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発売中 価格:5,040円
【かまいたちの夜2 特別編】 価格:5,040円
【かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 (プレイステーション 2)】
価格:6,090円
「街」はセガサターンでリリースされた後、プレイステーションに移植。その後長らく新ハードへの移植されることがなかったが、今回「セガ×チュンプロジェクト」に合わせてPSPでついに遊ぶことができるようになった。PSPの16:9の画像比率に合った画像サイズにリサイズされ、一部擬似サラウンドを使用するなどリマスターサウンドを採用し、当時遊んだ人でも楽しめるよう工夫されている。
今回は、株式会社チュンソフトの代表取締役社長を務め、「街」をはじめとしたサウンドノベルシリーズや「風来のシレン」シリーズなど数多くのヒット作を手がけてきた中村光一氏に当時を振り返ってもらうと共に、この夏の発売が予定されている「かまいたちの夜×3」についても語ってもらった。 ■「街 ~運命の交差点~」の原点
中村光一氏: サウンドノベルシリーズはそれまでに「弟切草」、「かまいたちの夜」と発表してきていたのですが、スーパーファミコン用ソフトとして制作してきました。ちょうど「街」の企画が立ち上がったのはプレイステーションやセガサターンといった当時の次世代機が登場してきた頃で、大容量の媒体 (CD-ROM) を利用した作品の企画をと考えていました。 そのころちょうど長坂秀佳さんから話があったのが「街」だったんです。長坂さんが渋谷の交差点で信号待ちをしていたときに、一緒に信号を待っている人を見て、それぞれの人生が交差するといった話を考えついてご提案いただいたんです。どちらが先かはちょっと忘れてしまいましたが、そういったタイミングでしたね。 -- では当時のセガサターンの魅力は、実写映像や音を潤沢に使える大容量な部分が魅力だったんですね。 中村光一氏: そうですね。 -- それまではスーパーファミコンの性能の限界という点もあったと思うのですが、「かまいたちの夜」でもシルエットを使用して見せないけど、逆にそれが恐怖感を生むといった効果もあったと思うのですが、実写を使った「街」は最初から違った構想や映像表現を考えておられたのでしょうか? 中村光一氏: 登場人物は、とにかく最終的には8人ないしは10人という主人公だったんですけど、そもそもの計画が渋谷のスクランブル交差点での信号待ちをしている人全員……まぁ、100人とかのストーリーをやろうというのが元の話だったので、そういった意味ではシルエットではもう誰が誰かわからなくなってしまうので。いちおうプレイステーション版では挑戦してみましたが、やっぱり無理があったねっていう(笑)。やはり実写の良さというのが逆にわかったかなと思うんですよね。個性を表現するという意味においても、実写でいきたかったなっていうところですね。 -- 「街」に出演されている俳優陣は、かなり豪華なメンツですね。最初から豪華な配役で行こうと決めておられたのですか? 中村光一氏: もちろん、全て著名な俳優陣でやれれば良かったんでしょうけど、やはり皆さんスケジュールを押さえるのがすごく難しくて、各キャラクタとも色々なストーリーに絡んでいるので、どの人とどの人がセットになって一緒にどの場所で撮影するのかといった、香盤表を組み立てるのも当時えらく大変だったんです。ましてや、それで俳優さんのスケジュールを押さえていくというと、それはもう至難のワザで、もちろん著名な方から、当時駆け出しの方まで場合によっては我々スタッフまでもが一緒に出なくちゃいけなくなったり。 -- では、現場で「俳優さんが足らない!」、「じゃ、ちょっと出てください!!」と言ったこともあったんですね。 中村光一氏: そうですね、対応しましたね。だから結構いますよ。うちのスタッフの中に出たっていう(笑)。ワタシも全ての現場に顔を出したわけではないですが。出演したりしました(笑)。 -- でもそういった突発的なトラブルなどで香盤表がうまくいかなかったりしても、ストーリーを変えるわけにはいかないわけですよね? 中村光一氏: だからもう、撮影に入る前に完全にその辺の計画を立ててから、やったんですよね。 -- 撮影にはどれくらいの時間を費やしたのですか? 中村光一氏: 撮影そのものは3班体制で行なって、2カ月かからないくらいだったと思うんですけど。天気によって左右されることもありますしね。 -- 当時の製作現場や撮影などで苦労話などはございますか? 中村光一氏: 七曜会の話で、磔にして渋谷の街中で撮影したというのは、「なんだなんだという感じで」人だかりができて、大騒ぎになったりしたみたいですね。路上で撮影するときには許可を取らなかったときもあったので(笑)。もちろんお店で撮影するときは許可をいただいて撮影しましたけどね。そうした意味では、当時セガの前田さんや入交さんに最初話を通していただいて、東急や西武デパートなど色々な部署にご挨拶に行き許可をいただきましたね。 基本はパパッと撮影してパパッと終えてという感じでしたね(笑)。そのへんがムービーと違って、動画の撮影であれば当時はべーカムの大きなカメラが必要でしたし、大がかりな機材が必要でしたが、その点はスチールでしたので、そこまでたくさん照明たいてといったことはなかったので、多少は楽でしたね。 -- どの俳優さんに出て欲しいといった配役はチュンソフトさんで行なわれたのですか? 中村光一氏: それはシナリオ担当のディレクタがみな集まって、あーだこうだと会議で話しをする中で決めました。それと、撮影全般をお願いした会社のつてでと言ったこともありましたね。 -- 「街」のシステム作りの方はどれくらいかかったのですか? 中村光一氏: 試行錯誤があったので、けっこう時間はかっていますね。たとえば、「TIPシステム」ですとかは製作の後半で追加されたんです。分岐とザッピングのシステムはある程度できた段階で撮影が行なわれたんですが、それだけではできあがってみて、プレーヤー自身が関与する感じが弱く感じられたんです。なので、もう少し参加性と言うんですか、そういった部分を強めるために「TIPシステム」を追加しようかと。それをけっこう途中からやったので、そこからまた時間がかかりましたね。
■ PSPで魅力がよみがえる「街 ~運命の交差点~」
中村光一氏: 事の発端としては、セガとチュンソフトの「セガ×チュンプロジェクト」の始動にあたって、まずはセガとチュンで制作した記念すべきタイトルをPSPで披露しましょうと言うことが一つありました。それと、PSPとサウンドノベルが相性が良さそうだというのがありました。実際に画面に映像を出したとき、液晶もきれいで大きいですし、本当にテレビ画面でプレイしているのと遜色ないように感じましたね。 -- PSPだと渋谷の街で「街」をプレイできますね。 中村光一氏: でも街の風景はずいぶんと変わっていますよね(笑)。ここはもう全然変わっているとか感じるでしょうね。スクランブル交差点とかずいぶん変わってますよね でも考えてみると、10年で日本てずいぶん変わったんだなっていうのが、「街」ひとつとってもよくわかりますよね。画面の中で「東海銀行」とか出てきますが、銀行などもずいぶんと再編されてしまって全然変わってしまいましたし、ISDN電話ボックスでパソコン通信とかいうのも、今じゃ携帯でメールですからね。それとか当時のポケベルですよね。世の中本当に変わってしまって。いまはポケベルと言われても、本当にわからないだろうなぁ。なにポケベルって? なんか新しい特殊なツールって思われるんじゃないかな(笑)。 -- それだけ時代が変化している今でも、「街」という作品を好きだというユーザーはたくさんいますね。そういった時代に通底しているテーマみたいなものは感じておられますか。 中村光一氏: ドラマの中でのアイテムとしてのツールなどが、前述のように古くなっていくことはあっても、内容的には時事的なものではなくて、普遍的なものでやっているつもりではあったので、本質的なところを支持してもらっているんだと思いますね。 「街」の魅力はこのゲームのコンセプトでもある、まったく関係のないような人でも、人々の運命っていうのは連鎖しているんだというのが、日常では感じることが少ないと思うのですが、それを俯瞰で見て人の人生を感じて楽しんでもらえるという所にあると思うんです。 今回のPSP版には、当時いくつか書いたシナリオの中で採用されなかったシナリオのうち2本が収録されているんです。ひとつは撮影隊のサギ山というADの話で、もう一つがパトリック・ダンディという米軍の格好をした詐欺師の話なんですけど。 実はそれ以外にもいっぱい人がいて、それぞれの人の話が、プロットの段階のものであったり半分くらいできていたものですとか、みんな設定としては入っているんです。で、そういった人物も作品中に映り込んでいたりするんです。たとえば七曜会の正志がパチンコ店でライバルになる人の話ですとか、コンビニの店員の話ですとか、小さな女の子の話ですとかね。ちらっと画面に映り込んでいたりお話しで出てきたりしているのですが、そういった感じに複雑に絡み合った人生というのが「街」の魅力なのかなと。 -- PSP版で新しく2つのシナリオが追加されています。お話しではまだほかにもシナリオなどがあると言うことですが、収録されなかった理由は? 中村光一氏: まぁ、まだプロットの段階のものだったり、シナリオもそこまで完成してなかったり、その中でも一番完成品に近かった2作品を特別に収録すると言うことになったんです。
■ そして新作「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」とは!!
中村光一氏: もうかなり進んでいます。「かまいたちの夜×3 (トリプル) 三日月島事件の真相」というタイトルなのですが、お話しとしては、「2」の作品の1年後のお話しで続きのお話しです。シリーズ全体の総括となり、完結編となります。「実は……!!」という感じです。 今回の「かまいたちの夜×3」は、これまでとは趣向を変え、どちらかと言えば「街」っぽい感じで、今までは透という主人公の視点で進められていましたが、複数の主人公の視点で話を進めることができるんです。 もちろんそれらの人が同じ場所に居合わせることもありますし、透でプレイしているときに、「その場にいない人は何をしているのだろうか」というのもあるし、同じ場面で同じように話をしていても、どう思って話していたかとかその言葉の真意は何だったのかとか、そう言ったことを人を変えることでわかったりするんですね。複数の視点でひとつの事件を追いかけて、その一人ずつのロックをはずしていくことで全体を解決に導いていくといったスタイルになっています。 「街」の場合は、それぞれの主人公がまったく異なったドラマを持っていましたが、今回はひとつのドラマに対してのそれぞれの視点の違いというのを描いていくことになります。もちろん、事件解決後のサービスストーリーも用意しています。 -- というと、「街」のシステムも取り入れられているとも言えますね。 中村光一氏: そうですね。「街」のノウハウですとか、そういったのも入っているかと思います。
-- 最後に街のユーザーに一言メッセージをお願いします。 中村光一氏: 昔やった人は、懐かしんでもう一度PSPでやってもらいたいと言うことと、今回新たに追加された2つのシナリオを「そう言うことだったのか」とか考えながら楽しんでいただければと思います。これまでプレイしてなくて、気になってたりした人は、ぜひこの機会にトライして欲しいです。
(C)CHUNSOFT/我孫子武丸/田中啓文/牧野修 (C)2006 CHUNSOFT/我孫子武丸/羽毛田丈史
■ いま蘇るPSP版「街 ~運命の交差点~ 特別篇」 '98にセガサターン版が発売され、今現在も多くのユーザーに支持されている「街 ~運命の交差点~」がパワーアップし、「セガ×チュンソフトプロジェクト」の第一弾ソフトとしてPSPに登場。「街 ~運命の交差点~ 特別篇」は、8人の主人公が東京・渋谷を舞台に繰り広げる8つのストーリーが収録されている。単純に物語を読んで進展させていくだけでなく、一人の主人公から他の主人公にストーリーをザッピングさせ、8つの人生を交差させながら運命を変えていく。 本作はこれまでに発売されてきた、SS版とPS版には収録されなかった秘蔵シナリオ「サギ山編」と「パトリック・ダンディ編」2本の秘蔵シナリオを追加(※秘蔵シナリオはグラフィックとテキストのみの構成され、選択肢、ZAP、TIP等はない)。画像サイズの縦横比も従来の4:3からPSPの画像サイズである16:9に変更し、ムービー部分のリマスターサウンド(疑似サラウンド化)を強化。これにより、プレーヤーをより本作の世界観に引き込むようにと工夫が施されている。さらに、曲を聴くだけで各場面が浮かんで来る「街」。そんな名BGMの数々をサウンドプレーヤーで聴くことが可能となっている。
また、本作と5月25日発売予定のPSP「かまいたちの夜2 特別篇」に同梱されている応募券を、「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」に同梱されている応募ハガキに貼って応募すると、セガ×チュンソフトプロジェクトが放つ新作サウンドノベルにエキストラとして登場できる権利が抽選であたるというキャンペーンを実施する。
(C) 1998/2006 CHUNSOFT/長坂秀佳/難波弘之
□セガのホームページ (2006年5月15日) [Reported by 船津稔 / 志賀康紀]
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