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会場:スクウェア・エニックス本社
3度のβテストを終え、いよいよ本日2月23日より正式サービスが開始されたFE。正式サービス直前に行なわれた今回のインタビューでは、βテストの中で徐々に進化を遂げたゲームの魅力をはじめ、今後登場する予定の新召喚モンスターによる、新たな戦争システムに関する話を聞くことができた。さらに構想段階ではあるということだが、クラスチェンジという注目のキーワードも飛び出た。ファン注目のインタビューである。
■ βテストを振り返って。開発BBSが盛況。多くの意見をゲームに反映
渡辺氏: まずなにより大変でした。こういったPvP中心のオンラインゲームのβテストは初めての経験でしたので、想像以上にいろんなことをするのに時間がかかってしまいました。特に、βテスターのみなさんからの意見や要望が非常に多かったのですが、その内容が痛いほどよくわかって。でも、それに対してすぐに対応したいんだけど、なかなか成果として形にしていくことができない。そういうもどかしさを、一番強く感じましたね。 編: ユーザーの方からの声というのは、βテスト開始当初から多かった? 渡辺氏: 正確に比較したわけではないですが、弊社が運営するオンラインタイトルの中でも多かったはずです。βテスト中はベータテスター用のBBSを用意していたのですが、その書き込み数としては、他のタイトルよりも圧倒的に書き込みの量が多かったと聞いています。 編: 「ファイナルファンタジーXI」のβテスト時よりも多かったと? 渡辺氏: そうですね、そう聞いています。 成田氏: 時期としては、3次βテストの時期が書き込み数が多かったですね。1次、2次までは静観していた方が多かったようなのですが、3次βテストの終わりに近づいていくにつれて、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか?」といった白熱した意見が多く出てきて。そういう意味では、3次βテストでの意見は、BBSへの書き込み数も多くユーザーの熱も高かったので、一番、今後の運営や開発に反映していくべき意見が多かった時期なんじゃないかと思ってます。 渡辺氏: 1次βテストで寄せられた意見をやっとゲーム内に反映できた、というのが3次βテストの時期なんですね。それによってゲームの姿というのが一歩まとまりを持った形になったと思うのですが、そこでまた新しい意見というのが出てきたんではないかなというところですね。 編: 3次βテストに反映できた1次βテストの頃の意見というのは、たとえばどういうものでしょう? 渡辺氏: 細かなインターフェイスの改善がひとつあります。もうひとつは、1次βテストの頃は、どうしても戦争が起こったフィールドでユーザー数の不均衡が起こってしまったりしたんですね。その結果、戦争がまともに立ち行かなくなったりしたんです。それに対し3次βテストでは、ひとつの手立てを入れることができました。 編: 「ランク制度」や「参戦コスト」というものが、それにあたるものですか。 渡辺氏: そうですね。1次βテストの序盤にきたユーザーからの意見をもとに、なにか手を打とうと3次βテストに導入してみたものです。そこで満足せずに今後も改善していきたいと思っています。特に戦争がうまく展開されていく、という点は今後も大きな課題になりますね。 編: βテストで、特別に人気の出た国というのはありましたか? 渡辺氏: 以前、「じじい(エルソード王国王ナイアス)の国が人気がでなさそうで心配だ」と発言したことがあったんですが、逆にじじいの国が人気が出ちゃったんですね。ですので、あまりうかつな発言をすると、バランス取りに影響が出てしまうんですよ。 エルソード王国の人気が出てわかったことなんですが、エルソード王国の国王って魔法使いっぽい雰囲気なんですね。すると、そこに所属するプレーヤーのクラスもソーサラーが多くなる傾向があるようです。クラスが集中した国の戦争を見てみると、やはりクラスごとの相性というのもありますので、シチュエーションによっては負けが続いてしまったりということが見られたんですね。 開発内部でバランスを取っていたときには気付かなかったことのひとつなんですけど、同じクラスが集まることがあるんだ、ということ。もうひとつは、ソーサラーが強くしてみると、結果的にエルソード王国が強くなるということに繋がるんだ、ということに気付きました。そういった意味では、どこどこが人気があるという質問はちょっと答えにくいですね(笑) 編: 国ごとには確かにクラスを連想させるような国王がいたり、国の歴史があったりはしますよね。しかし、実際には国ごとの差はないですよね? 渡辺氏: 国ごとの特色というのは、ゲーム内の雰囲気作りとしては盛り上げたいという思いはありますが、ゲームバランスなどを考えて、正式サービス開始時点では差がないフラットな状態ではじめていきたいと思います。 先ほどのエルソード王国の例もそうですが、クラスの調整や強化を行なうということは、ひとつのクラスが特別多く分布している国というものができていった場合、こちらの想定を超えて強化されてしまう可能性もあるんですね。今後何らかの個性付けはしていきますが、国ごとの推奨クラスを作るようなことはないですね。 編: なるほど、ユーザーの意思が大きくパワーバランスを変えていくゲームだから、そこも考慮していかないといけないんですね。 渡辺氏: 運営する前は、単純に人数比ということを強く意識していたんです。でも、βテストが始まってみると、アグレッシブなユーザーが集まる国というのができてきたんですね。反対に国のイメージ的にまったりとした穏やかなユーザーが集まる国というのもあって、それもまたパワーバランスに強く影響していったんです。 編: ゲブランド帝国はアグレッシブなユーザーが集まりそうな印象がありますね。 渡辺氏: 実際、ゲブラントは強かったですね。そういったところも今後のバランス調整のポイントになってきます。ユーザーの分布などの数字的な面だけではなく、遊ぶ人の意思や動きも考慮していくような考えがあると思います。
■ 「キマイラ」は戦況をくつがえす逆転要素に。クラスチェンジの構想もある?
成田氏: バージョンアップはありますが、あまり大きな変更は入れていないです。不具合の修正が主になっていますね。仕様的な部分も含めて、大きくガラっと変えているようなことはサービス開始時にはないです。 編: レベルキャップはいくつで開始されるのですか? 成田氏: βテストではレベル25にキャップをしていたんですが、正式サービスでは40になります。βテストの中でも装備品はレベル30前後のものがすでにありましたが、それらを装備できるようになりますね。 編: 3次βテストで登場予定だった召喚モンスターのキマイラは、まだ登場は先になるということでしょうか? 成田氏: キマイラは少し意図があって導入を見送っています。戦争に参加している中で挙がっていた懸念のひとつに「相手国とのゲージの差がつきすぎると逆転が望めない」というものがあったんですね。そこをなんとかできないか、というのが1次βテストの頃からの課題でした。その逆転要素として導入されるのがキマイラやレイス、ドラゴンといった召喚モンスターです。 キマイラは、拠点に対してのみ大ダメージを与えられる、特殊な召喚モンスターになります。ただし、召喚してから少しづつヒットポイントが減っていくという、短時間しか存在できないモンスターなんですね。力を合わせて相手の拠点までキマイラを連れて行くような、最後の逆転チャンスのような存在ですね。 編: となると、キマイラを召喚する条件も特殊になるわけですか? 成田氏: そうですね。戦争の状況的に勝っている側は召喚できません。そういった条件がいくつか入ってきますね。戦争の流れが均衡しているときには見られないと思います。 田中氏: βテストまでには見られなかった面白い要素として期待してもらいたいです。他にも戦争を楽しくする効果のあるものをキマイラ以外の召喚モンスターに入れていこうと思います。ランダムな効果があるものとか、そういう盛り上がりが期待できるものにしていこうかなと。 編: スキルについてですが、βテストではスキルポイントの再振り分けができない仕様になっていました。この点は今後変わっていきますか? 田中氏: スキルツリーは複数用意されていて、特にスカウトは分岐が多かったりしますね。ただ、何回もスキルツリーの初期化ができてしまうと、隠されたスキルを想像する、考えるという楽しみがなくなってしまいますので、なんらかの上手い方法をいれていきたいなと思います。特に今後のバージョンアップの中で、スキルを追加したときには必要になってきますから、なんらかの対処をしていこうと思っています。 編: ゲームバランスに関してですが、基本的にパラメータ的な強さよりも、プレーヤースキルのほうが重視される設計なのでしょうか? 渡辺氏: 操作的なプレーヤースキルというのはあると思いますが、あまり個々の能力は重要にならないと思います。どちらかと言えば、状況を把握したり、位置取りを考えるといったプレーヤースキルが重要ですね。 田中氏: 戦争では集団での動きというのがポイントになっていて、あまり個々の能力だけに絞って考えるということはないです。複数の人数が集まったときの、バランスへの影響のほうが大きいです。そういった意味で新しい要素を追加するときは大変です。 編: 個人技のうまさよりも、チームプレイがうまいほうが強いと? 渡辺氏: FEの必勝法として「多勢に無勢」というものがあるのですが、意図してそういうシチュエーションを生み出すと強いということは言えると思います。近くにいるプレーヤーと力を合わせてみたり。無言の連帯感というものが生まれるようになってくると楽しみが増すと思います。 編:レベル40が当初のキャップレベルということですが、レベル的な戦力差は、チームプレイで補える? 田中氏: レベル1の人でも、レベル40の相手の攻撃を避けて、こちらのダメージを確実に与えるという動きができれば、2人ぐらいでも……。 渡辺氏: 2人だとさすがに無理じゃない? (笑) 藤本氏: 本当にうまく戦えれば、あるいはという感じですが、5人ぐらいいれば勝てると思いますね。 渡辺氏: 逆にレベル40の人は、そういった不利な状況を作らないように行動することが重要ですね。 編: レベル40になるまでの時間はどれぐらいを見ていますか? 田中氏: 2カ月から3カ月ぐらいかなと思います。 編: 成長スピードはβテストの頃と近いのでしょうか? 田中氏: 基本的に同じですが、高レベルになってきたときに、モンスターと戦うよりも戦争に参加するほうが伸びるような調整にしています。そこがβテストの仕様とは少し異なりますね。 編:基本的には戦争がメインということですね。お金はモンスターを狩ることで手に入れるというところには変わりはないですか? 藤本氏: そうですね。ただ、お金集めにはそこまで時間がかからないと思います。根本には戦争をしてもらいたいということがありますから。 編: 今後のゲームの方向性や調整は、均衡の取れた戦争を実現したいということなんでしょうか? 渡辺氏: ランク制度は確かにそういった側面のある要素で、負け続けている人や国にも時には勝てる機会を用意したいんですね。逆に勝ち続けている人にも次のステップでなにかご褒美的なものを用意したいと思っています。勝ち負けはともかく、前提として“楽しんでもらいたい”という思いがあるんですね。 編: 正式サービスでは2キャラまで作成可能ですが、複数の国でプレイするというスタイルは想定内ですか? 藤本氏: それは想定内です。当初、沢山のキャラクタを使えるようにもしていたんですが、5カ国全てにキャラクタを持たれてしまうと、国への愛着というのがなくなってしまうと思ったんですよね。ただ、1キャラクタだけにしてしまうと、他のクラスでも遊んでみたいという要望に応えられないので、間を取って2キャラクタにしました。 渡辺氏: そのあたりに関しては、複数のキャラクタを平行してプレイするというよりは、1キャラクタで、たとえば、クラスチェンジをしたりとか、所属国を移籍するようなシステムとか。そういった方法で解決をしたいと考えています。 編: クラスチェンジとは初耳ですね(笑) 渡辺氏: クラスチェンジに関しては、まだまだ構想段階ですが、いろいろな特性をもったクラスで楽しみたい、という要望が多いです。そこで様々なクラスを楽しむというときに、複数のキャラクタを平行してプレイするよりは、クラスチェンジというようなシステムで実現したいという考えがありますね。 田中氏: アイデアとしては、まだまだ特色のあるクラスを出せると思うのですが、選択したクラスをずっとプレイしていくというのは退屈ですよね。違ったクラスを遊べるシステムがあると、楽しみやすいですし、こちらも新しいクラスを追加しやすいですよね。 渡辺氏: その点に関しては、スキルポイントの振り直しが関わってきますね。クラスチェンジというアイデアとあわせて、どういうシステムになってくるかはお楽しみに、というところで今はご勘弁ください(笑)
■ 今後はルールの細分化、召喚モンスターの追加など「戦争する楽しみ」を拡充
渡辺氏: 開発チームで共有している開発リストのようなものがあるのですが、ユーザーの皆さんからの意見がかなり多く反映されています。それを順を追って実現していくということになりますね。 編: たとえば、その開発リストの中で、優先順位の高いものというのはどのようなものですか? 田中氏: 3次βテストで、それまでの課題だった所属人数差や戦力格差といったものを少し調整できたのですが、そのために戦争をする意味合い、領土を獲得する意味合いといった部分を意図的に封印した経緯があります。ですから、次はフィールドを取る楽しみを伸ばしていこうというところがありますね。 編: 戦争をする意味としては、領土が増えることで自国が成長するという「文化レベル」というものがありましたが? 田中氏: 以前の文化レベルは、強い国がより強くなってしまうものになってしまったんですね。基本的には以前の文化レベルをベースにしつつ、強さやパワーバランスにあまり影響がない楽しいものを入れていこうと思います。見た目のいい装備や、ユニークなアイテムを出すようなことにしていこうと思います。 編: 基本的なゲーム展開として「全てのフィールドをひとつの国が占領する」ことを繰り返していくのか、「絶えず戦争が続く内乱状態が永続する」ことになるのかが気になるところです。 田中氏: 今は、内乱状態が続いていくイメージです。今後もそこは変わらないかなと思います。 渡辺氏: 現実的に5つの国が存在する中、ひとつの国が全てのフィールドを支配するというのは難しいと思うんですよ。実現不可能ではないかなと。そこに目標を置いてしまっても、正直、ユーザーのかたが困ってしまうと思うんです。 編: 大陸全てを統一する楽しみというよりも、戦争そのものを楽しむというのが、基本的なゲームデザインでしょうか。 渡辺氏: そうです。戦争というよりも体育祭に参加しているようなイメージがあって、わいわいとユーザーが集まって力を合わせて競い合って。そうしてがんばること自体が楽しいと思えるようなところを目標にしています。 田中氏: その理想的なイメージが基本としてあるうえで、勝利を重ねた国にはご褒美があるよ、というところに向かっていますね。 編: 戦争に参加し続けるためのモチベーションを維持する工夫には、たとえばどういったアイデアがあるのでしょうか? 田中氏: まずひとつはアイテムですね。コスプレ要素の強いようなものや、オシャレな装備品を用意します。 渡辺氏: 逆転要素が実現する召喚モンスターをいれたりすると、戦争の楽しみ方が変わりますよね。戦争のルール的なものも変わっていくと、そこで楽しめることが変化します。例えば、FPSのゲームで使われているようなゲームモードってFEの世界に入れていっても楽しめると思うんですよ。少し先の話にはなりますが、現段階が固まってきたあとには、戦争のバリエーションも増えていくかもしれません。 田中氏: 今は互いの拠点を攻撃しあうというルールに基づいてますが、例えば複数の拠点を守るようなルールもできると思います。フィールドマップごとにルールを変えてみたり、選択できるようにしてみるのもよいかなと思います。 編:それらは、戦争で手に入るリングを交換することでアイテムが手に入れるという「リングショップ」で手に入るようになるのでしょうか 田中氏: それももちろんありますが、リングの数だけが交換条件ではなく、占領領土が増えていくことで開放されるレアなアイテムというものもあります。 編:オンラインRPGでは、季節的なイベントなど各種イベントが開催されたりしますが、FEではどのようなイベント展開になるのでしょう? 渡辺氏: バレンタインとか、クリスマスとか。そういったものですよね。やりたいな、という思いはあります。たとえば、チョコレートを奪い合うみたいなものとか、ね(笑)。 田中氏: そういうイベント開催のタイミングで、新しいルールなんかを試しに入れていくのもいいかなと思います。ただ、イベントや戦争の新ルールも現段階では構想段階です。 編: 「ファイナルファンタジーXI」にあるリンクシェルのような、ユーザーグループを作れるシステムというのは、今後登場しますか? 渡辺氏: 開発リストの中でも、かなり優先順位の高いところに予定されている機能です。多人数で楽しむというゲームですので、コミュニケーション部分やコミュニティの形成に注目しています。 編: RPG的な側面としてクエスト要素やシナリオ展開というのはいかがでしょう? 成田氏: 国としての特色を見せる場面としてクエストやシナリオの展開というものが適切かなと考えています。 藤本氏: 開発の優先順位としては決して低くはないです。ただ、他にも優先順位が高いものが多いということはあります。 編: 気が早いですが、拡張ディスクの販売といったことも考えていますか? 藤本氏: まずは、運営中に作っていっているものや調整すべきものが多々あるので、それを出していってから考えていこうという状態ではありますね。 渡辺氏: 正式サービス段階のパッケージにあるデータでも、実装されていないものがかなりあるので、それを導入していくこと、固めていくことが先になります。その先の話としては、いろいろと考えてはいますという感じですね。 編: 海外展開についてはいかがでしょう? 渡辺氏: 考えてはいますが、具体的にお話できる状態ではないですね。アジア圏のマーケットはやはり大きいので、話をしていきたいところではあります。ただ、新しい要素の多いタイトルなので、慎重に進めていきたいところですね。ユーザーの方がゲームの流れを引っ張っていくというタイプのタイトルなので、海外のかたがプレイするとまた変わるかもしれないですよね。そのあたりも考慮していく必要があります。 編: 最後に、ユーザーの方へメッセージをいただけますか 田中氏: 私たちとしては、やっと始まるという思いはありますが、これからまだまだ成長していくゲームですので、みなさんと一緒にファンタジーアースの世界を育てていきたいなと思います。 渡辺氏: ファンタジーアースならではの遊び方や味わいというものを、もっとハッキリと打ち出せるようにしていきたいところです。遊んでくれた方に「面白い体験をした」というように思ってもらえるよう、がんばります。 藤本氏: ようやくすべてユーザーの皆さんの目に触れるところまで来ましたので、購入してくれた方に、全力で面白さを届けていこうと思います。 成田氏: βのBBSを見ていると、ユーザーのみなさんからの期待が高くて、すでに思い入れを持っているかたもいたんですね。どうしても運営側とユーザー側というスタンスの違いはあるのですが、できるかぎりリクエストに応えれるように、提供していきたいなと考えています。 (C) 2005,2006 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2006年2月23日) [Reported by 山村智美/中村聖司]
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