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★PCゲームレビュー★

西部劇のエッセンスを凝縮した
ちょっと“小粋”なアクションアドベンチャー

「GUN」

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 開発元:Activision
  • 販売元:ラッセル
  • 価格:オープンプライス(通販価格:7,000円)
  • 対応OS:Windows 2000/XP
  • 発売日:発売中(12月2日)



  •  米国ではPC向けのみならず、Xbox 360向けにもリリースされているActivisionの「GUN」は、西部劇の主人公になりきれるアクションアドベンチャーである。広大な荒野を馬で駆け抜け、悪漢共に鉛玉を撃ち込み、駅馬車を守り、賞金首を追う……。本作は、いわゆる西部劇のエッセンスが凝縮されている作品である。今回のレビューでは、正義のガンマンになりきれる本作の魅力を紹介していきたい。


    ■ ヒーローになりきれるかっこよさと、カジュアルさを持ったゲーム性

     「GUN」は、18世紀後半のアメリカ西部開拓時代を舞台としている。主人公Colton Whiteは、父Nedと共にワイルドウェストの荒野で自然と共に生活していた。しかし、Coltonの生活はある事件で一変する。蒸気船で川を下っていた親子は突然無法者達の襲撃を受ける。親子の防戦むなしく乗客達は殺され、船は炎に包まれる。父は形見を息子に渡し、炎の中に消えた。

    本作は街や峡谷、荒野などを1枚のマップで再現しており、中盤からはプレーヤーはマップを自由に移動し、ゲームを進めていくことができる。様々な地形が取りいれられたマップは、変化に富んでいて、探索しているだけでも西部劇の雰囲気を味わうことができる
    酒を飲んで体力回復。ボトルにウィスキーががある限り、主人公はいつでも体力回復することができる。弾が飛び交う戦場で酒を喉に流し込む姿は、本作ならではのケレン味がある
     無法者達は父を狙っていた。Nedの過去には何が? 疑問を抱きながら、父の遺した言葉に従いドッジシティーへ向かい、娼婦のJenyを訪ねる。彼女との出会いが本当の冒険の始まりである。ストーリーが進むと共に、謎の黒幕Thomas Maguruderの姿が明らかになっていく。硝煙渦巻くこの世界で、Coltonはやがてある秘宝を巡る大きな陰謀に巻き込まれていく……。

     今回発売された「GUN」は日本語マニュアル付きの英語版である。キャラクタ達のセリフには英語の字幕がつくが、セリフをきちんと把握するためにはある程度の英語力が必要となる。ただし細かいニュアンスがわからなくても、ゲームの楽しさは充分体験できる。各ミッションでやることは明確に提示されており、ストーリーはどんどん展開していく。英語が苦手な人も充分楽しめるタイトルである。

     ゲームはキャラクタを後ろから見るサードパーソンビューで進行する。Coltonはショットガンやライフル、ハンドガン、さらには弓矢と、いくつもの飛び道具を使いこなし、さらに右クリックでナイフや手斧といった接近戦武器も使うことができる。接近武器はなかなか強力で、近付いてきた敵を一撃でしとめられるのは気分爽快である。

     Coltonの体力回復は本作ならではの非常にユニークなものだ。Coltonは常にウイスキーを持ち歩いており、これを飲むことでHPが“瞬時”に回復する。敵がひっきりなしに弾を撃ってくる中で、余裕たっぷりにビンを傾けるColtonの姿は、非常に“粋”である。酒はマップ上に落ちているものを取ればいつでも補充可能だ。

     また、火炎瓶やダイナマイトを使うことができ、マップによってはTNT火薬が入った樽や、備え付けられたガトリングガン、大砲を使って敵を殲滅させることができる。馬に乗って敵を蹴り倒すこともできる。

     欧米のアクションゲームでおなじみのいわゆる「バレットタイム」も採用している。本作では「クイックドロウ」という名称で、発動させると敵の動きはスローモーションになる。多数の敵をまとめて倒すこともできるし、女を盾にする卑怯な悪漢に、ゆっくり狙いを付けて額に鉛玉をぶち込むこともできる。敵の集団をTNTの樽の罠に誘い込んだ時、最大の効果を上げるタイミングを計るときなどもクイックドロウは効果的だ。

     敵の攻撃をものともせずに弾丸をかいくぐり、敵を打ち倒し、物陰で酒をあおって体力を回復、クイックドロウで正確にヘッドショットを決め敵を打ち倒す。馬で走りながらライフルを撃ったり、奪った大砲を使って敵の集団を一掃したり……。本作のゲーム性はリアルさよりもヒーローらしい活躍ができる方向にベクトルを向けている。ゲーム全体の難易度は抑えめで、多数の敵を相手に超人的な活躍ができる。

     インターフェイス面では、Xbox 360のコントローラでの操作を前提としているためか、照準のカーソルと武器の当たり判定が大きく、このポイントでも難易度が下がっている。ただ使用するボタンもコントローラに準じているためか、ちょっと多く、煩雑さも覚えた。自分なりにカスタマイズすることでよりプレイしやすくなるだろう。

    主人公Colton。父の秘密を巡る冒険は、やがて大きな謎と陰謀につながっていく 酒場で一番の美女Jeny、ゲームでは入浴シーンも披露してくれる。自らショットガンを持って戦うこともある強い女性である Thomas Maguruder。Nedとも浅からぬ因縁を持つ黒幕。彼が企む野望とは?
    様々な火器を使いこなすColton。ショットガンは広い当たり判定を持つ、接近戦で威力を発揮する武器だ ライフルはズームすることで狙撃も可能。使い勝手も良く装弾数も多いため、メインウエポンとして頼れる武器である 敵がスローモーションになるクイックドロウ。馬上の敵にもヘッドショットを決められる
    ゲームが進むと2丁拳銃も使用可能に。クイックドロウの射撃スピードが大幅に増す 右クリックで接近戦攻撃を行なう。ナイフで切り刻まれた敵は血しぶきを上げて倒れる 火炎瓶を投げる。投擲ボタンを長押しすることで距離が変えられる。ゲームが進むとダイナマイトも使用できる
    馬に乗って右クリックすると敵を前足で蹴り飛ばす。威力はかなり高い ガトリングガンを乱射。ミッションによってはこういった強力な武器も出現する 蒸気船に備え付けられた大砲で襲撃者達に立ち向かう


    ■ 賞金稼ぎに配達、カウボーイも体験できるサイドミッション

     「GUN」は秘宝と陰謀を巡る基本的なシナリオの間に、様々なシチュエーションのサイドミッションが用意されている。この殺伐とした西部の世界にどっぷり浸かるためにも、また、キャラクタを強化するためにも積極的に挑戦していきたいところだ。

    頭の上に文字が出ているのがサイドミッションをくれるNPC
    購入画面。武器の種類はゲームを進めることで増加していく。商人から購入できるのは、武器や馬のステータスアップ用のアイテムだ
     サイドミッションはNPCに話しかけたり、賞金首の張り紙を読むことでスタートする。賞金首の情報をつかめばマップにターゲットの位置が表示される。賞金首は手下に守られている場合もあるので注意したい。賞金首は生きたまま捕らえることができれば賞金が跳ね上がる。馬に乗って逃げる賞金首などにはまず馬を撃ち逃げ道をなくし、さらに攻撃して体力がなくなったところで組み付き、右クリックで締め上げればいい。

     保安官の仕事を手伝うとより凝ったシチュエーションでの戦いが楽しめる。街の至る所から敵が襲ってきたりと、集団を相手にする場合も多い。TNTが詰まった樽を配置し、敵がやってくるのを待ちかまえたり、集団に囲まれる保安官をいち早く助けるために馬に飛び乗るといった、瞬間的な戦略が必要となる場合もある。

     戦うばかりが西部の男ではない。「ポニーエクスプレス」というミッションでは、馬に乗り、様々なものを配達する。このミッションには厳密な制限時間が決められており、その時間は必要最小限しかない、正確なコース取りや、時には柵をジャンプで飛び越えるようなショートカットも必要となる。ミッションを繰り返すことで内容が凝ってきて、医者に薬を届けようとするが、ならず者が立ちはだかる、といった展開もある。時間的に敵を相手にしている余裕はない。弾丸をかいくぐりながら馬を急がせなくてはならず、思わずキーを押す指に力が入ってしまう。

     また牧場では、牛や馬を柵に入れるという、カウボーイそのままのミッションが楽しめる。馬で牛を追いかけ望みの方向に移動させるという、ゲーム性そのものは単純だが、西部劇ならではの雰囲気がある。群のリーダーの周りに牛を一度集結させ、そのリーダーを導くといったミッションもあり、それなりに凝っていてニヤリとさせられる。

     中国人マフィアがアジトを構えていたり、山賊が鉱山夫を人質に立てこもっていたりと、サイドミッションは小粒ながら西部劇のシチュエーションのツボをきちんと押さえていて、なかなか楽しい。これらのミッションをクリアすることでColtonのステータスはアップしていく。戦闘ミッションをクリアしていけば、メレーやクイックドロウといった戦闘技能が上昇し、ポニーエクスプレスを積極的にやっていけば馬のスピードや耐久力が上がる。

     さらにミッションで得た賞金を使用し、商人からアイテムを買うことでよりキャラクタの力をアップさせることができる。スピードローダーを買うことでリロード時間を短縮したり、ショットガンのバレルを短くしてダメージを上げたり、キャラクタの体力の上限値を増やすことも可能だ。

     所持金はミッション以外にもマップの様々なところに隠されている金を掘り返すことで増やすことができる。また、ポーカーで所持金を増やすことも可能だ。ミッションは後半になると、どんどん敵も増え、難易度も上がってくる。キャラクタを強化しておくことはゲームを進めるためにも重要な要素だ。

     「GUN」はせっかちにメインのシナリオを進めるゲームではなく、積極的にサイドミッションをこなしながら、細かいシチュエーションを楽しんでいく作品だと思う。ストーリーは一本道だが、あえてストーリーを進めず、寄り道する。そうして、世界全体を楽しむこともできるゲームだと感じた。

    賞金首の情報が書かれた張り紙。読むことですぐにターゲットのいる位置がわかる 馬車の乗客を餌に保安官をおびき出す罠を仕掛けていた盗賊団。保安官から引き受けるミッションは、シチュエーションが凝ったものが多い ポニーエクスプレスのミッションはコース取りやショートカットなど、乗馬技術が必要となる
    牛を追うミッション。リーダーとなる牛の周りに他の牛を集めなければならない サイドミッションをクリアすることでステータスがアップし、ゲームを進めるのが有利になる マップの様々なところに隠された金。掘ることで所持金を増やすことができる
    入植者が盗賊に襲われている。早く倒さないと彼らは全滅してしまう ポーカーなどのミニゲームもある。うまくいけば大きく所持金を増やすことも可能だ ネイティブアメリカンのハンターからは、特別な獲物を指示される。また、ネイティブアメリカンの商人からは弓矢を強力にするアイテムなどが入手できる


    ■ 西部劇ならではのシチュエーション満載のゲーム展開

     本作の最も秀逸なポイントは、なによりもその題材である西部劇へのこだわりである。とにかく、シチュエーションが秀逸なのだ。蒸気船に次々と上ってくるギャング、火炎瓶が放り込まれる酒場での防戦、馬に乗りながらの銃撃戦、崖での待ち伏せなどなど「いかにも」な場面が目白押しだ。

    父、Nedから狩りを通じて武器の使い方を学ぶ。西部の男らしいエピソードである
    馬車の屋根の上からネイティブアメリカンを撃つ。西部劇の映画そのままのシーンだ
     プレイしながら気づかされたのは、数十年にも及ぶアメリカの西部劇の文化である。本作に感じるのは、特定の映画のオマージュではなく、西部劇と聞いて頭に浮かぶイメージなのではないだろうか。CMやドラマの1シーンや、「バック トゥ ザ フューチャー3」、サム・ライミ監督の「クイック アンド デッド」といった、西部劇が大好きな、制作者の趣味が全面に出た映画やテレビ番組やパロディといった、パターンとしての西部劇のエッセンスである。本作はそのイメージをうまく具現化している作品だと感じるのだ。

     筆者はJenyを乗った馬車をネイティブアメリカンから守るミッションが大好きである。火矢を打ち込まれる馬車、雄叫びを上げながら襲ってくるネイティブアメリカン、馬車の車輪がはずれ、修理する御者を守らねばならない時、Jenyも銃を手に取り戦う。動き始めた馬車の屋根に上り、周囲を馬で走り回るネイティブアメリカンに必死に銃を撃つ。走る馬車の上で、ネイティブアメリカンに取り囲まれながらの防戦はとても興奮させられた。まさに、西部劇映画の登場人物になりきれたのだ。

     他にも、多くの追っ手に追われながら、仲間と共に砦に立てこもり、ライフルで敵を狙撃したり、TNTの樽をトンネル周辺にセットし、岩を崩し汽車を止めるという列車強盗まがいのミッションもある。スタッフの西部劇への傾倒が伺える、様々なアイデアが本作には込められている。

     砲弾の雨をくぐり抜けながら砲台にとりつく戦争映画のような場面もある。また、チュートリアルのミッションではNedの手ほどきで武器の使い方を教わるのだが、ここは父と狩りをするというシチュエーションになっていて、Nedは頼もしく、このシーンが父との大切な思い出にもなる。日本のゲームとはすこし違う情感にも注目して欲しい。

     マップの探索もオススメだ。ネイティブアメリカンの壁画があったり、間欠泉や、ならず者のキャンプといったシナリオの舞台となる場所をじっくり見ることができる。様々な地形が用意されたこの世界は、映画のセットのような雰囲気も持っていて、なによりも、馬の蹄の音を聞きながら、荒涼とした西部の地を歩くというシチュエーションがプレーヤーを西部劇の世界の登場人物になりきらせてくれるだろう。たまにはシナリオを進める手を休めて、じっくり風景を見てもらいたい。

     1つだけ不満、と言うよりワガママな要求をしたい。本作の敵が倒れるモーションはもう少しこだわって欲しかったと思う。リアルさではなく、例えば胸をかきむしって倒れるような、ちょっとうさんくさい、昔の映画らしい演出が欲しかった。

     本作は英語版でありながらどうやってミッションを進めて良いかわからなくなる事はなく、難易度は抑えめで、かっこいいアクションが思う存分楽しめる。ミッションは細かくチャプター分けされているので、たとえゲームオーバーになってしまってもミッションを頭からやり直しすると言うことがなく、ストレスが少なかった。

     こういった親切な部分は、本作が日本のコンシューマゲームの影響を受けていることを強く感じさせた。Xbox360向けのゲームの多くがこういった細やかな配慮をしているならば、欧米のゲームは今まで以上に日本に受け入れられるかもしれない。カジュアルな楽しさを持った作品である。特に西部劇というキーワードにピンと来る人には強くオススメしたいタイトルだ。

    蒸気船で無法者相手に父と共に戦う 父の遺言に従って訪れたダッジシティー 炎に包まれる酒場。Jenyも銃を手に応戦する
    火薬の詰まった樽に火をつけようと突っ込んでくるネイティブアメリカン達 ネイティブアメリカンが待ちかまえる道を進む馬車。先行して敵を叩くのも有効だ 建物の陰に隠れる敵と戦うことも。屋根に上るには?
    罠にはめられ囚われの身に。ここでの出会いがColtonに新たな運命をもたらす 闇の中の逃亡。この道はどこに続くのか…… 列車を止めるため、トンネルの入り口に火薬を設置する
    荒涼とした西部の雰囲気を再現したマップ。バイオリンやハーモニカによる、雰囲気たっぷりのBGMを聞きながら、のんびり探索するのも楽しい

    (C) 2005 Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark and GUN is a trademark of Activision Publishing, Inc. All rights reserved. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners. Marketed and distributed in Japan by Russell.


    【GUN】
    • CPU:Pentium III 1.2GHz GHz以上
    • メモリ:256MB以上
    • HDD:4.3GB以上
    • ビデオカード:VRAM 64MB以上

    □「GUN」の公式ページ
    http://www.w-russell.jp/gun/gun.html
    □関連情報
    【11月16日】ラッセル、米ActivisionのPCタイトルを今冬に3本発売
    「The Movies」、「Call of Duty 2」、「GUN」
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051116/russell.htm

    (2005年12月7日)

    [Reported by 勝田哲也]



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