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Mythic Entertainmentは、2001年にリリースしたフル3DのファンタジーMMORPG「Dark Age of Camelot」の成功で、一躍北米のMMORPG業界に名乗りを上げたゲームデベロッパーである。 北米のMMORPG業界の中ではもはや古参に属するメーカーだが、「Ultima Online」の開発元Origin SystemsがElectronic Artsに買収され、「EverQuest」の開発元Verant InteractiveがSony Online Entertainmentされるなか、メジャータイトルを抱えるデベロッパーとしてはほぼ唯一の独立系として、独特の存在感を示していたことで知られる。 ただ、ビジネスとしては「Dark Age of Camelot」のリリース以降は、ヒット作に恵まれず、「Ultima Online」同様に月額課金のみのビジネスモデルに苦しめられてきた。昨年は数年にわたって開発し続けてきたSFMMORPG「Imperator」の突然の開発中止が発表され、現在は、デベロッパーのほうで一端プロジェクトが破棄された「Warhammer Online: Age of Reckoning」の開発を行なっている。 「EA Mythic」では、Mythicの創設者である社長兼CEOのマーク・ジェイコブズ氏がバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーに就任し、同じく創設者であるロブ・デントン氏はバイスプレジデント兼COOに就任する。プレジデントはEAのスタッフが就任する見込みだが、現在の開発環境はそのまま維持される。 EAの全開発スタジオを統括するポール・リー氏は今回の買収について、「MythicをEAに迎え入れることは、EAのオンラインゲーム市場に対する熱意の表われでもあります」とコメントを寄せている。今回の買収劇の一番のトピックは、MythicがEAの傘下に収まることよりむしろ、このEA側のオンラインゲーム戦略の変化である。 かつてEAは「EA.com」ブランドを立ち上げ、巨額の金をつぎ込んでオンラインゲーム事業を推進したが、ことごとく失敗に終わったという経緯がある。損失総額は未発表だが、優に数億ドル規模と言われる。比較的メジャーなタイトルだけ挙げても「Earth & Beyond」、「Motor City Online」、「Ultima Online 2」、「Ultima X: Odyssey」、「The Sims Online」などなど、EAでなければ会社が吹き飛ぶレベルの失敗を続けている。 今回の買収発表はまさにEAのオンラインゲーム事業復活の狼煙であり、ゲームそのものだけでなく、企画、開発、流通などすべてがオンライン化する次世代のゲームビジネスにおいて、大きなプラス材料となりうる。今後のEAのオンラインゲーム事業に期待したいところだ。
□Electronic Artsのホームページ (2006年6月21日) [Reported by 中村聖司]
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