに、早速普段のトレーニング風景が再現されていく。全身を使った腕立て伏せ、スクワットなどのメニューを披露する練習生たち。普段は100回単位でこなしているというハードトレーニングの数々。選手には日常でもファンにとっては非日常。子供たちは信じられないといった表情だ。 続いて、ロープワーク、投げ技、打撃など、いくつかのムーブが披露された。「もうちょっとリングに近寄って見てもいいですよ。(リングに)触っても大丈夫ですから」という声に誘われ、リング間近でテリー以下選手たちの動きをじっと見つめる親御さんと子供たち。ボディスラム、アームホイップなどで選手がバンプ(受身)を取るたび、もの凄い衝撃音が道場内に響き渡る。ローリングソバットが炸裂したときには「うわ、痛そう……」と、記者の横にいた子供がポツリ。練習とはいえ、これだけ間近で見れば本当の試合に匹敵するほどの迫力がある。
練習終了後には、道場内全体の見学が許されることとなった。プロレス団体の道場らしく、身体を鍛えるためのさまざまな器具が設置されており「危ないですから器具には手を触れないでください」と関係者から注意の声が飛ぶ。たまたま(?)練習していた、この後セム第4回大会に出場する選手と仲良くコミュニケートしているファンの姿もあり、みんな大満足! といった感じだった。まだ夏休みは始まったばかりだが、はやくも“最高の思い出”がひとつ作れたのではないだろうか。
ノア本体の興行と異なるイメージカラー、チケットはすべて当日席のみで料金は一律3,000円、DVDによるパンフレット配布、500人前後に限定された収容人数、簡素だが嫌味のない演出、選手名を隠しておきテーマ曲で誰だかわからせる入場シーンなど、随所に実験的な試みが行なわれている。 一見するとコスト重視だが、そこは“安かろう悪かろう”ではなく、会場規模や入場料だけでは測れない価値観をリング上でキッチリ提示してみせるのがノアのプロレス。聖書に登場するノアの息子「セム」の名が示すとおり、野球でいえばセムは“ノアの二軍”に等しい存在だが、会場前に作られたファンの長蛇の列が証明するとおり、2006年3月の第1回大会から早くも大躍進の兆しを見せはじめている。 ムシキング・テリーが登場したのは、第5試合(ファイナルマッチ)。対戦相手のムシキング・ジョーカーとセコンドのブラック博士は、ゲーム大会に参加した親子連れが居並ぶ特別観戦席の後方から乱入するという無法っぷり! いきなりのハプニングで、会場内のざわめきがしばらく収まらない。
そんな不穏な空気とブラック博士の「ワーッハッハ!」というおなじみの高笑いは、次の瞬間にすぐかき消されてしまう。なんと、「研究が忙しくて今日は来られない」とビデオメッセージを送ってきたはずの「ネブ博士」が、ステージの袖から元気に登場してきたから驚き。「研究を終わらせて、急いでかけつけてきたんだぁ~!!」と叫んだネブ博士は、ムシキング・テリーとゲーム大会に勝ち残った10人の子供たちをステージに招き入れる。
ブラック博士は、ここで“隠し玉”の「SUWA選手」をリングに呼び寄せる。SUWA選手は、かつて闘龍門に所属していたプロレスラーで現在はフリー。ノアマットでは、勝つためにはどんな手段も辞さない猛烈な暴れっぷりで強烈なインパクトを残すことに成功。ヒール(この場合はルードというべきか)上等というファイトスタイルは、ブラック博士にとってこれ以上ない助っ人といえる。 一方のネブ博士は「こっちにも強力な助っ人がいるんだ!」とマイク合戦で真っ向勝負。その声に呼応して登場したのは、なんと丸藤正道選手。ノアジュニアの第一人者といわれる丸藤選手の登場で、一般観客席も含め会場全体がさらにヒートアップ! 当初シングルかと思われた試合は、ムシキング・テリー&丸藤正道vsムシキング・ジョーカー&SUWAというタッグマッチにはやがわり。ネブ博士とブラック博士は、それぞれのセコンドとしてリングサイドから選手たちに熱い激を飛ばす。
ジュニア界のトップクラスが4人集まれば、それだけでリング上が華やぐというもの。スタンダードなレスリングからルチャ・リブレまで、幅広い技の応酬が繰り広げられていく。子供たちはムシキング・テリーを応援すべく「テリー!」、「がんばってー!!」と声を張り上げ、合い間にジョーカーやSUWA選手が「応援スンナ!」、「うるせえ!!」などとルードらしく客席を煽る。一般客席のプロレスファンたちは、両タッグが惜しげもなく披露する高度な技の数々に終始ご満悦といった表情。一進一退の攻防が繰り広げられるが、最後はジョーカーが仕掛けてきた技をムシキング・テリーが豪快に切り返し、そのままピンフォールを奪うことに成功。プロレスリング・セム第4回大会は、大団円のうちに幕を閉じた。
過去にも何度か例があったプロレスとゲームのコラボレートだが、ムシキング・テリーを一生懸命応援する子供たち、さらには企画を素直に受け入れてくれる前向きなファンの姿勢を見ていると、「ムシキング」、「ノア」、「ファン」、「子供たち」の間には、極めて良好な関係が築かれているように感じられる。両社は、今後もさまざまなコラボレートでファンを刺激してくれることだろう。 (C) SEGA
□セガのホームページ (2006年7月24日) [Reported by 豊臣和孝]
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