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今回の大会は、よく行なわれるユーザー参加の大会や、雑誌社対抗戦ではない。「ツーリスト・トロフィー」にも登場するバイクメーカーが参加する、まさに各メーカーの威信をかけたガチンコバトルとして企画された。各社の代表が乗るバイクは、もちろん各社から発売されているバイク。それだけにゲームの勝ち負けはイコール自社製品のアピールにも響くとあって、参加各社もライダーはもちろん、応援団の応援もかなり気合いの入ったイベントとなった。 大会には「ツーリスト・トロフィー」のディレクターを務めたポリフォニー・デジタルの七澤崇聖氏もゲスト解説者として登場。七澤氏は「昨年の今頃に開発はスタートしたが、いまこうして10万人を超える人々に遊んでいただいている状況は嬉しい。オートバイは子供の頃から乗っていますが、カッコイイ、気持ちの良い存在。メカニック的な格好良さももちろんあります。今日は皆さん、カッコイイ、激しい走りで素晴らしいバトルを展開されることを期待します」とコメント。 大会に参加したのは国内外のカジバ・ジャパン、スズキ、ドゥカティジャパン、トライアンフジャパン、ハーレーダビッドソン ジャパン、本田技研、ヤマハの7社。ルールは、各社のバイクに乗って2社によるガチンコバトル。バトルに勝ち抜いた者だけが進めるトーナメント形式となっている。各社の代表が乗るバイクについては七澤氏が選定。それでも性能差が発生するため、イコールコンディションとするために、七澤氏による調整が行なわれている。 1回戦で舞台となったコースは筑波。最も熱い戦いを繰り広げたのは、ヤマハとドゥカティジャパン。先行したドゥカティジャパンに対し、ねばり強い走りで食いつき、詰めていったヤマハ。このプレッシャーからか、ドゥカティジャパンが後半で、コーナーからの立ち上がりでたった1度のミスを犯してしまい、ここでヤマハがすかさずトップを奪取。逆転で勝利をものにした。両選手とも終わっても席を立たずリプレイを見て、最後は握手を交わした。 さて、7チームでトーナメントを組んだ場合、第1回戦で1チーム余るわけだが、ここは敗者復活枠とされた。それまでの試合で、最も早いタイムをたたき出したチームが復活することとなる。その“最も早いレーサー”は、前述のドゥカティジャパンの木下選手。1回戦最後の試合は、敗者復活で舞い戻ってきたドゥカティジャパンとスズキの戦いとなった。このレースも接戦となったが、今度は逆にリードしていたスズキがドゥカティジャパンのプレッシャーに負ける形で2ラップ目にクラッシュ。ドゥカティジャパンの勝利となった。 2回戦は国内メーカーがヤマハしか残っていないという状況。コースは「ディープフォレスト」。七澤氏の「激しいアップダウン、回り込んだコーナーがあり、アクセル全開ではいけないコース。勝ち進んできた人々と言うことで上級者用コースとした。『グランツーリスモ』からのコースなので古く、路面が荒れてます!」との解説に、会場から笑い声も上がった。 厳しいコースと言うことだが、そこは勝ち残ったまさに精鋭達。1戦目はカジバ・ジャパンとハーレーダビッドソン ジャパンの戦い。七澤氏の「転ばないようにしたものが勝ち」とのコメントがあったが、さすがに両社ともまったく転ばない展開。最終的にアグスタの勝利となったが、七澤氏も「ラインがわかってらっしゃる」と感心した様子だった。 続いての2戦目は1回戦ドゥカティジャパンを破ったヤマハと、敗者復活戦で勝利をもぎ取って這い上がってきた、そのドゥカティジャパンというドラマチックな展開となった。両社によると控え室で対戦を1度行ないここではヤマハが勝ったという。本番ではどうなるのか、緊張感漂う中、1戦目とは異なり転倒に次ぐ転倒となる展開。最終的には雪辱を果たす形でドゥカティジャパンの勝利で幕を閉じた。辻本氏は「前に出ると転倒、前に出ると転倒……やっぱ面白いわ、このゲーム」と解説。「追いかけている方が楽」ともコメントする辻本氏。追いついた瞬間、追われるプレッシャーによってミスをするというのが自身のレース体験とも重なり合ったようだ。今回もリプレイ画面に見入る2人。最後はガッチリと固い握手でレースを終えた。 優勝決勝戦はNV アグスタ (カジバ・ジャパン) とドゥカティジャパン。コースはバレンシア。NV アグスタの杉村武彦選手が「負ける気がしない」とコメントする強気ぶり。一方、しぶとい展開で這い上がってきたドゥカティジャパンの木下選手は「頑張ります」と言葉少なにコメント。レースはNV アグスタ先行で展開。しかし、ドゥカティジャパンはミスが少なく、しぶとく食い下がる。そしてやはりここでも先頭を行く側のプレッシャーからか最終ラップでNV アグスタがクラッシュ。ドゥカティジャパンの劇的な勝利で大会は終了となった。 シミュレートが高度なレベルで行なわれているからこそ、精神面を競い合うゲーム展開が可能となり、辻本氏にして「やっぱ面白いわ、このゲーム」と言わせる作品となっているのだろう。優勝したドゥカティジャパンの木下選手は「ラッキーの一言です。強い人とあたって駆け引きを学び、心理戦がうまくいったんだと思います」と感想を述べた。さらに木下氏は「こちらがミスをしないで負けたのなら仕方がない。一人で走ればもっと早く走れるんですが、やはり対戦では駆け引きがあるので」と続けた。 参加者によれば、出場要請があったのが2週間前。ルールが明らかになったのが先週末。そういった意味では、参加者はこの短い時間で戦いに挑んだのだから凄いことだ。「アクセル全開で曲がれないという点でもリアルだと思う。コントローラがハンドルならもっと感情移入できるんですけど、それにしてもリアルです」と参加ライダーが口を揃えていた「ツーリスト・トロフィー」。七澤氏は最後に「今日は皆さんにおめでとうと言いたい。僕もまさかこんな凄いバトルが行なわれるとは思いませんでした。勝ち上がってくるにつれてバトルのレベルが上がっていき、こんな大逆転が起きるとは予想も付きませんでした」と語り、締めくくった。
なお、今回の結果については公式サイトに結果が30日から掲載されるが、ムービーも同時に掲載される。是非とも熱い戦いを見ておいて欲しい。 (C)Sony Computer Entertainment Inc. All manufacturers, motorbikes, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved. Any depiction or recreation of real world locations, entities, businesses, or organizations is not intended to be or imply any sponsorship or endorsement of this game by such party or parties
□日刊スポーツのホームページ (2006年3月29日) [Reported by 船津稔]
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