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「飛天online」のクローズドβテストを3月13日より開始するガマニアデジタルエンターテインメント。今回は2月末に恵比寿から大井町に拠点を移した本社のオフィスで、βテスト直前の本作を体験してきた。 「飛天online」は台湾のゲームメーカーSoft Starが開発したMMORPG。古代中国、武侠もの、中国の伝説といったキーワードを持つユニークな世界観を持ち、プレーヤー達のつながりを生む宿命システム、かわいらしいキャラクタ、ペットシステム、充実したコミュニティー機能、そしてコンシューマのRPGにも劣らない豊かなストーリー性を持つ作品である。 台湾製のMMORPGという点でも、ゲームファンにとって興味深いタイトルだろう。今回はプロジェクト推進部の大久保岐信氏の解説によりデモプレイを体験した。「飛天online」ならではのポイントを紹介したい。
■ 独特の世界観、個性豊かなキャラクタにより展開する、凝ったストーリー 「飛天online」では、馴染みやすい外見をした“人族”、仙人のような“天人”、ワイルドな“修羅”、子供のような姿をした“鏡童”の4種類からキャラクタを選択する。ユニークなのは目や髪型だけでなく、胴や手足が伸縮することだ。デフォルトの状態だとすべてが少し子供っぽい体型だが、引き伸ばすことで大人びて見える。伸ばしすぎるとちょっと体のバランスがおかしくなってしまうが……。ちなみに鏡童以外の女性キャラクタは胸の大きさも変更可能だ。
キャラクタの外見、名前、生年月日を決めるとゲームスタートである。オープニングでは、リアルタイムレンダリングによるイベントシーンから始まる。「飛天online」はコンシューマのRPGを意識していると聞いていたが、イベントシーンはまさにオフライン向けのRPGのようにしっかりした内容で、BGMも緊迫したシーンに切り替わるなど凝っていて、感心させられた。最初のシーンでは、プレーヤーがこの世界を訪れ、キャラクタとして仮の姿を得て「崑崙鏡」と呼ばれる古代の神器の中に広がる世界に旅立つまでが描かれる。 また、プレーヤーは謎の仙人からいくつかの質問を出される。この時の質問でキャラクタの性格が「感性」か「理性」に分類される。本作ではキャラクタが喋る。このときの判定で、その後のしゃべり方が変化するのだ。ちなみに性格が変わってもストーリー進行そのものには変化がないということだ。 オープニングの終盤で突然「妖虎」が襲ってくる。間一髪のところを「謎の青年」に助けられる。妖虎は青年に撃退され逃げていく。この2人のキャラクタはこれから後のストーリーにも関わっていくという。ムービーシーンが挿入されたり、個性的なNPCが次々と登場するのは本作の大きな特徴で、今後もドラマチックなストーリーが進行するという。妖虎との対決の場合など、ボス敵との戦いも用意されていて、パーティーで協力をしてストーリーを進める必要がある場面もあるという。 ムービーシーンが終わったところでいよいよ冒険が始まる。マップ画面を呼び出すとスタートの街の地図が大写しになる。最初のクエストをくれる場所に行くために、そのマップをクリックすると、キャラクタは自動でそこに向かい始める。その際、ちゃんと障害物は回避してくれる。
初心者用クエストでもムービーシーンが用意されている。「あのアイテムが必要」といったお使いクエストや「モンスターを何匹倒せ」という内容の簡単なクエストも多いが、そういった小さなクエストも大きな一本のストーリーに繋がっていく。敵であるはずの妖魔と旅をすることになったりもするという。シナリオの展開、ムービーシーン、場面によって変化するBGM、キャラクタの豊富な仕草など、様々な部分で高い技術力と、日本のコンシューマゲームを研究している熱意が伝わってくる作品だ。
■ コミカルで見応えのある戦闘、ペットなどのキャラクタの仕草にも注目 戦闘そのものは韓国産MMORPGの影響を強く受けている。街の外にはたくさんのモンスターが闊歩しており、それを倒していくことで経験値やアイテムを獲得する。敵をダブルクリックをすることで敵に近づき攻撃する。天人は手を使わず念力で剣を操って敵を斬り、鏡童はその小さな体で精一杯武器を振り回す。ショートカットキーにスキルをセットしておくことでスキル攻撃も行なえる。ちなみにモンスターはお金を落とさず、ドロップしたアイテムを売却することでお金を得ることとなる。
職業に就くためにはそれぞれのクエストをクリアする必要がある。各職業は固有のスキルが設定されていて、職業に就き、レベルを上げることでスキルポイントを取得し、スキルを獲得していく。クエストさえクリアすれば、NPCに話しかけるだけでいつでも他の職業に転職できる。スキルによっては他の職業になっても使用することができる。スキルの組み合わせにより自分だけのキャラクタ像を追求可能となっているのだ。 「飛天online」では踊り子になると重い鎧や武器がつけられないなど、職業によってかなり装備条件が変化する。楽師の楽器を使うスキルなど、装備に左右されるスキルの取得は、後先のことまでよく考えて取得していく必要があるだろう。 今回戦闘で見ることができたのは刀客と楽師のスキル。楽師は“吟遊詩人”のように楽器で戦う職業で、キャラクタの能力値を増す支援スキルを使用するとキャラクタの周りに音符が浮かんだりする。強力な一撃を加える刀客の「虎斬」では、虎のオーラが輝く。キャラクタ達のスキルの演出は派手で見応えがある。 また、ペットの活躍も見ることができた。ペットには様々な種類が存在し、ゲットするためにはクエストをクリアする必要がある。また、専用の“コイン”をゲットし、それを商店の店先においてある“ガチャガチャ”に入れることでペットの卵を入手することもできる。ペットは卵の状態からすでに活動的で、召還するとプレーヤーの後ろをちょこちょことついてきて、プレーヤーが攻撃する敵を一緒に攻撃する。 ペットにも固有のレベルが設定されていて、レベル10を超えると卵から孵化する。サボテンのようなペットや、水棲恐竜のようなペット、ロボットとぬいぐるみの中間のような金属の熊、虎ジマのワンピースを着た鬼娘といったキャラクタが確認できた。各キャラクタには支援型や回復型、攻撃型といった個性を持つ。名前は自由に設定できる。プレーヤーは複数のペットを所有可能だが、一度に呼び出せるのは1体のみだ。 ペットたちの表現は楽しい。鬼娘はとても可愛らしいし、サボテンは目がうつろでちょっと怖い。熊は手が伸びるパンチや、首を外してたたきつけたりと、びっくりするような攻撃を見せてくれる。他の人が使っているところを見たら、欲しくなること必至である。ペットはアイテムのように他のプレーヤーに受け渡し可能だ。 キャラクタ、ペットのみならず、NPCの仕草や世界の描写も本作は非常に魅力的だ。獣人の男は街角でボディービルダーの様な格好をしているし、プレーヤー間のメールの受け渡しを仲介するポストはトラボルタ張りの見事なダンスを見せてくれる。ちょっと「ポンキッキーズ」を思わせるデザインラインもあって、独特の“キモカワイさ”がある。
動物の頭のようなデザインの建物や、ベロを出してそこにコインを載せるガチャガチャなど、細かい演出も楽しい。また、スタートの街はぐっと落ち着いた中国風の風景が広がっていて、遠景は水墨画のようなラインもある。昨今の韓国のMMORPGは比較的狭いフィールドでスタートしアップデートで少しずつ地域を足していくが、「飛天online」ではいくつもの街のある広大なフィールドを最初から展開するという。街の風景を見比べたりするのも楽しそうである。
■ 扇子やペットボトルに乗って空を滑空、生産要素も充実 本作を象徴する要素として特に触れておきたいのが「飛剣」システムだ。中国の武侠映画などでは剣の上に乗り空を滑空するシーンなどが描かれるが、本作ではそれをシステムとして取り込んでいる。剣だけでなく槍や楽器、扇子など武器として登場するすべてのアイテムに乗って飛ぶことができる。ちなみに平民は“ペットボトル”に乗って飛ぶことができる。
本作には生産要素もあるサブスキルという扱いで、取得条件はない。自分の得意な分野を伸ばしていくことが可能だ。伐採や採掘などの収集スキルの他、香をたいて何もない空間から物質を精製する「霊修」といったユニークなスキルまで様々なものがある。 面白かったのが伐採スキルの場合、フィールドを歩いていると「伐採所」アイコンが表示されるのだが、ここで斧を持ってスキルを使うと突然木が“出現”するのである。ゲームの中で表示されている木に近づくといった行為は必要なく、アイコンが表示されているフィールドならば何処でも伐採可能なのだ。 ストーリー性、キャラクタシステムと戦闘、独特世界観、そして生産要素と多くのセールスポイントを持つ本作であるが、まだまだ魅力はつきない。台湾産のMMORPGとしてできるだけ要素を詰め込もうというスタッフの気合いが感じさせられる。 今回体験できなかったところで興味のあるポイントは「宿命」システムだ。プレーヤーキャラクタが設定した干支と生年月日の相性によって「宿敵」など他のプレーヤーキャラクタと相性を持つ。相性のあうキャラクタが近づくと、左上の運のゲージが反応するのだ。システム側で設定された出会いを推奨するシステムなのである。 また、冒険を共にしているプレーヤーとは師弟関係などの特別なつながりを持つことができるのも興味深い。早く多くのプレーヤーと共にプレイをして、つながりを持ってみたい。本作はコミュニケーションシステムが充実していて、チャットだけでなく、メッセンジャー機能やメールなどが最初から組み込まれている。おしゃべりだけで時間を過ごしてしまいそうなプレーヤーも多くなりそうである。
「飛天online」は少しさわってみただけでも、日本産、韓国産の作品とは少し違った感触を持つゲームだと言うことがわかる作品だ。その「雰囲気」は是非本作をプレイして感じてもらいたい。クローズドβテスト、オープンβテストを経て、本作がプレーヤー達にどんな評価をされるかは興味深いところだ。 今回、大久保氏とオンラインサービス部部長の能島城亮氏からお話を伺った。「飛天online」の日本展開については、現在検討されているのが、日本先行で各職業のバランス調整と、新しいスキルの導入ということだ。 戦闘のエフェクトなども日本のユーザーのことを考えてより派手で見応えのあるものを、可能ならばクローズドβテスト中に実装予定とのことで、日本のユーザーは台湾オリジナル版よりパワーアップした「飛天online」が体験できそうである。 3月13日からクローズドβテストが始まるが、テストは2週間くらいが予定されている。この後オープンβテスト、正式サービスへと移行が予定されているが、今後の具体的なスケジュールについては、3月に開催予定の記者発表会で明らかにするという。また、台湾では課金形式として月額課金+アイテム課金制を取っているが、日本でどのような課金形態になるか注目されるところだ。 「飛天online」は宿命システムや流派(ギルド)など、人の繋がりに大きなポイントを置いた作品であるため、ガマニアの社内ではネットカフェなどで実際にプレーヤー達が顔を合わせられるようなイベントを企画したいという声も活発である。また、日本ならではの展開としての「隠し球」も用意しているそうなので、今後の情報に期待したいところだ。
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□ガマニアデジタルエンタテインメントのホームページ (2006年3月7日) [Reported by 勝田哲也]
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