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Electronic Entertainment Expo 2006現地レポート

Microsoftブースレポート Game for Windows編
初のVistaタイトル「Flight Simulator X」は、DirectX 10グラフィックス&ミッションモードに注目

5月10~12日開催

会場:Los Angeles Convention Center

 米Microsoftは、現地時間の9日に行なわれたプレスブリーフィングで、PCゲームの新ブランド「Game for Windows」を発表した。これはMicrosoftがPCゲーム市場において、OSを提供していることによるプラットフォーマーとしての自覚と、Microsoft自ら史上最強のゲームOSと公言するWindows Vistaの発売を来年頭に控えているというタイミングの良さという2つの背景から、PCゲームを一種のプラットフォームとして扱っていこうという試みだ。

 そうしたことから今年のMicrosoftブースは、「Xbox」と「Game for Windows」の2つのブランドで、Xboxと同じように自社タイトルに交えてサードパーティーのタイトルも出展。また、Windows Vistaのデモ機も置かれ、プレスのみならず、他社の出展者も覗きに来るなど、MicrosoftのPCゲーム部門は例年になく賑やかな光景だった。本稿では、Microsoft Game Studiosのタイトルから紹介する。Windows Vistaのゲーム機能については、ゲームそのものとはやや離れるため、改めて紹介するつもりである。なお、発売スケジュールについてはすべて北米でのもの。日本での発売時期は、現時点ではすべて未定となっているのでご注意いただきたい。


■ FS XはDirectX 10グラフィックスとミッションモードが売り。オンライン機能は調整中

「Game for Windows」の目玉タイトルはやはり「Flight Simulator X」だった。通常の試遊台にくわえ、球状をした360度モニタでもデモを行なっていた
雲のふくよかな厚みと、地形の圧倒的な集積度に注目。物理的な地形以外はすべて自動生成オブジェクトだ
 まず最初に紹介する「Flight Simulator X(以下、FS10)」は、Windows Vista向けに開発されている初のゲームタイトルであり、同時にWindows Vistaを「史上最強のゲームOS」と言わしめるゆえんであるDirectX 10に最初に対応するタイトルでもある。

 今年1月にラスベガスで実施されたCESでWindows Vistaと共に発表が行なわれ、米航空史100年を記念して制作された前作「Flight Simulator 2004: A Century of Flight」にも増して開発に力が入れられているタイトルだ。ちなみに地形データ等が膨大な量になる見込みのため、提供メディアはDVDのみとしている。

 当初、Windows Vista専用という噂もあったが、Windows Vistaの発売が来年頭に延期された後は、正式にWindows XPのサポートも表明。「FS10」のリリース時期はホリデーシーズンと、Windows Vista(2007年1月頃)よりも早くなるが、Windows XPのDirect X 9モードで動作させることができる。ただし、そのグラフィックスの差は、愕然とするほどの違いがあり、「Flight Simulator X」の先行発売は、そもそもが規定事項だったのではとも思えてくるほどだ。

 念のために触れておくと、Windows XP用のDirectX 10は公開されない。DirectX 10はWindows Vista専用のマルチメディアコンポーネントになる見込みで、「FS10」をDirectX 10クオリティで動作させるためには、Windows VistaとWindows Vista ReadyのPCが必須になる。いずれにしても、DirectX 10世代のゲームを動作させるには、ハイパフォーマンスのハードウェアが必要になり、そもそもWindows Vista自体がフル3DグラフィックスOSであることから、ハードウェアの買い換えを促進するための一種のふるいになっている。「FS10」に限らず、今後もPCゲームをプレイし続けるためには、Windows Vistaシステムへの移行が必要になるだろう。

 「FS10」のグラフィックスは、DirectX 10のDirect3D 10向けにチューニングされている。具体的には、シェーダーモデルは4.0となり、花形機能であるジオメトリシェーダーを筆頭に、DirectX 10世代のゲームグラフィックスの一定のリファレンスとなるべく、DirectX 10の機能をふんだんに盛り込んだ仕様となる見込みだ。

【「Flight Simulator X」DX9モードとDX10モードの違い】
左がWindows XP(Direct X9)で動作させた画面、右がWindows Vista(DirectX 10)で動作させた画面。左の画面ですでに前作「FS2004」よりずいぶん美しいグラフィックスだが、右とは比べものにならない。雲の厚み、湖面の描写など、Direct3D 10の花形機能であるジオメトリシェーダーを活かし、新世代のフォトリアルクオリティを実現している

ACE Studiosの「Flight Simulator X」プロデューサーScott Andersen氏にデモをしていただいた。必要スペックは未定だが、Andersen氏は、自身が利用している環境をベースに、Pentium D 2.8GHz以上、ビデオメモリ512MB以上という目安を示してくれた
コントローラのイメージサンプルには、Sidewinderではなく、Xbox 360コントローラが使われている。左のアナログスティックで操縦、右で視点変更、奥のLRボタンでラダーコントロールを行なう。とても手軽で操縦しやすい
 さて、グラフィックス以外の「FS10」の特徴は、ミッションモード、ダイナミックオブジェクトの自動生成機能、Xbox用ゲームコントローラへのフル対応、オンライン機能などが挙げられる。

 ミッションモードは、米国に実在するRed Bull Air Raceにレーサーとして参加したり、テストパイロットとして大型旅客機に搭乗したり、ヘリで人を輸送したりといったバラエティに富んだオブジェクトが用意される。

 実際に見たのは、海に浮かぶ油田のミッション。最初はヘリコプターを飛ばして油田に人員の輸送するのが目的だったが、途中で油田が爆発し、油田にいるスタッフの救助が目的に変わる。小刻みに高度を変えホバリング状態を維持しながら、狭い足場着陸し、スタッフを救助していく。この間にも、新しい爆発が起こったり、立て続けにラジオで音声による指示が飛び交い、臨場感たっぷりだ。「FS10」ではこうしたライブ感のあるミッションが50前後用意されるという。

 これらオブジェクトによって、プレーヤーは目的を持って航空機を操縦することができる。コアなフライトシムファンは、飛ぶことと眼下に広がる風景そのものが目的となりえるが、初心者にはそれではなかなかアピールできない。ミッションモードはカジュアル層に強くアピールできる新要素といえる。また、コアユーザーに対しては、ミッションエディターが用意される。

 ダイナミックオブジェクトは、要するにAI操作のムービングオブジェクトがふんだんに導入される。車や野生動物、家畜、空港では搭乗ブリッジ、給油トラック、荷物カートなどが、プレーヤーの状態にかかわらず、常時、これらのダイナミックオブジェクトが稼働しており、活きた世界を飛ぶことができる。

 Xbox用ゲームコントローラへの対応は、ゲームパッド、ボイスチャット用のヘッドセットなど、Xbox 360向けに提供されるファーストパーティー製のゲームデバイスが利用できるようになるというもの。これはDirectX 10のXinputというクロスプラットフォーム対応のためのAPIを利用して実現しており、「FS10」では最初からフライトしやすいようにキーがアサインされているほか、自分でカスタマイズすることもできる。ひょっとすると、Xbox 360コントローラで操縦し、Xbox 360ヘッドセットでボイスチャットしながらマルチプレイを楽しむというのが、「FS10」のオーソドックスなプレイスタイルになるかもしれない。

 なお、オンライン機能については、まったく詳細は明らかにされなかった。まだ仕様が固まっていないというのが正直なところのようで、一応方針としては、単に複数人でとばすだけでなく、ボイスチャットを標準サポートし、パイロット、コパイロット、航空管制官といった複数のポジションでフライトを楽しむことができるようだ。

【「Flight Simulator X」ミッションモード】
ミッションモードのプレイシーン。救助すべきスタッフがどこにいるかは、目視とラジオによるガイドに頼るしかない。ひとりは島を繋ぐ細い通路にいたりして、ヘリの操縦に相当精通していないとオブジェクト達成はおぼつかない。HDRレンダリングの効果で逆光の向きになると陽光が海面に反射してほとんど何もみえなくなるなど、グラフィックス効果も抜群に素晴らしい

【「Flight Simulator X」スクリーンショット】
画面は上段から順にオーストリア、フランス、ドイツの風景。とにかく地形と雲の精度が格段に向上しているため、前作以前とはまったく異なる光景が展開される


【「Age of Empires III: The War Chiefs」】
「Age of Empires III」の拡張ディスク「Age of Empires III: The War Chiefs」。「AoE III」では中立の存在として登場したネイティブアメリカンにフォーカスをあて、プレーヤーはスー族やイロコイ族を率いて、欧州文明と南北アメリカ大陸の覇権を争う。新文明(部族)は3、キャンペーンはブラック一族の外伝的エピソードが綴られる新シナリオが追加される。南北アメリカまで戦場が広がることによって、マップタイプやタイルセット、オブジェクトなども追加される。発売時期は2006年秋

【「Shadowrun」】
「Shadowrun」はPCとXbox 360の相互接続をカバーするLive Anywhere第1弾タイトル。オンラインベースのFPSで、SF設定の「Counter-Strike」といった印象。開発元は、新鋭のデベロッパーFasa Studios。Windows Vistaのローンチタイトルという扱いで、Windows Vistaと同時発売が予定されている

【「Alan Wake」】
「Alan Wake」はPCとXbox 360向けに開発が進められているDirectX 10世代のサイコスリラーアクションアドベンチャー。開発元は「MAX PAYNE」シリーズで有名なRemedy Entertainmentが担当している。現時点ではイメージ映像の公開のみで、具体的なゲームデザインは明らかにされていない。ハイクオリティのグラフィックスが目を引く作品だ。発売時期は未定

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(C)KOICHI SUGIYAMA

□Microsoftのホームページ(英語)
http://www.microsoft.com/
□Electronic Entertainment Expoのホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/

(2006年5月11日)

[Reported by 中村聖司]



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