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★PCゲームレビュー★

EUをテーマにした新マップ、新兵器を追加する
ダウンロード専売のブースターパックが登場!

バトルフィールド 2
ユーロ・フォース

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発/発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 価格:1,219円(ダウンロードコンテンツ)
  • 対応OS:Windows XP
  • 発売日:発売中



  •  2005年7月に発売された「バトルフィールド 2」は、世界中で数万人の人々が常時オンラインでプレイし、多人数対戦型のFPSのメインストリームのひとつとして実績を築いてきた。昨年12月には拡張パック「バトルフィールド 2 スペシャル・フォース」も発売された。特殊部隊という題材をベースに、“構造物が入り組んだ戦場において、新装備を用いてプレーヤーはどう戦うべきか”という新しいプレイスタイルを提案してくれた。

     そして今回紹介する「バトルフィールド 2 ユーロ・フォース」は、その名の通りヨーロッパ各国の武器や兵器を題材として扱っているが、「スペシャル・フォース」のような「バトルフィールド 2」のゲームシステムそのものに手を加える拡張パックとは違い、「バトルフィールド 2」に対して純粋に武器や兵器、そして新しい戦場となるマップを追加するブースターパックとなっている。

     また、特筆すべきなのはこのブースターパックが、昨年11月より始まったコンテンツダウンロードサービス「EAダウンローダー」を使ったダウンロード限定コンテンツ販売の、日本における第1弾という点だ。これまでFPSの世界ではこういったブースターパックは無料配布されることが多かったが、1,219円(9.99ドル)という価格で提供するという事が日本のFPSプレーヤーに対して受け入れられるのかどうか、こういった点に付いても言及したい。


    ■ 歩兵戦、機甲戦、総合力、すべての要素がバランスよくはまった新マップ

     発売から今日までプレイし続けてきたプレーヤー達がもっとも待ちこがれていたのは、やはり新マップだろう。もともと13ものマップが用意されていた「バトルフィールド 2」ではあるが、新マップはいくらでもほしい。まずは追加された3つの新マップを簡単に紹介していきたい。

    ・Operation Smoke Screen 黒煙の中の衝突

     マップ上下端に各部隊のベースを設置し、マップ中央付近に点在する陣地を取り合うマップ。自軍ベースに近い陣地からじっくり足場を固めていくのが定石だろう。マップ中央部の石油タンクとコンビナートが集中する陣地周辺は、タンクの石油が燃えることによって発生する煙がもうもうと立ちこめており、歩兵の動きを隠してくれる。

     また、マップが全体的にひらけているので、攻撃ヘリに有利なマップと言える。戦車に乗るプレーヤーは、対空車輌とスクワッドを組んで役割分担を分けて進んでいこう。また、マップ右上の高台には攻めるに難く守るに易い変電所がある。ここはいったん取られると、奪還するのがなかなか難しいので、MEC軍のプレーヤーは真っ先に取っておきたいところだ。

    【Operation Smoke Screen】
    石油が燃えることによって発生する黒煙が辺り一面にもうもうと立ちこめる「Operation Smoke Screen」。マップ中央に点在する陣地を落としていくことになるが、戦車で敵を殲滅し歩兵が陣地を奪うという基本的な作戦がもっとも効くマップだ

    ・Great Wall 万里の長城戦線

     万里の長城を舞台とした、入り組んだ構造をしたマップ。中央に城壁に囲まれた陣地を配し、城壁外のベースから攻め上がる形になる。一応戦車や装甲車輌は用意されているものの、実際の戦闘は歩兵部隊による城壁内部での戦いがメインとなるだろう。特にマップサイズが小さくなればなるほどその傾向は強い。

     長上内は車輌が行き交うには狭すぎるので、中央城壁を確保、その後に戦車などによって城壁外の敵陣地を攻撃するという流れになるだろう。コマンダーは城壁内の敵兵士に特に気を配って索敵を行なっていきたいところだ。

    【Great Wall】
    万里の長城を舞台とした「Great Wall」。中央の城壁内部では、車輌を陣地を守るための移動機関銃として使うのが有効。また、高低差も激しいので階段では敵とバッタリ鉢合わせしてしまうことも多い。とにかく歩兵戦が強いかどうかが勝敗の趨勢を決めるマップだ

    ・Taraba Quarry タラバでの死闘

     広大な草原に点在する陣地を装甲車輌によって攻略していく電撃戦を堪能できるマップだ。川を挟んで両端に各部隊のベースが設置されており、ここから出発した部隊は川の下流にあるダム、もしくはさらに下流の干上がった川を渡って敵陣へ攻め上がる形になる。対岸へ渡る方法が限られているため、ダムをいかに確保するかがゲームの流れを決めるだろう。

     また、戦闘機や戦闘ヘリのプレーヤーは直接敵のベースを叩くのか、それとも川の下流に回る敵地上部隊を狙うのかの判断も重要となってくる。コマンダーは敵にダムを取られそうになったら、直ちに砲撃を行なって地上部隊のサポートを行なう事も忘れてはならない。

     全体的にみれば歩兵戦がメインの「Great Wall」、歩兵と車輌を組み合わせて陣地を1つずつ潰していきたい「Operation Smoke Screen」、大規模機甲戦が楽しめる「Taraba Quarry」とバランスよく3種類のマップが追加されたブースターパックと言えるだろう。

    【Great Wall】
    見晴らしの良い草原地帯で戦車戦が堪能できる「Taraba Quarry」。怖いのは飛行機と攻撃ヘリ。対空車輌だけでは手が回らないので、常に動いて狙いをそらすか、1回の爆撃で全滅しないように車輌同士の間を空けるように心がけたい


    ■ EU軍登場! 扱いやすさに重点を置いた新装備で戦い抜け!

     マップの次は、残る「7つの武器、4つの兵器」を見ていく。まずは武器からだが、ユーロフォースで登場する武器の多くは“扱いやすさ”を主眼においた性能設定がされているようだ。

    【HK53A3】
    その威力と精度の高さから、突撃兵のアンロックアイテムとして好んで使うプレーヤーの多いドイツの名アサルトライフル、G3の設計を基本コンセプトに軽量かつコンパクトにまとめたのがこの銃だ。特殊兵のメインウェポンとして提供されており、G3の設計を引き継ぐだけあって他国のそれと比べると威力、精度共に向上している。単身敵基地の破壊へ向かうプレーヤーにとってはうれしい武器だろう

    【L96A1】
    「Counter-Strike」でおなじみの“AWP”と呼ばれる狙撃銃。狙撃兵のメインウェポンとして提供されている。特殊加工のステンレス製バレルをストックの干渉を受けないフローティング方式で設置、世界最高性能を持つスナイパーライフルと言われている。ゲーム内ではアメリカ軍のM24と大きな性能差を感じることは無いが、若干移動目標に当てやすい印象を持った

    【SA80 L85A2 with UGL (AG-36)】
    イギリス軍の時期アサルトライフルとして設計されたブルバップ型(弾倉がトリガーより後ろにある)の突撃銃で、突撃兵のメインウェポンとして提供されている。その部品点数の高さによる稼働率の低さやプルバップ式の弱点である遠距離の狙いにくさなど、問題も多い銃ということで、ゲーム内でも他国のそれと比べて威力、精度共に若干絞られている。グレネードランチャーであるAG-36に固執するので無ければ、早々にアンロックアイテムへ乗り換えたいところだ

    【HK21】
    G3の設計をベースにした分隊支援火器で援護兵のメインウェポンとして提供されている。弾倉給弾からベルト給弾に強引に設計を切り替えたためか、構造がデリケートで稼働率が低いとの話しもあり、一線級の機関銃とは言えなくなっている。アメリカ軍の援護兵が持っているM249 SAWと比べると1分あたりの発射弾数が実銃のデータ通り少なくなっており、陣地防御時の制圧力という点では多少不安が残る。できればPKMなどのアンロックアイテムへ早めに武器を切り替えたいところだ

    【Benelli M4】
    イタリアのベネリが提供するセミオートのショットガン。Counter-StrikeではXM1014の名前で親しんでいる人も多いことだろう。ゲーム内では工兵のメインウェポンとして提供されており、他国のそれと比べてショットガンとしては最高性能を与えられている。しかし、近距離で使うことが多いせいか、実際使ってみても他国のそれと比べてそう大きな変化を感じることは無い

    【Famas】
    フランス製のブルバップ方式のアサルトライフル。ゲーム中では衛生兵のメインウェポンとして提供されている。スコープが付いているおかげで非常に当てやすい。威力は他国のそれと比べて若干低いが、倒すことより生き残ることが重要な衛生兵のメインウェポンとしては使いやすい部類だと言えるだろう

    【P90】
    未来的なシルエットを持つ軽機関銃。ゲーム内では対戦車兵のメインウェポンとして提供されている。ダットサイトと呼ばれる着弾点を光点で表したサイトが付いているおかげでこちらも当てやすい印象がある。また、1マガジンに50発の弾が入っているので、いざ撃ち合いになった時に弾が切れにくいというのも大きなメリットだ

    【Leopard 2A6(戦車)】
    戦車王国ドイツのMBTの最新型である。55口径122mmの滑空砲を備えており、各国の戦車と見比べてもその能力は高い。オーストリアやオランダ、スイスなどヨーロッパ各国の軍にも採用されている。ゲーム中では各国の戦車と比べても大きな性能差は無いように感じるが、足回りが軽快な印象を受けた。砲撃戦の際に、回避運動が取りやすそうだ

    【Challenger 2(戦車)】
    英国陸軍が誇る最新型の戦車。1世代前のChallenger 1は湾岸戦争では200輛ものイラク軍戦車を屠っており、その後継に当たるこの戦車も当然性能が高いことが予想される。チョバムアーマーと呼ばれるハニカム構造を持った中空装甲が大きな特徴となっている。ゲーム中では、多少足回りが鈍重な印象を受けるが、そう大きな欠点は無い

    【Eurofighter(戦闘機)】
    イギリス、イタリア、スペイン、ドイツという4カ国が共同開発したマルチロール機。デルタ翼とコックピット横にあるカナード翼が外見上の特徴となっている。ゲーム中に登場するのは複座式のTyphoon T1というモデルになる。ゲーム中では小回りの効く戦闘機と言った印象で、対空というより対地攻撃に使っていくことになるだろう

    【Eurocopter Tiger(攻撃ヘリ)】
    フランスとドイツで共同開発した双発の攻撃ヘリ。ゲーム中に登場するのはフランス陸軍用の支援攻撃任務に特化したTiger HAPと呼ばれるモデルになる。ゲーム中では各国のそれと比べて攻撃ヘリという意外に大きな性能差は与えられていないが、空対空ミサイルを持っているのが大きな特徴だろう


    ■ 「EAダウンロード」はまだまだ発展途上 今後の進化に期待

    EAダウンロードのページ。オートアップデート機能はおろか、バージョンチェック機能すら付いてないため、各種パッチは手動で当てる必要がある
    一方Steamは、起動時にバージョンチェックし、必要ならば自動アップデートも行なってくれる。また設定しておけば、ゲームは常に最新バージョンに保たれる
     さて、「ユーロ・フォース」は、「バトルフィールド 2」の拡張パックというだけでなく、現在EAが推し進めるオンライン販売戦略「EAダウンローダー」の一翼を担うタイトルでもある。

     2003年に、「Counter-Strike」を開発するValve Softwareが同社のタイトルを販売するためのフロントソフトとして「Steam」を導入して以降、ゲームをオンライン販売することは有効か否かというのは、先のGDCレポートでも報じているように、多くの議論が成されている。

     ゲーマーの立場から述べると、PCに限らずオンラインを経由したゲームコンテンツの販売は、非常に有効である。なぜなら流通コスト、在庫コスト、パッケージコストといったゲームそのもののおもしろさには余り関係のない部分でのコストを削減することが可能になるため、結果としてコンテンツの原価を安く抑えられる。このメリットは大きい。

     それだけではない。Valve Softwareのように開発スタジオがユーザーと直結されることによって、ユーザーからの要求や市場動向をダイレクトに開発者がつかむことができる。これにより、市場のニーズとまったくかけ離れたタイトルがリリースされるという無駄を排除できる。

     とは言うものの、「Steam」の成功例はまだ稀なケースであり、ダウンロードによるコンテンツ販売は、まだまだ一般的とは言い難い。そういった意味でもEAのオンライン販売ソフトである「EAダウンローダー」が持つ意味というのは大きいのだ。

     しかし、現在の「EAダウンローダー」の機能はまだまだ未成熟と言わざるを得ない。まず第1に、「EAダウンローダー」がただのダウンロード管理ソフトになってしまっているという点。ソフトウェアのダウンロードとダウンロードしたソフトの実行しかできないため、実際のアップデートはユーザーがWebから情報を得て、パッチをダウンロードして実行するのとプロセスがまったく変わっていない。

     これならば、わざわざフロントソフトを使ってゲームをダウンロードさせる意味などないわけで、フロントソフトに求められるのは、対応ソフトのバージョン管理と自動アップデート、アップデート情報の告知の3点だ。オンラインで遊ぶために必要なソフトのバージョン統一というめんどくさい作業を、ワンクリックで行なえるのがこの類のソフトにもっとも必要とされる。「Steam」という好例がありながら、なぜまったく参考にしなかったかが疑問だ。

     また、決済機能を持っていないのも大きなマイナスである。現状では購入する度に、Webのオンライン販売ページでシリアルコードを入手して、「EAダウンローダー」でソフトをダウンロードするという2度手間が発生する。

     流通プラットフォームとして考えるならば、フロントソフト上から決済が行なえるのは当たり前のはずだ。決済自体は別システムなので、Webページでやりたいということであれば米MicrosoftのXbox 360における「マーケットプレイス」のようにポイントを別口で販売し、そのポイントを使って購入するシステムを取ることもできるはずである。

     こうした「EAダウンローダー」側の使いにくさのおかげで、今回の「ユーロ・フォース」は、せっかくのダウンロードコンテンツの割にプレイするまでに意外と手間取ってしまった。もっとも、「ユーロ・フォース」自体のコンテンツパワーも、1,280円という有料ということを換算に入れると、やや弱いと言わざるを得ない。

     FPS市場は、優秀なMODが数多く公開され、無償アップデートによる新武器、新マップの追加は日常茶飯事な世界なのだから、有料コンテンツはよほどパワフルなものでなければ、コミュニティに支持されないだろう。これが500円ということであれば、あまり疑問を持たず払ってしまうのだろうが、1,280円というのは抵抗を感じる。せめてこの額を払わせるのであれば、アンロック武器の追加が2~3点、マップの追加が10枚はほしかったところだ。

     今後E3を経て販売されるソフトも多々あることが予想されるので、筆者としてはここで腐らずに「EAダウンローダー」の成長を待ちたいところではある。EAとしては年末のクリスマス時期までにどれだけ「EAダウンローダー」を作り込んで行くことができるかに、今後がかかっていると言えるだろう。

    (C) 2006 Digital Illusions CE AB. All rights reserved. Battlefield 2 and Battlefield 2: Euro Force are trademarks of Digital Illusions CE AB. Electronic Arts, EA and the EA logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners. EA. is an Electronic Arts brand.


    【バトルフィールド2 ユーロフォース】
    • CPU:Pentium 4 1.7GHz以上(Pentium 4 2GHz以上推奨)
    • メモリ:512MB以上(1GB以上推奨)
    • HDD:4GB以上の空き容量(5GB以上推奨)
    • ビデオメモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)


    □エレクトロニック・アーツのホームページ
    http://www.japan.ea.com/
    □「バトルフィールド2 ユーロフォース」の公式ページ
    http://www.japan.ea.com/battlefield/battlefield2/booster/euro/index.html
    □関連情報
    【2006年3月14日】EA、ダウンロード限定コンテンツの提供を開始
    第1弾は「バトルフィールド 2 ユーロフォース」
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060314/bf2ef.htm
    【2006年1月13日】EA、ダウンロード限定コンテンツを2月より順次配信
    第1弾は「バトルフィールド 2 ブースターパック」
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060113/bfbp.htm

    (2006年4月4日)

    [Reported by tyokuta]



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