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会場:Los Angeles Convention Center
RoundTableには、任天堂の宮本茂氏と、有限会社ソラの桜井政博氏が登場。ふたりがインタビュアーの質問に答えるトークショー形式で進行され、宮本氏からは主にWiiの開発に関する話題が、桜井氏からはこの場で発表されたWii用ソフト「大乱闘スマッシュブラザーズX(英題:SUPER SMASH BROS. BRAWL)」の開発に至る経緯などが語られた。
■ 「大乱闘スマッシュブラザーズX」の開発経緯
ムービーを流し終えてから登場した桜井氏は、既にHAL研究所から離れ、自らソラを立ち上げている。「もう『スマッシュブラザーズ』を作ることはないと思っていた」という桜井氏が、再び開発に携わることになったきっかけは、昨年のE3にあった。任天堂の岩田社長から直接、「スマッシュブラザーズ」を作らないかというオファーを受けたのだという。 しかしながら、ソラはソフトを開発できるだけの人材を構えてはいない。任天堂は開発スタッフをかき集め、桜井氏に託した。桜井氏は自らが「任天堂 高田馬場オフィス」と呼ぶオフィスでこのチームを育て上げ、開発にこぎつけた。ちなみに「今も人材募集中」と冗談めかして話していたが、公式サイトを見ると本当に募集をしているようなので、我こそはと思うゲーム開発者は応募していただきたい。 ゲームについては、まずコントローラについて、「Wiiだからといって、ものすごく変わったことは狙わないで、一番操作しやすいものを作ろうと思っている」とした。宮本氏が手がけるWii用ソフトは、「Wiiのコントローラを生かしたものを全て入れる」と言っているのだそうだが、桜井氏は本作をあえて変化の少ないものにし、Wiiのソフト全体のバランスを取ることを目指したという。 そして最も注目したいポイントが、「Wi-Fiコネクションに対応する」というもの。WiiにWi-Fiコネクションのハードウェア的な機能が搭載されることは発表されているが、対応ソフトとして発表されたのはこれが初めて。世界中のプレーヤーと対戦できることになりそうだ。 またゲーム内容についても、「4人のうち1人だけが勝つという仕組みはどうかと思う。参加した全員が楽しめるような仕組みを考えたい」とした。 登場キャラクタについては、コナミの「メタルギア ソリッド」から、主役のソリッド・スネークが参戦することが明らかになった。このきっかけは、小島監督から桜井氏に、「スネークを『スマッシュブラザーズ』に出してくれ」という話があったからだという。スネークのキャラクタ性については、「銃は使わせず、ジョークとして使えるロケットランチャーなどを持たせる。もちろんダンボールも使う(笑)」と今のところの方針を語った。 他社のキャラクタについては、「今のところ決まっているのはスネークだけだが、これをきっかけに、ほかのキャラクタが出てくることもありえる。何よりも、出て楽しそうだということを重視して考えていきたい」と、他社とのコラボレーションに前向きな考えを示した。
発売時期は、「2007年のどこか。ローンチタイトルではありません」とした。
■ 宮本氏が考えるWiiの理想形
さらに宮本氏は、「ゲーム会社同士で競争するのではない。世の中のいろいろな商品と競争をして任天堂がものを売れば、ゲーム業界はもっと大きくなる、というのが基本的な考え。今までのゲーム機をさらに進化させるのではなく、全く新しい製品を作ろうと考えている」と、Wiiの製品開発コンセプトを明かした。 また、自らが手がけるゲームを例に取り、「『ゼルダ』は弓で狙うとき、スティックで上なのか下なのかがわからなくなってきている。それを綺麗に整理したかった。『マリオ』は3Dになって、自分が『そこ!』と思っていても、コントローラで『そこ』が言えない。もっと直接的に画面に働きかけられる、わかりやすい『マリオ』を作りたい」と語った。 Wiiの開発では、「特にコントローラに時間をかけた」という宮本氏。「ボタンをできるだけ少なくし、初めて見た人が怖がらないように」と検討を重ねたという。「ゲーム機というのは、横から見ていて、自分もやりたいと思うかどうかが凄く大事。Wiiをやっている人を見たら、自分もやってみたいと思わせるようなゲームを作りたい。ゲームをやっている人を見て、ああいう風にはなりたくないと思わせないようにしたい」と語った。これはWiiをプレイしている人を見れば、誰もがなるほどと納得できることだろう。
期待のWii用新作「The Legend of Zelda: Twilight Princess」については、「720pや1080iといった映像出力に対応するか」という質問に、「残念ながら、480pが我々の標準」と答えた。なぜHDにしないかと問われると、「ゲームは家庭の中でどのように使われるかというバランスで成り立っている。その中でHDというのは、飛びぬけている。5年後になれば任天堂もHDなんて当たり前になると思うが、今は世界中で一番多いテレビを、ゲーム機をつけることで新しいおもちゃに変えられることが大切だと思う」と、HD化に対する自らの考えを語った。
(2006年5月11日) [Reported by 石田賀津男]
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