★PCゲームレビュー★
進化を続ける「BattleField 2」シリーズ
米本土決戦を描いたブースターパック第2弾
バトルフィールド 2 アーマード・フューリー |
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- ジャンル: アクションシューティング
- 開発/発売元: エレクトロニック・アーツ
- 価格: 1,280円(ダウンロード販売のみ)
- 対応OS: Windows XP
- 発売日: 6月7日(発売中)
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2005年7月に発売された多人数対戦型ミリタリーFPS「バトルフィールド 2」に、新たにブースターパック第2弾として「アーマード・フューリー」が加わった。「バトルフィールド 2」のラインナップでは、2005年11月に拡張パック「スペシャルフォース」が、2006年3月にはブースターパック第1弾として欧州を舞台にした「ユーロ・フォース」がリリースされた。本作は2本目のブースターパックという位置づけだ。
本作「アーマード・フューリー」は、米国本土に中東軍や中国軍の侵攻を許してしまった米軍の自国拠点を奪還する戦いが描かれている。本レビューでは、本作に先立って公開された「バトルフィールド 2」バージョン1.3パッチの内容を踏まえた上で追加内容をお伝えしたい。
■ ますます進化を遂げる「バトルフィールド 2」の世界。バージョン1.3からはCOOPをサポート。車両投下機能などゲーム内の戦略面も充実
「バトルフィールド 2」シリーズの人気の秘密として、拡張パックやブースターパックの登場に合わせて、「バトルフィールド 2」本編にも大型パッチをリリースし、ゲームシステムを定期的に進化させてきたことが挙げられる。最近だと5月末にリリースされたバージョン1.3のパッチが大きなトピックだ。目玉の追加機能はCo-op機能と車両投下機能だ。
Co-op機能はシングルプレイ用の16人マップでネットワーク上のプレーヤーとBOTを交えながらプレイすることができる。ゲームサーバー開始時に、ゲームモードをConquestからCo-opとすることにより、BOTの数、両軍へのBOTのバランス、BOTの強さを選択し、ネットワーク上のプレーヤーとともにシングルプレイのミッションをプレイ可能になった。
筆者はすでにたびたびCo-opモードをプレイしているが、たとえば人間3人対BOT40人で、マップはDalian Plant、BOTの強さは50、リスポーンタイムは1秒の設定だと、五分五分のいい勝負になる。BOT1体はそれほど強くないが、大挙して迫ってくるので1回のミスですぐに自陣の旗が取られてしまう。
BOTは、基本的に一定のラインを通って直線的に攻めてくるだけなので、うまく待ち伏せることで簡単に撃破できる。ただ、数の力がもの凄いので、劣勢を切り抜ける練習や、ヘリコプターなど乗り物に乗っての立ち回りを練習するのには最適なモードである。友人達と弱めに設定したBOTをなぎ倒して回るというのも意外と楽しい。
次に戦略面に影響するものとして、ゲーム内のコマンダーの命令に、車両投下が追加された。それに伴い、ユーザーの通信インターフェイスにも「車両投下要請」が追加されている。具体的には、戦略物資の投下と同じ要領で、司令官のメニューからバギーやFAVを投下する。孤立した小隊や拠点から離れたところでキャンプしているプレーヤーがすぐに戦線に復帰する際には非常に重宝する。パラシュートにくくりつけられてゆっくりと投下してくるため、敵の車両の場合は、妨害工作として撃ち落として破壊することもできる。敵の車両が降下してきている場合は、当然付近に敵プレーヤーがいることが考えられるため、戦況を判断する指標にもなりそうだ。
他に、マルチプレイにおける重要な変更点として、プレーヤーが死亡時に小隊に加入することができなくなった。「バトルフィールド 2」では死亡後、一定秒数経過すると再出撃することができる。この際、小隊に加入していると、リスポーン地点を自軍の拠点からではなく小隊長を選択することができる。そのため死亡するたびに有利な位置にいる小隊長のところに入りなおして再出撃したり、小隊長が死んでしまった際には、小隊長自身が一旦その小隊を抜けて入りなおすことによって、代わりに隊長となった生存メンバーの位置から復活するということが普通に行なわれていた。
これにより、敵地のど真ん中であっても、部隊の中の1人でも生き残っていれば、仲間達が延々と復活し続けることができた。本パッチではこうした本来意図しない小隊機能の使われ方に一定の釘をさした形だ。プレーヤーは一旦死んでしまうと、今いる小隊を抜けることはできても復活後でなければ再び加入することができなくなった。このため、交戦地域からやや離れた安全な場所で狙撃兵や対戦車兵で戦況をみながら戦場を監視したり、踏みとどまったりといった隊長の判断や立ち回りがより重要になった形だ。
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Co-opモードではシングルモードを他のプレーヤーとともに遊ぶことができる。数は少ないがオープンにCo-opモードでサイクルしているサーバーも存在する。実際に参加すると表示されているプレーヤー数+BOTが何10人という場合が多かった
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ヘリコプターやバギーを乗り回すのにもコツが必要だ。マルチプレイでの練習用としても最適なモードだ。1人でもサーバーを開始できるので、もはやシングルプレイモードは不要になった
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■ 新たに3マップが追加。舞台はついにアメリカ本土へ
「アーマード・フューリー」では、3枚の新マップが追加される。いずれも米国本土の米軍による奪還戦を舞台にしているところが特徴である。それではさっそく各マップの概要を紹介していこう。
【Midnight Sun】
「真夜中の太陽」と題されたこのマップは、アラスカのバルディーズ港と港に通じるパイプラインを占領した中国軍と、その奪還を試みる米国軍の戦いを描いたマップだ。照りつける太陽が印象的な戦場である。
もともと横長のマップを、さらに横方向に川が流れ、南北が分断されているこのマップでは、航空機と戦車を使った前線の押し上げがポイントになる。川にかかる中央の橋を抑えていることが重要になってくる。山あり谷ありの高低差が目立つマップであることと、山側の拠点には比較的障害物が多いので、どちらかというと地雷やC4といったトリッキーなゲリラ作戦が功を奏する。戦車が活躍する平地部分がマップ片側に偏っているので、兵站の要所である橋脚の確保は是非ともしたいところだ。
【Operation Road Rage】
「ロードレージ作戦」と銘打たれたこのマップでは、中東軍と米軍の装甲部隊が、東海岸に位置するハイウェイのジャンクションを奪い合うマップだ。炎天下の下、オブジェクトには、新登場の巨大トレーラーが何台も登場し、いかにもアメリカらしい雰囲気が再現されている。
平地が広がるマップで、幹線道路沿いが交戦地域となるため、爆撃機を投入しやすい。視界が開けている上に、一本しかない道路を走ってくるのでうかうかしているとすぐに爆撃機の餌食だ。逆に一本道ということで移動速度も上がるため、制空権を確保した上でうまく活用することで、素早い展開が可能になる。
【Operation Harvest】
「収穫作戦」というこのマップは、戦車戦好きに是非ともプレイしてもらいたいマップだ。中東軍が占領したワシントンDCを奪還すべく、米軍の装甲師団が集結。迎え撃つ中東軍の第二機甲師団とペンシルバニア州ののどかな農村で真っ向からぶつかるというシナリオだ。
農作物の収穫期にさしかかった農村で、ゆるやかな丘陵に広がる畑に装甲車が集結し、横一線で敵の拠点に戦車砲を打ち込むといった様子は非常に面白い。装甲車対装甲車の戦いの面白さはここにあったんだと思わせるマップだ。航空機は地上兵器で落とすことができるので、適切に対空兵器を展開させた上で装甲戦を存分に楽しもう。
3つのマップを通して言えるのは、3マップとも装甲戦がメインになっていることだ。車両投下機能と合わせてマップに存在する乗り物の乗員可能人数が大幅に上昇したため、乗り物が見あたらずに仕方なく徒歩で移動ということも少なくなった。これに伴い、必然的に乗り物を修理できる工兵と、乗り物破壊に特化した対戦車兵を選択するプレーヤーの割合が多くなっている。
■ 航空機中心の追加兵器。偵察ヘリコプターで敵兵をあぶりだせ
今回新しく追加された兵器でもっとも面白い兵器が偵察ヘリコプターだ。各陣営1つずつ計3種類の偵察ヘリコプターが追加された。このヘリコプターはいずれも3人乗りで、兵装のパイロットの正面の照準に対するバルカン攻撃のみ。2番席3番席は座席から自身の持っている兵装で攻撃することができるという偵察ヘリだ。
この偵察ヘリは、プレーヤーが乗り込んだ瞬間からUAVと同じ偵察効果を発揮させることができる。画面右上のマップ表示では機体を中心にレーダーが回転し、敵がいると赤い点が表示され、自軍全体でその情報が共有される。敵拠点に攻め込む際は、上空から偵察しながら下にいる装甲車や歩兵が監視するといった行動が可能になる。戦場が点在しているとUAVだけでは偵察が追いつかないシーンがしばしばあるので、是非とも活用したいところだ。
操作性は非常に軽快で、戦闘ヘリや輸送ヘリに比べて小回りがきく。装甲車に対してはバルカン砲ではダメージが入らないため、もっぱら拠点付近での偵察と歩兵の掃討が主な仕事になる。一方空中戦では、その機動性の高さから戦闘ヘリと偵察ヘリとで交戦するとかなりの割合で偵察ヘリが勝てるということがわかった。特に1人乗り同士の戦闘の場合は、戦闘ヘリは簡単に背後を取られてしまい、攻撃するにしても正面でミサイルを撃たなければいけないため簡単に落とされてしまう。
【米軍 MD530】 |
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リトルバードの愛称で長らく米軍で使用されている機体。本作でも小回りの効いた動きで敵を翻弄する
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【中東軍 EC635】 |
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中東軍だが、ユーロコプター製の汎用ヘリコプター。両サイドにエンジニアを乗せれば凶悪なガンシップに豹変する
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【中国軍 WZ11】 |
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3種いずれも抜群の運動性能を誇り、対歩兵に対してはめっぽう強い。偵察能力と合わせて活用しよう
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新登場のヘリ同士による空中戦はアツい。それほど耐久力は高くないので、エンジニアがリアルタイムで修理しながら飛ぶことによってかなり撃墜されにくくなる。制空権を確保し、隠れた敵兵をあぶりだそう。
また、航空機に対地攻撃機3機が追加されている。対地攻撃機は、対空ミサイルを持たず、発射速度の遅い重バルカン砲と爆弾4発のみというシンプルな兵装で、大きな機体が特徴。アフターバーナーも搭載せず重厚長大というイメージがふさわしい。機体が大きいため、対空兵器の餌食になりやすく、あまりの遅さから偵察ヘリにすら落とされるということもある。
ここまで書くと「空飛ぶ棺桶」とも言われかねないが、高高度から爆弾で水平爆撃を繰り返す形で乗り物を破壊することは十分可能だ。操縦がうまい人が戦闘機に乗ってしまうと地上からの攻撃がまったく入らず、ひたすらゲーム終了までやりたい放題爆弾を落とされ続けるというシーンがしばしばある。バランス取りに苦労しているだけに、「アーマード・フューリー」では航空機の性能は敢えて抑えた印象がある。
【米軍 A-10】 |
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米軍が誇る対戦車攻撃機。新谷かおる氏の「エリア88」にも登場する名機。しかし、対空兵器にはめっぽう弱い
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【中東軍 Su-39】 |
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旧ソ連の対戦車攻撃機。対戦車攻撃機だけに、複座で対戦車ミサイルが発射できるなどの機能が欲しかったところ。やや攻撃力不足だ
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【中国軍 FANTAN】 |
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中国の機材でとがった鼻が特徴。3機種とも4発の爆弾が攻撃の要で機関砲の制圧力がイマイチ
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【トレーラー】 |
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ボッボーと野太いクラクションが特徴。敵兵を殺傷するにはスピードが遅く、かといって兵装がついているわけでもない。ネタ的要素が強い乗り物である
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「アーマード・フューリー」の総評としては、装甲部隊を戦いの主力に据えたゲームデザインの割には、新しい装甲兵器の登場も無ければ新たなアンロック武器や陣営の参入も無く、やや物足りないというより、マップと追加要素のちぐはぐさに違和感が残るというのが正直なところだ。
ただ、米軍本土での防衛戦/奪還戦という部分は、これまでの「バトルフィールド 2」シリーズにはなかった要素であり、大きなウリになっている。山あいにある寂れた街並みや、トレーラー基地、さらにはのどかな農村地帯にいたるまで、どれも映画の1シーンのような自然なイメージで違和感なく入り込める。とりわけOperation Harvestでの交戦地域を考えたマップデザインは秀逸である。旗取り合戦に、リアリティのある演出が加えられているところを大きく評価したい。
「アーマード・フューリー」は、拡張パックと異なり、インストール後はアプリケーションの切り替えなしで本編のマップサイクルのひとつとしてプレイできるので、ぜひとも大規模機甲師団の戦いを楽しんでみて欲しい。
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歩兵戦よりも攻撃機や装甲車などの乗り物が大活躍する「アーマード・フューリー」。乗り物好きなら試す価値のあるブースターパックだ
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【バトルフィールド 2 アーマード・フューリー】
- CPU:Pentium 4 1.7GHz以上(Pentium 4 2.4以上推奨)
- HDD:4GB以上(5GB以上を推奨)
- メモリ:512MB以上(1GB以上推奨)
- ビデオカード:VRAM128MB以上(256MB以上を推奨)
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□「バトルフィールド 2 アーマード・フューリー」の公式ページ
http://www.japan.ea.com/battlefield/battlefield2/booster/armor/index.html
(2006年7月4日)
[Reported by 三浦尋一]
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