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「アーティング レーシングチーム with インパル」2006年 体制発表会開催
ポリフォニー・デジタルがフォーミュラ日本の車体デザインを担当

3月1日 開催

車体デザインを手がけたポリフォニー・デジタルの山内一典氏を囲み、2006年のドライバーを務める本山哲氏(向かって左)と星野一樹氏の3名でガッチリと握手を取り交わした
 株式会社アーティングは、レーシングチーム「アーティング レーシングチーム with インパル」の2006年体制発表会を開催した。フォーミュラ日本に今年も参戦するにあたり、アーティングの酒井浩太氏、星野一義総監督、岡田秀樹チーム監督、そしてドライバーを務める本山哲氏、星野一樹氏が出席した。

 実は2006年の「アーティング レーシングチーム with インパル」の車体デザインを、「GRAN TURISMO」シリーズの制作を続けている株式会社ポリフォニー・デジタルが手がけている。手がけることになったきっかけは、2005年のフォーミュラ日本で年間総合優勝を獲得し、今年も同チームのドライバーを務める本山哲氏が、2005年の忘年会パーティで個人的な繋がりと盛り上がりから、山内一典氏に頼み込み、引き受けてもらったのだという。

 本山氏は「僕は常にレースはカッコイイものであると思うし、子供の頃からカッコイイ車が好き、カッコイイデザインが好きなんですね。昨年度はおかげさまでチャンピオンになれ、今年は新たに1番と2番を背負っていくので、それにふさわしい見栄えと、カラーリングの車が欲しいなという想いで、山内氏にお願いしました」と経緯を説明。

 製作するにあたり本山氏も「僕はこだわってしまうので、デザイン案ができあがってきたときから、色々とアイディアを提案させてもらって、それをまたすぐに形にしてもらって、本当に短い時間の中で寝る間も惜しんで製作してもらい、とにかく素晴らしいものができあがってよかったと思う。とにかく、カッコイイ車で走れるのが嬉しい」ということで、満足のいく仕上がりとなったようだ。

 山内氏は車体デザインのコンセプトについて「日本のモータースポーツのトップカテゴリーにふさわしい完成度の高いデザイン、格好良さというものをどうしてもマシンに求めたいと本山選手がおっしゃったので、普段から車に対してクールなものを求めている我々としても何とかしたいなと言うところから生まれたデザインです」と説明。

 さらに山内氏は「日本のモータースポーツと言うことで、“和”をベースにしました。具体的には歌舞伎のデザインをモチーフにしています。それから細かいところなのですが、このマシンは、おそらくフォーミュラ日本のマシンとしては初めてフィルムラッピングという薄いフィルムを全面に貼るということでデザインをしています。これにより、塗料を使ったペイントに比べて、だいたい半分ぐらいの重量となっています。それはデザインを速さに繋げるという僕らの意図が込められているんです。さらに、熱が入りそうな場所は元々のカーボンを活かしています。これは年間を通じて整備の皆さんがメンテナンスが簡単になるようにという点に配慮したことと、当初のデザインが時間と共に変化するということをなるべく防ごうということで、こういった試みを取り入れています。こういった試みが全てうまくいくかは開幕を待たなければならないのですが、こういったコンセプトはモータースポーツファンにもアピールしていくと思います。今から開幕戦が楽しみです」と説明した。

 今年ドライバーとして加わった星野一樹氏はデザインの感想として「強そうなイメージで、1番のナンバーを背負って走るにはふさわしいカラーリング」と絶賛。しかしそれがプレッシャーにもなるようで、「自分に似付かわしくないのではないだろうかと思ったりもした。カラーリングに負けないようなレースを見せたい」と気を引き締めていた。

 記者会見後にいくつか質問をする機会があったので、山内氏に伺ってみた。“歌舞伎”のイメージ以外に何かデザイン案はあったのかという点については「わりと直感的に思いついたのは、航空機のデザインですね。航空機のデザインは時々F1などでも取り上げられたりしていて、王道のデザインですが、そういう方向もありましたね。でも、“和”というのはすごく直感的に思いつきました。“フォーミュラ日本”って、“ニッポン”っていう言葉が印象的じゃないですか、“ジャパン”とも違う。ですからそこは迷わずに決まりましたね」とコメント。

 本山選手によれば何度かやりとりがあったと言うことだが、この点については「たとえば、赤と黒のバランスであるとか、色の比率といったところについては、本山選手と本山選手のお子さんの意見を反映しましたね。やっぱり子供にもカッコイイと思ってもらえるデザインにしたいという願いが本山選手にもあったので、そういった点を考えました」と語った。これは「GRAN TURISMO 4」の完成披露記者会見の折に山内氏が語っていた次回作にも繋がる想いだろう。子供にカッコイイと思ってもらえることでモータースポーツ全体の底上げにも繋がると言うことだ。ソフトだけでなく、こういったところにも一貫して山内氏の想いが反映していると言える。

 今回、一番チャレンジングだった点については「このフィルムラッピングについては初めてなんですよ。ですから、実際の再現性と施工できるかどうかという点も含めて初めてづくしだったんです。重量は軽くなるのでレーシングカーとしてはいい手法なんですが、その試みが初めてだったのがチャレンジングだったと思いますし、挑戦しがいがありました。PC上でもさんざんシミュレートとかやりました」と述べた。

 今回は次回作についての話題には触れられなかったが、こういった経験が次回作に生かされる訳なので、無関係とも言えないだろう。そういった意味では、今年は、少し違った角度からフォーミュラ日本に注目してみるのも良いかもしれない。

昨年のフォーミュラ日本で年間総合優勝を獲得した本山哲氏。「GT」シリーズとの繋がりも深い 当初会場では車にシートがかぶせられていたが、山内氏が呼び込まれ、皆でシートを取り去り、2006年の車体がお披露目となった 「歌舞伎」をイメージしたというカラーリング。フォーミュラ日本の「ニッポン」という響きから和風なデザインになったという
本山氏は「2005年の忘年会で山内氏を捕まえて無理にお願いした。寝る時間もなくなったのではないか。1番と2番を背負って走るのにふさわしいカッコイイデザイン」とコメント。今年からドライバーとして加わった星野氏は「強そうなイメージで、1番にふさわしいカラーリング。自分に似つかわしくないのでは……カラーリングに負けないレースを見せたい」と気を引き締めていた
車体を真正面から見たところ 後輪付近に「GT」のロゴと“Concept by GRAN TURISMO”の文字が描かれている コクピット内の様子


□アーティングのホームページ
http://www.arting.co.jp/
□「アーティング レーシングチーム with インパル」公式ページ
http://www.arting-racing.jp/
http://www.arting.co.jp/culture/racing.html
□ポリフォニー・デジタルのホームページ
http://www.polyphony.co.jp/
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/

(2006年3月1日)

[Reported by 船津稔]



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