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速報にあるとおり、同社CEOを務める久夛良木健氏の口から、プレイステーション 3の発売は2006年11月上旬に全世界同時にずれ込むことが明らかにされた。月産100万台で、半年で600万台の普及を見込む。また、PSPについては、詳細なバージョンアップスケジュールが明らかにされた。USB接続のGPSユニット、カメラ付きマイクデバイス、そして、PSPによるプレイステーションのエミュレーションなど。 さて、トピックを順に解説していこう。まずはPS3からだ。
■ 11月上旬から全世界同時にリリースされるプレイステーション 3 久夛良木氏は、「PS3に対して、私たちがいつになく慎重になったのは、PS3が持つ可能性にゲーム業界だけでなく多くの方々が賭けてくれているということ」とプレッシャーと新たなチャレンジの難しさについて冒頭に述べた。 PS3に搭載されるBDドライブ、そしてデジタル映像端子であるHDMIの規格化の策定がSCEIの目論見(8月には規格化が終了、9月にはブック発行と見ていたという)よりも遅れ、ようやく今春になって具体的な動きが出てきたことを受け、「我々としてもPS3の発売日を改めてお伝えできるようになった」と述べた久夛良木氏は、PS3を11月上旬、日本を含めたアジア、アメリカ、ヨーロッパでほぼ同時に発売すると明言した。 この発売日の設定は、サンクスギビングデイから始まる年末商戦、そして、ソフトメーカーにソフトを作りこんでもらうリードタイムを含めた結果だという。SCEIとしても、プラットフォームの発売を全世界同時とすることは過去に例のないこと。完全に同一にはならないようだが、随時五月雨式に各国で発売となるようだ。 HDMIに対応していないTVに対しては、従来のプレイステーションに装備されていたAV MULTI端子を使って対応することも改めて説明。 また、スタート時から、きちんとした生産体制として、PS2を超える月100万台を目指して生産する予定。「そのまますばらしいソフトが出て、ユーザーの皆様に受け入れられれば、半年で600万台ぐらいのキャパシティとなる。ただし、どの地域にどれぐらいの配分でというのは本日は勘弁いただきたい。過去のハードの立ち上げからいろいろ学んだ学習効果も踏まえ、我々もベストを尽くしたい」と氏は続けた。
■ 「互換性の保持」、「HDDを標準サポート」、「ネットワークのサポート」などを明言 また、久夛良木氏は、PS3のカギとなるキーワードについていくつか述べた。 まず、発売当初からの互換性の維持。PS、PS2のソフトがPS3の発売日から「我々としてベストの互換性を取る。ハードウェア的にコストはかかるが、最初からきちんとやる」と意気込みを述べた。そのため「我々の技術仕様に沿ったソフトを作ってほしい」とデベロッパに向けてもアピールした。「PS3での互換性検証は膨大な数に上る。クリエイターの方々に仕様をきちんと尊重していただき、互換性を取るためにもご協力いただきたい」と続けた。 また、「我々は意思を持って、すべてのPS3にBDプレーヤーをサポートする」ということも改めて明らかにした。これは、ネット上などでのウワサを否定するための発言のようだが、「CELLを搭載しているPS3は最先端のBDプレーヤーになる」と、その能力の高さをアピールした。また、「レガシーTVから、最先端、将来のフルHDのTVまでサポートしようと思っている」と、将来にわたっての新しい技術にまできちんとサポートするための準備をPS3に導入していく意思を明確にした。 さらに、HDDの搭載に関しても触れた。HDDは、2.5inchのシリアルATA規格の60GBのものを脱着式で搭載する。しかも、将来にはアップグレードに対応するという。久夛良木氏は、開発者に向けて「まずHDDありきでソフトを開発してほしい」とアピールした。すべてのPS3に搭載するかどうかは市場の意向次第としながらも、プラットフォームとしてHDDのサポートをはっきりさせた格好だ。また、開発者のために、Linuxを搭載することも改めて述べた。 そのほか、PS3のゲームソフトは、BDのみで発売の予定。DVDやCDでは簡単にコピーが取れてしまう現状をふまえ、最新のコピープロテクションを備えたBDでのみリリースしたいとした。BDの生産キャパシティは月1,000万枚を予定。市場の変化にあわせ、随時キャパシティを増強する。BD-ROMの生産コストについては、2層DVD-ROMと大きく違わないコストを早期に実現すると明言した。
ネットワーク機能に関しては、PS2のころからのさまざまな状況の変化、そして情報やノウハウの蓄積を受け、「我々として一番できていない、これからやらなければならないこととしては、きちんとしたPSのネットワークプラットフォームの構築だろう」と現状を分析。「発売日にはきちんとカットオフができるような導入が必要だろうと思っている」と続けた。PS3の発売日に向けて、全世界同時立ち上げを目指す。基本サービスはしばらくの間無料。ユーザーの利便性を取りながら、各デベロッパーが立ち上げている既存のネットワークとも連携も可能。オープンインターネット上で事業展開を予定している。オンラインゲームに必要な機能やサービス、共通で必要であろうインフラも提供。 「EVERQUEST」を手がけたSONY ONLINE ENTERTAINMENTとSCEIとのジョイントにより、共通プロジェクトを立ち上げ、アカウントサービスやEコマースサービス、コミュニティーの構築に必要なチャットなどのサービスを実現する。アバターやランキング表示、コンテンツのダウンロード、オンラインコンテンツのダウンロードや販売ができるシステム、HDDからのゲームブートなども準備されるという。3月末からサーバー/クライアントの開発キット(SDK)が配布され、4月末にはセカンドバージョン、7月からはフル機能のテストが開始されるという。
開発ツールの供給状況については、規格化の策定の遅れとは別に、さまざまな仕様の変更を続けている。発売月がコミットされたことで、5月中旬にはほぼ最終形のツールが配布され、7月にはいろんな安全規格を通過したものが販売される予定。ツールのコストはPS2の発売当時のものとほぼ同等のものになるようだ。
■ 具体的スケジュールは出た。後は時間との戦いだ
E3を前にして、ソフトウェアの開発に必要な主な情報はほぼ出揃ってきたといっても過言ではないPS3。しかし、PSPの時でさえ、7月にミーティング、年末に発売というスケジュールにサードパーティを含め、かなりの無理があったように思えたものだが……。今回のこのスケジュールで、果たして11月の発売日にどれだけの質、数のソフトが間に合うのか? オンラインタイトルは同時リリースされるのか? 素人目には非常に厳しいスケジュールに思えるのだが……まだまだPS3には目が離せない、そんな半年になりそうだ。
□SCEJのホームページ (2006年3月15日) [Reported by 佐伯憲司]
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